第248話 13 焦熱席 不死虫王ジャバウォック
俺は泳げない、だから落ちたら死を意味する
激流の中で少し口から水を飲んでしまったけど、海水だこれ
となると本当に外に出られるのか…
発光石で照らされていたから仲間が近くで流されているのが見える
行きが続くのか、心配だ
ティアマトが俺に近づいてくると、腕を掴んでくれた
こいつは俺が泳げないのを知っている、助かった
リュウグウはティアを掴み、ティアはティアマトの足を掴んだ
だが先で流されているリリディには近付けない
彼は鎖で拘束したジャバウォックと共に流されているのだ
《お前ら!辛抱しろ予想が当たるなら海底から抜け出せる!》
『ゴボゴボゴボボボ』
《兄弟口閉じてろ馬鹿!》
うぅ、怖い本当に怖い
周りで何かが泳いでいる、この激流でだ
それはマグロという最高級の魚、海の魚となるとやはり外に出れるという事か
息が続かない、俺はそう感じ始めた時に発光石とは違う光が奥から見えてきた
自然の光、きっとそうだと俺はわかった
《出るぞ!》
出てきたのは普通の海だ
暗くないという事は海面は近いという事。しかし流れが速い
ティアはそのまま最後の力を振り絞り、先頭形態と化した
金色の羽を羽ばたかせ、ティアマトを掴んだままリリディに近づき始める
リュウグウも離すまいと必死だ
《太陽が嫌いってわけじゃねぇんだな》
その言葉の意味が目の前で起きる
ジャバウォックの体がみるみる溶けていったのだ
暴れながらも地底の穴に戻ろうとするが、リリディの鎖がそれをさせまいと藻掻く
ティアはリリディに近づく
それだけでリリディは彼女を掴んだ
こうしてティアは海面に浮上し始めたのだ
数十秒かけ、海面から飛び上がるように俺達は外に出ることが出来た
綺麗な満月だ
外に出れて安心だが、そこでジャバウォックの叫びがこだまする
『キサマ、ユルサン、ワレ、アクマ!クルシイ!』
リリディ
『次に出会ったら完全に倒します!今はこれで満足しましょう』
『ギュギュァァァァァァァ!』
最後の断末魔、それを口から放ちながらジャバウォックの体は発光する魔石を残して消えていったのだ
鎖で発光する魔石に巻き付くと、彼は引き寄せながら鎖を消滅させた
手で魔石をキャッチした彼はようやく安心した顔を浮かべ、ティアによって俺達と共に浜辺に運ばれていく
浜辺ではティアが力なくうつ伏せで倒れているが、今ので全ての力を使ったのだ
もうずっと休んでいてもいいだろう…ありがとうティア
リュウグウやティアマトも疲労困憊で大の字だ
唯一ギルハルドだけは元気にリリディの周りで走り回っているのが凄いよ
俺とリリディだけは立ち上がれているようだ
《よくやった…まぁジャバウォックの特徴はスピードだけ。死んでも蘇るという性質があって面倒だってだけだな》
ティアマト
『疲れて体動かねぇ』
リュウグウ
『力が出ぬ…』
ティア
『今ならアカツキ君に胸揉まれても抵抗できない』
アカツキ
『いやしないよ』
リュウグウ
『変態が…!』
アカツキ
『そんな…』
リリディ
『皆さん、ありがとう』
俺はその言葉に顔を向けた
息を切らす仲間も頭を上げるリリディの様子に少し驚いているようだ
『1人では絶対なれなかった称号です、お爺さんは仲間を信じろといってくれました。みんなが来てくれなければ僕はあのまま死んでいたでしょう』
ティアマト
『馬鹿は離れちゃいけないんだぜ?』
リュウグウ
『くそ、今回は馬鹿という事にしといてやる』
リリディ
『この力、存分に震えるよう頑張ります』
彼はそう言いながら魔石のスキルを吸収し始めた
ここまでよく頑張った、俺はそう感じると色々思い出す
閻魔蠍も鬼ヒヨケも大変だったな
仲間と戦い、ここまで来れた
その結果が今現れた
リリディの体は発光し始め、彼はいつも以上に俺達に笑顔を見せる
『ありがとう、みんな』
・・・・・・・・・
リリディ・ルーゼット
☆アビリティースキル
魔法強化【Le5】MAX
打撃強化【Le5】MAX
気配感知【Le5】MAX
動体視力強化【Le4】
麻痺耐性【Le5】MAX
スキル発動速度強化【Le3】
攻撃魔法耐久力強化【Le3】
☆技スキル
ドレインタッチ
爆打
骨砕き
☆魔法スキル
風・突風
黒・チェーンデストラクション
黒・シュツルム
黒・ペイン
黒・アンコク
黒・グェンガー
黒・シュバルツ・フレア New
称号
極ギール・クルーガー【黒】
☆称号スキル
魔法強化 【Le5】
自動魔法盾【Le3】
スキル発動速度強化【Le5】
魔力消費軽減【Le5】
耐久力強化【Le3】
スピード強化【Le3】
黒圧
状態異常完全無効
呪い無効
特殊魔法『クラスター』
特殊魔法『メテオ』
特殊技 『賢者バスター』
・・・・・・・・・・
魔法・技スキルにレベル表記が消えたのは『ギール・クルーガーになったことによって最大レベルで討てるから表記が消えているらしい』との事だ
となると彼は今超火力魔法使いになったとことにある、ずるい
ギール・クルーガーになって喜ぶと思いきや、リリディは優しい顔を浮かべながらギルハルドを抱きかかえるのみだ
遠くから侍騎士が松明片手に走ってきているが、どうやらジャバウォックの断末魔を聞いて何事かと思ってこちらにきたのだろう
丁度良いタイミングだよまったく…
アカツキ
『帰ろうか…少し街で休んでさ…』
ティア
『賛成…でも明日はずっと寝たい』
ティアマト
『その前に美味しいもん食おうぜ?』
ティア
『確かに、てかお風呂・・』
リュウグウ
『メガネ、飯奢れ』
リリディ
『わかってますよ』
《よくやった。じゃぁ侍騎士に運ばれて城に帰るぞ》
アカツキ
『そうしよう』
ジャバウォックを完全に倒しきることは不可能だった
あいつはどんな生き物なのかまったく未知数だから仕方が無いが
今度俺達の前に現れた時は容赦しない、もっと強くなってやる
俺達はその後、侍騎士が連れてシキブさんに護衛されながらも城に戻ったんだ
そこで軽い治療を受け、疲れても風呂に入りたい一心で俺達は湯船に浸かり、ムサシさんとジェスタードさんに色々と何があったかと話すと死んだように客室で直ぐに寝たのさ
気疲れが凄い洞窟だった
運スキルがあったからこそ突破できたと言える
次の日、俺達が起きたのは夕方だ
かなり疲れていたという事だな
さて、やることをやったしあとは少しここらで休暇をとってから帰ろう
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