第239話 4 スカリーメアリー
森の中、出てくるのはアンデット種ばかりだ
ゾンビナイト5体、剣を引きずって歩く姿に気迫は無い
俺とティアマトが駆け出すと、奴らも僅かに歩く速度を早めた
《まぁ落ち着いて倒せ》
『わかってる』
ゾンビナイトが剣を振り上げたと同時に刀で首を刎ね飛ばし、直ぐ横にゾンビナイトの顔面に刀を突き刺してから横に裂く
俺は次の奴を倒そうとしたが、ティアマトが2体の魔物の頭を両手で鷲掴みしたまま振り回し、棒立ちの1体に投げた
吹き飛んできたゾンビナイトが3体こっちに来る
何故俺まで巻き込んだ?
『マジッ!?』
『あ!悪ぃ!』
素早く避けながら刀を振って3体を両断して倒したけど、少し驚いた
リリディ
『惜しかったですね』
リュウグウ
『ちゃんと狙いをつけてなかったか』
アカツキ
『お前ら…』
ティアマト
『悪いなアカツキ、思いっきり戦いたくてよぉ』
《次来るぞ、またゾンビナイトだ》
アカツキ
『気づいてる』
『アァァァ』
呻き声、それが四方から聞こえる
ゾンビナイトやゾンビランス、黒い靄に釣り目の姿であるゴーストもいる
それらを倒し、俺達は前に進んで川の近くまで来たんだ
小休憩して辺りを見回してみるが、変わった様子はない
いやあるか…
川辺て浮遊しているエレメンタルアクア、あれは攻撃しなければ何もしてこないから無視だ
リュウグウ
『本当の幽霊みたいな魔物か、ティアは大丈夫か』
ティア
『魔物だよ』
リュウグウ
『でも見た目は幽霊だぞ?』
ティア
『魔物だよ』
リュウグウ
『わかった』
真顔で諦めるのは面白い
ティアの中では本当の幽霊が怖いらしい
以前の屋敷でもビクビクしていたし…
そこで俺達の耳に不可思議な声が聞こえてくる
『うぅ…うぅ!』
《悪いが…お前らがいると察して近くで泣いてやがる》
アカツキ
『だろうな…小さい気がギリギリまで近づいてから止まって泣き始めたな』
リリディ
『知らずに入るとぜってぇビビるぜこりゃ』
泣く女性の声、すすり泣きと言えばいいのだろうか
俺は仲間に顔を合わせ、リリディからランタンを渡されると彼とティアが前を行く
その後ろにリュウグウだ、彼女の魔法は発動が少し遅いから中衛だ
『ニャハハン』
リリディ
『楽しい、といってます』
ティア
『その余裕欲しいなぁ』
アカツキ
『大丈夫か?進むぞ』
少しずつ歩き川辺から離れていく
ちょっと鳥肌が立つけど、わかっていても怖いな
声だけじゃなく、周りにも意識を向けながら進むが気配は無い
当然だろうな…強い魔物に近づく魔物なんて殆どいない
まぁ獣とかはリーダー格が高いランクだとかはあるけど
基本的には本能的に近寄らない
茂みの向こうから聞こえる声、もう少しだと思った瞬間に俺は別の方向から近づく小さな気に気づく
きっと仲間も気づいたている筈だ
『うぅぅ…』
《お察し》
ティア
『1週まわって怖くないんだけど…』
アカツキ
『1体放置だ、叫び声の有効範囲まで近づかなければ問題ない』
お決まりのパターンをジェスタードさんから聞いている
泣き声に近づき、目の前で叫んで行動制御させてから襲い掛かる
ならば放置しかない、あとで倒せばいい
《兄弟にしちゃ良い判断だ》
アカツキ
『ある程度ダメージ頼む、2人共』
リュウグウ
『わ…私も入れろ』
ティア
『リュウグウちゃんは放つ準備しながら待ってて』
リュウグウ
『そ、そうだな!』
こうして茂みの奥で座り込んでいる朽ちたドレス姿の女性がうつむいて泣いていた
魔物を知らないと誰かに暴行された女性としか思えない、そりゃ驚いて近づくだろう
ふとリリディが前に躍り出る
木製スタッフを肩に担ぎ、堂々過ぎるが大丈夫だろうか
相手はBランクの魔物だ
ティアも彼に続き、歩き出す
こんなにも誇らしい背中は初めて感じたけど、ティアの背中に背負う鉄鎌が怖い
聖賢者と黒賢者、リリディはまだ未完だが実力は十分過ぎる
対象まであと3メートル、俺の額から汗が流れる
その緊張した時間は永遠ではない
始まりが始まるから時間は存在するんだ
残り1メートル、そこで朽ちたドレスを着た女性は顔を上げた
綺麗な顔だろうが、その目は血走っており、怒りで満ち溢れていた
叫ぶその瞬間にティアは耳を閉じたがリリディは閉じなかった
『ギャァァァァァァァァ!』
背筋に凍り付く寒さ、僅かに体が強張るがまだマシだ
だが直接聞いてしまったリリディは絶対に危ない、何してんだ!
スカリーメアリーは立ち上がりつつ一直線にリリディに襲い掛かる
ティアは奴に手を向けて赤い魔法陣を出現させるが、それよりも速く発動させた者がいた
『アンコク』
リリディの頭上高くから黒い刃が落ちてくると、それはスカリーメアリーの胴体を貫いた
俺は驚いたよ、というか体が強張っても魔法は使えるのは道理だ
『ギャ!』
苦痛を浮かべ、後ろに飛び退くスカリーメアリーにティアのラビットファイアーが即座に放たれる
命中率は高い彼女の5本の熱光線、しかしスカリーメアリーは残像を残しながらその全てを避けたんだ
流石Bランク、強い筈だ
リュウグウも体の周りに花を出現させたまま駆け出す、俺とティアマトは見ているしか出来ない
いつでも開闢を撃てるように準備しよう
距離を取って怒りを顔に浮かべるスカリーメアリーは腹部に刺さる黒い刃を抜いて投げると、それは消えていく
だがかなりのダメージらしい
あの魔物の厄介な所は非常にすばしっこい点だ
きっとリリディは初弾で意表をつくためにワザと誘ったのだろう
結果論だとそういうことになるが、成功だ
リリディ
『暫く動けません!ティアさんリュウグウさん!』
ティア
『流石だけど無理し過ぎ!ダメ』
リュウグウ
『良い一撃だが、賢いかは難しい』
彼女達は駆け出す
スカリーメアリーは両手を前に出すと、なんと赤い魔法陣を展開したのだ
何をしてくるのかと身構えると、放たれたのはファイアーボール
火の中位レベルの魔法スキルさ
ティアとリュウグウが左右に跳んで避けると、スカリーメアリーはリュウグウに標的を絞って一気に迫る物理的に触れる事が出来ないため、ガードしてもダメージを受けるだけ
女性にしては異常に伸びた爪を振り下ろす光景にリュウグウはギョッとし、飛び退く
だが猛攻は止まらない
スカリーメアリーは体を1回転させながら彼女に近づき、薙ぎ払うかのように爪を振る
ガード出来ないリュウグウはしゃがみ、次の突きだしてくる爪を体を区の字にして避けると同時にラフレイルでの一斉射撃だ
展開された5つの花から光線が放たれると、その全てはスカリーメアリーに飛んでいく
これも軽々と奴は残像を残して避けていくが、ティアが時間差で放ったデルタバルカンという聖魔法属性が付与された白い弾丸の雨は避けれなかったようだ
体中を撃ち抜かれたスカリーメアリーは断末魔をあげて茂みの奥吹き飛んでいく
でも気配はまだある、生きている
かなり打ち込んだというのにな
ティア
『大丈夫?リュウグウちゃん』
リュウグウ
『助かる』
《まだ生きてる、油断すんな》
スカリーメアリーの小さな気が森の中を縦横無尽に駆け回っている
姿は見えない、灯りの範囲外だからだ
光粉を俺は振りまき、地面が僅かな発光を見せるとランタンより広範囲で周りが見えるようになった
これならば大丈夫だろう
『っ!?』
俺の背後からか
まさか狙われると思わなかったが、振り向くと既に目の前
後方に倒れ込むように避けるとスカリーメアリーはそのまま浮遊しながらティアに襲い掛かる
彼女は果敢にも駆け出し、スカリーメアリーの頭上を前方宙返りしながら黄色い魔法陣を展開し、背中を捉えた瞬間に口を開いた
『ショック!』
振り返るスカリーメアリー
しかしその時には奴の顔面に雷弾が命中し、ビリビリと感電する
レベル5のショックは効くだろう、しかも魔法強化レベル4だ
Bランクといえども数秒は動けまい
今しかないと思い、俺は鞘に刀を強く押し込んで叫んだ
『開闢!』
金属音が響き渡ると同時に鞘から瘴気だけじゃなく僅かな金色の煙が入り混じって噴き出し、中からテラが現れた
なんとも言えない神々しい姿のテラは目にも止まらぬ速さでスカリーメアリーに近づくと『バイチャ』と呟いて金色の刀で両断したんだ
この世の者とは思えない鎧を纏っているが、神その者だな
金色に輝く装備とかロマン溢れていて羨ましい
『ホーリー!』
ティアが俺に顔を振り向くと、叫んだのだ
わかってる…避けるからさ
後ろからジリジリ忍び寄っていた別のスカリーメアリーが俺の背後から飛び込んできていたのだ
高速斬でその場から逃げると空高くから金色の大きな光線が降り、それはスカリーメアリーを包み込んだ
大きな地響きを鳴らし、その威力は凄まじい
あのスカリーメアリーを一瞬が消滅したのだ
地面には直径3メートル以上の大きな穴が開いているけど、避けなかったら俺は即死だろう
その場が静かになり、戦いが終わったことを告げる
ティアの聖魔法はアンデット種の弱点、その中でもホーリーは上位魔法スキルからだ一撃で葬れる
ティア
『避けてくれると思ってた』
アカツキ
『大胆だな』
リュウグウ
『当たっても良かったんだぞ?』
アカツキ
『おいぃ!?』
『お前ら、魔石忘れんなよ』
実体化していたテラがそう告げると、金色の光と化して消えていく
そういやなんでいつも発動すると瘴気だったのに、今回は金色が交じっていたんだ
あとで聞いてみるか
最初に戦ったスカリーメアリーの魔石に近づくティアマト
どうやらスキルは重圧という広範囲に薄黒い風を飛ばし、恐怖状態にする魔法スキルだ
彼がそれを体に吸収するが、称号が変わることは無い
ティアマト
『俺はまだか』
《あとは地下大迷宮の深いとことにいる野郎だ、ラブゥっつぅ金属ゴーレムが持つオーバーヒートってスキルを手に入れればお前はアクマと同じ称号になれる》
それがあればいいのか、なるほどな
リュウグウ
『しかし素早い魔物だったな、あの速さで魔法しか効かないのは大変だぞ』
リリディ
『魔法発動時間がネックに感じるでしょうから、たとえ魔法スキル持ちが複数いても発動速度が強化無しだと相当辛いですよ』
魔法発動を早めるスキルがないと話しにならない魔物というわけだ
だからこそBランク、納得だ
倒せたから安心できるが、まだダメみたいだ
『ガウゥ!』
ティアマト
『コンペールか』
Cランクのアンデット
体の両側面に黒い腕が生えた猛獣だ、体の至るところが腐食しており、全長は2メートルありそうだ
コンペールが咆哮を上げると周りの地面からゾンビナイトやゾンビランスの腕が生え、奴等が姿を現す
ざっと6体、まだまだ楽しめそうだ
アカツキ
『ティア頼む』
俺は彼女にオイルランタンを渡す
受け取ってくれた時の笑顔が眩しい、俺がアンデットなら浄化されてるね
ティアマトと共に前に出ると、リュウグウまで前に出る
アカツキ
『?』
ティアマト
『?』
リュウグウ
『足りん、混ぜろ』
アカツキ
『仕方がない』
『アアァ!』
『グルァ!』
俺達は駆け出した
こうして辺りのアンデットを掃討し、あとは戻りながら現れる魔物退治だ
道中にまたスカリーメアリーが現れた時は無慈悲にもリリディがチェーンデストラクションで現れた鎖2本で拘束し、ティアのデルタバルカンで蜂の巣にして倒した
3体のBランクを倒したのはでかい、嬉しい
アカツキ
『いくらかな』
ティア
『残念だけどスカリーメアリーだけは安い筈』
そっか、安いか
エド国にしかいないスカリーメアリーはこの森だけ
夜は基本的に立ち入り禁止のため、そうなると対処として十分だから安いのだ
残念だと思いながら森を出ると、入口の侍騎士が近づいてくる
侍騎士
『お疲れ様です。先ほどは凄い光が森に落ちましたが』
ティア
『私の魔法です』
侍騎士
『そ…そうですか。流石ガブリエールですね、あんな魔法初めてで驚きました』
空から光が降ってきてたから彼らにも見えたのだろう
とてつもない魔法だったな
侍騎士
『城まで二人同行させます』
アカツキ
『助かります』
こうして城まで戻り、今は客室だ
何故か俺のベッドでリリディとギルハルドが寝てるのが納得いかん
俺は椅子に座り、心地良さそうに寝ている様子を見ながら溜め息を漏らす
《3体倒したのは中々だ》
アカツキ
『まだ閻魔蠍のほうが戦いやすい気がする』
《まぁ気持ちはわかる、物理メインの人間はスカリーメアリー相手に逃げるしかないからな》
全員の力を合わせて戦えないのは何とも言えない
うちのチームの魔法使いが優秀だったからこそ問題なく戦えた感じさ
幻界の森に行かずしてスカリーメアリーに遭遇していれば結構厳しかっただろう
結果論だけど、行って良かったと思える
森の中は静かだ
フクロウと思える鳴き声が聞こえるが姿は見えない
俺の前を歩くティアマトは何かを見つけると、近くの木に歩いていく
どうしたのだろうかと俺も彼の後ろをついていくが、生き物の糞だ
ティアマトは僅かに触り、『暖かけぇ…普通の熊のだ』と口を開きながら立ち上がる
彼は触った手でリリディを見るとニヤニヤしながら手を伸ばす
リリディ
『うわっ!バッチィですよ!』
ティアマト
『かははは!わぁってるよ』
近くに川が流れていたので、ティアマトはそこで手を洗う
すると彼は川の向こうに見える森を眺め始めたんだ
顔は険しいが魔物の気配は無い
だがティアマトは変わった能力がある
普通の獣がいるとなんとなくわかるのだ
リリディ
『ティアマトさん、何でしょう?』
ティアマト
『ガサガサ聞こえるが、足音は重い…ちと大きいな』
リュウグウ
『凄い能力だな』
《本当に人間か?》
ティアマト
『人だっつの』
リリディ
『人だったんですか?』
ティアマト
『帰ったら食うぞオラ』
途端に俺の耳にの地面に落ちた枝木をバキッと踏む音が聞こえる
これは離れるしかないようだな
俺達は魔物専門の冒険者だ、普通の動物相手は専門としていない
勝てないというわけじゃない、戦う意味がないからだ
魔物は定期的に倒さないと直ぐに増える、普通の動物よりも成長が早くて数が増えやすいんだ
だから俺達冒険者がいる
魔物が増え過ぎると普通の動物の生態系が乱れるからこそ俺達冒険者がいるんだ
アカツキ
『静かに下がれ、ティアマトが熊だというならそういう事だ。戦う対象じゃない…バレても逃げるしかない』
ティア
『でも普通の熊さん凄い足早いよ』
アカツキ
『その時はティア、ショック頼む』
彼女が頷くと、俺達は静かに後ろに下がる
運良くバレることはなかったが、風向きが良かったおかげでもある
熊は嗅覚が異常過ぎるからな
城に戻り、俺は客室で体を休めていると侍騎士が3名入ってくる
どうやらホンノウジ地下大迷宮に関しての情報だ
時間さで他の3名の侍騎士が俺の仲間を連れてくると、1人の侍騎士が淡々と話し始めたのだ
侍騎士
『明後日の予定ですが、目的地まではここから半日かかる場所…海の上の大きな島です』
浮かぶ島と言っても、陸地から細長い道が1本ある
見た目がまるで海の上にあるかのように見えるからそう言われてるのは知っている
そこまでは侍騎士10人そしてあの天下無双衆の1人である瞬雷美人シキブ・ムラサキルが案内してくれるというのだ
侍騎士
『洞窟内は49階層まで至る所に発光石が光を放っているので灯りの心配はありません。』
アカツキ
『注意点はありますか?』
侍騎士
『各階層はそれほど長くはありません。魔物が寄り付かない場所があるのですが発光する湖があればそこに魔物は現れません。そこで休むことを推奨します』
ティア
『各階層の突破時間はどの程度ですか』
侍騎士
『30階層までは目印がありますので約30分、31階層からは自力で行けば1時間が確実にかかります』
アカツキ
『何故30階層から目印が無い?』
侍騎士
『そこから下に行けた者は先代の王が率いた小隊以外いません』
とんでもないな…理由は食料難、魔物が強いというわけではなく自給自足が難しいかららしい
天下無双衆は地下大迷宮に挑戦しようと試みたらしいが、ムサシさんがそれを止めたから記録無しとの事だ
幾多の力ある冒険者がそこに入っていったが、30階層が限界との事だ
帰りの体力を考えての断念が殆どであり、死亡者もいる
回収できない仏も数多くいるそうだ
ティアマト
『Aチームは挑戦したのかい?』
侍騎士
『歴史上では5チーム、最高で41階層ですが目印をつけて歩く余裕はなかったとの事です。断念した理由は食糧難です。食べれる魔物にありつけなかったからです。あと言い忘れていましたが地下には流れが非常に速い地下水路がありますので落ちないようにしてください。』
リュウグウウ
『飯さえあれば問題なかったのか』
侍騎士
『行けたでしょうね…。』
リュウグウ
『50階層に何がいるかは知っているのか?』
侍騎士
『悪魔種という滅多に森に現れない魔物がいる事は知っております。不死の生物だとか』
《情報共有はしているらしいな》
情報提供は嬉しい
だが俺達には2つの問題が付きまとう
50階層までいけるのか?食料に出来る魔物が現れるかは運だと侍騎士は告げる
持参しても地下大迷宮の空気で直ぐ駄目になるらしく、それは不可能
そしてジャバウォックを倒すだけじゃなく、条件付きで倒す事の困難
50階層にいる化け物をどうやって日の光で倒すのか
1、両手がある黒い犬、両手を破壊し倒し切れ(コンペール)
2、嵐を好む鮫、背びれを破壊すると怒って技を使う、逃げる前に倒し切れ(天鮫)
3、沼地の雑食獣、大きな舌と長い尻尾を切断して倒せ(ベロヌェルカ)
4、鬼と化した虫、口を破壊し、燃やして倒せ(鬼ヒヨケ)
5、地獄からの蠍、両鋏を切断し、最後に尻尾を切ってから心臓を刺せ(閻魔蠍)
6、地下深く、太陽を知らぬ不気味な羽の魔物、太陽の光で倒せ(ジャバウォック)
侍騎士が帰った後、俺の部屋に仲間が残る
何かを話すわけでもなく、それぞれが何かを考えているようだ
アカツキ
『太陽の光…』
俺が囁くと、ティアマトが『引きずって地表に出ろってか?』と不可能過ぎる事を口にする
きっと冗談の類だろうが、もしそうしないと駄目ならば無理だ
万全な状態で地表に生還するだけでもきっと苦労する
リリディは唸り声を上げているが、きっと思い浮かばない
何故なら彼の腕に抱きかかえられているギルハルドとじゃれているからだ
形だけ考えているように見える…
ここでやっぱり頼りになるのがティアだったよ
『てかハイムヴェルトさんらが引きずって地表に連れていけたのかな?先代のエド国王は剣豪だったことは効いてるけどティアマト君レベルの体格じゃなかったらしいし…』
《ほう…》
『その場の環境に適した倒し方がある筈、根性論なんてハイムヴェルトさんは嫌ってたでしょ?』
彼女も昔の記憶はハッキリ残っている
というか地表に連れていくなんて普通考えない
さて…行けばわかるさみたいになったな
《まぁ50階層にヒントがあるって事になるだろうな、ティアお嬢ちゃんのいう通り》
リュウグウ
『…地下水脈か』
アカツキ
『どうしたリュウグウ』
リュウグウ
『いや、地下水脈はどこに流れているんだろうなと思ってな』
多分それは二度と光を見る事が無い場所だろうな
落ちたら激流で浮上することは不可能、ゾッとする
こうして仲間が点々と部屋に戻っていくと、俺はティアと2人きりとなる
彼女は何故か俺のベットに横になってゴロゴロしていおり、俺は椅子だ
アカツキ
『幻界よりマシだといっても油断できないな』
ティア
『だね。食料持参も無意味って悲しいね』
アカツキ
『それが辛い、にしてもジャバウォックか…虫の悪魔とはな』
ティア
『フレア持ってるから隙があれば放てるけど…てか開闢でいけない?』
アカツキ
『あ…』
《あ・・・・》
ティア
『ねぇ、アカツキ君はいいけどテラちゃんのあ、はちょっとどうなの?神様でしょ』
《あははは…そういや開闢あるわな》
こういう時、便利だな!
もしこれが絵本の物語だとしたら展開が安いと言われるだろうが俺達が無理をする気は無い
勿論使わせてもらう
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