第207話 日常編 2

今日はイディオットのみんなでギルドに来たんだ

俺達が帰還してから1週間経過している

筋肉痛も完全に回復し、今は体を慣らすためにギルドで適度な依頼を受けて早めに帰ってくるって感じを数日繰り返しているんだ


今日はもう終わり、夕方前にこうしてギルド内のロビーにある丸テーブル席で仲間と共に座って寛いでいるんだ


隣のテーブルにはバーグさん率いる戦闘旅団ってチームが早くから酒を飲んで心地よい宴を始めてる

酒癖は悪くはないので変に絡まれることは無いから安心さ


アカツキ

『エド国…か』


ティアマト

『行くことにはなりますね』


《あそこにゃ2重でお得だ、メガネのスキルもそうだが熊五郎の今後に必要なスキルを持つ魔物も確かいた》


ティアマト

『熊五郎また言ったな?』


《とりあえずはいつ行くかはゆっくり考えとけ兄弟、長旅になるが寄り道せずにエド国の王都近くまで突っ走ることを俺は勧めるぜ》


ティアマト

『また無視か』


リリディ

『ぶふっ!』


リリディがティアマトに頭を叩かれてる、我慢すれば良かったのにな


リュウグウの様子は心配だったけども、今は普通そうだ

あまりそれに関しては俺達から声をかけないほうが良いかもしれない

それにしても…異世界から来た人間か…凄い衝撃な事実を突き付けられれば誰だって気が滅入るだろう


でも彼女が立ち直ったと見て良いかもしれない

完全じゃないとしても前を向いている、そんな気がするんだ

今は機嫌が少し悪いけど


ティア

『リュウグウちゃん、どうしたの?』


リュウグウ

『メガネに言い寄られた、デートだ』


リリディ

『聞き捨てなりませんねぇ?幻界の森の約束を忘れてませんよ?』


リュウグウ

『余計な事は覚えてるのは感心するわっ!』


何の事だろうと思ってリリディに聞いたんだ

あれだよあれ、リリディが気配感知を使わずに魔物のいる気配を感じれたらってのがあったんだ

リゲルとクワイエットさんがリリディの能力に凄く驚いていたんだけどね

あの2人よりも細かく敵の情報を感知出来たのには俺も驚いたよ


あの時にリュウグウは『お前が出来たら何でも言う事聞いてやる』と言っちゃったんだよねぇ

その結果、どこかに付き合わされるというわけだ


《お前らマジで強くなったぜ、ゾンネが1段階前の状態ならばお前らだけ返り討ち出来そうだったけど…あいつは更に記憶戻って強化されてたしなぁ》


ティア

『どのくらい強いのかな』


《異世界人には限界突破スキルがある。それは保有する全てのスキルに上乗せしてレベルをアップさせるんだけどよ…リュウグウはレベル2だろう?なら他のステータスが限界の5でも2が上乗せされるって卑怯なスキルなんだ》


アカツキ

『とんでもないなそれ…』


《とんでもないに決まってる。ってなるとゾンネに記憶を教えないのが一番さ…妻の名前だけで完全体って話らしいから教えたら誰も勝てねぇよ》


リリディ

『イグニスと同士討ちとかさせても駄目ですかね』


《そうなる事はないと思うが…互いに俺を狙っているからゼロじゃない》


ティア

『でも非効率だからし無さそうだよね』


《その通りさ》


こうした話をしていると、クローディアさんが奥から眠そうな顔をしたまま俺達に歩み寄ってくる

髪の毛には寝ぐせがついているし、さっき起きたのだろうか

目にクマがついてる…休んでいる間の書類仕事が溜まりに溜まっていて…って感じかな


『来てるわね…丁度良かったわ』


ティアマト

『てかクローディアさん、何を願ったんだ?』


『神でも彼氏は作れないようね…使えない』


アカツキ

(無理ですから)


ティア

(それは無理って言われてから何も叶えて貰ってないよね…)


リュウグウ

(唯一何も叶えて貰ってない…)


哀れみがクローディアさんに注がれる

ウッと声を出して胸を抑える彼女だが、直ぐに気を取り直すと簡潔に凄い事を口にしたんだ


『イディオット、エーデルハイド、クリジェスタの3チームはAランク冒険者チームとして昇格します』


ちょっと驚く

普通ならば全員で万歳するほどの名誉ある事なんだ

Aってなると…国内でも5パーセント未満だったっけ?

あまり大袈裟に驚かなかったのは幻界の森でどんな魔物と戦ってきたかを振り返れば納得できる


熊王ヘラク、異形動体トヨウケ、流星レガシィ

とんでもないAランク相手に俺達は頑張ったんだ

気づけばBランクのギャングマ相手にヒーヒー言いながらそれなりの数を倒していたな


クローディア

『将軍猪相手にもきっと今じゃ苦労しないわ貴方達』


ティアマト

『お手合わせしてぇな』


クローディア

『クリジェスタはもう既にカードは変わってAよ?エーデルハイドも』


彼女は上を向く

2階吹き抜けからこちらを覗いているのはリゲルやクワイエット、それにアネットさんが見える


Bのカードはオレンジ、Aはレッドだ

リゲルは自慢げにそれを上から見せびらかしている


アカツキ

『同じだろうが…』


リゲル

『俺が一番だ…悪いな』


ティア

『あはは…』


すると2階の奥からクリスハートさんが登場だ

彼女はリゲルに『変なことしないでください』と怒られて引っ込んでいく

ざまぁみろ!!!!


クローディアさんが俺達のカードを回収すると、俺はティアと一緒に2階に上がってエーデルハイドさん達のもとに向かう

そこにも丸テーブルがあるが、4つほどしかなく座る人は殆どいない不人気な場所だ

クリジェスタとエーデルハイドさんらは居心地が良いのか、そこが居場所となっているようだ


アカツキ

『みんなAですか』


クリスハート

『そうですね…良き事です』


リゲル

『生きて帰れただけ奇跡だぜマジ』


アネット

『まぁそうだよねぇ。アカツキ君は今後どうするの?やっぱりエド国?』


アカツキ

『エド国ですけど、いつ行くかは未定です』


クワイエット

『僕らは春にエルベルト山に行くんだ』


マジで?と驚く

彼らが行くことに対してじゃなく、エーデルハイドさん達も同行することに対して驚いたんだ

今の時期だと山頂付近は凍えるような寒さだから行くだけ辛い思いをするらしい

春になればそれなりに楽にはなるからとクワイエットさんは話す


クワイエットさん

『エド国の王都まではここからじゃ1か月かかるねぇ…』


アカツキ

『長旅ですが行かないといけません』


クワイエット

『まぁ僕らも変わんないけどね…。』


こっちもいつ行くかは決めないとな…

1月はちょっとグリンピアでゆったりと調整したいから行くとしたら3月が良いかもしれない

そういった話をしていると、ロビーの受付嬢アンナさんがロビーの人に聞こえるように声を大きくして口を開いたんだ


『緊急ですよー!ゴブリン種の集団が北の森に現れたらしいのでよろしくお願いしますー!数は未知数ですが20体はいるらしいです』


ロビーの冒険者は既に閉店ムード

どうしたもんかと悩んでいるようだ


リゲル

『俺はパス』


クリスハート

『そんな…』


シエラ

『行きたい』


クワイエット

『なら行こうか』


アネット

『おっ!?リゲル君お留守番ってわけねぇ!』


リゲルを置いて下に降りようと歩き始める

こんな筈はっという様な顔で彼は溜息を漏らすと、直ぐに追いかけて階段を駆け下りていく

なんだかんだついていくんじゃん…


ティア

『楽しそうだね』


アカツキ

『今回は譲るか…』


まだカードが更新されてないしな

今日は普段通りに俺達は過ごす事にするよ

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