第187話 幻界編 27

ヒドゥンハルトの村に戻ると、籠に入っていたミカンに猫たちは大喜び

それを見るとこちらとしてはホッとしている

籠に群がるヒドゥンハルトを見ているとロイヤルフラッシュ聖騎士長が率いる聖騎士達が姿を現す

ロイヤルフラッシュ聖騎士長は1日安静すればリンゴの効力によってある程度は回復するらしい


リゲル達が持ってきたリンゴは凄いな…

もう余ってないらしいけど食べてみたかった


ジキット

『こちらは異常なしです』


リゲル

『あったらケツ蹴ってるわ』


カイ

『いちいちそいつに報告せんでもよいジキット』


リゲル

『堅い事いうなよカイさんよぉ』


カイ

『ふん』


あちらは機嫌が悪いようで、リゲルは苦笑いを顔に浮かべている

彼が変に怒らないようにクリスハートがカイという1番隊の隊長からリゲルを遠ざける

なんだか保護者みたいになっているな


シャオ

『結構な数ニャのによく倒したな』


アカツキ

『期待してたんですよね?』


シャオ

『半分な』


村長猫はニコニコしなあがらそう告げると俺達に背を向けて村の奥に歩いていく

途中、『助かったぞ人間、昼飯ぐらいは出すニャ』と言ってくれたので飯にありつけると知って俺はホッとする


こうして昼飯の時間

村の中央広場に行き、藁の敷いた場所に座って食事の時間だ


出てきたのは梨のような形をした赤い果実、ピンク色のイチゴ

オーガントの佃煮という凄い料理も出てきたけど、これが一番美味しかった


ロイヤルフラッシュ聖騎士長やティアマトが美味い美味いと言って佃煮ばかり食べている

そんな姿を見て聖騎士のバッハやアメリーそしてバウエルとドミニクが笑っていた

こちらも同じく、ティアやクワイエットそしてクローディアさんが微笑んでいる


クローディア

『美味しいわね…』


ゲイル

『美味だ。アカツキもピンクイチゴ食べておけ』


シャオ

『ピンクイチゴは疲労回復に効果あるニャ、佃煮は食物繊維たっぷりぷりニャ』


リリディ

『肉みたいな味していいですね』


リュウグウ

『いがいといけるな』


シャオ

『というか、お前らが連れて来た同胞が何故マタタビーンの匂いで酔わないのか不思議ニャ』


リリディ

『息止めてたって言ってました』


シャオ

『…』


言葉にならない、とでもいうのか

シャオさんの顔は無表情に近い


『ミャハハーン』


肝心のギルハルドはリリディの横でオーガントの佃煮を美味しそうに食べている

ふとシャオさんがその様子を見ながらとある言葉を口ずさんだんだ


『猫神は外からやってくる…か』


リリディ

『その猫神って何ですか?』


ティア

『確かにそうよね、うちの国だけしか情報とかないし。てかあれだよね、誰も見た事が無いって』


シャオ

『数百年前にいたニャ、理想国家コスタリカにな』


それには誰もが食事の手を止めてしまう


猫神とは神種として記録が残っており

推定ランクはS、見た目の情報は無いが俺達のいる国マグナ国にしか情報は無い

クローディアさんはシャオさんに問う、『何故知っているの』と


シャオ

『先代の猫神様はとある男が連れて来た、その時はただのヒドゥンハルトであったらしいがニャ』


ゲイル

『男とは?』


シャオ

『言い伝えであるから詳しくは父も知らないと言っていたニャ。我がパートナーを頼む、と言って男は幻界の森の奥に行き、戻ってきた…。しかし人間の世界に帰る時にパートナーであったヒドゥンハルトを連れていかなかった、置いて帰ったのだ』


リュウグウ

『育児放棄か?』


シャオ

『わからないニャ、その男が置いていったヒドゥンハルトが猫神になった。我らが猫神様はおっしゃったそうな、彼の帰りを我は待つ…と。しかし彼は帰らなかった…何故帰らなかったかは猫神様は僅かに悟っていたらしく。その後はこの村の祠で幻界の森の平和を眺めていたらしいニャ』


アメリー

『パートナーなら名前があるのでは?』


シャオ

『それは禁句ニャ、言えば猫神様の魂に祟られると言われているニャ』


クローディア

『祠に行けばヒントくらいあるんじゃない?入らせても貰えるなら』


シャオ

『今日だけなら許そう』


俺達に必要のない情報なのかはわからない

しかしいつかは必要になる、そう思える


俺は全員と共にシャオさんの案内で祠と言われる場所に来た

村の奥にある神殿、そこはかなり崩壊していて中に入る事など出来そうにない状態だ

だが本体は神殿前にある地下に続く階段、シャオさんを先頭に俺は松明を握りしめて前に進む


誰も言葉を発しない

外は暖かかったが、ここは凍てつく寒さ

息が白く、肌寒い


50段ほどの階段の先には大きな鉄扉

シャオさんはいとも容易く重そうな扉を押して開け、皆を中に入れる

地下神殿という方が正解かもしれん…祠とは思えない

大きな石柱が左右に奥まで続き、俺達が侵入した途端に石柱に埋め込まれた魔石が光を放つ


ティアマト

『自動かよ、すげ』


リリディ

『本当に寒いですね』


シャオ

『猫神様は魂になっても悲しんでおられる、だから寒いニャ』


ティア

『化けて出てくるんですか?』


シャオ

『んなわけないニャ』


ティアはちょっと怖かったらしい

俺の腕を強く掴んでいるからな、痛いけども我慢だ


ロイヤルフラッシュ聖騎士長

『台座か』


一番奥、まるで玉座のようば光景だ

10段ほどの階段の上には小さな台座がある

四方1メートルほどの台座の上に何が置いてあったのだろうか


そして壁には…なんとも…うん


カイ

『子供の落書きのような猫の絵が描かれているな』


シャオ

『祟られるニャ?』


カイ

『ぬっ…』


ロイヤルフラッシュ聖騎士長

『変に口を開くなカイ』


カイ

『わかりました』


バッハ

『文字も書かれている…あれは…』


リゲル

『知らない文字だ』


なんの文字かわからない

だがリュウグウだけはその文字を見て驚愕を浮かべている

まるで時間が止まったかのようにだが、どうやら知っているようだな


アカツキ

『リュウグウ、どうした』


リュウグウ

『あり得ない…ありえん…なんでこの文字がここに』


クローディア

『知ってるのリュウグウちゃん』


リュウグウ

『…』


シャオ

『壁に書かれた沢山の得体のしれない文字、これは先代の猫神様が男を待つ間に書いたと言われている、わかるニャ?』






















リュウグウ

『いつも貴方は1人で抱え込む、それは間違いだが貴方の優しさでもある。それでも私は貴方を待つ。』


ティア

『リュウグウちゃん?』


リュウグウ

『全てを捨てても貴方には何も残らない、家族さえも残らない。でも私だけがいれば貴方を救えるかもしれない…貴方はそれを拒んだ。本当に悪魔になる為に支えとなる者を遠ざけ、いったい貴方は最後にどんな顔をして死んでいったのか…貴方が優しかった事は私が覚えている。愛を教えてくれた…。愛よりも悪を選んだ貴方は今どこで何をしているのですか?貴方がいつも作ってくれたチェリーパイの味と貴方の優しさは孤独の私を蝕む。エミリアがいつも私の毛繕いをしていた思い出もそうです。人間は愛を知っている…だから私は神となった。その神が人間の帰りを待つというのも面白いですね。私は貴方が現れるまで、そして貴方が手料理をいつものように作ってくれるまで私は空腹というスパイスでいつまでも待ちます。貴方が授けた名、何故私の名前をバナナにしたのか、いまだにわからない。』


ゲイル

『リュウグウちゃん、この文字は』


リュウグウ

『私の国の文字です…。何故猫神が日本語を…何故…』


彼女は頭を抱え、その場に崩れた

ティアやアネットがビックリして彼女を支える

俺は何が何だかわからなく、動揺してしまう


しかし、わかったことはある

猫神の名前はバナナだが。それは主が名付けた名前であり、それが聖騎士な猫神の名で間違いはない

エミリアとは誰なのかが不明だが…覚えておいて損はない筈だ


シャオ

『猫神様…』


クローディア

『信頼するパートナーを待っていたのね。そこまで愛せる人間がいたって良いわねぇ』


ゲイル

『だが猫神なら帰ろうと思えば帰れたはずだ、しかし猫神は男が来ることを願って待ったのか』


リゲル

『ちっと悲しい猫神さんだな。断食して待ってたとか相当だぜ?』


ロイヤルフラッシュ聖騎士長

『チェリーパイ…なにか引っかかるぞ。城の宝物庫で何か見たような…』


クローディア

『今思い出さないと鉄鞭で顔面ぶん殴るわよ』


ロイヤルフラッシュ聖騎士長

『おいっ!もう構えてるだろ貴様!』


ティア

『でもなんでロイヤルフラッシュ聖騎士長さんは城の中で見たの!?』


ロイヤルフラッシュ聖騎士長

『確かにそうだな。しかし…思い出せん』


その後、クローディアさんを止めるのが大変だった

リュウグウの精神状態も不安定になり、俺達は彼女の回復を待ってから村を出る事になる

時刻は15時、村を出るには少し不安であるが急いで俺達はシャオさんらと別れを告げて村を出た


ここは幻界の森の中間地点、その広さは広大であり最深部までは2日もかかるとシャオさんに言われた


聖騎士を最後尾に、イディオットである俺達は前で他は中央に固めて前に進んでいく

本当に色鮮やかな森だ。食虫植物が俺達は食べたそうにこちらに顔を向けているのがわかる

しかもデカいから人間なんて簡単に丸のみ出来そうだ


クワイエット

『シエラちゃん疲れてない、おんぶする?』


シエラ

『変態。素直!』


リゲル

『クワイエット、お前直球だな』


クワイエット

『駄目かぁ』


ジキット

『両側面からカサカサ音がしてます!』


流石は聖騎士

俺はそれに気づいていなかった

何が来るのかと身構えていたが、それよりも前に走れと父さんが叫ぶ

言われるままに走りだすと、それは正解だったと知る


オーガントという鬼の顔をした蟻の大群である

地面を受けつくすほどの数に誰もが背筋が凍る思いの筈

しかもサイズが大きく、10センチもある


ロイヤルフラッシュ聖騎士長

『走れ!追い付かれたら骨すら残らん!』


リゲル

『おいケアガール!フレア覚えてんだろ』


ティア

『ケアガールって今名付けたの!?』


シエラ

『フレア!?』


アネット

『フレア!?』


アカツキ

『ティア後ろにぶっ放してくれ!追い付かれる!』


ティアはとんでもない行動をする

あろうことか、正面から俺に抱き着くと肩から顔を出して後方に腕を伸ばしたのだ

少し重いが、我慢だ!


彼女の伸ばした手の先に真っ赤な魔法陣が現れる

それは煮えたぎる溶岩の様に熱を帯びており、俺の背中が熱い

魔法陣が熱いというのも初めてだが、これも我慢だ


バウエル

『ぶっぱなしてくれぇ!』


ティア

『フレア!』


フレアという火の更に上の炎魔法

火・炎属性でも最強と言われているフレアの名がつく魔法

魔法陣から放たれはそれは龍の口から放たれる業火そのものであり、後方の視界全てを埋め尽くすほどの灼熱であった


逃げなければならないというのに、誰もがあまりの強力な魔法に足を止めてしまう


ドミニク

『うわ…』


カイ

『これは…』


ゲイル

『凄まじいなクローディア』


クローディア

『ヤバ過ぎ』


シエラ

『ひゃぁぁぁぁぁぁ!』


リゲル

『クワイエット、ロリ女黙らせろ』


皆が話しているうちにフレアがおさまる

火が木々に燃え移らないかと不安だったが、どうやら火に耐性が強い森らしい

だが後方全ての木々が灰と化し、先ほどまでいたオーガントの大群も消し炭だ


あの数を一気に葬り去ったのか…凄すぎる


ティア

『ティアマト君、ミカン頂戴…これかなり魔力使う…』


ティアマト

『あいよ!』


ミカンはちょこっと貰っていたんだ

これはリンゴほどじゃないけども魔力の回復も出来る優れもの

まぁ一番いいのは俺達の水筒の中に入っている水だ

森の中で手に入れた水は魔力回復をかなりするからな

だが水だから貴重だ


ロイヤルフラッシュ聖騎士長

『フレアか…久しぶりに見たな』


リゲル

『おー怖いねぇ』


アカツキ

『ティア?そろそろ降りない?』


俺の抱き着いたままミカンを食べる彼女はアッとした顔をすると、照れ笑いを顔に浮かべたまま降りる


だが落ち着いていられない

急に音が消えたのだ

アンノウンであるとわかると俺達は直ぐに仲間と共に背中合わせとなるが


その時には俺の目の前には大口を開けて飛んでくるアンノウンがいた


『っ!?』


驚愕を顔に浮かべながらも無意識に刀を振り上げてアンノウンを両断する

視界に敵は居ない、俺は横目で仲間の様子を見ると真上から急降下してくるアンノウンに気づく


(居合突!)


刀を突きだし、突きの斬撃を飛ばす

それは真上から急降下してくるアンノウンの胴体を貫通し、俺の横に落下する

直ぐに振り返り、地面から這って来ていたガンディルという肉食魚が飛びついてきたと同時に両断し、前を向く


『!?』


大口を開けるアンノウン、これは間に合うのか…既に目と鼻の先だ

死ぬ間際の感覚とはこういう感じなのかとこの場で実感していると、奴はティアマトに側面から殴られて吹き飛んでいく


ティアマトが何か話しているが、俺には聞こえない


『…っ!』


『!?』


互いに口を開いても無理だ、倒しきる前ではな

そこで俺は運が悪い事が起きる


急に目の前が真っ暗になったのだ

何故いきなりこんなことが起きたのかわからず、自然と俺は体を丸めてうずくまる

治れ治れと頭の中で何度も叫びながらも自分が今何しているのかもわからない


冷静ではないのだ。なぜこうなったかもわからない

急に真っ暗になったんだ


『!?』


何かが肩に触れた

俺は暗闇の中で恐怖を感じ始める

だがしかし、次に起きたのは背中を強く叩かれた事

それで俺は僅かに平常心が戻り始めた


幻覚蝶イルズィオ、俺はその鱗粉を吸ってしまったらしい

ならば1分ぐらいで戻る筈…だが音も聞こえないのはアンノウンがまだ全滅していないからなのかもわからん


『っ!?』


そして俺の状態は戻る

ティアマトに担がれていた

アンノウンは既に倒した後であったが仲間たちは別の魔物と戦っていたのだ


俺はその魔物に体が固まる

巨大な真っ黒なムカデ、全長は多分だが30メートルはあるだろう

黒光りした体、顎から生える鋏のような角


イディオット以外の者たちが暴れまわるムカデ相手に奮闘していたんだ


ロイヤルフラッシュ聖騎士長

『こいつもおとぎ話で記載されていた魔物か!』


ゲイル

『何故マグナ国でしか出版されてないおとぎ話の本の魔物がここには沢山いるんだ!』


クローディア

『ラブカって本当にいたのね!もしかしたらいるかなぁと半信半疑でいたけど』


クワイエット

『エナジーフレア!』


クワイエットさんがムカデの側面から赤い魔法陣を展開すると、その中から火球が飛ぶ

それはムカデの顔側面に命中し、火柱でムカデが包み込まれた


『キュワァァァァァァァ!』


シエラ

『エナジーフレア!?』


クワイエット

『それは後だよシエラちゃん!追い打ち!』


ティア

『ラビットファイアー!』


アメリー

『ファイアーボール!』


リリディ

『シュツルム!』


それぞれの魔法が放たれると、火柱から大火傷を負ったムカデが飛び出してきたと同時に全てが命中する

爆発が起き、噴煙が立ち込めるとみんなは後ろに下がり始めた


『ティアマト、大丈夫だ』


『おっ!戻ったか…』


ティアマトは俺を降ろした

やはりイルズィオの鱗粉を吸っていたらしいが、大事に至らずに済んだな


『キュアァァァァァ!』


噴煙の中からボロボロのラブカが顔を出す

まだ生きているのか、その攻撃を全て受けても…


奴は全身全霊で俺達のいる場所に向かって顔面を使っての体当たりを仕掛けてくる

飛び退いて避けるが、地面に激突したラブカは大きく地響きを発生させながらも顔を持ち上げて口から何かを飛ばしてきた


どう見ても強い酸、だって煙が出る唾液なんてそうとしか思えない


クワイエット

『あぶなっ!』


リゲル

『両断一文字ィ!』


懐に潜り込んでいたリゲルは剣を振り上げながら叫ぶ

その一撃はラブカの腹部を大きく斬り裂き、致命傷を与える

代償としてリゲルは飛び出る血を全身に浴びてしまうが…無事そうだ


『キュ…アァァァ!』


ドスンと音を立ててようやく倒れたラブカ

それを背に歩いて戻ってくるリゲルは不機嫌な顔

話しかけないほうが良さそうだな…


バッハ

『似合うぞ、リゲル』


リゲル

『うっせっすよバッハさん』


バッハという男、彼の先輩なのに寛大だな

笑っているから悪い人ではないようだ


クリスハートさんは不安そうな面持ちでリゲルに近づくと、懐からハンカチを取り出して顔を拭き始める

その様子に俺は普通に見てしまっているが、リゲルは何やら様子が可笑しい


『大丈夫だっつの』


『ほら動かない。肌が荒れたらどうするんですか』


『お前は母ちゃんかよ』


カイ

『ラブカとは…絵本の魔物ではないですかロイヤルフラッシュ聖騎士長』


ロイヤルフラッシュ聖騎士長

『そのようだが、何故絵本の魔物が幻界の森にいるのかがわからぬ…』


リリディ

『森を知っている人が書いたんじゃないですか?』


リリディの言葉にロイヤルフラッシュ聖騎士長やクローディアさんがアッとした顔を浮かぶと、誰もが彼を褒めた


クローディア

『今日は奇跡が起きるわね!』


ティア

『凄いよリリディ君!』


リュウグウ

『一瞬天才メガネだな』


『ミャハハン!』


リリディ

『どういう意味ぃ…』


バッハ

『魔石が光っているぞ、まずはスキルを確認してから整理でもしようじゃないか』


その通りだ

言われた通り、俺達はラブカの体から出てきた魔石に近づく

推定ランクB、奴が持っていたスキルは耐久力強化だ

誰が吸収するかという話になるが、この場は耐久力レベルが4であるロイヤルフラッシュ聖騎士長が吸収という流れとなる


レベル最大となると恩恵もかなり良いという事なので、彼の傷が治り次第こき使うとクローディアさんは満面の笑みで口を開いた


カイ

『絵本の話だが…。全ては誰が作ったか…わかる者はいるか?』


マグナ国の王都コスタリカ、そこから本は大量に各街に流れていくのだが

作者が誰もわからない、しかし予想は出来るとティアが話す


『森を生きて帰れたのは私達の知るところじゃグリモワルドさん、そして予想としてはゾンネとイグニスも森を制覇してる筈だよ』


こうなると1人の人間しか浮かばない

初代国王ゾンネならば権力は勿論のこと、この森の魔物をおとぎ話に出すことぐらい可能だ

ということは彼はこの森を制覇しているという答えに繋がる


生き残れた者が並外れた力を手に入れて戻ってきている

今ならその意味がわかるよ

だが彼らは単騎での突破、俺達の様に複数人ではない


ティアマト

『流石だな、化け物め』


彼は囁くようにして口を開いた

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