第162話 幻界編 2

聖騎士1番隊

ロイヤルフラッシュ聖騎士長

カイ・ラーズ      聖騎士会、1番隊の隊長

ジキット・ローレンス  聖騎士会、1番隊副隊長

バッハ・フォルテア   聖騎士会、1番隊

シューベル・ジュイン  聖騎士会、1番隊

トーマス・スタン    聖騎士会、1番隊

ドミニク・ヴェイン   聖騎士会、1番隊

アメリー・カルッセル  聖騎士会、1番隊

バルエル・コールソン  聖騎士会、1番隊    



・・・・・・・

次の日、北の森を歩く異様な光景に落ち着かないでいた


聖騎士長ロイヤルフラッシュが率いる1番隊

クローディアさんに俺の父さん

イディオットにエーデルハイド

そしてリゲルとクワイエットさん


『ニャハン』


張り詰めた雰囲気の中、ギルハルドは二足歩行でスキップしながら進む

そんな光景を聖騎士達がチラチラ見ているのがわかる


『聖騎士でもヒドゥンハルトってやっぱ珍しいんだね』


ティアが俺の耳元で囁くと、先頭を歩いていたロイヤルフラッシュさんが振り返らずに口を開いたんだ


『幻界の森でしか見たことはない』


『相変わらず地獄耳っすね』


『黒豹だからな』


リゲルの言葉にロイヤルフラッシュさんは自慢気だ


歩いていると、前からゴブリンなど低ランクの魔物が現れるが、ロイヤルフラッシュ聖騎士長の睨み付けだけで逃げ去っていく


特殊なスキルでもあるのだろうか


『ったく、荷物多いな』


ティアマトが囁くように愚痴る

彼は少し大きめのリュックを背負っているが、あれはテントだ

ちなみに俺は小物類の入った荷物を背負っている

リゲルとクワイエットさんも大きめのリュックを背負ってるけど…


エーデルハイドの荷物が少ないのはもしや?

いや考え過ぎか


『幻界、ですか…』


『怖くなったか?ハイムヴェルトの孫』


『そういえばロイヤルフラッシュさんは知っているんでしたね』


『戦ったからな、あいつを越えるのは苦労するが…お前はそれでも同じ道を歩むか』


『はい。おじいさんはどのような人でしたか?』


『離れるとポンポン撃ってくるし近づくと嬉しそうに杖を振り回す頭の可笑しなじいさんだ。』


『はい?』


『馬鹿な奴ほど叩けば良い音が出るとかいいながらお前の持つ木製スタッフで襲ってきたのは良い思い出だ。亡くなっていたのは非常に残念だ』


ロイヤルフラッシュ聖騎士長は足を止めると振り返った


『ハイムヴェルト率いる任務中に起きた魔物の襲撃。あれは桃源魔法ロットスターの仕業だが魔法協会は何故かロットスターを未だに咎めないのには理由があるとしか思えん、会長はかなり聡明な者だ。』


『何があったのですか』


『魔法協会からは他言禁止としか言われておらぬが、ロットスターの行動制限もあの時から厳しくなったのは事実…。その答えはお前が見つけろ』


何やら大事な話そうだな

無暗に口を開くわけにもいかない俺は辺りを見回して警戒することにしたが

そこで魔物の気配を感じた


《エアウルフの群れだ、6頭》


この声はテラ・トーヴァに承認された者のみ

聖騎士の隊員には聞こえていない


『日中はこっちのメンツで対処するわ』


クローディアさんが鉄弁を肩に担ぎ、口を開くとロイヤルフラッシュ聖騎士は小さく頷く

誰が動くかと彼女の指示を待つと、何故か父さんが首を回してやる気を出し始める


『父さん?』


『まぁ6頭ぐらい一撃だろ』


意味が分からない

そうこうしているうちにモコモコしたエアウルフ6頭が道の向こうから一直線にこちらに走ってくるのが見えてくると、父さんはルンルン気分で前に立つ

その様子に聖騎士も首を傾げているが、不思議なオッサンだとでも思っているのだろう


『衝撃拳』


父さんが左拳を前に突きだしながら言い放つ

その拳から炸裂音が響き渡ると同時に、飛び掛かってきたエアウルフ達は父さんの攻撃をまともに受けてしまい、吹き飛んでいった


あれは拳から衝撃波を飛ばす技、それによってエアウルフは遠くまで吹き飛んだ

どうやら飛ばすだけじゃなく、衝撃波の中に打撃系の攻撃が仕込まれていたようだ

道の向こうで倒れているエアウルフはピクリとも動かない


『衰えてなさそうですね』


『何をいうかクローディア、私はまだまだ現役だぞ?』


『そうですか』


楽し気な会話だ

元々2人はハイムヴェルトさんやオズボーンさんと共に冒険者をしていたのだ

昔を懐かしんでいるのだろう


『凄いお父さんだねアカツキ君』


『てかティアの兄さんも大概だぞ?』


『あはは』


こうして森の奥を魔物を倒して進み

海抜の低い場所まで辿り着いた

そこで一度休憩になるが、場所は俺がゼペットという黒龍に出会った川辺付近

聖騎士達は腰を下ろして休憩をしているが、俺とロイヤルフラッシュ聖騎士は離れた場所でとある会話をしていたんだ


『ここにアレがいたのか』


『そうですね、魔石も今は安全な場所に隠しています』


『絶対に誰にも教えるな。金に目が眩んで敵を増やすぞ?』


『でしょうね』


リゲル

『ロイヤルフラッシュさん』


ふと振り返るとリゲルがいた

少し驚きながら振り向くが、彼に先ほどの会話を聞かれたとしてもなんら問題はない

てか彼の隣にはクワイエットさんがいるけども、すでに眠そうな顔をしている

いつもマイペースそうで眠そうな顔をするクワイエットさんだけども、今日はいつにも増して眠そうだ


クワイエット

『お腹空いた』


ロイヤルフラッシュ

『変わらんなクワイエット、休憩時間を少し増やす』


ロイヤルフラッシュはそれを告げに聖騎士達の元に歩いていく

俺は仲間を呼び、エーデルハイド達のこの奥について色々話し合ってみたが

誰もこの奥に行った事が無いのだ

ある程度は言ったことがあるとクリスハートさんは告げるが、それも遠くまではない

この一帯だけだとシエラさんも力強く言う


アネット

『本当に強い魔物ばかりでねぇ、普通の森じゃ現れない魔物だらけよ?』


ティアマト

『面白ぇ、退屈しないってわけか』


リュウグウ

『能天気だな熊』


ティアマト

『それだけ楽しいってことだ』


ティア

『気を引き締めないとね、魔物の気配は既に感じるけども動いてない感じ』


クリスハート

『ティアさんの気配感知は他よりも広範囲ですね…なんででしょう』


《アクシアはステータス表示されずとも気配感知能力が上がるんだ》


なるほど納得だ


クワイエット

『てか幻界の森に入って不味くなったらリゲルのノヴァツァエラでドーンは駄目?』


リゲル

『誰か吹き飛ぶぞ?』


ルーミア

『あたしたち死ぬの!?』


リゲル

『自身の範囲1mは無害だが、その中に全員入るか?』


ルーミア

『無理だねぇ…あはは』


ゲイル

『凄い魔法スキルだとクローディアからも聞いているが、確かに多人数での行動では扱いが難しいスキルだな』


リゲル

『なので使えないっすね』


一同はガックシだ

ノヴァツァエラを身に染みて凶悪なスキルと理解しているので頼り甲斐があると思ったのだ

しかし、このような人数では殆どが巻き込まれて死んでしまうだろう


リゲル

『飯だ飯、トンプソンの可笑しい爺さんのおにぎり食べようぜ』


みんなあの屋台でおにぎりを買っていたのだ

辺りを気にしながらおにぎりを黙々と食べていると、俺はティアの顔色が険しくなったのに気づく

嫌な予感を感じた俺は声をかけるのを一瞬躊躇う


明らかに自分達には都合の悪い何かを感じたのだ


リュウグウ

『ティア、敵か』


ティア

『進行予定の道から2体、強いよ』


リゲル

『しゃあねぇ、クワイエットいくぞ』


クワイエット

『わはっは!』


クワイエットさんは口におにぎりを詰め込み、返事をした

俺は何が迫っているのだろうと視線を向けると、現れた魔物に少し驚く


『ニー!』


ランクCのパペット・ハンマーだ

見た目は玩具のような可愛い見た目だが、その手には大きなピコピコハンマーという変わった武器を持っている魔物だ

攻撃力があるが防御力はない、火魔法に滅法弱い


リゲル

『悪いが人形遊びする歳じゃねぇよ』


彼はそう吐き捨てながらもクワイエットさんと共に駆け出す

パペットハンマーは可愛い鳴き声を上げながらも突っ込んでくるリゲルにハンマーを振り落とすが

リゲルは巧みに避けて背後に周る


『玩具を壊すのは得意だったぞ』


リゲルはそう言いながらも振り返るパペットハンマーの首を剣で斬り飛ばすと、胴体を蹴って転倒させる


『それ!』


クワイエットさんはパペットハンマーの腕を掴み、攻撃を止めると顔に剣を突き刺してから横に裂く

そしてすぐに回転して胴体を斬り裂いて倒す


一瞬でCランクの魔物2体を倒した2人は疲れなど見せず、つまらなそうな顔のまま戻ってくる

なにやら聖騎士の一部が邪見そうに彼らを見ているが、リゲルはそれを横目て見ながら鼻で笑う


アカツキ

『魔石いらないの?』


リゲル

『あ…』


思い出したかのように振り返り、パペットハンマーの魔石を回収するリゲル

その様子をクリスハートさんはクスリと笑う


ティア

『今日は野宿だけど、寒そうだね』


アカツキ

『誰かとくっつけばそれなりにマシになりそうだけど』


リュウグウ

『この変態が…』


アカツキ

『まだ何もエッチな事考えてないんだけどっ』


ティアが笑ってくれている

こうして飯の時間も終わり、森の中を歩いていると近くの聖騎士の会話が耳に入ってくる


『幻界か』


『初めてですか?』


『そうだが…そこまで危険な森とは思えん』


『そう思っていると死にますよ?あそこの魔物に気配なんてないんですから』


『厄介なのはそれだ、気配が無いというのは面倒だ』


『今回は奥までいかず、ある程度の探索です…。あの森の攻略は無理です』


『五傑全てを使えば行けなくもないと思うがな』


ロイヤルフラッシュ

『無理だ』


ロイヤルフラッシュ聖騎士は部下の会話を遮るかのように口を開く

それには聖騎士達も少し驚きを見せている


ロイヤルフラッシュ

『今は任務に集中しろ、でなければ死ぬ』


大斧を肩に担いだままロイヤルフラッシュ聖騎士長は言う



この付近の魔物はランクCばかりだ

グランドパンサーやリザードマンそしてパペットないとにチベタンウルフなど様々な魔物がひっきりなしに現れる

それを俺達は交代しながら戦い、日が暮れると俺はオイルランタン片手に歩き出す

聖騎士の数名も灯りを手に持っているが、発光する魔石を手に視界を確保している


あれ欲しい


夜の森はもっと危険

それは全員が熟知している


エーデルハイドさん達や俺の父さん、そしてクローディアさんの顔は険しい

俺の仲間もだけど…


リュウグウ

『初めてのエリア過ぎる』


リリディ

『ギルハルドだけは散歩気分ですね』


『シャハハーン』


ティアマト

『なんか言ってるか?』


リリディ

『後ろに何かいるらしいですよ』


大事な事は直ぐに言え、そう言いながら俺達は振り返ると同時にそれは現れた


大きなカメレオン、それはBランクのインビジブルというステルススキル持ちの厄介な魔物だ

全長は3メートル、ギョロ目で舌が長くそして体は刺々しい


大きく口を開き、飛び込みながら長い舌をこちらに伸ばしていたのだ


『ふん!』


クローディアさんが鉄鞭で舌を弾くと、リュウグウとクリスハートさんが誰よりも早く駆けた


『鬼突き!』


『真空斬!』


二人の攻撃は素早かった

しかしインビジブルは真上に跳躍し、それを避ける

聖騎士達もBが現れた事に真剣な顔を浮かべ、辺りを警戒し出すが


俺達の出番はここにはなかった


『ゲンコツ!』


父さんが叫ぶと、インビジブルの頭上から拳の形状の魔力が現れ、それはインビジブルに叩き込まれた


『グェ!』


『デッドエンド』


地面に叩きつけられたインビジブルにクワイエットさんが素早く攻撃を仕掛けた

目を赤く染めたまま、巨大な斬擊でインビジブルの体を切り裂いたのだ


固そうな体とも思われるインビジブルはデッドエンドで砕かれ、赤い血を吹き出す


『ギロチン!』


トドメと言わんばかりにティアマトはインビジブルの頭上に斬擊を発生させ、それを落とす

インビジブルの首は切断され、そこで魔物は生き絶えた


聖騎士アメリー

『インビジブル…』


聖騎士バッハ

『初めてか』


聖騎士アメリー

『何も感じなかったです…』


聖騎士トーマス

『まだ集中を切らさない方が良いです!気配あり』


ティアマト

『アカツキ、楽しいな』


『それは良かったよ。』


シエラ

『夜、危険だね』


クワイエット

『結構奥まで進んだから面倒な魔物ばかりでそうだね』


《リザードマン8頭だ、周りからくるぞ》


群れの一部か

となるとまだリザードマンはいそうだな


森に警戒を向けていると、リザードマンが姿を表し始めた

俺は近くに現れたリザードマンに向かってリュウグウと共に襲いかかると、リザードマンは俺に向かって素早く剣を突きだしてくる


『うお!』


俺かよ!と思いながらも軽く避けると、その間にリュウグウがリザードマンの首筋に槍を突き刺す


『熊!』


『おお!』


ティアマトはリザードマンがバランスを崩した隙に片手斧を振り下ろし、頭部を割る


倒れるリザードマンにホッとするのもつかの間、すぐ後ろから別のリザードマンの登場さ


『グルァ!』


『えい!』


ティアがドロップキックだ

何故その攻撃をチョイスしたのか疑問だが、リザードマンは顔面を蹴られて仰け反った


『賢者バスター!』


リリディは木製スタッフを振りかぶったが、リザードマンは盾で彼の攻撃をガード、しかし受けきることが出来ずに地面を転がっていた


『ラビットファイア!』


ティアは右手を飛ばし、赤い魔法陣から熱光線を飛ばす

それは上体を起こしたリザードマンに命中し、奴は火だるまになりながらもその場で暴れながら剣を振り回した


『真剣斬』


ティアマトが片手斧を振り、斬擊を飛ばす

それはリザードマンの首筋に命中し、そのまま力無く倒れていく光景を俺は見届ける


『やったな』


ティアマト

『けっ!もう少し遊びたかったぜ』


『ニャハーン』


リリディ

『もう大丈夫らしいです』


エーデルハイドさんらもリザードマン2対を倒したようだ

他も丁度終わったらしく、ロイヤルフラッシュさんはリザードマンの頭を掴んだまま安全確認を行う


素手で倒したのだろうか?彼の掴んでいるリザードマンの顔がボコボコだぞ


ティア

『凄いね』


『素手だろうな』


リュウグウ

『一先ずは安心だな』


ロイヤルフラッシュ

『もう少し歩けば丁度良い洞窟がある、そこで夜をしのぐ』


言われるがままにロイヤルフラッシュさんの後に全員が続くと、直ぐに洞窟が目の前に現れた

しかも魔物の気配がするのだが…


ロイヤルフラッシュ

『追い出してくる』


クローディア

『私もいくわ』


ゲイル

『俺もだ』


ロイヤルフラッシュ

『…よかろう』


ロイヤルフラッシュさんの顔がぎこちない

対するクローディアさんはニコニコしている


洞窟内の気配はかなり多いが…

その三人は洞窟の中に入ってから数秒後、魔物の断末魔がこちらまで響き渡る


『キョエェェ!』


『キャイン!』


『ギャエェェ!』






聖騎士シューベルン

『ど、どうなった?』


リュウグウ

『魔物に同情だな』


ティア

『あ、魔物の気配が全部消えた』


『…』


便りになる人達だなぁと感じる

すると父さんが姿を表し『邪魔なもんを運んでくれ』と指示を出してきた


洞窟内に足を踏み入れると、奥には11体ほどの魔物が転がっていたのだ

それを外に出してから洞窟内に荷物を置く


1番奥までは20メートル

別れ道があるが、右側は10メートルもない

夜を過ごすには丁度良い


ロイヤルフラッシュ

『メスは奥だ、右側はオス』


クローディア

『夜の見張りは私もするから少し寝るわね』


ロイヤルフラッシュ

『うむ、こっちも二人体制での三時間交代だ。冒険者組はどうする?』


『夜食の準備中に決めます』


俺がそう告げると、ティアは『私はアネットさんと作るからその間に決めといて』と言ってくれたよ


俺は仲間達を洞窟内に残し、クリスハートさんとリゲルと共に外に出て話し合った


『どうしますか?』

 

リゲル

『飯食ったら速効寝る』


クリスハート

『ではリゲルさん達の前の見張りにします』


『では最初は俺達ですね』


リゲル

『ここらは夜行性はアンデットくらいだ、怯えんなよ?』


『怯えないって』


リゲル

『どうだかなぁ?』


クリスハート

『茶化さないの』


リゲル

『しゃあねぇ、てか飯なんだ?』


『今洞窟でティアが道具を取り出してると思うけど』


クリスハート

『作るとなると洞窟の外ですね』


洞窟内じゃ危ないしな 

見張りの順番を決めると、リゲルは『寝る、飯起こせ』と変な言葉を使いながら洞窟の中に入っていくと、入れ違いでティアとアネットさんが姿を表す

そこにはティアマトとリリディの姿もある


リリディ

『お手伝いですよ?アカツキ君もしますよね?』


『そりゃな』


クリスハート

『献立はなんでしょう』


ティア

『炊いた込めに焼いた豚肉置くだけっ、ちゃんと塩コショウはあります』


クリスハート

『贅沢な料理ですね』


アネット

『危ない旅路だけど旅行してるみたい』


クリスハート「もう、アネット?」


アネット

『わかってるわかってる、気を引き締めまっす』


わからんこともないな

別の冒険者とこうした状況となると新鮮だし 

どうやらクワイエットさんはもう寝たらしく、聖騎士達もそんな彼を見て溜め息を漏らしていたらしい



聖騎士達は荷物に入れていた携帯食を食べるので作ったりはしないのだが、携帯食とは便利で羨ましいよ


ティアマトが焚き火で米を炊いている姿は似合わない

リリディがなんども笑いそうになってるが、ティアマトがそれに気付くことはなかった


おかわり無しの安易な豚丼

焚き火の前には聖騎士以外が集まって囲んでの食事さ

1月だけど、みんなといると少し暖かく感じる


クワイエット

『美味しいね』


俺よりもクワイエットさんが1番美味しそうに食べている

ちょっとしたキャンプに見えるかもしれないが

父さんとクローディアさんは辺りを気にしながら黙々と食べている


『父さん、ここらは…』


『お前の知らぬ魔物も出るぞ、パペット種の厄介な奴がな』


ティア

『パペット種ですか?』


ゲイル

『パペット種のグルーミー科とでも言うべきか…、いずれわかる』


父さんは美味い美味いとティアを誉めながらいつもの父さんに戻る


俺は本では見たが、実際に遭遇してない魔物がほとんどだ

この森にはそれが沢山いるのだ

リラックス出来ずに挙動不審に飯を食べる俺に珍しくリゲルが声をかけてくる


『怪しい野郎にしか見えねぇぞ?』


『そ、そうか?』


『もちっと堂々としろ』


《そういうこった兄弟、お?》


テラの反応、それは洞窟から姿を現した聖騎士のアメリーとバッハを指していた



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