第161話 幻界編 1

アカツキ・ライオット


☆アビリティースキル

スピード強化【Le5】MAX

気配感知  【Le3】

動体視力強化【Le5】MAX

斬撃強化  【Le4】



☆技スキル

龍・開闢  【Le3】

刀界    【Le2】

居合突   【Le4】

光速斬   【Le3】

地斬鉄   【Le3】up


☆魔法スキル


称号

無色斬鉄


☆称号スキル

スキル発動速度【Le1】

斬撃強化【Le1】

特殊技『断罪』


・・・・・・・・・


リリディ・ルーゼット


☆アビリティースキル

魔法強化【Le3】up

打撃強化【Le5】MAX

気配感知【Le3】

動体視力強化【Le4】up

麻痺耐性【Le3】

スピード強化【Le3】

攻撃魔法耐久力強化【Le2】


☆技スキル

ドレインタッチ【Le3】

爆打  【Le2】

骨砕き 【Le2】up


☆魔法スキル

風・突風   【Le3】

風・カッター 【Le3】

黒・チェーンデストラクション【Le2】

黒・シュツルム【Le3】

黒・ペイン  【Le1】

黒・アンコク 【Le1】

黒・グェンガー


称号

ハイ・クルーガー【黒】


☆称号スキル

魔法強化 【Le2】

自動魔法盾【Le2】

スキル発動速度強化【Le2】

魔力消費軽減【Le2】

特殊魔法『クラスター』


・・・・・・・・・・


ティアマト・ウロボリス


☆アビリティースキル

斬撃強化 【Le5】MAX

気配感知 【Le3】

毒耐性  【Le4】

耐久力強化【Le3】

動体視力強化【Le4】up

スピード強化【Le4】

筋力強化  【Le2】


☆技スキル

連続斬り 【Le3】

真空斬  【Le2】

大地噴出断【Le1】

鬼無双  【Le3】


☆魔法スキル

火・パワーアップ


☆称号

オーガナイト


称号スキル

筋力強化 【Le1】

耐久力強化【Le1】

体術強化 【Le2】

耐久力強化【Le2】

特殊技『ギロチン』

特殊魔法『ディザスターハンド』



・・・・・・・・

ティア・ヴァレンタイン


☆アビリティースキル

安眠    【Le2】

魔法強化  【Le3】up

気配感知  【Le5】MAX

麻痺耐性  【Le2】up

動体視力強化【Le4】up

スピード強化【Le3】


☆技スキル


☆魔法スキル

火・ラビットファイアー【Le3】

雷・ショック【Le4】

木・スリープ【Le2】

風・キュア 【Le2】

風・ケア 

風・シールド【Le3】

白・ホーリーランペイジ【Le1】


称号

エクシア



☆称号スキル

デバフ強化 【Le3】

自然治癒  【Le2】

動体視力強化【Le3】

運     【Le4】

固定スキル 『天使』

特殊魔法  『デルタ・バルカン』


・・・・・・・・


リュウグウ・モチヅキ


☆アビリティースキル

突強化   【Le4】

スピード強化【Le4】

気配感知  【Le3】

動体視力強化【Le5】MAX

限界突破  【Le1】


☆技スキル

鬼突 【Le3】up

三連突【Le3】

シャベリン【Le1】

ドレインタッチ【Le1】

稲妻花槍突【Le1】

槍花閃【Le2】


☆魔法スキル


称号

星渡(ホシワタリ)・女花


☆称号スキル

隠密 【Le3】

運  【Le4】

安眠 【Le2】

状態異常耐性【Le2】

スキル発動速度【Le1】

特殊魔法『ラフレイル』


・・・・・・・・・・



ここまで上げたか

やることはやった気がする

前日、予想通りにロイヤルフラッシュ聖騎士率いる聖騎士の1番隊がグリンピアに昼前に現れたのだ

どうやらルドラ隊長の殉職に咥え、リゲルとクワイエットさんが抜けたことで戦力はガタ落ちしたと言わざるを得ない状況らしい


先ずは以前の聖騎士1番隊がこうだ


ルドラ・サリュー    聖騎士会、1番隊の隊長

クワイエット・モンタナ 聖騎士会、1番隊副隊長

リゲル・ホルン     聖騎士会、1番隊

ジキット・ローレンス  聖騎士会、1番隊

バッハ・フォルテア   聖騎士会、1番隊

シューベル・ジュイン  聖騎士会、1番隊

トーマス・スタン    聖騎士会、1番隊

カイ・ラーズ      聖騎士会、1番隊


それが今日来た時には、こう変わったのだ


カイ・ラーズ      聖騎士会、1番隊の隊長

ジキット・ローレンス  聖騎士会、1番隊副隊長

バッハ・フォルテア   聖騎士会、1番隊

シューベル・ジュイン  聖騎士会、1番隊

トーマス・スタン    聖騎士会、1番隊

ドミニク・ヴェイン   聖騎士会、1番隊

アメリー・カルッセル  聖騎士会、1番隊

バルエル・コールソン  聖騎士会、1番隊    


1人女性か…アメリーという女性は黄色髪で髪は短い

新しくこの部隊に入った3人は強張った表情を見せているが、まだ慣れていないようだ


ギルドの応接室の丸テーブルを囲む椅子は彼ら聖騎士で埋まる

壁際に俺達イディオットに俺の父さん、そしてリゲルとクワイエットさんがギルド職員に用意してもらった椅子に座っているのだが…


空気が重すぎるんだ

それはロイヤルフラッシュ聖騎士も重々承知であり、その重さを出しているのは聖騎士達のようだ

半数の聖騎士はリゲルとクワイエットさんを痛く差している


その雰囲気に誰もが口を開けない

近くに座るクローディアさんはそんな雰囲気に唸り声、少し機嫌が悪い


平気な顔をするリゲルとクワイエットさんが素直に凄いと思う


『早く話し合おうぜ』


一番大人しくしなければいけないリゲルが開口一番に言い放つ

熟練であろう聖騎士の数名は彼を強く睨むが、リゲルは知らんぷりだ


『リゲル、ルドラの魔石はあるか?』


『ありますけどどうしたんです?』


『少し使う用事があるのだが貸してもらえぬか』


『嫌です』


ロイヤルフラッシュ聖騎士長はリゲルの即答に少し困惑する

途端にしかめっ面で立ち上がったのは永年1番隊にいたカイとシューベルだ


『貴様っ!勝手に止めといてその口の聞き方はなんだ!』


『ロイヤルフラッシュ聖騎士長が穏便に手続きをしてくれたのだぞ!』


『知らねぇよ。お前らには関係ないね』


『若造が…』


ロイヤルフラッシュ聖騎士長は『やめろ』と低い声で言い放つと、リゲルに向かって説明したのだ

ルドラの死亡届を出すために証拠である魔石が必要であり、それはここの街の役場からでも出来るから今日だけ貸してほしいという話だ


リゲルは渋々納得し、懐から魔石を取り出すと椅子から立ち上がりロイヤルフラッシュ聖騎士長に近づいて渡す


『ステータスを見せてもらってもいいか?』


『いいですよ』


俺は覗きたかったが、ここからじゃ遠い

ロイヤルフラッシュ聖騎士長の驚いた顔だけが見える

それほどまでに良いステータス値なのだろう


『さて、どうするのかしら?』


『クローディアよ、こちらはこの面子で挑むが予定通り行ったら直ぐに撤退だ。あんな森で長居は馬鹿がすることだ』


『こっちは9人だけども人数的にいいのかしら?』


『…13人の間違いではないか?』


ふとロイヤルフラッシュ聖騎士長が入り口に目を向けた

ドアしかないが、まさかな


『あのバカ…』


リゲルが溜息交じりに囁く

俺は先ほどの予想が当たりそうでちょっと嫌な予感だ

ロイヤルフラッシュ聖騎士長がクローディアさんにしかめっ面で顔を向けると、彼女は頭を抱えながら口を開いた


『バレてるわよ。隠れてないで出てきなさい』


まぁ…。エーデルハイドの4人だった

彼女らは苦笑いを顔に浮かべ、ドアを開けて姿を現したのだ

どうやら聞き耳立ててドアに張り付いていたのだろう


『すいません』


『クリ坊、緊張しながら近くにいればわかるぞ?もう少し無心で聞くように心がけろ』


リゲルが駄目出しだ

クローディアさんは『椅子はないけど聞くなら用意するわよ?』と告げると彼女らは椅子はいらないと答える


聖騎士の一部は人が増えては混乱を招くのでは?と疑問を口にするが

それは確かにその通りだとロイヤルフラッシュ聖騎士長が頷く


『帰ったら半数は戻れぬ森だ、自分の身は自分で守ることを守れば全体的に混乱することはない。大事なのは即座の判断だ』


『わかりました』


『ふむ』


クリスハートさんは返事をすると、ロイヤルフラッシュ聖騎士長は彼女らから意識を逸らす


『先日、ゾンネが城に現れたが倒せずに逃げられた』


『やっぱりあの蛸男だったのね』


『お前もいればギリギリ倒せたかもしれぬが。奴は本当に元人間か?』


『そうだと聞いてるわよ』


『片手で握る武器で我の大斧を防ぎおった。腕力は計り知れぬ奴だったが何かを探しているようだったぞ』


『記憶ね、あいつは思い出せば強くなるのよ』


『なるほどな…そして逃げたと思っていたらイグニスが侵入していたらしく、国王エルデヴァルトが殺されて今はゼファー王子が4月には国王となる』


『流石にその2人に攻められたら守るのは無理ね』


『今は泳がせる、今はな』


こうして話し合いが始まる

明日の予定に関しての打ち合わせだ


9時にはここを立ち、野宿で一晩を過ごす事になる

その時は互いに3名ずつ見張りをつけるという内容になると、こちらは直ぐに決まった

聖騎士もスムーズに誰が見張りをするか決まると、更に話は続く


『幻界の森の魔物はリゲルから聞いているだろうが覚えておかないと直ぐに死ぬぞ?アカツキ』


『大丈夫です。それとアヴァロンに出会った時に聞いた話ですが闘獣の1人があそこの主をしていると聞きました』


『詳しく聞けたか』


『教えてくれませんでした。どうやらかなりヤバい魔物らしいので現れたら逃げるしかないようです』


『奥には絶対に行かぬ、入っても数百メートル…逃げ遅れた者は置いていく。助けていると被害が大きくなるのだ』


見捨てるという言葉に聖騎士でさえ息を飲んでいた

地獄が具現化した場所らしく、森に入った途端にかなり息苦しいとロイヤルフラッシュ聖騎士長は淡々と話す


とりあえずはリゲルから聞いた幻界の森の魔物はこうだ


幻界の森


ランクB コカトリス(巨大鶏)


ランクC アンノウン(巨大蝙蝠)、オオクチビル(巨大ヒル)、

     ヘルディル(肉食浮遊魚)、イルズィオ(虹色のチョウチョ)


中でもアンノウンが質が悪い

広範囲の超音波を放ち、対象の聴覚を麻痺させるのだ

無音になると奴が襲ってくる合図であり、反応が遅れると頭部を丸のみにされるらしい


オオクチビルは全長10メートルの大きな肉食ミミズ

普段は土に潜っており、振動で獲物の場所を把握して足元から飛び出してくるとか恐怖でしかない


ヘルディルは30センチほどの小さな浮遊する魚

口はギザギザな歯、獲物に食らいつくと回転しながら肉を食い破って内部に侵入する

聞いているだけでゾッとするよ、体内に入ればそれは知を意味する


イルズィオは幻惑を見せる鱗粉を振りまくチョウチョ

視界がフニャフニャになって歩けなくなったり、幽霊を見たり幻覚を生む

全長10センチ、攻撃的じゃないが近くを飛んでいる時には近づかないほうが良い


『他にも色々いるんですよね』


リリディが口を開くと、ロイヤルフラッシュ聖騎士長は『そうだ』と答える

全てを知っているものはここにはいない


ジェスタードさんだけ

道化傀儡グリモワルド・グレゴールだけが最深部の到達を成し遂げたのだ


『リゲルとクワイエットはどうする?2人で周りを守るのは流石に辛かろう』


『俺はクワイエットと女軍団の中に入ります、それだと何が起きても全方向を守れますから』


それにはエーデルハイドの皆さんはホッと胸を撫でおろす

最低5人いなければ何かが起きた時に対応が出来ない場合があるのだ

アンノウンという蝙蝠に対してである


《俺の声が聞こえている奴は反応するな、何かが起きればある程度俺が伝える…俺の念術ならば聞こえる》


その声が聞こえているのはきっとテラの声を聞いたことがある者だけだ

テラが念術で危険を教えてくれるのは有難いが、それほどまでに危険だという事だな


『ロイヤルフラッシュ聖騎士長殿、冒険者に務まりますか?』


『カイ、行けばわかる』


『そうですか。リゲルとクワイエットが来るのは不満ではありますが…』


『その感情は森の中では死ぬことになるぞカイ、忘れよ』


『ぬ…わかりました』


全力で二人を嫌っているようだ

というか、若手以外は顔にそんな感情を露骨に出してる

だがリゲルとクワイエットさんは気にする素振りはない


『あの森は魔物の巣窟だ。死ぬ覚悟を持って挑め』


ロイヤルフラッシュ聖騎士長は低い声で告げると、一息ついてから『あとは明日に移動しながら細かい事は話す』と最後に口にすると、部下を連れて応接室から出ていった


重苦しい雰囲気が無くなったと知り、誰もが肩の力を抜く


『逃げ遅れたら、捨てる…ですか』


『どうしたルシエラ?今ならやめても間に合うぞ』


クリスハートさんがボソッと口にした言葉に、リゲルが反応を示した

誰もが無言で何かを考えていたために彼女の声が耳に届いたのだろう


『ここまで来て退くぐらいなら参加なんてしてないです』


『別に明日にいきなりドタキャンしたって誰も馬鹿にしねぇさ。そんだけ面倒な森だ、例え少しだけ足を踏み入れるとしてもだ』


『ほんの少しだとしても危険だと承知してます。それにリゲルさんとクワイエットさんは私のチームの補助に入るんですよね』


『まぁそうだな』


するとクリスハートさんは『なら大丈夫です』と微笑んだ

リゲルは溜め息を漏らしているが、何かを言う感じはない


『私とゲイルさんはイディオットの補助につくわ』


『クローディアと久しぶりに歩くのか』


なんだか父さんは嬉しそうだ

元冒険者であり、共に同じチームだったから懐かしいのだろう

リゲルはエーデルハイドさん達に再度、幻界の森に関しての注意点や立ち回り方をおさらいすると言って彼女らと部屋を出ていく


父さんはクローディアさんと打ち合わせをするから俺は仲間と共に応接室を出ると、1階ロビーの空いている丸テーブル席に腰を下ろす


『ニャハハーン』


『暢気な猫だ』


丸テーブルの上でギルハルドがゴロゴロしているのを見てリュウグウが呆れた顔を浮かべた

実際、この猫は本当に強いから幻界の森に行くとわかっていても雰囲気は変わらないとは思う


『ギルハルド、明日から頼みますよ?』


『ミャンミャ』


『任せろ、だと言ってます』


『お前ネコかよ』


ティアマトがツッコむ

しかしリリディはニコニコしつつも首を傾げるだけ



《半日いるだけでも精神的に辛い場所だ。気を抜けばいつ死んでも可笑しくはねぇ》


『やっぱお前ぇは言ったことあんだな』


《熊五郎、教えてやるよ…初めてあそこの最深部に到達したのはグリモワルドじゃねぇ、ゾンネだ》


だろうな

てか他にも最深部に到達できた者はいそうだな、イグニスとか


『なんだか緊張してきた』


『ティア、遠足症候群か?』


『遠足気分じゃないけど感覚的には同じだね』


今から気を張っても仕方がない

でも考えずにはいられない

ティアマトなんか無駄に深呼吸し始めているしさ…


『ティアマト、お前が一番心配だが』


『精神を鎮めている』


『馬鹿か』


唐突なリュウグウのツッコみ

ティアマトは苦笑いを浮かべるのみだ


こうして俺達は早めの解散となるが、俺は落ち着かないのでこっそりと森に来たのだ

しかも1人じゃない


『ニャハーン!』


『リリディ、それいいの?』


雪が少ない森の中を進んでいると、俺はリリディに視線を向けて言い放つ

彼に肩車するようにしてギルハルドが乗っているのだ

歩きもしない猫、強いのにたまに楽をする姿には疑問を感じる


『大丈夫です、本当に軽いんです』


『そ…そうか』


『ニャハ』


『アカツキさん、ギルハルドが貴方の側面から魔物だと』


『それ本当?』


だがその言葉は真実となる

数秒後に魔物の気配を感じたのだ

リリディは本当に猫語を理解しているようだが、どこで覚えたのだろうか


『どうするリリディ』


『先ずは任せますよ、その間は周りを見ときます』


『助かる』


『ゴルル』


ランクDのキングゴブリンに低ランクのゴブリンが4体

俺だけでも制圧できる


ギャギャと鳴きながらも、その手に持つ錆びた短剣を振り回しながら襲い掛かってくるゴブリンに向かって俺は走りだした

目の前にゴブリンを捉えた時、俺は素早く抜刀して先頭の2体を素早く切り捨て、奥にいる個体に向かって飛び込むと蹴って吹き飛ばす


『ギャギャ!』


『遅いよ』


真横から飛び込んでくるゴブリンに向かって刀を振って両断、その後に立ち上がろうとしたゴブリンを斬ってからキングゴブリンの乱暴に振り回す鉄鞭を避ける為に飛び退く


『断罪』


着地と同時にその場で刀を振ると、キングゴブリンの目の前に俺の斬撃が現れる

本当に便利な技だ、キングゴブリンは胸部を斬られると苦痛を浮かべて前のめりになった

その隙に距離を詰め、顔を上げた瞬間に奴の体を深く斬り裂いて倒す


『ゴル…ル』


ドスンと後ろに倒れるキングゴブリン

俺は辺りを見回して気配を探るが、他に魔物はいない

1対だけいるのは気づいていたが、それはリリディが…


『グルァァァァ!』


『むんっ!』


ランクCのグランドパンサーがリリディに飛び掛かっていた

彼は木製スタッフを片手で振ってグランドパンサーを殴り飛ばす

キャインッ!とか弱い声を上げて吹き飛ぶグランドパンサーは起き上がると同時にリリディが既に放っていた黒弾に顔面で受け止めてしまい、爆発四散だ


『やるじゃんリリディ』


『ちょっと賢者っぽいですかね』


『普通に格好いいと思うぞ』


『嬉しい評価です。毎日賢者になった時のイメージトレーニングをしてますから』


《それは意味わかんねぇな》


『それが無ければ格好いいで終わったのに』


『ぬっ…さぁ進みますよ!』


自身で泥を塗ったか、リリディ


《メガネ》


『なんですか?』


リリディは足を止めて俺に振り返る

まぁテラ・トーヴァの声は俺から聞こえているからだろうが、まだ慣れないな


《ギールクルーガーの双璧はティアお嬢ちゃんのエクシアの上位互換のセラフィスナイト、黒と白という攻撃特化の関係だが、この世には闇という属性が存在する》


『何故いきなりそれを僕に?』


《グルモワルドの称号は闇属性のゾディアッグ、ギールクルーガーになればお前はあいつの背中が見えることになる》


『…』


《本当に賢者になるならば、幻界の森を生き残るかどうかで決まる…無事に生き延びたら教えてやるよ。お前の手に入れたいスキルを持った魔物の場所をな》


『!?』


俺はリリディと共に驚愕を浮かべた

何故いきなりテラはそのような判断をくだした?わからない

リリディは直ぐに顔を真剣に変え、メガネを振れると俺に背を向ける


『死なないことが確定してますので教える準備をしていてくださいね』


《エドにある剣山のホンノウジ地下大迷宮の地下50階層、ランクA上位のジャバウォック…。シュツルムの威力は出来るだけ上げておけ、じゃないと数秒でお前の仲間は全員死ぬ…闘獣に挑み、負けて地に落ちた没落蝍蛆王だ》


闘獣に挑む命知らずがいるのかよ

都合よく考えちゃだめだなこれ、闘獣相手に俺達は挑むことになると考えるべきだ


『今日はどうしたのですかテラさん?意地悪に教えない性格の筈でしょう?』


《お前らの全身全霊かけてもいいだろうなと思えてきたのさ。それに剣山近くには熊五郎にの今後に必要なスキルがある。》


『アカツキさん、またしばらく街を留守にしなくちゃですね』


『そうだなリリディ、俺達は生きる為に強くならないといけない』


『その通りです。ギルハルドもそう思うでしょう?』


『ミャンミャー!』


《悪いが最近ゾンネの気配はわかるようになってきた、それはあいつが強くなり、以前の力を取り戻してきている証拠でもある》


『テラ、あいつは今どこにいる?』


《まだ王都コスタリカ周辺だ。だから安心しろ》


いつから気配を感じれたかを聞くのは少し話が複雑になりそうだな

だがとても有力な情報であり、俺は今後動きやすくなるのは明白だ


『今日は何のスキルにします?』


『悪いがグランドパンサーの動体視力なんだが…』


さっき倒したリリディは近くで息絶えているグランドパンサーを見て苦笑いを浮かべる

俺は肩を落としながら魔石を回収し『リリディのスピードを上げるか』と告げて共に歩き出す


今のままでもリリディは強い

しかし幻界の森では彼に頼る事になるだろうと俺は思っていたのだ

魔力の底が深く、長期的に戦えるからだ

広範囲攻撃スキル持ちならば俺達の生存率も上がる筈、そう願いたい


『ミャンミャー』


ギルハルドはリリディから離れて地面に着地すると『ニャ』と鳴いてから2足歩行で歩き出した

俺はリリディと共に猫を追うように歩き出す


明日はいよいよ出発だ

何故だかわからないが、胸がいつもより熱い

その理由はいけばわかる


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