第159話 決戦 男の成長禄 2
ティアと共にリビングに向かったんだ
そこでは父さんが上半身裸で腕立て伏せしていた。
見慣れていないティアは一瞬言葉を失うが、直ぐに正気を戻すと口を開いてくれた
『ゲイルさん、お邪魔してます』
『やぁティアちゃん、なんだか落ち着かなくて筋トレして風呂でも入ろうかなと思っただけなんだ、気にしないでゆっくりしてくれ』
『あ、はい』
その光景を見せられて寛げるとでも?
まぁしかし、俺は彼女と共にソファーに座る
視界には筋トレする不思議な生物がいるから気になって会話もままならない
『私、手伝える事あるか行ってくるね!』
『あっ!』
立ち上がるティア
俺は手を伸ばすがもう遅く、彼女は台所に行ってしまう
《逃げたぜ?》
ふむ、致し方ない
父さんのせいだ
溜め息を漏らし、頭を抱える
台所では母さんやシャルロットが楽しげにティアと会話しているようであり。どうやら手伝える事を見つけたらしい
これは夜食まで父さんの腕立て伏せを見ないといけないのか、地獄だ
『俺が母さんをゲットした話、聞きたいか?』
『それだけは勘弁してくれ』
『残念だ。まぁ男は度胸さ…覚悟決めたら一発揉んだればいい、男の手はそのためにある』
『これは男だけの話なのか父さん』
『そうだ。我が身恋しくて縮こまると何もできんぞ?』
父さんは満足度したのか、腕立て伏せをやめると立ち上がって腕のストレッチをしながら台所の奥の風呂場に歩いて行ってしまう
ようやく解放されたと感じると体が軽くなる
父さんは三日間休みであり、機嫌が良い
《平和だな》
『そうだな。てか逆に良いのかな』
《休む時は休まないとな》
毎日四六時中ゾンネやイグニスの事を考えてもな、それはそれで気が滅入りそうだ
少し台所の会話が気になるのでソファーを立ち上がって聞きに行こうとすると、ここからでも会話が聞こえてくる
『あらティアちゃん、アカツキのベット狭いけどくっつけば平気だからね?』
『アカ兄ィのベット、今日はティアちゃんか』
『あはは、シャルロットちゃんやっぱ寝ぼけてアカツキ君のベットで寝ちゃうんだ』
『騙されたら駄目よティアちゃん、この子は確信犯だから』
絶対に混ざってはいけない会話だ
静かに下がりつつも俺はソファーに戻り、夜食まで待つことにした
『ガールズトークってやつか』
《だな、待とうぜ》
こうして夜食前に父さんが風呂から上がり、丁度みんな揃ったところで夜食になった
今日は沢山の唐揚げが皿に盛られており、サイドメニューも充実している
コンソメスープは好物だし嬉しい、色々あるが今は早く食べよう
いつも以上に家族全員がニッコニコ、シャルロットは俺を見てニコニコしているけども手が動いていない。早く食え
『ようやく仕事も休みで安らぐなぁ』
『あら?三日間よね』
『ああそうだ。ゆっくり家で休むさ』
父さんと母さんの会話を聞きながら俺は唐揚げを頬張る
ティアも手伝って作ったものだと思うと、もっと腹に溜めないと駄目だ
『ご飯食べたらお風呂入るティアちゃん?』
『入ってきたので大丈夫です。もし汗かいたら借りるかもしれません』
なるほど、入っていたかと聞きながらコンソメスープを飲んでいるとシャルロットが首を傾げながら禁句を口にしてしまう
『夜に汗かく?ティアちゃふぶっ!?』
母さんが素早く妹の口に唐揚げを詰め込み、阻止する
『ごめんねぇティアちゃん、いつでもお風呂は使ってもいいから』
『は…はい』
俺はコンソメスープでむせてしまう
隣のティアが背中を叩いてくれたから治ったものの、出しそうになった
『大丈夫アカツキ君?』
『大丈夫だ、それにすまないな…妹が』
『大丈夫大丈夫、シャルロットちゃんらしいし』
笑って誤魔化すティアに助かる
父さん
『まぁ唐揚げも沢山あるが足りないときは息子がいるから大丈夫だろう』
母さん
『そうね。また作れるわ』
『俺をなんだと!?』
ティア
『あはは…』
普通の会話をしてくれと願っていると、ティアが上手く話を変えてくれる
俺はそれに安堵し、落ち着いて飯を食うことが出来た
ティア
『お兄ちゃんは仕事ちゃんとしてますか?』
父さん
『まぁ制御できてるから大丈夫さ。去年の後半は特に目立った事件は無かったから良かったな。イルドゥンの件だけだ』
クワイエットさんとやりあった事件か
それを掘り起こすのは利口じゃないと判断したのであろうティアは、直ぐに話をそこから突き放す
ティア
『グリンピアって意外と平和ですよね』
父さん
『体感だと俺もそう思う。というかティアちゃんの称号って凄い有名だね』
ティア
『近くの街には名前が流れていると聞いてますが』
父さん
『警備会の副会長が俺の後輩だが、どうやら彼の耳にも入るくらいらしいよ?』
母さん
『凄いわねぇティアちゃん』
ティア
『あはは…』
反応に困っているようだ
リリディとティアは二つ名ありで名前がマグナ国に浸透し始めていると、父さんは警備会の本部での連絡でたまに他愛のない会話で聞いたのだという
黒魔導リリディ
ティアは色々な2つなが先行していたが、警備会の副会長の話からだと救世主(メシア)ティアになっとる
いいなぁと羨んでいると、母さんが笑顔で口を開く
『アカツキはもう二つ名あるでしょ?』
そんなことはない
俺が知らないだけかと思いながらちょっと期待していたが、父さんの顔を隠して笑うから期待は出来ない
俺は知らないままの方が良いだろうと判断し、夜食を食べ終わるとティアと共に台所で歯磨きしてから部屋に戻る
すっかりと寛ぐ時間となってしまい、俺は机の椅子に座った
ティアは俺のベットで本を読んでいるが。俺の本棚にある本は俺ですらあまり読んだ事が無い本ばかり
父さんが昔読んでいた本ばっかだからな、暇なときに読む程度さ
『私、着替えてくるね』
ふと彼女がそう告げ、荷物をゴソゴソすると部屋を出ていく
どうやらシャルロットの部屋でお着替えだが、俺の部屋ではしてくれないか…ぬぅ
《兄弟も着替えたらどうだ?》
そうするか
俺は着替え中にティアとの遭遇を避けるために服を持ってリビングで着替える事にした
不思議そうに俺の着替えを見ている父さんは何かを間違って察したのか。口元に笑みを浮かべると『慎重だな』と言ってくる
『いいだろ別に』
『ははは、確かにそうだ』
軽い会話の最中に着替えが終わる
まだ冬だし薄着だと確実に風邪を引くからセーターを着ないと生きていけない
こうして部屋に戻るとまだティアが来ていなかったので俺はベットに横になって時間を見る
まだ20時、寝るには速過ぎるな…
『今年もみんあでわいわい出来たらいいね』
『そうだな、俺は問題が解決したらどうしようか悩むよ』
『冒険者のままでしょ?』
まぁ冒険者を辞める気は無い
Bランク冒険者になってからというものの、稼ぎはかなり良いから家にいれる金も多い
ちょっとご満悦に浸りたいが…俺達より凄い奴はいる
『変わらないよ、ティアはどうだ?』
『私も同じかな、多分回復魔法師会の会長テスラさん次第だろうけど』
『本部がコスタリカか…俺はここに居てほしい気持ちがあるけども、ティア次第だな』
真剣に答えたつもり、だ
特に深い意味はないのだけども、考え無しに単純に口にし過ぎたのかもしれない
ティアが素早くこちらに振り返って驚いているからな
違う意味と捉えやすかったかも
となると結構恥ずかしい
『それならここにいる』
安易な回答だ
今後はどう変化していくかわからない、人の都合もそうだ
そんな予想すら彼女は押しのけて口にしたんだけど
嬉しそうな顔を見るとそれなりに決意は固そうだ
ティアの機嫌があからさまに良くなっている
それを見るだけでもこっちは楽しい
『外凄い風だ』
『ほんとだ』
僅かにカタカタと窓が揺れるが、さほど気にしない
俺は椅子から立ち上がって窓から外を眺めていると、誰かが家の前を歩いている
誰だろうかと目を凝らしてみると、バーグさんだった
紙袋を抱きかかえて家に向かっていたからきっと特殊任務『おつかい』だったのだろう
無意識に自分のベットに横になろうと腰を掛けて寝転ぶ
そういえばティアがいたんだと一瞬忘れて振り向くと、顔が近い
お互いキョトンとした顔が数秒あったが、恥ずかしいというよりも僅かに微笑む程度の反応さ
『明日もゆっくりしたいけど、昼過ぎにお父さんと一緒に買い出しとかあるんだよね』
『それは仕方ないよ、せっかくの休みだしさ』
『アカツキ君、明日はどうするの?』
決めてないんだよな
それを告げると苦笑いされたよ
それにしても近い。ティアの肩が当たっているけども
そもそも1人用のベットだから当たり前だ。くっつかないととてもじゃないが寝れない
今はティアが壁際だからいいけども、俺は腕がベットからはみ出ている
『もうちょっとこっちきていいよ』
ティアが少し気を使ってくれたが、これ以上の接触は危険領域
何が起きるかわからない時間が始まる気がする
少し酔ってみると、ティアが俺の腕を抱きかかえるように掴んでくっついてくる
なにやら嬉しそうな顔がたまらなく嬉しい
緊張が破裂しそうだとわけのわからない言葉が頭をよぎるが、それはそれでいいかもしれない
『この部屋暖かいね』
『すぐ下がリビングだから熱が上がってくれるんだ』
『私の部屋すっごい寒いから厚着しちゃった』
モコモコした可愛い寝間着だ。確かに暑そう
彼女は一度起き上がると、モコモコした上着を脱ぎ、『えーい!』と荷物の入ったバッグに投げるというプライベートチックな行動を見せてくれた
『こっちの方が動きやすい』
それならそれでいい
俺は心の中で深呼吸しながらも視線を時計の動く針をじっと見つめる
時間が見たいわけじゃない、何かを見ていないと落ち着かないだけだ
このぐらいなら大丈夫だろうと思い。思い切ってティアを抱き寄せて胸にうずめてみる
冷静を装ったつもりだが、心臓がヤバいのが自分でもわかる
ティアの顔は見えないからこれはこれで俺の安置ともいえる正当な攻め方ともいえる
相手の顔を見ての行動は俺には緊張の度合いが凄そうだしさ
ティアさん?何も喋らないんですか?と思いながら視線を胸元に向ける
顔を埋めているからわからない。でもこの感じは心地よくで一生飽きない自信がある
《この声は兄弟にしか聞こえないが。ティアお嬢ちゃんは好きか?》
びっくりしたが。なんで喋る…
まぁ俺にしか聞こえない声ならば問題ないか
『好きだよ』
《ゲロアマだぜぇ。じゃあな兄弟寝るわ!》
『っ!?』
『!?』
俺とティアが同時にビクンと動く
お互い違う意味だろう、やってしまった
俺はテラ・トーヴァにだけなのに…
しかし、嘘はついてない
咳ばらいをして小さく深呼吸をするとティアが顔を上げて布団の中から這い上がってくる
少し赤い顔が布団の中から出てくると、俺はキョトンとしながら彼女の様子を眺め始めた
『ティアさん?』
『私も好きです!』
これが戦場ならば軍師はこう俺に指示をするはずだ
今は攻め時、だと
ここで止めたら一生家族にも仲間にもチキンと言われだろう
それが理由で歩むのではない、歩みたい道だからこそ歩くのだ
決死の覚悟で俺はティアの顔に近づいてキスしたが、案外心臓が光速で動いても理性は保てている
人の唇ってこんなに柔らかくて心地よいんだぁと思いながらいつ辞めればいいかわからない
下半身が少し起き始めているが、お前はまだだ!
それはまだである
どちらも息を止めていたので苦しくなった俺は離れると互いに大きく呼吸をする
学生じゃないのに、何故かこの光景が面白くて緊張が和らぐ
『アカツキ君、その…』
『どうした…その、ティア』
『…揉み過ぎ』
意味が分からない
ふと手に最高の感触があるなと視線を下に向けると、誰かの手がティアの胸を揉んどる
あれは誰の手だろうか?いや俺以外いないだろう
脳と肉体がいつの間にか離れて行動していたんだ
俺の意思とは違い、手は反抗をしていたのだ
あるなら揉ませろと、そして脳はその事実を隠した
ならば今の俺の思想とはただの綺麗ごと
真の心と肉体は素直な結果を求めているのだ
ああ父さん、母さん
僕は本能に素直になります
女性の胸とはこんなにも男を落ち着かせ、全てを無にするんですね
ああ父さん、母さん
勝負下着は赤でした、可愛いブラでしたがそれよりも胸とは見ただけで全てどうでもいいくらい頭がマシュマロになりますね
お互い初めてでしたが、男になりました
でもなんだろうか、凄い強くなれた気分だ
部屋が暑く感じる
ティアは下着姿のまま俺にぴったりとくっつき、スヤスヤ寝ている
俺は暗くなった部屋の中で天井を眺め、涙を浮かべながら小さく囁く
『男になりました』
こんなにも、良き運動があるとは…
それにしてもティアは寝るのが早い、流石は安眠スキル持ちだな
《どうだった?》
『おっぱい凄かった』
《…全体的な感想は?》
『凄かった』
《脳みそ虫かよ兄弟》
『今は何を言われても許すぞ、テラ』
《こりゃ確実に尻に敷かれるタイプだ…》
何度でも言え
あんな綺麗なお胸を隠していたのか…ふむ
なんだろうな
意地でも俺は死にたくないという気持ちが強くなった
強くならないと、必死になって未来を切り開かないと無駄になる、それは絶対に嫌だ
絶対に生きてやると、俺は強く誓えるようになった
『行きたいよ、テラ』
《なら死ぬ気で頑張ろうぜ兄弟、ティアお嬢ちゃんも強いんだ…補助魔法だけだと勿体ねぇくらいだ。リュウグウや熊五郎にメガネもいるんだぜ?俺は勝てると思ってるがそれに答えるのはお前ら次第だという事を忘れるな?》
『わかった』
《じゃあマジで俺は先に寝る、今日の余韻に浸っておきな兄弟》
腕枕、直接腕で異性の頭を乗せるよりも枕の下部分に置くのが理想だとシグレさんが以前言っていた
普通の腕枕だとただの拷問、枕に頭の重さを預ける感じて腕枕をするのが手練れだと指南をイケていたのが幸いしている
それにしても彼女の寝顔は無防備で可愛い
ちょっと胸を揉んでみると、僅かに反応するが寝ている
変に弄るとあれだし俺も寝るかな…
くっついてれば朝の冷え込みも多少楽だろうと思い、俺は彼女を抱き寄せて寝る事にした
かなり幸せな時間を過ごしたんだと自信を持って言える日。次も必ず…
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