第150話 クワイエットさん 3
俺、ティアマト、リュウグウ、クワイエットさんの4人でグリンピア街の定食屋に足を運び
唐揚げ定食が運ばれて直ぐに奥のテーブルにいたイルドゥンという冒険者チーム(仮)に絡まれてしまう
冒険者資格の無い冒険者という変わったチーム
俺達の1個上で、メンバーは4人だ
リーダー格のエンリケにサイファー、ゼニス、オスカー
まぁ悪い不良である
俺達の唐揚げはタバスコで赤い
ちょっと思考が停止したけども、やったのはオスカーというリーダー格の取り巻き
なんで俺達は絡まれないと駄目なのか、どこが気に食わなかったかわからない
心強いであろう他の冒険者チーム『ドライズリー』というティアマトと同じ体躯の3人組はこちらをチラ見しただけ
そうだよな…余計な揉め事には足を突っ込まない
リュウグウは溜め息を漏らし、クワイエットさんは唐揚げを見ながらキョトンとしてる
奥の席では他のイルドゥンがゲラゲラ笑っているが、気に食わないな
オスカー
『きっと美味いぜ?』
ニヤニヤしながら口を開く小物の中の小物
穏便に済ませたいが、無理だな
うちのチームの熊が唐揚げを掴んで立ち上がると、オスカーに向かって言い放つ
『なら味見しろ!』
『もがっ!?』
ティアマト、オスカーの口にタバスコまみれの唐揚げを突っ込む
それによってオスカーはあまりの辛さに悶絶だ
何かが起きると感じてか、ドライズリーはテーブルに金を置いて出ていく
オスカー
『あばばばばば!』
ティアマト
『美味しいか!ならもっと食え!』
オスカー
『ちょ待べあへぼっ!?』
また食わされて悶絶しながら床に転がるオスカー
リュウグウは笑いながらそれを見ていると、とうとう奥のテーブル席にいた他の3人が椅子から立ち上がり、こちらに歩いてきた
笑ってはいない、目を細めてる
俺は立ち上がって彼らが来るまで待ち構えていると、リーダー各のエンリケが一度床でゴロゴロ転がるオスカーを見てから口を開いた
エンリケ
『なに反抗してんだ?』
アカツキ
『なに勝手な事してんだ』
エンリケ
『あ?気に食わねぇ名前を出しやがってよ』
あぁ!なるほどな
バカの俺でもわかるよ
お前らシグレさん苦手か
リュウグウ
『気に食わないなら本人に文句言えばいいだろ小物めが』
彼女の言葉は鋭い
堂々とした挑発は彼らイルドゥンをイライラさせるには丁度良い言葉だ
少しエンリケの様子が変わる
俺達を敵として認識したような感じ、それは敵意だ
エンリケ
『女、なんつった?』
リュウグウ
『難聴か?退学した人間は言葉を話せても理解が出来ないとは困ったもんだな』
凄い煽る
だからこそエンリケは舌打ちをして彼女を全力で睨む
彼だけじゃなく、他の二人もだ
ティアマトは腕を組み、3人の顔を嘗め回すかのように眺めると、『喧嘩してぇならこいよ?回りくどい野郎は口先だけって社交場は決まってる』と言うが
リュウグウ
『相場だ馬鹿!』
ティアマト
『あっ!』
なんでそこで馬鹿を発揮した?
でもやっぱりティアマトの存在感があるのか、3人は手を出す気配はない
『こいよ小物、嫌ならこれ全部食って帰って寝ろ』とエンリケに顔を近づけて凄む
エンリケ
『馬鹿が、調子に乗りやがって…』
ティアマト
『呆れた馬鹿は変に頭が回る、どうせ問題起こせば警備兵がくんだ…それが怖いんだろ?なら絡んでくるなよ、あ?』
だから彼らは迂闊に手を出してこない
ティアマトの言う通り、最初から絡まなければよかったんだ
思い通りにいくと思って起こした行動が浅はかであり、それは彼らを悩ませた
でも不良ってのは沸点は低い
エンリケはティアマトの言葉に怒りを浮かべ、腰の剣を抜くために手を伸ばす
俺も刀を抜き、リュウグウは槍を構える
ティアマトも面白い事が始まると感じ、不気味な笑みを浮かべた
だがそれよりも先に動く者がいた
クワイエット
『わからないなぁ』
彼はそう言いながら瞬時に席を立ち、エンリケが剣を抜く前に右手で腕を掴んで止め、左手で彼の首に向かって刀手で思いっきり叩いた
鈍い声を上げて両膝をつくエンリケに驚く他の2人はクワイエットさんに顔を向けて動き出そうとしたがそれは遅かった
クワイエットさんはサイファーの剣の突きを避けると顔面を殴って吹き飛ばし、ゼニスが狼狽えている隙に腹を殴ってから胸ぐらを掴んで投げ飛ばす
飛ばされた先は窓、ゼニスは弾丸の如く窓に向かって投げ飛ばされるとガラスを破って外に放り出された
対人戦に慣れているクワイエットさんは無表情のまま、両膝をつくエンリケを見下ろす
口からヨダレを垂らし、両手で首をおさえて悶える彼はゆっくりと顔を持ち上げてクワイエットに視線を向ける
相手が悪すぎた、それが敗因だ
クワイエット
『グリンピアの街の中は住み着いてから調べたよ。君ら冒険者資格の無い冒険者、ここにはイーグルアイという訳あり冒険者の支援を行う国家非公認機関がある』
エンリケ
『が…グぇ』
クワイエット
『だけども国はそれに目を瞑っている、予想としては社会復帰団体という名目上で許しているんだろうけどもね』
協会とは国家直轄組織とは違い、独立した機関
だがそれよは違って国で公認されていない機関は団体として存在している
まさかそれがグリンピアにあったとは驚きだ
奥で店員が凄い顔してこちらを見ているが、近づくのは無理だろう
クワイエットは起き上がるオスカーを見て直ぐに顔を蹴って床に転がすと、リーダー格のエンリケに剣を向けて口を開いた
クワイエット
『君は弱すぎるよ、お菓子のおまけみたいな武器を腰につけて強い気分に浸っているのを見るのは少し面白かったけど』
エンリケ
『き・・貴様』
クワイエット
『無駄にした唐揚げ、全部食べろ…じゃないと刺す』
エンリケ
『くそ…くらえだ』
吐き捨てても冗談はクワイエットさんには通じなかった
先ほどの言葉が答えだと察したクワイエットさんは顔色一つ変えずにエンリケの太腿に剣を刺す
本当に刺されると思わなかったであろうエンリケは驚きながら呻き散らし、床に倒れる
それを見て顔を真っ青にしたサイファーとオスカーはクワイエットに視線を向けられると、彼らは素早く動いた
俺達のテーブルの上にある唐揚げを必死に口に運び始めたんだ
そうじゃないと、エンリケのようになると思ったのだろう
アカツキ
『クワイエットさん』
クワイエット
『ご飯を粗末にする奴に良い奴はいない、自分の快楽と周りとの協調性のバランスを取れるとは思らない』
エンリケ
『がは…お前、俺に手を出し・・』
クワイエットさん、喋るなと言わんばかりに彼を蹴って壁にぶつける
それを目の当たりにしたエンリケの2人は涙目になりながらタバスコたっぷりの唐揚げを食べる速度を速める
俺はティアマトと共に、クワイエットさんを止めた
少しおっかなかったが、彼は剣を納めてくれたよ
でもそのまま壁でぐったりしているエンリケに歩いていくと、しゃがみこんで顔をじっと見つめだす
嘗めまわすように見てくるクワイエットさんにギョッとしたエンリケは僅かに顔を逸らす
クワイエット
『今更こんなの言うことないけどさ、僕数週間前まで聖騎士会の1番隊副隊長だったから君くらい殺すのは躊躇い無いよ?今後邪魔するならばグリンピアのイーグルアイを潰すけどもどうする?土下座して謝るか慈善団体ごと潰されるか選んだら?』
初耳のエンリケたちは驚愕を顔に浮かべた
相手が悪すぎるときっと彼らでも理解したはずさ
それに脅しではない
笑顔のクワイエットさんに不気味さを感じたエンリケは顔を真っ青にしたまま、その場で土下座して謝り始めた
店の壊れた備品は弁償してね、とクワイエットさんがエンリケの胸ぐらを掴み、立たせながら言い放つのが怖い
何度も縦に頭を降るエンリケ
クワイエットさんはようやく彼を離すと、奥で動けずにいた店員に向かって『唐揚げ定食四人!』と声高らかに注目したのだ
エンリケ達はテーブルに金貨を数枚置いてそそくさとその場を後にすると、ようやく静かになった
リュウグウ
『迷いない動きだな』
クワイエット
『当たり前さ。躊躇いは隙だよ?嘗められるからね』
なるほど
とりあえず食べ直し、といきたい所だが
俺達が席に座ると同時に警備兵5人が姿を現したんだ
険しい表情であり、彼らは直ぐに俺達に視線を向ける
普通の警備兵ならば良い
しかし普通じゃない人が混ざっているのに気付くと、俺は嫌な予感しか感じなくなる
シグレ
『外で小動物みたいな獣を捕らえたけど…』
警備兵
『通報じゃイルドゥンが客にちょっかい出していると聞いたがな』
シグレ
『出す相手間違えるって馬鹿だね』
彼は俺達を見て、そう告げた
警備兵達はシグレさんと共に歩いてやってくる
なんて言えばいいのかわからない
ティアマトに視線を向けると逸らされ、リュウグウはメニューを見ているから俺の視線に気付かない
《頑張っ》
うるさい
警備兵さんが『やぁアカツキ君、何があったんだい?』と丁寧に話し掛けてくる
どう説明しようかと頭を悩ますが、その前にクワイエットさんが答えてしまう
クワイエット
『気に入らなかったから返り討ちにしたのさ』
シグレ
『…一人は刺された怪我をしているが』
クワイエット
『僕だよ?正当防衛ってやつ?先に仕掛けたのはあっち』
ティアマトの目がめっちゃ泳いでる
その間、警備兵は聴取したいと俺達に希望するがクワイエットさんは『ご飯が先』と主張する
まぁお腹空いてるし
まだ俺達は何も食べてないんだ
流石に飯を抜いてまで時間を取ることに抵抗がある警備兵は食べ終わるまで待たせる、と言って一人を残す
シグレさんじゃなくてよかったかも
残った警備兵は父さんの友人だから安心だ
隣のテーブルにて店員にコーヒーを頼む彼は顔をこちらに向けて話し掛けてくる
警備兵
『シグレを置いたら心配だしな。』
アカツキ
『あはは…』
クワイエット
『彼っておっかないよねぇ』
警備兵
『だが腕は確かだ。あとイルドゥンの奴等は治療しながら1日は拘留所に閉じ込めておく…。』
ティアマト
『国家非公認の協会イーグルアイってこの街にもあったんすかい?』
警備兵
『独立機関としては特殊だ。慈善団体とでも言うべきだ』
リュウグウ
『冒険者カード資格を持たない冒険者の雇用組織みたいに聞いているが』
警備兵
『まぁ訳ありで冒険者カードが作れない冒険者のギルド運営委員会さ。非公認だから国からの支援金が支給されないからイーグルアイに加入している仮の冒険者が討伐してきた魔物の魔石からピン跳ねして利益を上げている』
協会は毎月、国からの援助が降りる
非公認では受けとれないのだ
クワイエット
『不良ばかりのギルドさ、僕はリゲルと1度だけ見に行ったことあるけど』
アカツキ
『あるんですか?どこに?』
警備兵
『アカツキ君は以前に薄気味悪い館の依頼をしたことあるね?あの近くにあるよ』
夜に向かった館か!?懐かしい
お化け屋敷みたいな建物であり、地下でコンペールと戦った記憶が思い出される
リュウグウ
『前の私のアパートの近くか』
彼女は現在は中心街近くのアパートに引っ越したから以前のアパートには住んでいない
冒険者カードを作れない者で冒険者として生活する人は少ないと思いきや、警備兵は『50人前後はいる』と答えた
《イーグルアイの中身を探ればギリギリアウトな協会だが、兄弟達が足を突っ込む必要はない。》
確かに足を突っ込む必要もないし、気もない
『お待たせしました。唐揚げ定食です』
店員が四人分の唐揚げ定食を運んできたのでようやく飯にありつける
警備兵はコーヒー片手に『プリンをくれるかな?』と可愛い追加注文
クワイエット
『じゃ食べよっか!』
《まぁお疲れ様だ》
アカツキ
『じゃあいただきますクワイエットさん』
リュウグウ
『ありがたくいただく』
ティアマト
『奢り助かるぜ』
クワイエット
『うんうん!』
タバスコをいれない方が唐揚げは美味しい
出来立ては特に美味しく、千切りキャベツもシャキシャキしてて美味だ
リュウグウ
『お前がリゲルといないのは珍しいな』
クワイエット
『珍しいだろ?リゲルは熱だして寝込んでるんだからこれまた珍しい』
《体調崩したか》
クワイエット
『こっちはコスタリカと違って雪が多いし寒いからね』
季節にやられたか
ニコニコと笑みを浮かべながら唐揚げを美味しそうに食べるクワイエットは『そのうち治るよ』と他人事のように答えた
食べ終わると俺達は警備兵と共に彼らの中央詰所に向かい、先ほどの揉め事の聴取をされる事になった
聴取する部屋には長テーブルを囲むように椅子が設置されており、大きな鏡がある
父さんに聞いているかなわかるが、これはマジックミラーだ。その上には通気口みたいなのがあるが、こちらの音を聞くための穴だ
ティアマトはわからずに鏡を近くで凝視し、おもむろに歯を出して笑顔になるとリュウグウが呆れた顔で口を開く
『マジックミラーだぞ』
『あ、そ…そうか』
警備兵
『まぁアカツキ君は知ってると思うから言うけど、奥に取り調べを聞く者はいる、何か起きればその部屋から熟練の警備兵がこの部屋に飛び込んでくる』
アカツキ
『なるほど』
警備兵は俺達を座らせると彼も座り、聴取が始まる
難しい質問はなく、ただ何が起きたかを素直に話すだけだ
俺が一通り話し終えると、警備兵は作り笑いしながらティアマトに顔を向けたんだ
ティアマトはギョッとすると、顔を剃らして小声で話す
ティアマト
『俺達の飯…』
警備兵
『タバスコたっぷりの唐揚げをお見舞いか、まぁ暴力としては弱いから厳重注意で今回は目を瞑ろう』
あからさまにティアマトの顔色が良くなるのが面白い
イルドゥンは大きな騒ぎを起こすことはないが迷惑行為を度々していたらしく、今回はいつもより…といった感じだ
まぁ俺達は正当防衛として警備兵さんは処理する、と行ってくれたが『家でゲンコツ長に言われるぞ?』と警備兵は苦笑いを浮かべて言ってくる
それは困ったな、帰るのが億劫だが仕方がない
リュウグウ
『慈善団体なのに何故イーグルアイはこの前の魔物騒動で現れなかった?』
彼女はふとした質問を警備兵に問いかけた
獣王ヴィンメイとの最終決戦のあの日だ。
魔物が押し寄せ、冒険者は必死で街を守ったのだ
その時、イーグルアイに加入していた非冒険者は参加している形跡はなかったと彼女が話すと、警備兵は唸り声を上げてから椅子に深くもたれかかり、答えた
警備兵
『冒険者ギルド運営委員会とイーグルアイは犬猿の仲でね、理由は色々さ…双方の意見は噛み合わないからさ』
アカツキ
『噛み合わない?』
警備兵
『冒険者として相応ではないから冒険者ギルド運営委員会は特定の人物に限り、その資格を発行することを拒んだ。慈善団体イーグルアイは冒険者ギルド運営委員会が不適合者である者に冒険者としての生活を与える、仲が良いと思うかい?』
冒険者ギルド運営委員会としては冒険者資格のない者が冒険者として生活出来ることが気にくわないのだろう
慈善団体イーグルアイはそれを理解してか、僅かでも依頼のおこぼれを此方にも提供してくれと言っているらしいのだが、幾度と却下され、冒険者ギルド運営委員会に良い印象を持っていない
警備兵はそれを簡単に説明してくれると、ちょっとした裏話を話してくれたんだ
警備兵
『冒険者ギルド運営委員会はイーグルアイに召集をかけなかったが、それでもあちらから2チームが率先して参加したのだ、冒険者ギルド運営委員会のクローディア副会長は防衛戦が終わってから、その2チームに褒美として正規の冒険者カードの発行を行っている。』
クワイエット
『流石クローディアさん』
アカツキ
『そう言えば副会長だったんでしたね』
警備兵
『大規模な協会のNo.2だよ?』
忘れていたよ
なろうと思えば会長にもなれるが、面倒臭いからってならなかった話しも以前に聞いたな
ティアマト
『慈善団体って大変だな』
警備兵
『特定の人間の更正を目的とした組織だから国で認められている協会は協力の判断が難しいんだよ。ここでは特にイルドゥンが目立つけど本来はイーグルアイに加入する非冒険者はそんな問題は起こさないんだ』
アカツキ
『それシグレさんがいるのもあるのでは』
警備兵
『少しあるね』
ティアマト
『パーセントでいうと』
警備兵
『70かな』
ちょっとじゃないだろ
悪者キラーのシグレさんがいるだけで治安がある程度保証されるって素直に凄い
クワイエット
『あの人、おっかないよね…不気味だし戦い方のイメージつかないもん』
警備兵
『君は元聖騎士会の1番隊の副隊長という階級だったんだよね?それでもあの子そうなの?』
クワイエット
『そだね。聖騎士は魔物との交戦もそうだけど対人戦に特に力を入れているから相手がどう動くかある程度わかるんだよ。だって人間なんて本能は単純だから次の相手の行動をこっちの動きで誘導することなんて簡単だしさ・・・。でもあの人はなんだか変わったタイプだからちょっと面倒臭そう。ティアちゃんが妹ってのはちょっと今でも信じがたいかな』
シグレ
『聞こえてるよ』
一同、ギョッとした
警備兵は溜息を漏らしながらも鏡の上の通気口をチラッと視線を向けて俺達に知らせる
どうやら隣の部屋にシグレさんがスタンバイしているようだ
クワイエットさんは苦笑いしながら鏡の顔を向けるが、直ぐに警備兵に視線を戻す
クワイエット
『こわ…』
警備兵
『悪いね、俺が言い忘れていたが彼はいるよ』
ティアマト
『ははは…』
シグレ
『僕としてはちょっと残念だよ、早めに駆け付けれいれば君と戦える機会が生まれると思ったんだけど』
クワイエット
『…これ完全に標的にされてるね』
警備兵
『まぁ問題は起こさないほうが良いな。僕らが駆け付けた時には揉め事は収束していたが、続いている時なら現場の制圧を名目として武力行使することがこっちができるからさ』
リュウグウ
『もし争っている時に来ていればシグレさんが笑顔でイルドゥンの他にクワイエットに襲い掛かっていたか』
警備兵
『そうだね』
クワイエット
『こわ…リゲルにも言っておこ』
《どっち強ぇんだろうな》
気になるが、そうなった場合に止めれる人間は少ないな
俺に止めれる自信はない。巻き込まれて吹き飛ばされそうだし
んでイルドゥンは明日の昼まで地下の留置所にいるため、今日はここで夜を過ごすと警備兵は話す
俺達は解放され、警備兵に入り口まで案内されると『気を付けてね?』と笑顔で送る
風が強いだけで顔が痛い
雪は除雪されていて歩きやすいが、道が凍っていて滑りそうだ
街を歩くと、寒そうにしながら冒険者とすれ違うが皆知っている顔なので俺達に気づくと軽く声をかけてくる
クワイエットさんにも声をかけるということは、結構彼もこの街になじんできていると思える
リュウグウ
『明日は少しギルドの地下を見に行ってみるか』
アカツキ
『でもリゲルは熱だぞ?治るのか?』
クワイエット
『微熱だったから寝込んで明日に控えてるんじゃない?来年からだけども明日はお試しとして重要でもあるからさ』
《今後に差し控えるし意地でも治すだろうよ》
ティアマト
『1人で黙々とベットか、なんだか似合わねぇな』
クワイエット
『エーデルハイドの人が看病してるんじゃないかな今』
俺達は驚く
なんで?!と思って彼に聞くと、簡単な理由だった
彼ら2人は片付けも食事も洗濯も何もできない戦闘特化型の元聖騎士
気になったクリスハートさんが2人の住み家を少しお邪魔した際、足場のない寝室に気絶仕掛けてからが始まりだとクワイエットさんは話す
女性陣4人に支えられながら生活とは…
《羨ましいなぁおい!1人の女性にてこずる兄弟として何か質問はないのかぁ!?》
えぐるな
リュウグウ
『ある程度は生活力をつけろ…』
クワイエット
『だってメイドいないんだもん』
リュウグウ
『普通は自分でやる。頑張れ』
クワイエット
『明日から頑張る』
《あ、難しそうだな》
まぁ彼ら2人も身の回りの世話を悔しくもしてもらう代わりに色々と指南しているらしいから住み分けが出来ている、のかな?
こうしてみんなと別れてから家に帰ると俺はそのまま部屋に向かう
妹のシャルロットが勝手に俺のベットで寝ているのは慣れているので壁際に押し込んでから寝ようとしたが
この状況に慣れている俺は普通ではないんじゃないかと疑い始める
《普通じゃねぇぞ》
『…』
いつか直そう、そうしよう
窓は外の凍てつく寒さて凍っていて開けることはできないだろう
まぁ開ける気は無いがな
刀を机の上に置き、装備を脱いでから風呂に入り忘れていることに気づいて俺は1階に降りる
リビングは薄暗く、母さんは寝ているのだろうなと思いながら脱衣場に行こうとしたら父さんがソファーで俺を手招いていた
俺は近づいた瞬間にゲンコツを受け、床に転がり悶絶する
『変な奴らと絡みおって』
『ぐおぉぉぉぉぉ』
《神様の俺でも痛そうだと思うわ、今の音》
『蘇ったらいつでも試せるぞ?』
《やめとくぜ旦那…》
※次は3人称
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