第149話 クワイエットさん 2

俺、ティアマト、リュウグウ、クワイエットさんで北の森からグリンピア向かう帰り道でフードを被った黒ローブの男が立ちはだかる


左右の森にも二人ずつ潜んでおり

そちらにも警戒しなくてはならない

まずは正面の男だ


ファイアーボールを放ってきた瞬間に俺達は一斉に駆け出したが、その中の一人が先頭に躍り出た


クワイエット

『雑魚』


彼は見下した言葉を男に向けて言い放ち、飛んでくるファイアーボールを剣で切り裂いた


『ぬっ!』


驚く声、しかしクワイエットさんは止まらない


《右の二人動くぞ!》


アカツキ

『リュウグウ!ティアマト!』


『よし!』


『おぉよ!』


リュウグウとティアマトは足を止め、右に駆け出した。

すると顔を出したフードを被って顔を隠す黒ローブの者は僅かに狼狽えながらも襲いかかる二人に腕を伸ばし、白い魔法陣を展開するとビールという白い光線を放つ


そっちは任せたぞ、二人共

俺はクワイエットさんと正面さ

まだ左側は動かない、か…


『何故お前が!』


正面の男が、目の前まで迫ってきたクワイエットさんに口を開く

彼の顔を知っているのだろう、それはヒントでもある


『くっ!』


男はクワイエットさんの振り下ろす剣を飛び退いて避けると、今度はラビットファイアーを放った

しかし、クワイエットさんは容易く全てを避けてから懐に潜り込むと、剣の側面で顔面を思い切り叩いた


仰け反る男はフラつきながらも追撃するために近づくクワイエットさんの足元にファイアーボールを放って下がらせた


『予想外だ…』


クワイエット

『よわ…近接出来ない魔法職がまさか魔法騎士会なんて言わないよねぇベルトッティーさん』


声で見抜いたのだろうクワイエットさんは不適な笑みを浮かべ、顔をおさえながら後退る男に視線を向けた


リュウグウとティアマトの方は敵の魔法、緑色の回転する円系の刃2つやラビットファイアーを避け通も敵の懐に潜り込み、殴って吹き飛ばしたり槍で顔面を叩いて戦闘不能にしている

魔法騎士は近づけば大したことないのかな?どうなのだろう


まぁ魔法騎士会というのは決まりだろう

となるとロットスターの奴隷みたいなもんだな


『ベルトッティー?そんな男は知らん、貴様…そちら側に付くという事は聖騎士を裏切るという事だな?』


クワイエットさん

『今それ関係ある?んで…どうするの?あっちは倒されたよ?反対側の2人は動かないみたいだけど…』


男はフードの中で顔をおさえ、舌打ちをした

僅かに血がしたたり落ちているのが見てるが、鼻血だと思われる


アカツキ

『俺はまだ隠れてる2人を警戒しきます』


クワイエット

『そうしてくれると嬉しいな、でも動けるときに動かなかったし多分動かないと思うよ?』


俺は首を傾げる

どういうことだ?と思いながら潜んでいるであろう方角に顔を向けると、男が素早く腕を上げて黄色い魔法陣を発生させた

クワイエットさんは一瞬で前に動き出し、伸びてくる放電を容易く避けた


『くっ!』


クワイエット

『本当に弱いねぇ。それでも1番隊の隊長なんだ』


男が弱いのか俺にはわからない

だが魔法の攻撃発動速度はかなり速く、クワイエットさんの攻撃の回避もある程度している

弱いわけがないんだ

相手が悪いだけだと俺は確信していると、クワイエットさんは男の胸倉を掴んで背負い投げで地面に叩きつける


男からは鈍い声が聞こえ、咳込んでいるが立ち上がる寸前でクワイエットさんに剣を突き付けられて身動きが取れなくなった


クワイエットさん

『よわ…リリディ君が魔法騎士会になれば君なんて一瞬で越されるね。そんくらい弱い…』


『貴様…』


怒りは声で伝わるが、下手に動くと不味いことを理解しているから我慢をしている

クワイエットさんはご用件は何?殺す前に聞いとくよ?興味ないけど、と男に告げる


『馬鹿め、殺せる者なら殺してみよ…お前も戻れなくな…』


男が言葉を最後まで言い切ることなく、クワイエットさんは動いた

俺でもギリギリ見えるかどうかの一瞬の行動、彼は男の右腕を斬り飛ばしたのだ

鮮血が飛び散り、男が断末魔に近い声を上げて悶え苦しみ始める


クワイエットさんに躊躇いなんて微塵も感じない

やるといえばやるのだ

俺なら絶対に躊躇う事を彼は出来る、それは色々な経験をしているといっても過言じゃない


クワイエット

『僕さ、リゲルと聖騎士辞めたんだよねぇ?』


『ふぐっ!ぐぅぅぅ…なんだと!』


クワイエット

『だからさ、今協会で一番価値のない魔法騎士会の相手してるほど暇じゃないのわかる?』


『お前…本当に俺を殺す気なのか?』


クワイエット

『だって生きてても僕らの役に立つ気がしないもん、んでさ…なんで襲ってきたの』


本題に戻る言葉に反応したのは目の前の男ではなかった

俺が警戒していた方角から同じ格好の者が2人木の陰から姿を現し、こちらに歩み寄りながら答えたんだ


『リリディ君への嫌がらせとアカツキ君の捕縛さ…』


『お前ら!なんで動かない!隊長命令だぞ!』


クワイエット

『やっぱりベルトッティーじゃん』


『うっ!』


もう隠す必要はないだろう

でも何故だ、現れた2人からは敵意を感じない気がする

それを感じてか、クワイエットさんも近づく者2人には警戒することをしない

ティアマトとリュウグウは倒して気絶させた襲撃者2人を引きずってやってくる


状況を理解したベルトッティーは懐から何かを取り出そうとしたが

クワイエットさんは彼の腕を剣で突き刺してそれを阻止する


ベルトッティー

『ぐわぁぁぁぁぁぁ!』


苦痛を浮かべるベルトッティー

仲間だったはずの者が、彼に声をかけた


『ベルトッティー殿、今日でお別れですね』


ベルトッティー

『ロンドベル!アルベルト!貴様ら・・!』


ロンドベル

『私はハイムヴェルト派閥の者ですので。あと息子も同じです』


アルベルト

『さようならベルトッティーさん、同期が言ってましたが貴方は嫌われものでした』


ベルトッティー

『待て!お前ら!何言っている!?』


ロンドベル

『ハイムヴェルト派閥ということはリリディ君側なんです、なのでクワイエット殿も貴方を生かす意味を見出す事は二度とない、なので息子はさようならと言ったんです…』


ベルトッティーはクワイエットに顔を向けた

きっと自分は殺される、それを誰よりもその身で感じたはずだ

だって襲ってきた目的をこの2人は口にしたし、もっと詳しい事を聞くならばベルトッティーはいらないからな


クワイエット

『じゃあね』


ベルトッティーは『待ってくれ!』と叫ぶが

その後直ぐに首を斬り飛ばされた

生々しい光景に俺はちょっと顔を逸らすが、クワイエットさんは黙々と気絶する残りの2人の急所に剣を刺してトドメを刺す


軽々しく人を殺せるのは能力なのかどうかは俺はわからない

しかし、判断としては間違いじゃない筈だと信じたい


その場が静まり返ると、リュウグウは溜息を漏らしながら死んだ3人に手を合わせて軽く会釈をしている

何かの儀式なのかと考えていると、クワイエットさんが2人に顔を向ける


クワイエット

『リリディ君の問題に興味は無いよ、ただ邪魔するならばこうなるってだけ。僕らも忙しくなるからさ』


ロンドベル

『なるほど』


ロンドベルという男はフードを脱ぐ

俺の父さんと同じ歳ぐらいの男であり、もう片方の男もフードを脱ぐとかなり若かった

リゲルやクワイエットさんと同じくらいかと思われる


《一応聞いとけ、クワイエット》


クワイエット

『ロットスターさん何可笑しな事考えてるの?』


ロンドベル

『黒魔法持ちを非常に嫌ってますが誠の理由はわかりません、ただあの人は邪魔だからと極秘でこのような指示をだし、あわよくばアカツキという男を捕らえてこいとおっしゃっておりましたがその理由もわかりませぬ』


クワイエット

『そっか、半年ぶりだねロンドベル…今の魔法騎士会でまともなの君を含めて僅かだよ』


ロンドベル

『そういっていただけると幸いです。息子のアルベルトも貴方の実践稽古のおかげである程度近接が出来るようになりました』


アルベルト

『クワイエット殿、お久しゅうございます』


クワイエット

『久しぶり。リリディ君に対しての邪魔は僕らの邪魔にもなるからってのは知ってるよね?』


アルベルト

『知っております。僕は父と共にコスタリカに帰還し、任務失敗を報告しますがそれでもあの人は諦めないでしょう』


アカツキ

『リリディをどうする気だ?』


ロンドベル

『抹殺、最初は彼の家を襲う計画だったのです』


その事に俺達は驚愕を浮かべる

だがそれを止めたのは彼らだった

もしそれを執行した場合、極秘任務として意味を失くし、大事に繋がる可能性が大きいと言うとロットスターは不貞腐れた顔を浮かべ、この作戦を決行したと彼らは話す


ロンドベルは『またロットスター殿は刺客を差し向ける気でいますのでリリディ君には気を付けるように言っておいてください』と言い、俺達に背を向けた


彼らはリリディの味方だとわかる

ロンドベルはハイムヴェルトさんが魔法騎士に所属していた時にいた人だろうと思い、『あの人の何を知っている?』と俺は聞いた


彼は振り返り『魔物に襲撃された際、守っていただけた』と軽く答えた

それはロットスターがハイムヴェルトさんを殺そうと目論み、闇ギルドに頼んで魔物をけしかけた際の出来事だった


その時、ロンドベルも一緒にいたのだろうな

ハイムヴェルトさんが去ってからは彼を慕う者の殆どが消えたと聞くが、残っている者と出会ったのは初めてかもしれない


マキナさんを知っているか?と聞くと、ロンドベルさんはギョッとした様子を見せ

何故か苦笑いを浮かべる


クワイエット

『1つ言うけど、今の魔法騎士会でリリディ君に勝てる馬鹿いるの?』


ロンドベル

『…ロットスターさんと私だけでしょうね』


クワイエット

『流石1番隊の副隊長』


クワイエットさんはニコニコしながら告げると、2人は軽く会釈をして森の奥に消えていった

まさかロットスターがこのタイミングで動くとは思わなかった

一気に肩が重くなったような感覚を覚えた俺は目を細め、息絶えた魔法騎士会を見る


何故リリディを狙う?ハイムヴェルトさんと同じだから?

孫だから?いやその線は薄い…それなら家族ぐるみで襲われている

やはりハイムヴェルトさん絡み


あの人が副魔法騎士長の時にロットスターの心を揺り動かした何かがあったのかもしれない


《野暮な案件が増えたな…》


クワイエット

『だね、んで彼らが昔より弱い理由わかる?アカツキ君』


アカツキ

『俺に答えを求めても期待できる言葉でないですよ…』


クワイエット

『あはは、ごめんね…。協会は国民の税や貴族会や王族からの指示があった時に限る報酬で賄われるんだ。まぁ国民の税だけでもかなりの額でね…ろくに訓練もしないし向上心もないんだ、金を食いつぶして楽してるんだよ』


無駄遣い、か

色々掘り下げれば埃が沢山出てきそうだが、今はやめとこう

リュウグウは『政治家みたいなもんか』と言うけどもその意味は分からん


ティアマト

『お前が殺したのは本当に魔法騎士会の1番隊隊長なのかよ?』


クワイエット

『ベルトッティーね。弱いでしょ?持ってる魔法スキルの中には優秀なのあるんだけどもレベル低いままで実戦であまり使えないコレクションステータスさ…スキルなんてレベル上げないと意味はない、しかも昔のお馬鹿な風習で魔法が至高って可哀そうな脳みそだから近接は苦手なんだよロットスターさんの取り巻きは』


リュウグウ

『魔法しか取り柄が無いという事か』


クワイエット

『その魔法ですらお粗末、真面目な魔法騎士のメンバーは訓練はするけども、真面目な人ほど古参に嫌がらせされるから嫌気がさしてやめる』


それは聞いたことがある

今の魔法騎士はそこまで落ちぶれたという事だ


リュウグウ

『何故そのていたらくを指差す権力者がいないのだ?』


クワイエット

『フルフレア公爵はきっと知っている、でも何故か動かないんだ…』


どうしてだ?黙認しているとなると王族共々国の衰退が見え隠れしている気もしなくもない


《それは時期にわかる…面白いことになりそうだが今は幻界の森への準備をしろ、クワイエットはロイヤルフラッシュと出会っても問題ないのか?》


クワイエット

『今更僕らをとやかく言える立場じゃないと思うよ?僕があの人の立場なら死んでも言わないね』


どうやら大丈夫そうだ

こうして森を出てからグリンピアの街に戻った俺達は、初めてクワイエットさんの奢りで定食屋に足を運んだんだ

彼が奢るんだぞ?考えられない


クワイエットさん曰く『お礼しないとバチが当たるしね!』と言いながら先頭でスキップして俺達を定食屋まで誘導し始める


リュウグウ

『そのスキップやめい…』


クワイエット

『ごめんごめん、ついね!まぁご飯の前にギルドだね』


謝っても笑顔の彼は初めて出会った時と変わった気がする

いつもニコニコしているのは変わらないが、なんだか顔だけじゃなくて仕草で楽しさを表現するようになっている気がする


すると奥の方からバーグさん率いる夢旅団チーム、彼らはもう少しでCランクの冒険者であり

Cランクの魔物を残り1体倒せば晴れて昇格だ

そのためなのか、みんな良い顔をしている


バーグ

『クワイエット君がスキップしてるってことは良い事だったな?』


クワイエット

『やぁバーグさん』


意外だ…

交流があるかのような会話に俺やティアマトそしてリュウグウは驚く


夢旅団と共に街を歩きながらちょっとした会話をしてみることにしたよ


どうやら最近、夢旅団の冒険者稼業にお邪魔して色々と指南しているらしい

リゲルがギルド地下での安易闘技場で雇われるのとは違い、彼はリゲルの教えて稽古を実践で使えるように動くような役回りをしているように見える


来年からリゲルは上記の様な感じで毎週土曜日には冒険者ギルド運営委員会の依頼で動く

その前にクワイエットさんは動いていた、という事か


『1日報酬金貨1枚と格安だぜ?普通都会なら金貨2枚とられるぜ』


ドラゴンさんはニヤニヤしながら俺の肩に腕を回して掴み、そう話す

プラオさんやバーグさんは片手剣士であり、クワイエットさんも片手剣士なので丁度良い

しかも予想外にもフルデさんも教わっているというのだ


フルデ

『双剣も使えるって凄いよね』


リュウグウ

『マジですか?』


クワイエット

『双剣は握力が凄い大事だから彼女には筋トレを教えただけだよ、この武器は筋力よりも握力で斬るからね』


フルデ

『来週もお願いね』


なにやら気に入っているようだな

クワイエットさんはニコニコしながら『ウンッ!』と頷く

ギルド前まで行くと、用事を済ませていた夢旅団はその場で俺達と別れる


リゲルや仲の良い冒険者などがいなかったから長居することはなく魔石の換金をしてからギルドを出てから定食屋に向かう

珍しく客がガラガラ、家族客はいないが冒険者が2チームいるくらいだな


店に入る俺達に気づいた若い男性店員がさっそく俺達に近づくと、笑顔で開いている席に案内してくれた

まぁ殆ど空いているからどこでもいいんだけどね


クワイエットが幸せそうな顔を浮かべたまま、テーブルに乗っていたメニューを広げて選び始めていると、ティアマトが溜息を漏らす


アカツキ

『ティアマト?』


《熊五郎、ここの食材じゃ足りねぇってか?》


ティアマト

『流石に足りるわっ!』


アカツキ

『あの冒険者?』


俺の言葉にティアマトは反応はしない

まぁそれが答えなんだろうけどさ

ティアマトと同じくらいの体の大きさの冒険者3人、ドライズリーという30代の大人チーム

バーグさんとプラオさんと同じさ


別名筋肉チームと言われるが…


リュウグウ

『別に問題ないチームだぞ』


彼女は横目で彼らを見る

見た目とは違って非常に大人しく、問題は起こような人間じゃない


ティアマトは『違う、その奥のチームだ』と告げる

ドライズリー3人衆で見えなかったが、少し顔を動かして見てみると奥にいる冒険者を見て俺も溜息が出そうになる


ゼルディムが可愛く思えるくらいに面倒なチーム『イルドゥン』だ

もうヤンチャのなんのってねぇ…俺の1個上のチームなんだけどもシグレさんが卒業して彼らが最上級生になると虎の威を借りる狐のようにお調子者になったと学園で言われていた生徒の集まりだ

数は4人だ


リーダー格のエンリケにサイファー、ゼニス、オスカーだ


シグレさんは向かってくる不良としか喧嘩しなかったが、こいつらは気に食わない奴を見つけたら集団でボコボコにする変な奴らだ


教師にも手を上げて退学になって直ぐに消えたから平和は直ぐに来たけどね

冒険者の格好をしているけど冒険者じゃない、カードは作れないからだ

退学というレッテルがそうさせているからな


それにしても冒険者の格好をしているとは驚きだ

ちょこっと耳にした事はあるが森で会ったことがあるという冒険者がいたから冒険者みたいな生活をしている筈だ


しかし、換金はギルドでしか行えない

そこは謎だがな…

知らないリュウグウにそれを教えると、軽蔑した目で彼らを横目で見る


リュウグウ

『屑か』


汚い笑い声をあげる彼らを見て突き刺さる言葉だ


ティアマト

『別名、小物だ…なんだかんだシグレさんから離れて行動している』


クワイエット

『あああの人か、色々調べたけどシグレ君って凄いよね!普通の状態で戦えば勝機はありそうだけど』


彼は気難しい顔を浮かべた

普通?その意味を聞こうとすると、運悪く奥の席に座っていたイルドゥンがこちらに顔を向けた

どうやらクワイエットの元気な声が聞こえたらしい

しかし、一度こちらを振り向いただけだからセーフだ


頼む料理が決まると俺達は食べ物が来るまで再び会話が始まる


《俺は見学といこう》


アカツキ

『何がだ』


《まぁ独り言だ、明日は土曜だ…お前ら休みだろ》


リュウグウ

『私はティアと共に衣類の買い物だ、残念だなアカツキ』


何故、勝ち誇った顔をする

何を買うんだと聞くと『この変態が…』と言うのできっと下着だ

察した俺は否定できないので大人しくしておこう


ティアマトもリュウグウの反応でわかったのか、『ティアちゃんに好きな色を教えなくていいのか?』と茶化してくるとテラ・トーヴァが笑いだす


クワイエット

『普通の生活もいいもんだね』


アカツキ

『普通の?』


クワイエット

『僕はリゲルの村の孤児院にいたしさ、んでそこから色々無茶して聖騎士に入って強くなるために藻掻いてたからね…みんなの日常に似た時間を過ごすってなんだが退屈しないね、同じことの繰り返しじゃないって楽しいよ』


深く考えなくても、俺は彼が今が一番生き生きしているのだとわかった

誰にでも求める生き方があるんだ、彼は普通の日常

だからこそリゲルと意気投合していた点がある


先ほどの彼の言葉を聞くと、当分はここを出る気は無いように思える

ずっといてもいいんだ


そう感じていると、意外と早く料理が運ばれてきた

みんな揃って唐揚げ定食、この料理に不味いは無い


クワイエット

『じゃ食べよっか』


人間が欲を堪能する中で安易な時間が俺達に訪れた

出来立ての唐揚げ定食という料理でだ


それを食べようと、みんなでいただきますをした瞬間にテラ・トーヴァが《見学タイム》と言う

意味もなく彼が言う筈もなく、面倒臭い事が起きる



オスカー

『サービスしてやるよ』


意識から外してて気づかなかったなぁ

俺達のテーブル席の前に来たイルドゥンのオスカーは、タバスコを俺達全員の唐揚げるかけるかのように振りまくった


それは駄目だと思います



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