第148話 クワイエットさん 1
アカツキ・ライオット
☆アビリティースキル
スピード強化【Le5】MAX
気配感知 【Le3】
動体視力強化【Le4】
斬撃強化 【Le4】
☆技スキル
龍・開闢 【Le3】
刀界 【Le2】
居合突 【Le4】
光速斬 【Le3】
地斬鉄 【Le2】
☆魔法スキル
称号
無色斬鉄
☆称号スキル
スキル発動速度【Le1】
斬撃強化【Le1】
特殊技『断罪』
・・・・・・・・・
リリディ・ルーゼット
☆アビリティースキル
魔法強化【Le2】
打撃強化【Le5】
気配感知【Le3】
動体視力強化【Le3】
麻痺耐性【Le3】
スピード強化【Le3】
攻撃魔法耐久力強化【Le2】
☆技スキル
ドレインタッチ【Le3】
爆打 【Le2】
骨砕き 【Le1】
☆魔法スキル
風・突風 【Le3】
風・カッター 【Le3】
黒・チェーンデストラクション【Le2】
黒・シュツルム【Le3】
黒・ペイン 【Le1】
黒・アンコク 【Le1】
黒・グェンガー
称号
ハイ・クルーガー【黒】
☆称号スキル
魔法強化 【Le2】
自動魔法盾【Le2】
スキル発動速度強化【Le2】
魔力消費軽減【Le2】
特殊魔法『クラスター』
・・・・・・・・・・
ティアマト・ウロボリス
☆アビリティースキル
斬撃強化 【Le5】MAX
気配感知 【Le2】
毒耐性 【Le4】
耐久力強化【Le3】
動体視力強化【Le3】
スピード強化【Le4】
筋力強化 【Le2】
☆技スキル
連続斬り 【Le3】
真空斬 【Le2】
大地噴出断【Le1】
鬼無双 【Le2】
☆魔法スキル
火・パワーアップ
☆称号
バトラー
称号スキル
体術強化【Le1】
耐久力強化【Le1】
特殊技『ギロチン』
・・・・・・・・
ティア・ヴァレンタイン
☆アビリティースキル
安眠 【Le2】
魔法強化 【Le2】
気配感知 【Le5】MAX
麻痺耐性 【Le1】
動体視力強化【Le2】
スピード強化【Le3】
☆技スキル
☆魔法スキル
火・ラビットファイアー【Le3】
雷・ショック【Le4】
木・スリープ【Le2】
風・キュア 【Le2】
風・ケア
風・シールド【Le3】
白・ホーリーランペイジ【Le1】
称号
エクシア
☆称号スキル
デバフ強化 【Le3】
自然治癒 【Le2】
動体視力強化【Le3】
運 【Le4】
固定スキル 『天使』
特殊魔法 『デルタ・バルカン』
・・・・・・・・
リュウグウ・モチヅキ
☆アビリティースキル
突強化 【Le4】
スピード強化【Le4】
気配感知 【Le3】
動体視力強化【Le5】MAX
限界突破 【Le1】
☆技スキル
鬼突 【Le2】
三連突【Le3】
シャベリン【Le1】
ドレインタッチ【Le1】
稲妻花槍突【Le1】
槍花閃【Le2】
☆魔法スキル
称号
星渡(ホシワタリ)・女花
☆称号スキル
隠密 【Le3】
運 【Le4】
安眠 【Le2】
状態異常耐性【Le2】
スキル発動速度【Le1】
特殊魔法『ラフレイル』
・・・・・・・・・・
魔物表
A闘獣 金欲のアヴァロン(妖魔羊)、睡欲のモグラント(土駆龍)
A 呪王ジャビラス、ドミレディ
B デュラハン、将軍猪、閻魔蠍、鬼ヒヨケ、女帝蜂、ミノタウロス
サーベルタイガー、イエティ、ジャクラール
C ブラック・クズリ、トロール、ファングマン、侍ゾンビ
パペット・ハンマー、リザードマン、鉄鳥、マグマント
剣蜂、キラービー(単体D/集団のみC)、般若蠍、ベロヌェルカ
ロゴーレム、ニャン太九郎、魔妖精、チベタンウルフ、雷狼
D キングゴブリン、グランドパンサー、ゴーレム、ラフレコドラ、ケサラン
ソード・マンティス、黒猪、グレイバット、鎧蛇、棘巻トカゲ
リッパー、ゲロックロ、ハンドリーパー、ブー太(梟)
バイオレット
E コロール、エアウルフ、ハイゴブリン、エレメンタル各種
パペットナイト。ボロゴーレム、棘蜂、グール、グリーンマンティス
ゲコ(ヤモリ)、闇蠍、格闘猿(エド国)
F ゴブリン、ディノスライム、格闘猿、ゾンビナイト、風鳥
ゴースト、ウッドマン、ビリビリフラワー、眠花蜘蛛
角鼠、カナブーン ゾンビナイト、赤猪、棘鴉、オオダンゴ
ギョロギョロ、ゾンビランサー、シロオニバス、イビルハープ
・・・・・
クワイエットさんはニコニコしながら俺たちのいる丸テーブル席に座る
近くにリゲルはいない、目だけで探してみると一部の集まりがあり、その中心にリゲルがいた
どうやら剣の持ち方や振り方を軽く教えている
クワイエット
『幻界の森の魔物は今までの経験を無駄にさせる奴が多いよ』
ティア
『はい!聞きたい!ご飯奢るっ!何食べたいのクワイエットさん』
クワイエットさん
『そんなことしなくても教えるよ。だって戦力が減ったら僕らが帰れるかわからなくなる』
アカツキ
『クワイエットさんがそんな事を言うんですね』
クワイエット
『凄い森だよ。一応これだけは絶対に忘れないで…森の中で無音になったら直ぐに近くの仲間と共に背中合わせで周りを最大限警戒して、人間には聞こえない音波を広範囲に放って僕らの聴覚を麻痺させてから襲ってくる魔物がいるからさ』
なんだよそれ
魔物の中の獣は静かに忍び寄り、ある程度の距離まで迫ると飛び込んでくるってのが殆ど
猛獣じゃなくても、生物はそういった手段を自然と取る
しかしクワイエットさんの話だと、その苦労を全て否定するような方法で襲い掛かってくるという事だな
クワイエット
『2メートルのサイズの蝙蝠、魔物ランクは予想としてC…アンノウンだ。あれで同胞の大半が死んだ』
リリディはそのどうな攻撃を?と問う
するとクワイエットさんは険しい顔を浮かべ、腕を組むと答えたんだ
『口の中は棘だらけ、口をゴムのように広げて伸ばして後ろから頭を丸のみさ…噛み千切って素早く逃げるよ』
聞かなければよかったかも、しかもこの話には少し引っかかる点がある
それをティアは口にした
ティア
『クワイエットさん、その言い方だと幻界の魔物は気配が無いの?』
クワイエット
『無いよ、あれば数人死ぬだけで済んだ』
一番の問題だった
他にもどんな魔物がいるかなど彼は教えてくれたよ、彼は戦いながら魔物の特徴を吟味していたらしく、多分一番詳しいと話す
それでも幻界の森で出会った魔物はごく僅か、彼らは殆ど先へ行けなかったからだ
だが俺達は最深部に行く予定はない、飽く迄ロイヤルフラッシュ聖騎士長の欲するスキル
リュウグウ
『それしか魔物と出会ってないのか?』
クワイエット
『これだけさ。帰るのがやっとだったんだよ?』
ランクB コカトリス(巨大鶏)
ランクC アンノウン(巨大蝙蝠)、オオクチビル(巨大ヒル)、
ヘルディル(肉食浮遊魚)、イルズィオ(虹色のチョウチョ)
彼でも出会った魔物はこの程度らしい
だが生還しただけでも驚くよ
リリディはギルハルドの腹を撫でるのをやめると、ギルハルドは起き上がり背伸びをしてからクワイエットに顔を向けた
クワイエット
『そういえばこの猫と似た鳴き声は森の中で聞いたことあるけども姿は見てないな』
アカツキ
『ギルハル…いやヒドゥンハルトがいる可能性もあるんですね』
クワイエット
『いないことを祈りたいね。もしそれが森に入る僕たちに敵意を向けたらどうなると思う?』
非常に不味い
不意に来られたら防ぎようがないのだ
てかギルハルドは隠密スキルを保持しており、気配がわからない
知っているからこそ深刻な問題だと気づける
ティアマト
『一瞬で胴体を真っ二つとかされそうだしよ。ガードが間に合えばいいが…』
ティア
『気づくの遅れたら最後だよ、ギルハルド君すごい速いもん』
クワイエット
『こんなこと言いたくはないけど、ちゃんと街を堪能してから挑んだほうがいい…最後かもしれないんだ』
《そんくらいあそこはやべぇ、気を抜くと直ぐにあの世だぜ?》
どんな言葉も過剰とは思えない
クワイエットさんが真剣だと尚更そう感じてしまう
だが彼は直ぐにいつもの笑顔に戻ると、俺に顔を向けてくる
何か話す事でもあるのだおるかと身構えてしまったけども、簡単な話だった
クワイエット
『僕さっ!魔法強化スキル欲しいんだアカツキ君、しかも明日暇なんだっ』
すっごいウッキウキじゃないか
明日は仲間と色々な買い出しに出かける、まぁあれだ…休みじゃないが道具を揃える日
次の日が休みだ
買い物は昼過ぎには終わるし…まぁこの人には恩がある
これからもきっと協力的に接してくれるのは明らかな人間だ
《決まってんだろ兄弟》
アカツキ
『クワイエットさん、明日の夜開いているなら魔妖精討伐付き合いますよ』
クワイエット
『やったね!』
ティア
『てか聖騎士なのに魔法スキルも能力値高いってことなんですか?』
クワイエット
『僕はそうだよ?戦闘で引き出しが多いって便利だしね』
ティアマト
『確かにそうだな』
クワイエット
『リゲルには内緒だよっ?ゲットしてから自慢するんだ』
絶対、悪い人じゃない
なにやら今から楽しみにしているような雰囲気を出す彼は席を立ち上がると、手を振りながらリゲルの元に去っていく
ティア
『買い出し後、どうする?私はちょっと夕飯の買い出しもお兄ちゃんとしないといけないからいけない…』
残念そうな顔を浮かべる彼女よりも俺が一番残念だよ
これないのか…これないのか…
リュウグウ
『私は空いてるから付き合うぞ』
ティアマト
『俺も大丈夫だ』
リリディ
『すいません、僕は妹の買い物の付き合いが…』
リズちゃんか!ツンデレ系の女の子なんだよな
それは仕方ない
という事は、だ
俺とリュウグウそしてティアマトが明日の夜にクワイエットさんと共に北の森に行くって決定したことになる
ちょっと変わったメンツではあるが、面白い
リリディ
『明後日アカツキさんのお家にお邪魔しますね』
アカツキ
『どうした?』
リリディ
『妹がそろそろシャルロットちゃんを吸わないと死ぬって五月蠅いんです』
ああそうだった
リズちゃんって俺の妹を酷く気に入っているんだ
シャルロットがある意味では唯一人見知りしない人間の1人
ということは明後日はシャルロットが疲れるなこれ
アカツキ
『明後日か、了解だ』
リリディ
『夕方には帰ります、家で夜食があるので』
ティア
『そういえばグリンピア総合学園も冬休みだもんね』
リリディ
『なので平日でも妹は家にいたりブラブラしたりしますよ』
なるほどな、冬休み…か
《お前ら飯どうする?》
アカツキ
『俺は家だな』
ティアマト
『なら今日は適当な時間に解散だな。』
アカツキ
『だな。』
12月も終わりに近づく
みんな家族との用事が増えていくのは当たり前な事だ
大掃除とかの準備も俺はそのうちしないといけないし
ここでおさらいだ
リュウグウはわからないが他のメンバーの家族構成はこうさ
アカツキ・ライオット
シャルロット・ライオット ニート・妹
ゲイル・ライオット 父 警備兵長
キサラ・ライオット 母 主婦
ティア・バレンタイン 幼馴染
ルーファス・ヴァレンタイン ティア父 検問員
ローズ・ヴァレンタイン ティア母 主婦
シグレ・ヴァレンタイン ティア兄 警備兵
リリディ・リスタルト
リース・リスタルト リリディ母 主婦
クリス・リスタルト リリディ父 漁師
リズ・リスタルト リリディ妹 学生
ティアマト・レインスター
ギース・レインスター ティアマト父 弁護士
マーガレット・レインスター ティアマト姉 接客業
オムニバ・レインスター ティアマト弟 学生
近所を歩いていると出会う事は多々ある
まだティアマトの弟と出会ってないからコンプリートしていない
今年中に出会えるかな…
アカツキ
『ティアマト、オムニバ君は?』
ティアマト
『今頃きっと彼女とデートだ』
リリディ
『兄を熊に持つイケメンって小説を書きたくなりますね』
ティアマト
『熊に食われるメガネはどうだ?』
リリディはティアマトに追いかけられ、ギルドから出ていく
そんな2人をギルハルドが追いかけるが…
『ミャハン』
ティア
『じゃあねギルハルド君』
リュウグウ
『またな』
アカツキ
『リリディ頼むぞ』
本当にこいつは利口だ
振り返り、俺達に顔を向けると手を振るんだよ
直ぐに走っていくと、扉を自力で開けて出ていく姿も見慣れた
リュウグウはティアと外食らしく、なにやらリュウグウは我が物顔で俺を見てくる
別に悔しくはないぞ?女同士だもんな!
ティア
『じゃあねアカツキ君!』
アカツキ
『またな2人共』
女性陣もその場を去っていく
俺は1人になると、残り少ないサイダーを飲み干す
こうして次の日、道具類の買い出しが終わった後に俺とティアマトそしてリュウグウはそのまま北の森の入口へと向かう
門を警備する警備兵と軽く与太話をしていると直ぐにクワイエットさんが姿を現した
『お待たせ!リゲルはいないから大丈夫』
《あいつ何してんだ?》
『エーデルハイドのみんなとギルドの地下訓練場で稽古』
意外と忙しい男になったな
夕方まで時間はあるが、森で適当に時間を潰せば大丈夫だろう
クワイエットさんは欠伸をすると『出発だね』と笑顔を見せた
ティアマト
『眠いのか?』
クワイエット
『ウキウキして少し寝れなくて』
《えぇ…》
リュウグウ
『お前…遠足か?』
クワイエット
『あはは…、まぁそんな感じ』
まぁとりあえず森に入ろう
この前の大雪からあまり雪は溶けておらず、歩ける場所は限られていた
冒険者が踏み固めたであろう道を進み、真っ白な森の中を進む
気温はきっとかなり寒い。
だって朝起きたら窓が凍ってたし、今も肌が寒さで僅かに痛い
クワイエットさんはファー付きのモコモコした上着を来てるけど大丈夫かな?
アカツキ
『それどこで買ったんです?』
クワイエット
『服屋さん、この防寒具いいよね!ほういえば耳当てもある』
そんな馬鹿な
服屋の上着は冒険者用じゃなく一般的な服だから耐久性はない
フサフサした耳当ても絶対に違う。
だってハートのマークついてるもん!
この人がなんだか急にわからなくなってきたぞ?
リュウグウが引きつった笑みを浮かべているけど言葉を放つことはなかった
ティアマト
『…』
お前も驚きすぎだティアマト
んで川の下流に向かってみたら水面は凍っており、氷の下で川が流れている
かなり気温が低いという事だな
クワイエット
『森の動物と触れ合う時間だね』
《魔物だ》
クワイエット
『同じさ』
彼が川の向こうを指差す
すると珍しい魔物が姿を現したんだ
ユキンコという雪だるまの姿をした魔物は初めてだ
口や足は無く、軽く跳ねて移動する。
鞭に似た両手は左右共に3メートルも伸び、真ん丸い黒の大きな目
鳴き声は…
『コンコン!』
リュウグウ
『可愛いな』
凍った川を移動してこっち岸まで来たぞ
魔物ランクDの妖精種、魔妖精と同じ種族だ
持っているスキルが底ランクなのに氷魔法スキルと大変お得ですって以前にドラゴンさんが話していたな
『コン!』
雪だるまの姿をした魔物、ユキンコは体の周りに青い魔法陣を3つ展開し、その中からツララの形をした氷を出現させて飛ばしてきた
奴は肉弾戦は苦手だ、遠距離攻撃がメインだと魔物の本で書いていたが一応自身の目でどう戦う魔物か調べよう
ティアマト
『俺が見る』
俺より先に駆け出すティアマト
彼はユキンコが放つ『アイスランス』を片手斧で破壊すると次のアイスランスがティアマトを襲う
『見えるぜ』
口元に笑みを浮かべて口を開いたティアマトは1本を掴み、残る1本を避けた
手に持つツララを投げるとユキンコは鞭のような手でそれを弾いて砕くとティアマトから逃げるようにして後退しながらアイスランスを再び放つ
ティアマト
『近接は無理か?』
彼はそう呟き、アイスランスを全て避けながら一気に距離を詰める
だがしかし、目の前まで迫るとユキンコは鞭のような両手を使って彼を攻撃しようと仕掛ける
不規則な腕の動きが読みづらく、彼は目でそれを追っていたが途中で止めた
『来いよ』
『ココン!』
ユキンコの両手がティアマトを強く叩いた
甲高い音に俺は驚くが、痛そうな攻撃だ
しかし殺傷力はないと思える
ティアマト
『いってぇな!』
『ココ!?』
ティアマトはユキンコの両手を掴むと、軽く跳躍して顔面にドロップキックをお見舞いだ
んでユキンコの頭部が飛んでいく
一撃だが魔物ランクDだし当然だろう
『マジいってぇ!皮膚いってぇ!』
ティアマトは叩かれた体の箇所をさすりながら飛び跳ねる
相当痛かったんだな…俺の出番があるなら絶対に避けよう
クワイエット
『あははは!そいつの攻撃は痛いだけだけども凄い痛いよ?』
ティアマト
『先に言えやっ』
クワイエット
『まさか我慢すると思わなかったからね』
まぁ普通避けるし、仕方がない
リュウグウはユキンコの倒れた胴体から顔を出す魔石を回収すると俺に投げ渡す
次は私だ、と言わんばかりに槍を肩に担いで何度も無言で頷いているからわかりやすい
リュウグウ
『クワイエットは運動しないのか?』
クワイエット
『良い相手がいたらねぇ、気配感知は5あるから散策は任せて~』
ティアマト
『お…おぉ』
凄いな…テラ・トーヴァのスキル無しで気配感知が5か
しかもリゲルも5らしく、能力値は彼が僅かに上との事
獣王ヴィンメイとの戦いが終わってからだとリゲルに勝てるかわからなくなったなぁ、とクワイエットさんは嬉しそうに話す
そんな彼の顔を見ながら顔を沿うように歩いていく
足が膝まで埋まる、雪がだんだん深くなってるんだ
これは疲れる、怠い
クワイエット
『冬の夜の魔物も勿論知ってるよね?』
ティアマト
『ゾンビナイトだろ』
リュウグウ
『…それしかわからないのかお前』
ティアマト
『他にいるのか?』
クワイエット
『クネクネが冬に登場するよ、全長平均3メートル…柔軟な体をした棒状の魔物』
魔物ランクCのアンデット種
特殊スキルで瞬間移動し、対象に近づくと魔物の本で見たことがある
まさか冬の魔物だったとは知らなかった
魔物の本は熟知したつもりだが全てを覚えるのは頭の容量の少ない俺やティアマトには無理だったのだ
多分リリディも知らない筈
リュウグウ
『敵の背後に瞬間移動し、体を振って叩きつけてくる攻撃そして捕食攻撃だ』
立っている時のてっぺんが口だ、人間のような綺麗な歯をしているらしく
肉食系の魔物だとクワイエットさんが説明をし始める
その間、進む方角からゴブリン5体が積もった雪に苦労しながらもこちらに向かってきていたのでリュウグウが槍を持って対応し始める
クワイエット
『アンデット種の魔物が冬が多いよ…夜はね』
ティアマト
『普通…夏じゃないか?』
クワイエット
『本の見過ぎ、現実は冬さ…』
クワイエットさんはゴブリンを容易く倒していくリュウグウを見ながら静かに告げた
・・・・・・・・・・・・・・
アンデット種 冬
A 呪王ジャビラス、コックリ
B テケテケ、
C 侍ゾンビ、コンペール、クネクネ
D リッパー、シザーナイト
E グール 、
F ギョロギョロ、ゾンビランサー、 ゾンビナイト
ゴースト
・・・・・・・・・・・・・・
一通り教えてもらった
意外とアンデットって少ないんだなって呟いたら、クワイエットさんは『人が知るアンデットはこれくらいじゃない?』と意味ありげに答えた
ティアマト
『世界の全てを人は知ってるわけじゃねぇってか』
クワイエット
『ご名答!』
こうして17時を過ぎると日が暮れた
冬は本当に早いなぁ…と感じていると、クワイエットさんは比較的歩きやすいところで座って休み始める
ここは川の下流、先ほどから一切動いていないんだ
まぁ魔物が現れるまで話していただけだったよ
クワイエット
『ねぇねぇ!リゲルってさ…不器用なんだよ』
アカツキ
『唐突に何を言ってるんですか』
ティアマト
『言われずともわかるわ、性格からもう素直じゃねぇし』
リュウグウ
『そう言う意味で言ったんだクワイエット』
クワイエット
『彼1人暮らしはキッツイだろうねぇ…あ、僕もだ』
勝手に彼は溜息を漏らしだす
何を自爆したのかわからないが、聞きなおしてみると意外ではあったがなるほどと言える理由も添えて説明してくれた
戦うという1点に限り、全力を注いだリゲルとクワイエットは生活面では疎かだったのだ
片付けが出来ない、料理が作れない、掃除が出来ないの3点セット
それにはリュウグウさん、魔石を持ったまま引き攣った笑みを浮かてクワイエットを見ている
クワイエット
『聖騎士館に隣接してる宿舎で暮らしてたけど…洗濯は協会で雇っていたメイドさんしてくれるからそこは大丈夫!』
リュウグウ
『メイドがいたんだろ?』
クワイエット
『う…』
2人部屋リゲルと同部屋であり、宿舎にいた時はルドラに怒られながらも部屋の片付けをしたり掃除をしていたらしい
クワイエット
『特にリゲルには厳しかったなぁ』
ティアマト
『今ならその理由もわかるわな』
クワイエット
『そだね。…あれ?』
彼はふと背後を振り返る
するとニコニコしながら立ち上がり、背伸びをしてから剣を抜いた
《おはよ、寝てた》
アカツキ
『夜寝れるのか?』
《大丈夫だ…寝ぷてぇ》
ティアマト
『田舎用語か?』
《気にすんな熊五郎、それよりお前らのお目当てが3体来たぞ?》
ということは魔妖精か
俺達も武器を構えて待ち構えると、直ぐにそれは現れた
『ウフフフ』
ティアマト
『何笑ってんだコラ』
魔妖精、ランクCの妖精種
見た目は美人な魔女だが凍てついた目をしている
俺達と大差ない身長をし、僅かに浮遊してこちらに近づいてきていた
半透明、その時に攻撃は通じないがあっちもその状態では俺達に攻撃は出来ない
攻撃してくるときに実体化してくるから、それが攻撃のチャンスさ
リュウグウ
『1体残して倒すか』
《こいつら利口だ。1体だけになると逃げるぞ?》
クワイエット
『なら開幕ぶっぱだね!初めて見るなぁ僕』
アカツキ
『確かにクワイエットさんは初めてですが…半透明の時に放っても…』
《は?俺には関係ねぇよ?》
それなら問題ないか
不気味な笑みを浮かべたまま一定の距離で立ち止まっていた魔妖精は突然襲い掛かってくる
俺は素早く刀を鞘に強く納め、『開闢』と口を開いた
鞘から瘴気が前方に噴出すると、魔妖精たちは驚いて足を止めた
『これはボーナスゲームだ!』
正気の中からテラ・トーヴァの声が聞こえた瞬間、瘴気を吹き飛ばしながら彼が魔妖精に突っ込んでいった
鬼の仮面をした武将のような鎧、刀は熱を帯びたように赤くなっている
『ギョ!?』
美人に似合わない声を上げ、テラ・トーヴァの姿に驚き逃げようと背を向けるが、もう遅い
『お前らはタイプじゃねぇ、死ね』
テラ・トーヴァはそう告げ、横に薙ぎ払うようにして3体同時に斬り裂いた
甲高い悲鳴を上げながら煙と化して消滅していく魔妖精は発光した魔石を3つ残して消えてしまう
アカツキ
『一撃で3体確定は大きい!』
クワイエット
『凄い格好いい!2つ!2つ頂戴!』
俺は興奮するクワイエットさんに『どうぞどうぞ』と言い、仲間に顔を向けた
ティアマト
『俺は大丈夫だ、リュウグウの特殊技の事考えればお前だろ?』
リュウグウ
『助かる』
クワイエットさんとリュウグウは魔石のスキルを吸収すると、あからさまに機嫌が良くなる
テラ・トーヴァ
『これは借りの姿だ。クワイエット…リゲルと共に力を貸せ』
クワイエット
『君が戦神テラ・トーヴァかぁ!すっごいなぁ…いいよ!聖騎士じゃないし、アカツキ君達といれば暇しないだろうからね』
テラ・トーヴァ
『幻界の森、絶対に生還しろ』
彼はそう告げると、瘴気となって消えていった
リュウグウは『魔石はやる』と勝手にクワイエットに投げ渡したが、まぁいいかな
未来投資と思えは安いもんだ、これで終わりじゃないけどね
このタイミングで俺は幻界の森の情報、すなわりこの森の主である金欲のアヴァロンから聞いた話を彼に聞かせた
クワイエットさんは大変驚いていたけども、不思議と納得している様子だ
クワイエット
『闘獣級かぁ、絶対に遭遇しちゃいけないね』
リュウグウ
『逃げるしかないだろうな』
アカツキ
『だとしたら迷いたくはないな』
クワイエット
『神に祈るしかないね』
《残念だがその神とやらはお前らの話し相手になるのが精一杯だ》
クワイエット
『なんだか緊張するよ。…スキルありがとうね』
彼は俺に笑顔で告げた
あと1レベルでMAXだ!と張り切っているけど、MAXは凄いな…
1日1回限りの開闢、確定でスキルをドロップする強みはかなりの恩恵だ
俺達はこのまま街に帰ることとなり、方向転換して歩くことにした
スキップするクワイエットさんが先頭、凄い機嫌が良すぎだ
アカツキ
『街についたらその場で解散して真っすぐ帰るか』
ティアマト
『そうしようぜ?』
《その前にお前らにお客さんだな、敵意を持った人間がいる》
テラ・トーヴァの声は俺達3人に聞こえている
直ぐに武器を手にし、慎重に歩いて進むと奥の方に黒いローブを羽織った何者かが現れた
フードを深くまで被り、顔も見えない
1人だけなのに敵意が俺にも感じる
友好的とはかけ離れた人間を前に、俺は辺りを見回す
クワイエット
『左右の木の陰に2人ずつ隠れてる、3人か』
何故わかるのかわからん
俺達よりも驚く正面に立ちはだかる男は驚いた素振りを見せると頭を掻き、溜息を漏らす
何者だろうかと疑りながらも横目で左右を気にしていると、正面の者が口を開いた
『イディオットだな?恨みは無いが命令なのでな。お前以外を殺す』
男は腕を前に出すと、赤い魔法陣を展開する
完全なる敵、声は男だが若くはない
奴は赤い魔法陣の中からファイアーボールという火球を飛ばしてくる
シエラさんと同じサイズだ、大きい方だな…
唐突な戦闘には慣れてるからか、俺はみんなと前にいる男に駆け出し、違う事を少し考えてしまう
イディオットだけども、3人だけで1人は違う、とどうでもいい事を
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