第146話 幻想の森の闘獣とは
アカツキ・ライオット
☆アビリティースキル
スピード強化【Le5】MAX
気配感知 【Le3】
動体視力強化【Le4】
斬撃強化 【Le4】
☆技スキル
龍・開闢 【Le3】
刀界 【Le2】
居合突 【Le4】
光速斬 【Le3】
地斬鉄 【Le2】
☆魔法スキル
称号
無色斬鉄
☆称号スキル
スキル発動速度【Le1】
斬撃強化【Le1】
特殊技『断罪』
・・・・・・・・・
リリディ・ルーゼット
☆アビリティースキル
魔法強化【Le2】
打撃強化【Le5】
気配感知【Le3】
動体視力強化【Le3】
麻痺耐性【Le3】
スピード強化【Le3】
攻撃魔法耐久力強化【Le2】
☆技スキル
ドレインタッチ【Le3】
爆打 【Le2】
骨砕き 【Le1】
☆魔法スキル
風・突風 【Le3】
風・カッター 【Le3】
黒・チェーンデストラクション【Le2】
黒・シュツルム【Le3】
黒・ペイン 【Le1】
黒・アンコク 【Le1】
黒・グェンガー
称号
ハイ・クルーガー【黒】
☆称号スキル
魔法強化 【Le2】
自動魔法盾【Le2】
スキル発動速度強化【Le2】
魔力消費軽減【Le2】
特殊魔法『クラスター』
・・・・・・・・・・
ティアマト・ウロボリス
☆アビリティースキル
斬撃強化 【Le5】MAX
気配感知 【Le2】
毒耐性 【Le4】
耐久力強化【Le3】
動体視力強化【Le3】
スピード強化【Le4】
筋力強化 【Le2】
☆技スキル
連続斬り 【Le3】
真空斬 【Le2】
大地噴出断【Le1】
鬼無双 【Le2】
☆魔法スキル
火・パワーアップ
☆称号
バトラー
称号スキル
体術強化【Le1】
耐久力強化【Le1】
特殊技『ギロチン』
・・・・・・・・
ティア・ヴァレンタイン
☆アビリティースキル
安眠 【Le2】
魔法強化 【Le2】
気配感知 【Le5】MAX
麻痺耐性 【Le1】
動体視力強化【Le2】
スピード強化【Le3】
☆技スキル
☆魔法スキル
火・ラビットファイアー【Le3】
雷・ショック【Le4】
木・スリープ【Le2】
風・キュア 【Le2】
風・ケア
風・シールド【Le3】
白・ホーリーランペイジ【Le1】
称号
エクシア
☆称号スキル
デバフ強化 【Le3】
自然治癒 【Le2】
動体視力強化【Le3】
運 【Le4】
固定スキル 『天使』
特殊魔法 『デルタ・バルカン』
・・・・・・・・
リュウグウ・モチヅキ
☆アビリティースキル
突強化 【Le4】
スピード強化【Le4】
気配感知 【Le3】
動体視力強化【Le4】
限界突破 【Le1】
☆技スキル
鬼突 【Le2】
三連突【Le3】
シャベリン【Le1】
ドレインタッチ【Le1】
稲妻花槍突【Le1】
槍花閃【Le2】
☆魔法スキル
称号
星渡(ホシワタリ)・女花
☆称号スキル
隠密 【Le3】
運 【Le4】
安眠 【Le2】
状態異常耐性【Le2】
スキル発動速度【Le1】
特殊魔法『ラフレイル』
・・・・・・・・・・
魔物表
A闘獣 金欲のアヴァロン(妖魔羊)、睡欲のモグラント(土駆龍)
A 呪王ジャビラス、ドミレディ
B デュラハン、将軍猪、閻魔蠍、鬼ヒヨケ、女帝蜂、ミノタウロス
サーベルタイガー、イエティ、ジャクラール
C ブラック・クズリ、トロール、ファングマン、侍ゾンビ
パペット・ハンマー、リザードマン、鉄鳥、マグマント
剣蜂、キラービー(単体D/集団のみC)、般若蠍、ベロヌェルカ
ロゴーレム、ニャン太九郎、魔妖精、チベタンウルフ、雷狼
D キングゴブリン、グランドパンサー、ゴーレム、ラフレコドラ、ケサラン
ソード・マンティス、黒猪、グレイバット、鎧蛇、棘巻トカゲ
リッパー、ゲロックロ、ハンドリーパー、ブー太(梟)
バイオレット
E コロール、エアウルフ、ハイゴブリン、エレメンタル各種
パペットナイト。ボロゴーレム、棘蜂、グール、グリーンマンティス
ゲコ(ヤモリ)、闇蠍、格闘猿(エド国)
F ゴブリン、ディノスライム、格闘猿、ゾンビナイト、風鳥
ゴースト、ウッドマン、ビリビリフラワー、眠花蜘蛛
角鼠、カナブーン ゾンビナイト、赤猪、棘鴉、オオダンゴ
ギョロギョロ、ゾンビランサー、シロオニバス、イビルハープ
・・・・・・・・・
ティアと変な形でお互いファーストキスを迎えた3日後だ
イディオットの仲間と共に北の森に来たのだが
雪が凄くて歩く道が少なく、まるで一本道だ
赤騎馬ブルドンの背中でギルハルドは欠伸をしながら寛いでおり、楽をしている
ちなみにこいつが従えたニャン太九郎は獣王ヴィンメイ討伐後に解放して森に去っていったよ
リリディも流石にあの数のパートナーになるのは無理だろうし
先頭を歩くはティアマト、体を早く動かしたいからと前衛は彼になっており、その後ろを俺たちがついていくような形になってる
冬だが快晴、空は青くて森は真っ白
多少は肌寒いけども心地好さもある
リュウグウ
『魔物の気配はないな』
ティアマト
『冬眠か?』
リリディ
『あなたは冬眠しないんです?』
ティアマト
『埋めたろか?』
ティア
『まぁた始まった~』
今日も調子の良いやり取りを聞かされながらも森を歩いていると、バーグさん率いる夢旅団が前からやってくる
彼らはゾンビナイトの持つ、スキルの斬擊強化目当てで早朝から森に来ていたらしく、せっせと頑張って倒したがスキルをゲット出来なかったとバーグさんは落胆しながら話す
フルデ
『次あるわよ』
ドラゴン
『んだんだ!』
バーグ
『明日は曇らないかなぁ』
確かにそれしか今の季節だと手はない
斬擊強化となるとソードマンティスにゾンビナイトがスキル保持として代表的、剣を武器に使っているハイゴブリンやキングゴブリンでも会得可能だがゴブリン種の持つ武器はランダムであり、剣の可能性は低い
となるとソードマンティスかゾンビナイト
虫種のソードマンティスは冬に現れない、ゾンビナイトは日中の太陽が出ている時は現れないから冬だと日暮れか早朝、あとは曇りの日しかチャンスはない
同情しつつも街に帰る夢旅団の背中を見守り、俺達は森を進む
ティア
『あ、前から3体だね』
ティアマト
『うっし!』
ようやく最初の魔物か
自然と俺達は左右に視線を向けて別の魔物の奇襲に備えていると、森の奥からランクEのコロール3頭が現れる
今の俺達からしてみれば鈍足な魔物にしか見えないが油断は出来ない
そうこうしているうちにティアマトが駆け出し、コロール3人が鉄鞭を振り回しながら彼に襲い掛かる
多少のごり押しが効くと知って、ティアマトは一気に先頭のコロールの目の前に到達すると攻撃させる前に体当たりをし、吹き飛ばすと後ろにいたコロール諸共転倒する
『コロロ!』
『おせぇ!』
近くにいたコロールが鉄鞭をティアマトに振り落とすが、なんと彼はそれを手で掴んで防いだのだ
ギョッとするコロールだが、その間にティアマトは反対の手に持つ片手斧でコロールの首を刎ね飛ばす
『パワーアップ!』
彼は叫び、自身の体を赤く発光させる
これは以前に入手したスキルであり、筋力を一定時間上昇させる効果を持つ
立ち上がるコロールは鉄鞭を振り回すが、筋力強化されたティアマトの片手斧に軽く弾かれると素早く胴体を斬り裂かれて倒れていく
残るコロールの鉄鞭の振り回しを腕を掴んで止め、奴の頭部に斧をめり込ませてから蹴り飛ばす
あれは一撃だろうな
ティアマト
『案外いいスキルだな』
ティア
『ティアマト君にピッタリだと思うよ』
リリディ
『多少のごり押しも安易にできますね』
《まぁあとは筋力強化さえ熊五郎が持てば言う事なしだ》
ティアマト
『筋力強化か、確かトロールか』
《ドロップ率は1%より低いが、そこは俺を使えば問題ねぇな》
トロールは他にも別なスキルを持つ
そこはランダムだから運頼みでもある
リュウグウ
『魔石も光らず、か』
リリディ
『普通は簡単に出ませんからね、アカツキさんの開闢に慣れるとどう感じます』
ティア
『でも私達の運スキルの相乗効果もあってドロップ率も上がってるから期待してもいいかもね』
彼女はそう言いながらも3つの魔石を回収し、ブルドンの背中のバッグに入れる
それにしても…だ
もう冒険者Bランクのチームかと思うとちょっと嬉しい反面、身が引き締まる思いだ
Aになる為にはかなり難しいのはクローディアさんから聞いている
Bランクの魔物を倒すだけじゃダメなんだ
Aという人が踏み入れてはいけないと言われている力を持つ魔物を1体倒さないとなれないのだ
その前にBランクの魔物をある程度、倒さないといけない
ミノタウロスや鬼ヒヨケ、閻魔蠍を倒しているしこの前はヴィンメイとの決戦でサーベルタイガーを倒している
あとはAという魔物だ
それは普通の冒険者として行動しても決して出会う事はない
来月に行くであろう幻界の森、そこにきっといるはずだ
あそこの主はAの可能性が高い、いや…きっとAだ
色々考えながら森の中を歩いていると、降り積もった雪に足を取られながらゴブリンが5体こちらに向かってきているのが見えた
凄い大変そうだ、しかも汚い上着を羽織って短剣を手に必死になっている
彼らも寒いのだから何かを着る習性があるんだなと思っていると、隣にいるティアが右手を伸ばして赤い魔法陣を出現させる
『ラビットファイアー!』
魔法陣から5つの熱光線が甲高い音を響かせて一気に飛んでいく
足場の悪さに回避が出来ないゴブリン5頭は1発ずつそれに命中して燃え盛りながら倒れていく
『命中っ』
ガッツポーズをするティアだが
そんな彼女をテラ・トーヴァが評価する
《中々に良いじゃねぇかティアお嬢ちゃん。ラビットファイアーは安易に敵に命中させるのは本来難しいんだ》
アカツキ
『そうなのか?』
《お前らも覚えればわかる。1発当てるのも難しいだぞ?かなりの集中がないと5発全部を当てるって出来ねえ…。お前らと戦いながら当てるべき場所に当てていただろ?かなり精神的に疲れる筈さ、ちゃんと労えよ?》
ティア
『集中するのは得意だしね』
俺達5人の中では確実に頭が良い彼女は学園では成績がかなり優秀だったし。納得できる
しかし知らなかったな…。ラビットファイアーって当てるの難しいんだなぁ
リュウグウ
『お前ら男3人が使ってもあらぬ方向に行きそうだな』
リリディ
『でしょうね』
ティアマト
『だな』
皆、僅かに口元に笑みを浮かべて返事をする
ティアもかなり頑張ってくれているという事だな、流石ティアだ
ちょっとした笑いが生まれた雰囲気だったが
それは話の中心にいたティアの顔色が変わることで終わりを告げる
『何これ…』
《がはははは!今更登場かよぉ!お前ら堂々としてな!勝てないからなぁ》
ティアの体が強張っている
何が現れたのか俺達にはわからないが彼女の様子は異常過ぎる
直ぐに全員がその場で構えだすと、俺達にもその気配が感じ始めた
急に息苦しくなり、汗が止まらない
体の中心がキンキンとしている
体の自由もままならないが、俺達はこの異常な気の強さを感じたことがある
ブルドンは不思議と暴れる様子もなく、ギルハルドも冷静な状態で森の向こうを見つめるだけだ
ティアマト
『ヴィンメイが来た時に出てきてほしい野郎なんだがなぁ』
リュウグウ
『この桁違いな気配』
ティア
『かかっていったら駄目、祈るしかない』
仲間内で会話をしていると、森の奥から重たい足音が聞こえてくる
木々に降り積もる雪が落ちる音もあるが、大きいのだろう
深呼吸をしたまま気を落ち着かせていくと、それは現れたのだ
手足が異様に長い2足歩行の羊の化け物、腕には高価そうな金色の腕輪、首には金色に光るネックレスなどを身にまとう変わった魔物が歩いてきたのだ
敵意はないと見てわかる
魔物Aランクの中でも闘獣と言われる1体だ
金欲のアヴァロンという全長3メートル以上の魔物だ。ヴィンメイより僅かにでかい!
『ニャハハン』
不意にギルハルドがアヴァロンを見て鳴いた
それによってアヴァロンは足を止め、俺達の前で首を傾げながら口を開いたんだ
『ヒドゥンハルトを従える冒険者とは…。はて?貴様らはどこかで会った気がするが気のせいか』
どうやら以前の俺達に眼中になかったらしい
だが変に話しかけてしまうと戦う羽目になるのだろうかと不安がよぎる
それだけは絶対に避けたい
《よぉアバっち》
『その声はテラ殿か…』
よし!活路発見
互いの関係が今の一言で理解できたぞ!
俺は余裕が生まれ、肩の力を僅かに抜くと2人が会話を始めた
《分け合ってほにゃらら》
『なるほど、貴殿はまた厄介ごとに中心にいるのですな』
《本当はここで無駄に暴れていた獣王ヴィンメイという獅子人族を倒してほしかったけどな》
『それは気が利かず申し訳ない、しかしテラ殿…あ奴は遠くからでも存在は感知しておりました。ここは我の住まう森、その全てを把握するなど容易い』
《なぁんで傍観してたんだ?》
『結果がそれを物語っています。我が出る幕はない・・単純な奴はつまらないという事です。だからあいつは死んだ。』
《1月の初めごろに幻界の森に行く用事がある、そん時は邪魔しないでもらえると嬉しいなぁ》
『わかり申した。しかしあそこには闘獣に匹敵する魔物がが縄張りとしている世界、人間が入ったら生きて帰れるとは思えませぬ。まして最深部まで行ったならば自殺行為』
《マジか?以前は蛇龍だろう?あれがやられたのか?》
『たかがAの龍の姿を真似た蛇、それを倒したのですぞ』
話しの内容がついていけない、しかし俺達にとっては生きるための情報
テラ・トーヴァがそれを話しているのだ
闘獣となれば戦わなくて済む可能性は高い、テラは理由はわからないが仲が良いからだ
しかし、アヴァロンはその期待を潰す言葉を放ったよ
『貴方様の知らぬ特殊個体です、目に映る全てを奴は殺す…。貴方がいると言ったとしても彼には関係ないのです、我は勧めませんな…行くことを』
《俺の知らない野郎かよ》
『新参者だが実力は確かです。森に向かうならば向かう者に遺言書くらい書かせた方がいいでしょう。それでは我は散歩の途中なので失礼します』
テラ・トーヴァと話しているつもりだろうが、アヴァロンが何故か俺に頭を上げてくる光景が凄い怖い
背中を向けるアヴァロンは森に歩いていくがテラ・トーヴァが珍しい事を口にしながらも彼を呼び止める
《待て!せめてこいつらに何がいるか教えないと不味い!何があの森にいる!》
こんな事、初めてだ
テラ・トーヴァが俺達に情報を与えようとしている
しかしその願いは聞き届けられなかったのだ。
アヴァロンは振り向くと、ヒントだけを口にする
『この森の声も奴は聞いています。聞かれたら面倒なので言う事は出来ませぬ…奴は死や呪い、絶望、幻影、地獄の根幹とも言われる存在…魔法スキルは光と黒以外は無効。我なら肉弾戦に持ち込めば勝つ見込みはありますが遠距離からの魔力を使ったのなら、いかに我でも苦しい戦いになるでしょうな』
彼は握り締めた手を前にし、開くと同時に『ボンッ』と呟いてから森の中に消えていく
静かにたたずむ俺達は一言目が選べない
何がいるんだという答えの出ない葛藤が脳裏を支配していた
《俺の知らん奴がいるらしいな》
ティア
『特殊個体って言ってたねテラちゃん』
《ああ…、俺はひと際強くて知能が高い魔物を選び、闘獣として比較的気性が荒い魔物が多い森の主として辺り一帯の魔物を大人しくさせるようにさせているのだが、どうやら俺が知らぬ間にとんでもないのが生まれたらしい》
アカツキ
『俺達の会話ももしかしたら聞かれているって本当なのか?』
《アバッチが言うんだし本当だろう。だが闘獣並みの力を持つってなんだ…ヒントしか口にしなかったぞ》
リュウグウ
『死、呪い、絶望、幻影、地獄の根幹か』
ティアマト
『どんだけの野郎がいんだよ』
アカツキ
『それは考えなくてもわかるだろう』
ティアマト
『ゾンネと戦った方がマシなレベルかよ』
その可能性は高い
魔物の名前だけでも教えてもらえればよかったのだが
それも無理だった。
だがある意味ギリギリまでアヴァロンはヒントをくれたようだ
ある程度奴が離れたおかげで俺達の緊張をほぐれていく
未知すぎる森である幻界の森
そこには人が知らない魔物が数多くいると言われているから魔物の本にも乗っていないような奴がいる可能性は高いだろうな
光と黒の属性以外の魔法スキルは無効、物理攻撃は?わからないな
アカツキ
『今は考えてもキリがない、忘れよう』
《そうすっか。》
こうしてある程度の魔物を討伐し、ギルドに戻った
そろそろ今年が終わる事だし冒険者も早めに休む者がいるからロビーにはいつもの半数しか人はいない
今日の稼ぎ、金貨3枚に銀貨4枚そして銅貨8枚
受付で報酬を貰い、溜息を漏らすとアンナさんがニコニコしながら話しかけてくる
『来年から剣術や近接戦闘の教習がうちのギルドで儲けられるんですがどうですか』
『へっ?初耳ですけどもそうなんですか?』
『熟練した人にうちのギルドが掛け合ってみたらオッケーと言ってくれたんですよぉ』
熟練者?バーグさんかな
いやグリンピアの街の中に人とは限らないから難しいな
『アンナさん、誰です?』
俺は思い切って聞いてみると、背後から俺の頭部を手刀で叩き手から話しかけてきた
『俺だよ』
頭がちょっと痛いが加減してくれたか
まさか…リゲルかよ!!!!
彼は自慢げな様子を見せながら腕を組んで俺を見ている
こいつならば確かに適任だ、ここのギルド職員もそれを知って依頼したのだろう
ここは地方だが栄えている街での冒険者ギルドにはこういった講習な実践訓練を行う場合は珍しくない
常時執り行われているところも多いんだよ
でもここじゃそんな事してくれる人が今までいなかったんだ
クローディアさんとか適任っぽいけども『面倒くさい』って言ってたしやりたくなかったのだろう
アカツキ
『んで、依頼料は?』
リゲル
『実技のみ、参加料は銀貨1枚で俺の報酬はその日の参加人数の半分さ。今後冒険者になるだろう対象に限り学生証提示で学割発生の銅貨5枚、毎週土曜だ』
アカツキ
『ギルド職員になるつもりか?』
リゲル
『まぁその手もあるだろうがまだ興味はねぇよ。お前も気が向いたら来るが良いさ…ボコボコにしてやるぞ』
冗談じゃなく、マジでしそう
彼は機嫌良くしながら俺から去って2階に上がっていく
時刻ももう17時で外は暗い
俺は丸テーブル席に座る仲間の元に向かい、ティアに換金したブツを渡すと『へっへっへ~』とか面白い反応を見せながら受け取る
ティア
『武器のメンテナンスとかそろそろだね。防具もする?』
アカツキ
『俺は構わない、みんな大丈夫か?』
グリンピアに帰ってからそういやしてない
そろそろ頃合いだろうとティアが言うので、そうするべきだと俺も思う
あとは森に行ったときに消費した道具類の買い出し、それは女性陣に任せるしかない
男3人は何が必要かわかんなくて無駄に買い込むからだ
それで以前、ティアに注意されて彼女含むリュウグウが必需品の買い物を任せてる
アカツキ
『光粉はある』
ティア
『いつ買った奴?』
アカツキ
『春だ』
ティア
『多分湿ってる…』
ふむ…
俺はティアマトの背中に背負うバッグの中に入れていた小さな布袋を手にしてから中身の光粉を見てみる
見た目は普通の粉だが、僅かに魔力を込めて投げると発光して辺りを照らしてくれるんだ
一部を手にして魔力を込めてみると、光量が小さい
これは買い直すしかないようだなと溜息を漏らす
アカツキ
『これは勿体ないし早めに使うか』
ティア
『そだね、それも明日買いに行かないと。』
リュウグウ
『干し肉もないぞティア』
ティア
『え?なんで!?』
リュウグウ
『熊が勝手に食うしメガネがギルハルドに与えている』
『ミャハハーン』
ティア
『これ緊急時の食べ物っ食べ物っ!』
リリディとティアマト、苦笑いしながら頭を掻く
干し肉は冒険者の中では遭難状況で食べる保存食みたいなもんだけども意外と美味しいから酒のつまみにする人も多い
バーグさんもモグモグしながらロビーで食べている時を何度か見たな
《自身で使うのは自分で買っとけ…》
リリディ
『そ…そうします』
ティア
『でもギルハルド君は別にいいかも』
リリディ
『むっ!ふふふふ』
ティアマト
『おっ…俺はっ』
ティア
『駄目っ』
ティアマト、テーブルに伏せる
面白おかしい光景を見ていると、レオンという2つ年上の不良冒険者が凄い顔を真っ青にしながらギルドの入口を強く開けて現れた
大きな音にロビー内の冒険者は一斉に彼に顔を向けるが。なんだか様子がおかしい
森に強い魔物でも現れたのか?帰れないほど怪我をした冒険者がいるのか
俺達は自然と椅子を立ち上がり、何が来てもいいように身構えると彼の口から予想外過ぎる内容が告げられる
レオン
『シグレが来る!悪魔が来るぞ!』
俺達は無言のまま、座る
何故来るのか疑問だけども冒険者達を見ると凄いソワソワし始めている
あ、ちなみにこのレオンって人だけど
シグレさんと同期であり、番長を目指してシグレさんに挑み、瞬殺された過去がある
まぁ聞いた話だけどね
『シグレかよ…とうとう暇を持て余して俺達を相手にサンドバックか?』
『いや悪い事してねぇよ…。なんでくるんだよ』
『死体袋用意するか?』
『俺は寝たふりするぞ』
そんな声が聞こえる
するとそのシグレさんがレオンの背後から現れる
誰もが彼に視線が注がれ、肝心のレオンはぎこちなく振り向くとその体が緊急停止して固まる
シグレ
『邪魔だよ?』
シグレさん、笑顔で口を開くとあえて彼を避けてロビー内に歩く
何をしに来たのか、俺達は眺めているとシグレさんは堂々と中央まで行って足を止めて口を開く
『鍛冶屋から聞いたんだけど、強引に値切ろうとした冒険者がいたって話を聞いたんだよね。半分脅しっぽかったとも話していたんだけど…』
ティア
『オトヒメちゃんとこだね』
オトヒメちゃんか!
俺達と同期、ティアの親友だ
俺としてはティアとオトヒメちゃんが可愛い子の双璧だと思ってる
しかし、ティアにはシグレさんという強固過ぎる守りがあるため。言い寄られたりされないのでオトヒメちゃんに人気が集中していたのを俺はハッキリ覚えているさ
レオン
『あ…あ…』
あれ?可笑しいぞ?レオンの挙動が可笑しい
目が泳いでいる、あれはバタフライ並みに目が泳いでいる
顔から滝のように汗が流れているけども、なんだか答え合わせしているみたいで面白い
シグレ
『お前か』
レオン
『あ…あ…』
シグレ
『今すぐ謝りに行かないと妹から貰ったスティンガーを君の尻に向かって試し…』
言葉を言い終わる前にレオンは光の速さで外に走っていった
自分たちに被害が来ないと知るや、冒険者達はホッと胸を撫でおろす
ティア
『いちいちお兄ちゃんダイナミックだよね』
リリディ
『現れるときに凄い殺気放たないでほしいんですけど…』
リュウグウ
『凄い気の放ちだなティア』
ティア
『慣れれば普通だよ?』
ティアマト
『普通慣れないぞ?』
《とんでもねぇ野郎だ》
でもそんなシグレさんは何やらウキウキしている、あれだ…ティアが誕生日プレゼントで上げたスティンガーを手に笑っているから嬉しかったのだろう。余韻に浸っているみたいだ
シグレさんが振り返り、その場を後にしようとするとまた面倒で興味がある光景が訪れようとしていた
『騒がしいな』
『そうだね』
2階から階段を降りて口を開いたのはクワイエットさんとリゲル
冒険者がギョッとした顔を浮かべて彼らに視線を向けると、シグレさんも声に気づいて足を止める
シグレさん振り向きもせず、不気味な笑みを浮かべていた
それは誰が現れたか理解したように思える
『今日は暇しないかも』
悪魔の囁きがシグレさんの口から言い放たれた
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