第127話 将軍猪 2

アカツキ・ライオット


☆アビリティースキル

スピード強化【Le5】MAX

気配感知  【Le3】

動体視力強化【Le4】

斬撃強化  【Le4】



☆技スキル

龍・開闢  【Le3】

刀界    【Le2】

居合突   【Le4】

光速斬   【Le3】

地斬鉄   【Le2】


☆魔法スキル


称号

無色斬鉄


☆称号スキル

スキル発動速度【Le1】

斬撃強化【Le1】

特殊技『断罪』


・・・・・・・・・


リリディ・ルーゼット


☆アビリティースキル

魔法強化【Le2】

打撃強化【Le5】

気配感知【Le3】

動体視力強化【Le3】

麻痺耐性【Le3】

スピード強化【Le3】

攻撃魔法耐久力強化【Le2】


☆技スキル

ドレインタッチ【Le3】

爆打  【Le2】

骨砕き 【Le1】


☆魔法スキル

風・突風   【Le3】

風・カッター 【Le3】

黒・チェーンデストラクション【Le2】

黒・シュツルム【Le3】

黒・ペイン  【Le1】

黒・アンコク 【Le1】

黒・グェンガー


称号

ハイ・クルーガー【黒】


☆称号スキル

魔法強化 【Le2】

自動魔法盾【Le2】

スキル発動速度強化【Le2】

魔力消費軽減【Le2】

特殊魔法『クラスター』



・・・・・・・・・・

ティアマト・ウロボリス


☆アビリティースキル

斬撃強化 【Le4】

気配感知 【Le2】

毒耐性  【Le4】

耐久力強化【Le3】

動体視力強化【Le3】

スピード強化【Le4】

筋力強化  【Le2】


☆技スキル

連続斬り 【Le3】

真空斬  【Le2】

大地噴出断【Le1】

鬼無双  【Le2】


☆魔法スキル


☆称号

バトラー


称号スキル

体術強化【Le1】

耐久力強化【Le1】

特殊技『ギロチン』



・・・・・・・・

ティア・ヴァレンタイン


☆アビリティースキル

安眠    【Le2】

魔法強化  【Le2】

気配感知  【Le5】MAX

麻痺耐性  【Le1】

動体視力強化【Le2】

スピード強化【Le3】


☆技スキル


☆魔法スキル

火・ラビットファイアー【Le3】

雷・ショック【Le4】

木・スリープ【Le2】

風・キュア 【Le2】

風・ケア 

風・シールド【Le3】

白・ホーリーランペイジ【Le1】


称号

エクシア



☆称号スキル

デバフ強化 【Le3】

自然治癒  【Le2】

動体視力強化【Le3】

運     【Le4】

固定スキル 『天使』

特殊魔法  『デルタ・バルカン』


・・・・・・・・


リュウグウ・モチヅキ


☆アビリティースキル

突強化   【Le4】

スピード強化【Le4】

気配感知  【Le3】

動体視力強化【Le4】

限界突破  【Le1】


☆技スキル

鬼突 【Le2】

三連突【Le3】

シャベリン【Le1】

ドレインタッチ【Le1】

稲妻花槍突【Le1】

槍花閃【Le2】


☆魔法スキル


称号

星渡(ホシワタリ)・女花


☆称号スキル

隠密 【Le3】

運  【Le4】

安眠 【Le2】

状態異常耐性【Le2】

スキル発動速度【Le1】

特殊魔法『ラフレイル』


・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・

魔物表


A闘獣 金欲のアヴァロン(妖魔羊)、睡欲のモグラント(土駆龍)


A 呪王ジャビラス、ドミレディ


B デュラハン、将軍猪、閻魔蠍、鬼ヒヨケ、女帝蜂、ミノタウロス

  


C ブラック・クズリ、トロール、ファングマン、侍ゾンビ

  パペット・ハンマー、リザードマン、鉄鳥、マグマント

  剣蜂、キラービー(単体D/集団のみC)、般若蠍、ベロヌェルカ

  ロゴーレム、ニャン太九郎、魔妖精、チベタンウルフ、雷狼


D キングゴブリン、グランドパンサー、ゴーレム、ラフレコドラ、ケサラン

  ソード・マンティス、黒猪、グレイバット、鎧蛇、棘巻トカゲ

  リッパー、ゲロックロ、ハンドリーパー、ブー太(梟)

  バイオレット


E コロール、エアウルフ、ハイゴブリン、エレメンタル各種

  パペットナイト。ボロゴーレム、棘蜂、グール、グリーンマンティス

  ゲコ(ヤモリ)、闇蠍、格闘猿(エド国)


F ゴブリン、ディノスライム、格闘猿、ゾンビナイト、風鳥

  ゴースト、ウッドマン、ビリビリフラワー、眠花蜘蛛

角鼠、カナブーン ゾンビナイト、赤猪、棘鴉、オオダンゴ

ギョロギョロ、ゾンビランサー、シロオニバス、イビルハープ


・・・・・・・・・







俺は光速斬で突っ込んだ

将軍猪が気づく前に奴の後ろ足を切断できるかと思ったが、あまりにも太い筋肉に阻まれてそれは無理だった

しかし斬撃強化スキルも相まって深く斬り裂くことができると、将軍猪は悲鳴を上げながら横ばいに転倒する


一斉に仲間が飛び出してくると、俺は飛び退いた


『リリディ!』


俺は叫んだ

リリディは起き上がろうとする将軍猪に向けて走り込みながら右手を伸ばし、黒い魔法陣を出現させるとシュツルムを放った

黒弾は将軍猪の顔面に命中し大爆発が起きると奴は巨体を転がして吹き飛んだ


『ブヒィィィィィ!』


悲鳴じゃない、怒りの声に近い

何もさせないで倒したいところだが将軍猪は体から血を流しながら鬼の形相で立ち上がる

素早く俺が前に立つと、奴は俺を睨んだ瞬間に一気に突っ込んできた


『うわっ!』


後ろ足を斬った筈なのに衰えを感じさせない

俺は間一髪避けると、将軍猪は木に激突してへし折る

凄まじい破壊力に誰もが口を開けて驚く


あんなの一撃でも食らえば即死だ

しかもあの激突でも普通にこちらに振り返ってきたぞ


『槍花閃!』


リュウグウが振り返り様の奴に向かって槍から光線を放つ

黄色い光線は将軍猪の前足を貫いた

しかしバランスを崩すことなく再び突進を始める将軍猪は俺に向かって走ってくる


『こいつ元気すぎるぞ!』


『頑張れアカツキ!』


『くそっ!』


ティアマトの声援もあまり頭に入らないくらい俺は焦っている

将軍猪の2本の角、あれは恐ろしいな

木を背にし、ギリギリで真横に飛んで避けると将軍猪は簡単に木をなぎ倒した


ティアのラビットファイアーとティアマトの真空斬が奴の背中に命中するが

燃えることはなかった

真空斬は背中を斬り裂き、血を流すことが出来た


『毛って燃えないんだ…』


ティアが苦笑いを浮かべ、振り向いてきた将軍猪と目があってしまう


『ブギッ!ブギュァァァァ!』


ティア

『やばっ!』


彼女は右手を上に伸ばし、指輪の力で真上に飛翔したのだ

なんて便利な道具なんだと再び感じるよ

将軍猪は足を止め、上に飛び上がったティアに顔を上げた

それは良い隙だな!


『おらぁぁぁぁぁ!』


『ニャハハン!』


『槍花閃!』


ティアマトが将軍猪の背後から飛び上がると、頭部に片手斧を振り落とした

それは深く食い込み、ティアマトは両手で必死に掴んで暴れる将軍猪から振り落とされまいと馬乗りになる


ギルハルドが腹から取り出した小刀で将軍猪の体中を切り裂き、リュウグウの槍花閃は将軍猪の側面を貫く


『止まらねぇぇぇ!』


ティアマトが危ないな

しかしティアも危ない

彼女はゆっくり降下しているが、真下は将軍猪

攻撃しようとしても、ティアマトが邪魔だろうな


リリディ

『斧抜いて逃げてください!』


ティアマト

『抜けねぇ!』


抜けないか

となると暴れてる隙にやるしかない

将軍猪は頭部から血を吹き出しながらもティアマトを振りほどこうと必死だ


だからこそ今の将軍猪はただの的


リリディが緑色の魔法陣を発生させ、そこから緑色をした円状の刃2つを飛ばし、将軍猪の足を狙う

それは俺が初手で攻撃した後ろ足に突き刺さると、将軍猪は悲鳴を上げて転倒だ


『わっ!』


この拍子にティアマトは斧が外れ、ゴロゴロ転がりながら吹き飛んでいった


『地斬鉄!』


刀で地面を斬ると、縦の斬撃が地面を滑るようにして将軍猪に向かう

奴の後ろ足に命中し、将軍猪は立ち上がる前に再び倒れる


《その調子だ!何もさせるな!》


ティアが着地すると『おまたせ!』と言いながらサバイバルナイフをしまうと、両手を将軍猪に向けた


『デルタバルカン!』


彼女の伸ばす両手に一瞬で白い三角形が回転しながら現れると、そこから白弾が物凄い勢いで連射されたのだ

起き上がる将軍猪は命中し、白い色の小規模な爆発の連続でもなんのその、突っ込んでくる


『ティア!』


俺は彼女を掴み、真横に跳んで避ける

あれだけ後ろ足を狙ったんだぞ?まだ動けるのかよ!


《死ぬまで暴れるぞ!気を抜くな!》


『ありがとうアカツキ君』


『大丈夫だティア』


二人で起き上がり、ギルハルドが将軍猪の周りを縦横無尽に駆け回って切り刻む

流石に出血量が多いのか、奴はふらつく


そこでティアマトは側面から連続斬りで素早い2連撃をお見舞いし、ダメージを与えた


『ブギっ!』


『ぐっ!』


将軍猪は鼻先を振り、ティアマトを吹き飛ばす

だが彼は受け身をしてから素早く立ち上がったよ

耐久力スキルのおかげだな


『光速斬』


俺は駆け抜けた

将軍猪の目を貫き、奴が悲鳴を上げて仰け反ったと同時に刀を抜いて飛び退く


そこでリリディのシュツルムが撃ち放たれた


『ギュピ!』


体の側面に黒弾が命中し爆発

将軍猪はゴロンと転がり、また立ち上がると怒りを顔に浮かべたまま上半身を起き上がらせた


何をする気だ?と思うよりも先に逃げないと駄目だと感じたよ

奴の正面にはリュウグウとリリディ

二人もなんとなく感じたらしく、将軍猪が起き上がらせた上半身を下げ、両前足で地面を強く踏んだ瞬間に左右に散って避ける


地面を強く踏んだ将軍猪の直線上の地面が数十メートルまで一気に隆起し、俺達の身長より高く舞い上がる


ティアマト

『すげ…』


リュウグウ

『とてつもないな』


《喰らうと足の骨やられるぞ!食らうな!》


それは勘弁だ


鼻息を荒くする将軍猪は俺に視線を向けると、激しく睨み付けてきた。

餌を見る目とは違う、怒りで血走った目だ

潰した目から赤い涙のように流れ、不気味さを際立たせる


『ニャハー!』


ギルハルドが将軍猪の傷付いた後ろ足を小刀で深く切り裂き、バランスを崩すと、リュウグウはその隙に前足の付け根を槍で貫く


『鬼突!』


彼女の槍は深く突き刺さり、将軍猪は僅かにふらつくものの、横目でリュウグウをキッと睨み付け、鼻先を振って吹き飛ばそうとする


『!?』


抜く時間はない、彼女は躊躇いもなく槍から手を離すと襲いかかる角を避けるために低くしゃがみこんだ


『こっちよ!』


ティアが背後からラビットファイアーを放ち、命中した部位の毛を溶かすが燃えない

火魔法の耐性が高いのだろう、ティアは苦笑いをしながら後ろ足で蹴られるのを恐れ、距離をとる


『でらぁぁぁぁ!』


『おおおお!』


リュウグウが飛び退くと同時にティアマトと俺が将軍猪に飛びかかった

死角からの攻撃だ。

ティアマトは高く飛び上がり、武器を振り下ろすと将軍猪の頭上から斬撃が落ち、体の側面を切り裂く


俺は振り向いたと同時に刀を鞘におさめ、『刀界』と叫んだ

衝撃波に混じる無数の斬撃を前方に飛ばし、将軍猪は体中に切り傷をつけ、血を流す


『ブギィィィ!』


『やば!』


将軍猪は構わず俺に体を向け、走り出す

本当にダメージがあるのかどうかわからないくらいよく動く


『シュツルム!』


背後からのリリディの声と同時に俺は真横に避ける

すると彼の黒弾は将軍猪の顔面を捉え、奴は爆炎の中に消えていく


『私の槍壊すなよメガネ』


『そんな無茶な』


リュウグウとリリディが会話している最中、テラは『呼べ』と叫んだ


爆炎の中からふらつきながら姿を見せた将軍猪の体は真っ赤に染まり、ダメージがかなりあるように見える

リュウグウの槍は奴の足に刺さったまま、動き難そうだな


『開闢!』


鞘に刀を強く押し込み、金属音を響かせる

すると鞘から黒い煙が正面に吹き出し、その中から鬼の仮面をした甲冑を来たテラ・トーヴァが姿を現した


その手に握る長い刀は熱によって赤い


『テラちゃん!』


ティアが叫ぶと同時にテラは駆け出し、一瞬で刀を振り、将軍猪の背後で刀をしまった


『ブゴ…』


足を止めた将軍猪が僅かに鳴くと、奴は縦に両断されて地面に沈んだ

やはり燃えない

テラは『火の耐性がめっちゃ高いの忘れてた』とティアに顔を向けて告げると直ぐに消えていった


流石に体があんな状態では生きてはいない

誰もがホッと胸を撫で下ろし、リュウグウは槍を抜く


『光る魔石ですよ皆さん』


リリディが指を指す先、将軍猪の体なら出てきたスキル付きの魔石だ

気疲れを顔に浮かべながらも仲間と共に魔石を囲んでしゃがみこんだ


ティア

『…パワーアップだね』


リュウグウ

『まぁ身体能力上昇の魔法スキルは価値が高い』


アカツキ

『ティアマト、お前だ』


ティアマト

『俺が魔法か、だが面白い…いただく』


彼は魔石を掴み、光を体に吸収し始めた


《かなり動く魔物だろ?》


リュウグウ

『弱る様子なかったよね、最後以外』


『ニャンニャー』


アカツキ

『タフ過ぎない?ミノタウロスより』


《ミノタウロスと比べんな。それに将軍猪は黒魔法が有効なのが楽に勝てた要因だ。普通なら時間かける》


リュウグウ

『よしメガネ、次はシュツルム連打だ』


話をしているうちにティアマトはスキル吸収を終え、満足そうな顔を浮かべた

倒したと実感できるとやはり嬉しいもんだよ

だってランクBの魔物だからな


『俺達は強くなってる』


自然とそう口にしてしまった

リュウグウは『当たり前だ』と槍を肩に担ぎ、口元に笑みを浮かべながら答えた


ティアは何故か俺の手を両手で握ると、ブンブン振る

なるほど、『ありがとう』って意味だな


『怪我ないかティア』


『大丈夫、あんな動くと思わなくてビックリしちゃった』


だろうな

リュウグウもそう思っている筈

てか今回はオズボーンさんの依頼だ

角2本を納品しないと駄目だ


ティア

『サバイバルナイフだし剥ぎ取る!』


彼女は臆せず、将軍猪の角をニコニコしながら剥ぎ取ろうとサバイバルナイフを何度も突き刺して頑張っていた

顔に血が…少し怖いぞティア


『俺が抜くぜ』


ティアマトは苦笑いしながら彼女を手伝い、2本の角が取れたが……



重い!


それはティアマトに持ってもらう事にしたさ

俺は魔石を腰のバッグにしまい、街に戻る事をみんなに告げる


アカツキ

『今日はバラ焼きだ』


ティアマト

『うっし!良い汗かいたし丁度良いぜ!』


『ミャンミャー!』


将軍猪、撃破だ

いつもの掛け声は都合上出来なかったな

まぁ仕方無いさ


『急ごう』


こうして俺達は森を出ることにした

道中、魔物と戦う事には何度かあったが、リリディとギルハルドを先頭に問題なく敵を倒しながら進むことが出来た

ギルハルドは2体の魔物から発光した魔石をドロップし、力を吸収する 


ティア

『明日ってギルド休みじゃないっけ?』


彼女がふと話す

初耳過ぎて誰もが驚くが、リュウグウが『そういえばそうね』と何かを思い出す


ティアマト

『どしてだぁ?』


リュウグウ

『ギルド職員の有給消化日ってギルドカレンダーに書いてたな』


アカツキ

『なるほどな、休む時は休まないと』


リリディ

『なら僕達もそうしましょう』


アカツキ

『だな』


休みにしよう

夕方頃にギルドに辿り着くと、ティアマトが担ぐ角2本を冒険者達が凄い形相で見ている

恥ずかしいけど、気にしないようにしようかな


しかし、気になる冒険者の声が近くの丸テーブルから聞こえたよ


バーグ

『でっか!』


ドラゴン

『角でっか!』


あんたら…


受付に角2本をティアマトが置くと、アンナさんは持とうとする

しかし無理だ、重い


受付嬢アンナ

『すご!おっも!』


アカツキ

『何してるんすか』


受付嬢アンナ

『あはは…、アカツキ君の足りない押しが将軍猪にはあると思いません?』


アカツキ

『どゆこと?』


リリディ

『なるほど』


ティアマト

『なるほどな』


《あぁなるほど》


なぜ3人が納得する?

深く追及せずに報酬をいただき、空いている席に一度腰を下ろす

近くを通る軽食屋の若い店員に全員分のバナナジュースを頼むと、男は『まいどです!』と告げて小走りに去っていく


ティア

『Bかぁ』


アカツキ

『まだ実感ないな』


リリディ

『確かにそうですね』


《嫌でも実感しろ。てかBになったら危険度増すの忘れんな?》


アカツキ

『危険度?』


俺は首を傾げた

しかし溜め息を漏らすテラ・トーヴァからは当たり前な事を言われたのだ


《1つ上のランクのA、それを倒せないとヴィンメイには決して勝てねぇ…。高い知能を持ち、特定の縄張りを持つ特殊な魔物がAランク、今のお前らなら博打でしかない》


アカツキ

『なぁテラ』


《なんだ》 


アカツキ

『そのAは普段、人の目を避けた場所にいるのか』


《正解だ。辿り着くのも地獄だぞ?》


ティア

『多分あそこにはいるよね』


リリディ

『なにか心当たりでもある感じですか?』


ティア

『幻界の森、あそこならきっといる』


《流石ティアお嬢ちゃんだ。確実にいる筈だ》


となると…

俺達は最悪それと遭遇するかもしれないのか

1ヶ月を切る、それまでにどこまで強くなれるかが問題だ

確実に手に入れたいスキルを手にいれないとな


ふと2階から誰かが降りてくるのが目に入る

リゲルとクワイエットさんであり、眠そうな顔だな

ティアもそれに気付くと、『今日はレッスンしないのかな』と口にする 


エーデルハイドのみんなが見当たらないし、今日はしなかったのだろう



『あ、アカツキ君だ』


クワイエットさんが眠そうな顔を一変させ、笑顔で声を出してこちらを見ていた

この人は全然悪い人ではないとわかりやすい人だな

だが隣のリゲルは俺達を見て面倒くさそうな顔をしているからお前は駄目だ、うん


リゲル

『あっ、おい!』


クワイエットさんが階段を降りてこちらに近づいてくる

どうしたのだろうかと思っていると、彼はニコニコしながら冒険者カードを見せてきたんだ


『ずっと冒険者チーム名が無名だから作れってクローディアさんに言われててさ。考えたんだリゲルと』


『おまっ!見せてんじゃねぇよぉ!』


リゲルが慌ただしく階段を降りて走ってくる

しかし、俺達はマジマジとクワイエットさんが見せつけてくる冒険者カードに記載しているチーム名を見てしまっていたからもう遅い


『クリジェスタ』


ティアが声に出して言うと、丁度辿り着いたリゲルは動きを止める

何故俺を睨む、リゲル


リゲル

『お前らと同じBとは心外だが、まぁ今はいいだろう』


リュウグウ

『とことん口の悪い聖騎士だな』


リゲル

『いっとけ槍女』


クワイエット

『リゲルだってウキウキしてたじゃん』


リゲル

『してないっ!』


《してたのかよ》


するとそこでクワイエットさんが懐から連絡魔石を取り出した

なにやら僅かに発光しており、その光を見ると彼はリゲルの肩を軽く叩いて魔石を見せている


『ケッ…集合かよ』


『どうしたんだ?』


俺は嫌そうな彼に聞いてみると、意外とすんなり答えてくれた


『ヴィンメイの調査だ、北の森にこの前来ただろ?』


『そうだが…聖騎士がそれをするのか』


『ロイヤルフラッシュさんはお前との約束を守ろうとしてるってことだ、お前にとってヴィンメイは邪魔だろう?1番隊で森の周辺の調査を夜にすることになってる、その前の会議だよ…時間だって合図だ』


どうやら北の森に潜んでないか調査してくれるらしい、ありがたいぞ

それで聖騎士会の1番隊が昨夜からグリンピアに来ていたらしいけど気づかなかった

ということはあいつもいるのか…ルドラ1番隊隊長


『またねアカツキ君』


クワイエットさんがニコニコしながら口を開き、去っていくとティアとリュウグウが気さくに手を振った


『あいつは許せる』


リュウグウはそう言う

まぁクワイエットさんは悪くない人だ、うむ


『早く自分の身を守れるようにしろよ』


リゲルは吐き捨てるようにしてクワイエットさんの後を追う

聖騎士2人は未だに冒険者の格好だが、正装は着ないのだろうか

この後の会議では騎士の格好で出るのかな…気になる


『リゲルは誰かに似て口が悪いな』


『まったくですね』


ティアマトとリリディが言う『誰か』とはきっと…


ゼルディム

『お前らがBだと?』


背後からゼルディムの声だ

お呼びではないが、タイミング良すぎるだろ…

しかも彼だけ、なにやら手の持つトレーには海老炒飯だ。美味しそうだ


リュウグウ

『1人で何をしている』


ゼルディム

『地下の訓練場で稽古だ。お前らと違って基本を毎日訓練しているからな。基本は実戦で嘘をつかないぞ?覚えておけ』


彼はそこまで言うと軽食屋のカウンター席に行ってしまう

何をしに俺達に近づいたのかわからないが、前より少し柔らかくなった気がする


地下の稽古場か

1日銀貨2枚くらいだったか、冒険者あがりのギルド職員が指南してくれるのだ

残念ながら俺の使う刀の指南者はおらず、俺は諦めた

ティアマトは半年間みっちりと地下通いしていたのを覚えている


ティアは…どうだろうか


『ティア、その武器の使い方は習ったのか?』


『お兄ちゃんが教えてくれた、刺したら死ぬ寸前まで苦痛を浮かべる敵の顔を見て刃を押し込めって言われた』


その言葉にリリディが凄い挙動不審な行動を見せながらティアを高速で3度見する

しかし、ティアは『冗談だよ、でも護身術程度にいつも教わるよ』と言ってくれた


『冗談に聞こえないな』


ティアマトはボソッと呟きながら運ばれてきたバナナジュースを一気に飲み干した


次回、リゲル

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