第116話 花駆除大作戦3

※三人称




リリディ、ギルハルド、リュウグウは東区の湧水施設に向けて布マスクをし、歩く

すれ違う人々に笑顔はなく、それを見ているだけで二人の顔色も険しい


『ニャハハーン』


唯一、ギルハルドだけは別だった

彼は4足歩行で歩きながらもリリディの足をスリスリしている


『そいつマスク大丈夫なのか?』


『リュウグウさん、セーフです』


(セーフなのか?)


リュウグウは疑問に思った

忍者のような被り物をしているだけにしか見えないからだ

マスクと同じ性能があるのだろうかと彼女は考える


『それにしてもです』


『どうした?』


『正解の施設は何区なんでしょうかね?』


『行けばわかる、しかし全部の可能性もあるわよ?』


『え?』


リリディのちょっとした驚きに彼女は呆れた顔を浮かべ、額をおさえる

彼女にとっては簡単な事なのに、何故この男は気付かないのかと


『地下水脈から種が流れ込んだならばどこの施設にも流れ着く可能性はあるだろうが』


『し…知ってました』


『嘘つけいっ!』


リュウグウは彼の頭を叩いた


1時間かけて辿り着いた場所は東区の湧水施設

建物を鉄格子が囲んでおり、看板には天水と書いている事にリリディは気付く

ここは4つの施設の中でも建物は小さい


それでも2階建、地下はアカツキ達と同じ構造となっていた


『誰です?』


鉄格子の扉の前に立つ作業員が暗い顔のまま、扉に近付く二人に話し掛けた


『僕らは調査の派遣で来た冒険者です。回復魔法師長モーラさんの依頼です』


リリディは懐から臨時調査用の通行許可証を見せると、作業員は顔を真っ青にしながら地面に膝をついて頭を抱え始めた


『どうしたのですか?』


『具合でも悪いのか?』


二人が声をかけると、作業員は『終った…』と囁くだけ

リリディは意味がわかっていなかったが、リュウグウはその言葉に眉をひそめた


(どういう事だ?何か知っていそうだが…。いや気付いてるのか?)


リュウグウは一先ず考える事を止め、『中に入るぞ。地下に案内しろ』と告げると、作業員は頷いてから扉を開け、建物の中に入っていった


終始無言の作業員に違和感を感じているリュウグウは建物を見上げる

特に変わった様子もなく、綺麗な建物だ


『ここは建てられてからどのくらいでしょうか』


リリディが聞くと、『5年です』と作業員は言う

建物の前に辿り着き、大きな扉を開けると目の前は直ぐに受付であり、誰もいない


『ここには私と部下が1人しかおりません』


リュウグウ

『稼働はやはり出来ないから監視で残ってるだけか』


『はい。今は停止させろと総合研究会の通達が来てましたので、最低限の人数で建物の警備だけしてます』


リリディ

『そうですか。地下を見させていただいても?』


すると作業員の顔が曇る

リュウグウは僅かに首を傾げ、ふと考えた

遠回しに嫌がっている気がする、と


作業員

『下は腰まで浸水しており、メンテナンスも出来ない状況ですので何が起きても補償はできません』


リリディ

『別に構いません』


リュウグウ

『早く案内しろ』


作業員は溜息を漏らし、『では』と言うと、2人を地下の入口まで連れていく

廊下を曲がり、奥にあるドアを見たリリディは驚いた

ドアが板で打ち付けられており、とても通れる状況じゃないのだ


リュウグウは何故こんなことを?と聞くと、作業員は答えた


『浸水した湧き水がドアを壊さないようにです』


リリディはなるほどなと納得を浮かべるがリュウグウは疑問を浮かべた

それを口にしない彼女はドアに近づき、打ち付けられた板を眺める


(面倒そうだな)


彼女は立ち上がり、『こじ開ける』と言うと作業員が困惑しながら話したんだ

社長の命令なんで許可が降りないと開けれない

しかし、リリディとリュウグウはその協力的ではない様子に流石に違和感を覚える


だが今は地下の様子を見るのが先決だと2人は考え、ドアを破ろうとリリディがスタッフを構えると背後から別の者が現れ。2人に声をかけたのだ


『そこは立ち入り禁止ですよ?フラウ君、関係者以外を何故入れた』


作業服じゃない、しかし立派な服を着ている中年男性だ

作業員のフラウはハッと驚くと、その男に軽く頭を下げてから話し始めた


フラウ

『ピエ社長、この人たちは現在この街で動いている疫病対策会の派遣者らしいのです』


ピエ

『対策会か』


リュウグウ

『貴方が社長ね?対策会とは?』


ピエ

『総合研究会、回復魔法師会や警備兵会や商人会が主にこの街の疫病騒動で動いている、それらを今は疫病対策会として1つの協会になっているのだよ。まぁ臨時だがね』


リリディ

『なるほど、僕らはその対策会からの依頼でこの街の湧水施設の調査に来たのです』


ピエ

『どうみても冒険者だが?』


疑われている、それがわかるとリリディは臨時の入場許可証をピエ社長に見せた

回復魔法師会のモーラさんから頂いたものである

それを見せると、ピエ社長は苦虫を噛み潰したような顔を浮かべた


『なので調査させていただきますね』


リリディはそう告げてドアに体を向けた

彼がドアを破る間、リュウグウはピエ社長の顔を横目で伺う

明らかに汗をかいており、何度も胸ポケットの中のハンカチで顔を拭いていたのだ


(なんだか胡散臭い社長だな、落ち着きがなさすぎる)


ドアが破られると、リュウグウはドアに視線を向けた

破壊されると直ぐに中から空気が僅かに吹き出し、中を覗き込む

階段が下まで続いており、天井についている小さな魔石の灯りで階段が照らされている

石の階段、下はリュウグウとリリディの目からでも浸水しているのがわかり、水面が揺れていた


リリディは険しい顔を浮かべたまま、階段を2段降りる

ギルハルドはその横を陽気に歩き、素早く水面近くまで行くと、主人であるリリディを見て首を傾げた


『ニャフーン』


『ああそうですか、泳げないのですか』


『おいメガネ、お前猫語でも覚えたのか?』


『なんとなくそう言っている気がしたのでそういっただけです』


2人は困った

ギルハルドがいるだけで調査も苦労することなく終われると思っていたからだ

泳げないならば置いていくしかない。

リリディは溜息を漏らし、『ドアの前で待っていてください』と告げ、ギルハルドは可愛い返事をすると2階段を上がっていき、作業員と社長の横を素早く移動して廊下に戻っていった


ピエ社長

『ペットですか』


リリディ

『…そうです』


リュウグウ

(意外に馬鹿ではないか)


リリディは少し考えてから答えた

あえて魔物だと言わなかったのだ

作業員は猫が気になるのか、階段を上がっていくと廊下に顔を向ける


『あれ?いない』


リリディ

『散歩でもしているのでしょう、では僕らが行きますのでよろしくお願いします』


ピエ社長

『あ、あぁわかったよ』


ピエ社長は笑顔を顔に浮かべ、階段を上がっていく

その背中を2人は眺め、姿が見えなくなると階段下に顔を向ける


『冬の水ですか』


『我慢するしかないようね、いくぞ』


『わかりました、行きましょう』


2人は薄汚れた水に入っていく

腰に届くかどうかまで水につかると、リリディは体を強張らせながらリュウグウに顔を向けた


『笑わせる気か?とことん困ったやつだ』


『いやいや寒いですからね?』


『男なら我慢しろ』


リリディは溜息を漏らし、スタッフを肩に担ぐと『では行きますか』と彼女より先に進み始める


廊下は50メートルも長く、奥までドアが点々とついている

倉庫等の部屋であり、空室もあるだろう

しかし2人はドアには見向きもせずに奥に進み始めた


奥にはドアがなく、広い場所であると遠くからでも彼らはわかった

廊下を半分まで歩くと、2人は同時に足を止めた


奥から水の流れる音が聞こえてきたからだ

廊下の照明は薄暗く、下手なお化け屋敷よりも怖い


『どうしたメガネ、怖気づいたか?』


『まさか、怖い思いを沢山してきたんですよ?』


『物体に対する畏怖と未知に対する畏怖は別腹だ。お化けとかな』


『ティアさんじゃあるまいし…』


リュウグウがリリディの頭に構えていた槍で叩く

こうして奥まで行くと、2人は奥に見える2つの貯水タンクに顔を向けた

柱4本が貯水タンクの下部を支え、パイプが地下まで繋がっている

しかし、その貯水タンクは所々穴が開いており、そこから水が駄々洩れだ

穴のサイズは人間の大人の頭と同じ、2人は顔をしかめる



(錆びではないですね?開けられた感じに近い)


リリディはそう感じながら辺りを見回す、壁や天井には苔が多く生えており、魔物の気配はない


『穴から水が漏れて浸水、というわけね』


『しかし可笑しいですね、理由は言葉に出来ないですけど』


『そう思えるという事は正常だ、魔物の気配もない…イビルハープは気配はある魔物の筈だ』


そこまで話すと、廊下の奥から大きな物音が聞こえたのだ

何事だと思い、2人は様子を見に行こうと振り返ると可笑しな光景が目に見えた

階段にシャッターが降りていたのである、流石にそれには驚く2人は階段まで戻ろうと歩き始める


『何故あんなものが』


『嫌な予感が更に高まったぞリリディ、あいつらきっと…』


リュウグウは最後まで口を開くまでに、広い空間で小さな物音が聞こえ、足を止めて素早く振り向きながら構えた

カサカサという不気味な音、リュウグウは鳥肌が立ち、辺りを見回すが何もいない


だが徐々に2人の感知に魔物の気配が現れ始め、リリディは真剣な顔を浮かべてスタッフを構えた


『気配、それも多いですよ』


『どうした?守ってほしいか?』


『馬鹿な…何かあれば守ってあげますよリュウグウさん』


『わっ、私は別に大丈夫だ!』


リュウグウは慌てながら否定すると、貯水タンクの開いた穴から何かが出てくる

それには2人も驚きのあまりに動きが止まる

ランクFのイビルハープとランクDのバイオレットがワラワラと出てきたのだ

リリディもそれにはゾッとし、身震いをした


イビルハープは紫色のチューリップみたいな花の見た目をしているが根は足のように良く動く

その根は堅く、近づく者を突き刺して攻撃するのだ

バイオレットは赤いチューリップかと思いきや、花ではなく4つに裂けた梨型の頭、紫色の水玉模様があり、イビルハープより二回り大きい花だ


それらが貯水タンクにひっつきながらユラユラと揺れている


『数は30はいますね』


『そうね…これはビンゴだ』


『面倒ですねほんと』


『ならば帰るか?』


リュウグウが口元に笑みを浮かべ、槍を構えるとそう告げた

だがリリディはメガネを触り、溜息を漏らすと答えたのだ


『帰りますよ。倒したらですが』


『ゲゲー!』


バイオレットが叫ぶと、魔物は一斉に貯水タンクを降りて水面をアメンボのように泳いで2人に襲い掛かる

その様子にリュウグウが『キモイ移動だ』と囁くと、彼女は飛び込んできた2体のイビルハープを素早く槍で貫いて四散させた

花種は耐久力はほぼない、一撃なのだ


どの属性も弱点、そんな攻撃も弱点

状態異常耐性だけはどの魔物よりも高いのが売りだが、今それは意味はない


『振り回すの面倒ですね』


リリディは四方から襲い掛かる花種の魔物、イビルハープとバイオレットを一網打尽にするため、リュウグウに離れればぶたれますよ!と叫ぶ


『チェーンデストラクション!』


彼の背後から黒い魔法陣が4つ、その中から鎖が現れる

するとリリディは自然と近くに寄ったリュウグウを右腕で抱き寄せ、鎖を縦横無尽に動かし始めた

それによって鎖に触れた魔物はいとも容易く散っていき、イビルハープの花びらが水面に浮かぶ

バイオレットは水中に沈み、どんどん敵の数が減っていく


『ばかっ!変態が』


リュウグウは顔を真っ赤にし、リリディの頭を叩くと同時に鎖は消えていった


『す…すいません』


苦笑いで誤魔化すリリディにリュウグウは何か言いたげな様子を見せるが、直ぐに残りの魔物が飛び込んでくる

それを彼女は素早く槍で貫き、散らす


『むっ!』


『ゲゲー!』


水中に隠れていたバイオレットが裂けた口を閉じ、頭部を発光させながら突っ込んでくる

技スキルであった

その頭部は尖っており、僅かに電撃は走っている

彼女を貫かんと飛び込んできたのだ


(花ふぜいが!)


リュウグウは目を細め、両手で槍を力強く握りしめると技スキルを放って飛び込んできたバイオレットに向けて槍を向け、貫いた


花種の魔物の技スキルは限りなく弱く、人間相手には不意打ち程度にしか使えない

動体視力とスピードのスキルがある程度高い彼女にはそれが通用しなかったのだ


『ゲフッ!ガボボボ』


貫かれ、水面に落ちたバイオレットはそのままブクブクとしながら水中に沈んでいく


『ぐっ!』


『リュウグウさん!?』


彼女は両手に痛みが走った、それはバイオレットの技スキルによる影響だ

裂けた口を閉じで尖がらせた攻撃には雷属性が付与されており、両手にビリッとした痛みが走ったのだ


幸いなことに、電撃の威力が弱く、リリディは感電しなかった

彼女の腕のみだが、その両手は震えていた


『麻痺効果だと…』


(くそ!迂闊だった…)


後悔を顔に浮かべ、飛び込んでくる別のバイオレットに気づくと彼女は槍で貫こうとした

しかし思うように腕が動かず、間に合わない


『突風!』


リリディは彼女の前に出ると、右手を伸ばして強風でバイオレットを吹き飛ばし、壁にぶつけた

魔物の頭は壁にぶつかった衝撃でグチャリと潰れ、そのまま水中に沈んでいく


『すまない』


『それよりも水中で光る魔石!拾っていてください!残りの数は僕がやります!』


リリディはスタッフで魔物と倒しながら叫ぶと、リュウグウは下に目を向けた

確かに地面が発光していると気づき、彼女は薄汚れた水に手を伸ばす


(腕がムカツクぐらい動かんが…掴むだけなら)


彼女は僅かな感覚しか残らない手で魔石を掴み、水中から拾い上げた

なんのスキルかと思った瞬間にそのスキルの名が頭に流れ来く


『稲妻花槍突(イナヅマカソウヅキ)か』


バイオレットが見せたあの技を彼女は想像した


(運が良い)


彼女の運スキルのレベルは4と非常に高い

スキル効果はスキルドロップ率を上げるというスキルだ

役にたったと実感した彼女はリリディに顔を向け『貰うわ』と言うとリリディは『どうぞ!』とスタッフを振り回してイビルハープを飛び散らせながら答える


(すまないなメガネ)


彼女はそう思いながらもスキルを体に吸収し始める

そうしていると、貯水タンクの中から大きな気配を2人は感じた

ランクDのバイオレットよりも強い気、リリディは全てを倒し終えると貯水タンクに体を向け、リュウグウの前に出る


(なんでしょうか。結構な気ですが…)


リリディは目を細め、貯水タンクを見ているとタンクの上部が吹き飛んで天井にぶつかり、水面に落下した

水しぶきなど目もくれず、リリディは現れる魔物の姿を目にして驚愕を顔に浮かべる


『パサラ・イドル!』


魔物ランクCの花種、1メートルの赤く大きな花びら6つには目がついており、茎には棘が沢山ついている

葉はなく、触手が体の大半をしめている

不気味に蠢くその魔物は貯水タンクの上部から全ての目をこちらに向けて花の中心から紫色の煙を出し始めた


『あれは毒です。早急に倒さないと僕らは全身麻痺で溺れますね』


リリディはそう言いながらリュウグウに視線を向ける

だが予想外な展開に彼は驚いた

リュウグウの体が発光していたからである

それは称号の獲得に似た現象、『まさか』と彼は囁くと、彼女の発光は消えていく


『よし、私には似合わない称号だが…』


彼女はリリディの肩を掴んで静かにどけると、槍を担いだまま奥にいるパサラ・イドラを見上げた


『一撃だ』


リュウグウは槍を高速回転させ始めた。以前よりも早く回し、そして技の発生速度も速くなっていることにリリディは驚く


『槍花閃!』


突きだしたリュウグウの槍の刃の先から黄色い光線がパラサ・イドルに向かって撃ち放たれる

光線の通った後には桜の花びらが舞い、甲高い音が鳴り響く


『プギュッ!』


パラサ・イドルは無数の触手でガードしようとしたが、それよりも先に彼女の技が花を貫き、魔物は苦しみながら下に落ちていく

魔物の気配が消えるとリリディは目を見開きながら彼女を見つめた


(Cが一撃ですか…)


『よし』


リュウグウは微笑むと、小さくガッツポーズをして見せた

魔石が出てくるのを確認すると、リリディはそれを回収してから辺りを見回す

他にも気配がないかという確認だが、2人の視界は気配感知には魔物がいる様子はなかった


『やりましたねリュウグウさん』


『私だってお荷物にはなりたくはないからな』


やけに機嫌の言いリュウグウに、リリディは拳を握って彼女に向けた

一瞬、彼女は僅かに首を傾げたが、意味が分かると口元に笑みを浮かべたまま、自身の拳を彼の拳に軽くぶつけた


『さて…リュウグウさん、シャッターを降ろされた理由はどう思います?』


『決まっている、地下の状態を把握していたんだ…倒してもらうだけならこんなことしないだろう?』


『やはり彼らは僕たちに戻ってきてほしくないという事でしょうかね』


『早かれ遅か疫病対策会の人間が雪崩れ込んでくるというのに、何をしているんでしょうかね』


『そうね…。考えすぎかもしれないが今回の疫病の件はきっと施設の人間が良く知っているだろう…社長を捕まえる』


『先ずは出ないといけませんね』


『頼むぞメガネ』


二人はその場から離れ廊下に戻ると奥のシャッターに視線を向けた。

目の前まで来たリリディは軽くシャッターを叩き、強度を調べるとウンウンと頷き、彼女と共に後ろに下がりだした


リュウグウは直ぐに距離からシュツルムだろうと予想し、リリディの背後に隠れる


(わかりますか)


リリディはそう思いながらも左に掴んだスタッフを肩に担ぎ、右手をシャッターに向けた


『あっ、ステータス見たいですね』


リュウグウはずっこけそうになる

今なのか!?と驚きを心で叫びながらも呆れた顔のままでリリディにステータスを開き、見せた


・・・・・・・・・・


リュウグウ・モチヅキ


☆アビリティースキル

突強化   【Le4】

スピード強化【Le3】

気配感知  【Le3】up↑

動体視力強化【Le4】

限界突破  【Le1】


☆技スキル

鬼突 【Le2】

三連突【Le2】

シャベリン【Le1】

ドレインタッチ【Le1】

稲妻花槍突【Le1】new

槍花閃【Le2】up↑


☆魔法スキル


 

称号

星渡(ホシワタリ)・女花


☆称号スキル

隠密 【Le3】

運  【Le4】

安眠 【Le2】

状態異常耐性【Le2】

スキル発動速度【Le1】

特殊魔法『ラフレイル』


・・・・・・・・・・


(リュウグウさん、魔法似合わないですと言ったら叩かれますね)


『今、魔法似合わないとか考えてないだろうな?』


疑うリュウグウの言葉にギョッとするリリディは『では破壊します!』と気を持ち直す


(危ない…心を読んでいるのでしょうか)


彼はそう感じながら、シュツルムを放った

シャッターに黒弾が当たり、爆発が起きるとシャッターは大きな穴を開ける


楽に通れるサイズであることに二人は安堵し、直ぐに階段を登って水から抜け出したのだ


『あの社長は許さん』


『槍で刺さないでくださいね』


『そこまでせん!』


流石に水につかり過ぎた二人の体は体温が下がり、震える

廊下に辿り着くと、奥の方で作業員はギョッとした様子でリリディ達を見たまま固まっていた


『あ…』


『ただいまです。ピエ社長はどこです?』


『あの…その、社長室に…』


作業員は顔を真っ青にしながらもたどたどしい口調でそう告げた

リリディはリュウグウと目を合わせ、作業員に視線を戻した

明らかに普通の挙動ではないということは何かを隠してると思っても可笑しくはないと二人は強く思った


リュウグウは作業員を通り越し、廊下を見回す

彼女の行動に作業員は振り返ると、リリディが彼に話しかけた


『何か隠してますね?酷くなるま前に知っていることを話さないと取り返しのつかないことになりますよ?それに、何故シャッターを降ろしたのでしょうか?』


『あ…』


リリディは溜め息を漏らし、くしゃみをしてから作業員に更に言い放つ


『隠蔽しようと僕達を閉じ込めましたね?』


彼は目を細め、右手を上げてから作業員に向けた

するとその手の先から黒い魔法陣が現れた

作業員はどういう状況か、それを見ただけで理解するだろう


リリディとは事の真相は定かではないが、こうすればあちら側もが勝手に気づいていると勘違いするだろうと彼は安い博打を行った

疑わしいだけではなく、完全に何かを隠しているとしか思えないからこそできる行動ども言えよう


(さぁどうでる?)


彼はそう思いながら震える作業員に視線を向けていると、リュウグウとリリディは消えたピエ社長の叫び声を耳にした


『いやぁぁ!なんなんだこの猫!』


リリディは黒い魔法陣を消し、奥の廊下から聞こえる声に視線を向ける

リュウグウも首を傾げ、突き当りの廊下から声のする方に顔を向けていると、引き攣った笑みを浮かべて体を固まらせる


(リュウグウさん?それにピエ社長の…)


首を傾げるリリディはリュウグウととんでもないものを目にする

縄でぐるぐる縛りにされたピエ社長をギルハルドが連れて来たのだ

縄の先を口に咥え、4足歩行でリリディの元に連れてくる光景に誰もが言葉が出ない


よく見るとピエ社長の頬にひっかかれた傷がついており、リリディは直ぐにそれはギルハルドだとわかった

肝心のピエ社長は半泣きであり、打ち上げられた魚の如く暴れている


『ニャンニャー』


『ギルハルド?』


咥えた縄を離し、ギルハルドはリリディに歩み寄ると足に頭をスリスリし始めた

彼はギルハルドの頭を撫で、ピエ社長に顔を向ける

何故こんなことになったのだろうとリュウグウも疑問を浮かべるが、ピエ社長はギルハルドにおびえながら口を開いた


『全部話しますから命だけはどうか!私たちのせいです!』


リュウグウとリリディは流れがつかめず、顔をしかめた





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