第114話 花駆除大作戦1 決行

俺達はあまり来たことがない隣街のウェイザーに来た

まぁ回復魔法師会の会長テスラさんのところに行って必要な物資を俺がバッグに詰めてきたんだけど

2日間の滞在を義務付けられたよ、俺じゃなくティアがだけど


彼女だけ残すわけない

テスラはそれを知っていて人数分の食糧は道具を渡してくれた

現場では回復魔法師長のモーラさんという女性が現場の指揮をしているから一度会ってほしいと言われた


場所は臨時で借りた空き家を回復魔法師の治療施設にしているらしく

俺達の泊まる予定の宿の隣だというのだ

すれ違う人々はみんな口に布マスクをしており、明るい顔をしているとは思えない

街は原因出来るまで封鎖という凄い方法で疫病を止めている


ティアマト

『大胆だな』


リュウグウ

『そうだな。グリンピアからここに入るときの警備兵の数は凄かったが、ティアの回復魔法師会のカード見せるだけですんなりだ』


《まずは宿に行こうぜ。》


イディオットの5人のみだ

俺達は暗い雰囲気の街中を歩いて宿に向かう

何度も警備兵や医者会であろう服装の者とすれ違うけども、かなり深刻そうだ

現在100人近くが感染しており、2名が死亡

亡くなったのは年寄りの人らしく、体が投薬に耐え切れずなかったのだと話をテスラ会長から聞いてる


死亡率は疫病にしては低いが、特効薬がまだない以上は自然治癒か回復魔法のキュアしかないのだとか


でもテラ・トーヴァから聞いた話が真実ならと思い、俺達はグリンピアでらっきょうを2キロ買った

それが入っている紙袋を持つティアマトは嫌そうな顔をずっと俺に向けてくる


ティアマト

『油で素揚げすりゃ美味いんだがなぁ』


アカツキ

『食い過ぎるとトイレの時、匂い凄いよな』


リリディ

『しかも2玉超えると体に毒ですから』


ティア

『下品っ!』


ティアに怒られた


《臭い話してんなよ…》


お前にも言われるか


冒険者もすれ違うと『いつになったら森に行けるんだ』と愚痴を吐いている

俺達は目的地である宿を見つけると、隣の建物に目が言った


回復魔法師会らしい、白い魔導士のような服装を着ている女性が1人、騎士2人が入り口で列をなす人間を中に招き入れている


ティア

『ここで感染してるか検査するらしいよ、血液検査だってさ』


リュウグウ

『検査は研究会が顕微鏡を使ってるらしいな、この世界にもあるとは』


まぁリュウグウのたまにでる可笑しな言葉はスルーしとくか

今は宿に入るか

ドアを開け、中に入ると小さなフロント内はガラガラであり、受付内にいる女性は暇そうにしながら本を読んでいた


客がこないからやることもないんだろうなと思っていると、彼女は俺達に気づいて苦笑いを浮かべ、口を開く


『連絡は来ております、客は誰一人いませんしこの街での食事は提供できませんが…』


申し訳なさそうに話している

俺達は食料は持ってきているから大丈夫だと言い、彼女から鍵を貰ったんだけど

何かが可笑しい


シングルが3つにダブルが2つ

これはまさかと思いながらティアを見ていると、リュウグウが視界に入ってきた


『今、何を考えた』


『…』


ティアマトは笑った

俺は『リュウグウとティアで使ってもらうしかないと思ってただけだよ』といって誤魔化す

渋々ながらリュウグウは俺の言葉に納得し、いらない荷物を置いてからロビーに集まる


『ニャハーン』


ティアマト

『魔物大丈夫か?』


《大丈夫だ、危ないもんは口にしない…お前ら野郎3人より利口だよ》


『ブフッ』


リュウグウが笑う

なんだか否定できず、俺は苦笑いだ


『本当にらっきょうで治るのかなぁ』


《ティアお嬢ちゃん、過去にもあったんだぜ?しかもヴィンメイが生きていた獣の国でな》


あの時代にあったのか

なんの花種の魔物なのか聞いてみると、イビルハープという紫色のチューリップみたいな花だという

根がかなり伸び、そこから毒素を出すのだとテラ・トーヴァが言ってくれた

川辺にも普通にいる動かない魔物、少量の毒素だと人間に害はない

だから川に咲いていても気にならないんだ


だが水が溜まっている場所でずっと咲いていると毒素が溜まり、疫病の原因になるのだという


リリディ

『1輪だけではないということですかね』


ティア

『多分、結構な数の花が集中して咲いてるんだと思う…』


《だと思うが、どこに咲いているかが問題だ…》


リュウグウ

『湧き水の街とも言われている。専用の施設の地下に湧き水を溜めているとなると探し回ることになる』


ここは湧き水を貯蔵する施設が点々とある

1つずつ探す必要があるだろうな

その前に隣の回復魔法師会の拠点に行かなければならない


『行こうみんな』


宿を出るとすぐ隣の建物に向かい、俺達は列を無視して中に入ろうとすると騎士2人に素早く止められる

当たり前だよな


『お前らなんだ?検査希望なら並ばないと駄目だぞ』


彼らも布マスクをしている

俺達はしないと駄目だろうか。

空気感染はしないと聞いているから別にいらないかな


『テスラさんの指示で来たティアです』


ニコニコしながら口を開くティア、可愛い

騎士は首を傾げながら近くで列を建物の中に誘導する回復魔法師会の人に近寄り、何かを話し始めている

すると魔法師会の人はハッとした顔を浮かべ、もの凄い速度で俺達の目の前に移動してきた

結構早かったぞ…しかも顔は何故か怖がっているみたいだけど

歳は20代半ばか、美人だ…


アンジェラ

『初めまして。私は回復魔法師会のアンジェラと言いますお待ちしてました。ティアさんとそのお仲間さんが来ると聞いておりますので、どうか中に…』


ティア

『なんでそんなかしこまってるんですか…』


ティアが焦りながら問う

するとアンジェラの口から凄い事を聞いたんだ

俺達が来ることは昨夜に連絡があったらしく、その時にテスラ会長に言われたってさ


千年に1人の逸材、心優しき女性なので絶対に不敬をしないようにお願いします。

アンジェラさん的には遠回しにそれは威圧に聞こえたらしく、結構緊張していたと話してくれた

ティアは『そんなかしこまらなくても…』と言うとアンジェラさんは苦笑いしながら話し出す


アンジェラ

『昨夜、仲間と寝るときに話してたんですが、みんな変に緊張してます。モーラさんは堂々としてましたが』


ティア

『あまり気にしないでください。今回はテスラさんに頼まれて来たのですから』


アンジェラ

『あの人が指示するんじゃなくて頼むのが異常なんですよね…では中に案内します』


なるほどな

中に入ると、待合室のような場所になってる

長椅子が沢山あり、そこに街の人が不安そうな顔を浮かべて座っている


『ワンさん、検査です』


研究会の人がドアから顔を出すと、検査を希望する人を呼んで中に入れている

俺達はアンジェラさんの案内で横の廊下を歩いて進むと、騎士が1人そこを塞いでいた

彼は直ぐに道を開けてくれたのでそのまま進むと、ホールのような場所に辿り着く

15畳ほどしかない、しかしそこには安易ベットが点々とあり、苦しむ患者が横になって咳込んでいる


アンジェラさん以外の魔法師会の人が2名、キュアの魔法をかけ続け、治療を行っている

普通の状態異常ならキュアで直ぐ治る、しかしアンジェラさんの話だと永めに魔法をかけ続けないと治らないらしい


7人がそこにはおり、奥の扉の先には大きな部屋がある

そこに回復魔法師会の治療を待つ入院患者が15名もいるのだというのだ


この建物の他に2つ魔法師会の緊急治療施設を設置しており、ここは少ない方だとアンジェラさんは話す

3名ずつの回復魔法師会の者が各施設に駐在か

まぁここは回復魔法師長ポーラさんを入れると4人だな


ホール内の患者を見ながら仲間が口を開く


ティア

『苦しそう…』


アカツキ

『肺炎だとそうだろうな』


リュウグウ

『呼吸器があればな』


リリディ

『リュウグウさん?』


リュウグウ

『いや、なんでもない』


《原因わかんねぇ状態だと辛いだろうよ。まぁ治す方法知ってるだけマシだ》


そうだろうな。

ティアが疫病の治し方をアンジェラさんに教えている間

ホールの患者を見ていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた


『うぅ…ゲホッ!おつかいが…』


アカツキ

『あれ?』


リリディ

『まさか?』


ティアマト

『いや違うだろ』


一番奥のベットに横たわる冒険者風の男性

壁側に体を向けているから顔は見えない

しかし、見たことがある防具だ


俺は勇気を出して近づいて顔を覗く


アカツキ

『…バーグさん』


バーグ

『あ…アカツキ君っ!ゴホッ!』


慌てて背中をさする

なんでいるんだよ!!!


リュウグウ

『バーグさん?』


バーグ

『やぁ君達、この街の名物である三色団子を食べに来たらこのざまさ…』


プチ遠征でもしていたのだろうか

熱は微熱、吐き気に肺炎だと彼は苦しそうに説明しているとティアが慌ててバーグさんに近付き、キュアを施した


緑色の光がバーグさんを包む光景には俺達は圧巻だ

近くのベッドに横たわる患者にキュアをかけていた別の回復魔法師会の人も驚いている


理由は簡単だ。彼女は魔法強化レベル2、キュアがレベル2とアビリティースキルの恩恵でキュアの効果が上がっているのだ


30秒かけ続ける作業を、ティアは半分の時間でバーグさんを治したのだ


『嘘……』


近くの回復魔法師会の人が驚愕を浮かべる

するとバーグさんはピョコンと上体を起こし、首を傾げた


バーグ

『これで帰れる!嫁にあまり怒られない!』


ティア

『いや、多分怒られます』


バーグ

『ありがとうティアちゃん!流石は天使の称号だぜ!』


彼はティアにお礼を言うと、俺に顔を向け『先に帰るぜ』と意気揚々としながら元気よく走り去っていく


アンジェラ

『あの、知り合いですか?』


ティア

『そうです、一応建物の1階は把握したのでモーラさんに会いたいのですが』


アンジェラ

『わかりました。廊下に階段があるので2階の一番奥が管理室にしていて、そこにポーラさんはいます』


ティア

『わかりました』


俺達は2階に行って挨拶しようかとアンジェラさんに背を向けた

すると別の回復魔法師会の人が声をかけてきた


『まさか、貴方がティアさん?』


『はい、初めまして、テスラさんの頼みで来たティア・ヴァレンタインです。』


ティアは深々とお辞儀をする

そこであちらさんも自己紹介をしてくれたよ

名前はレミエッタという20歳の女性だ


レミエッタさんはティアと握手をすると『凄い威力で驚きました。あの人が頼むのも納得です』と笑みを浮かべた


ティア

『ポーラさんと話したら戻ります』


レミエッタ

『わかりました。アンジェラさんもそろそろお願いします。私はあと2人が限界です』


アンジェラ

『わかったわ。先に休んでて』


交代制か…

俺は仲間と共に廊下にある階段を登り、一番奥の扉に辿り着いた。

廊下は二人がすれ違えるかどうかの幅、狭いよ


『入ってください』


ノックするまえに気づかれたか

それには驚くが、のんびりしてたら怒られそうだ

『入ります。』とティアは言い、ドアを開ける


部屋の奥には大きめの机

そこには40代ほどの女性が机の上に山積みになる書類とにらめっこしていた


最後尾のギルハルドがドアをしめる

魔物の癖に凄いじゃないか…


ポーラ

『魔物?』


ギルハルドを見て首を傾げている

まぁ誰にあっても不思議がられるのはリリディも慣れただろうな


『その姿の魔物は初めて見ました。今は本題を話しましょう』


彼女はそう告げると、溜め息を漏らしてから話し出した


『私は回復魔法師長のポーラと言います。テスラ会長から話は聞いてますが…千年に一人の逸材とあの人に言わせたとなるとかなり興味があります』


『初めまして、ティアと言います』


『よくおいでくださいました。よろしければステータスを見てみたいのですが…』 


ティアは彼女に近付き、ステータスを見せる

反応は予想通りだ、ポーラさんは驚きなから机に両手をつき、ティアのステータスを見始めた。


とても良く驚いている


『エクシア…まさか実在したとは』


『これ、どんな称号なんですか?』


『ティアさん、それは私達にもわからないの…』


知らずとも、天使に与えられる称号としておとぎ話程度にはわかると彼女は答えた

ぶっちゃけだが、テラに聞いた方が早い

しかし、人がどの程度この称号を認知しているか気になる


ティアはポーラさんに患者を治す方法を教えた

テラ・トーヴァが言うあの方法だよ

らっきょうをお茶に混ぜて飲ませるってとんでもない方法をだ


インチキ臭い治し方だと思われると予想していた俺達だが、ポーラさんは疑う気も見せずにティアが渡したらっきょうが入っている布袋を受け取り、中の臭いを嗅ぐ


『インチキ臭い方法ですが…』


ティアがそう告げると、ポーラは答えた


『貴方の称号は天使の声も聞こえるとも言われてるの、もしかしたらその声を聞いたのかも知れませんね』


《俺が天使とか冗談キツイぜ?》


笑いそうになるからやめろ

テラ・トーヴァの声はポーラさんには聞こえてない

そこで俺は俺達の本題を話す事にしたんだ、それはティアの口から始まった


『魔物ランクFのイビルハープの毒素に含まれる病原菌らしいです。この街は湧水を施設で汲み取りますよね?』


『そこまで声を聞いておりましたか、となると原因は水ですね』


『まだ発生源の特定はされてなかったのですか?』


『総合研究会は作物から初めていたわ、水はまだよ…』


『でしたら私はそれまでここにいる回復魔法師会の人達のお手伝いをします。湧水汲み取り施設には友達がいきます』


俺達だな

ティアとは別行動となると、少し寂しいが仕方ない

良い感じに話が進んでいったと思いきや、モーラさんの顔色は険しくなる


嫌な予感を感じつつも『何かありましたか?』と俺が言うと彼女は答えた


『5つもあります…』


なるほどな 

しかも思っている以上にあちら側から人を出すことは出来ないらしい

総合研究会の人は手一杯状態であり、とても水質調査に人を割く余裕がないらしいのだ


ティアマト

『だがよ!見つけて特定してからでもいいだろ?』


ポーラ

『この情報は総合研究会とも共有を直ぐに致しますので、どうか皆様でどこの汲み取り施設かの特定をし、早急にイビルハープを駆除して欲しいと思います』


リリディ

『では2チームに分けますか』







と、言うことでだ

俺とティアマト

リリディにリュウグウだ


今は湧水の汲み取り施設も停止させており、監視しかいないとの事だ

ポーラさんの達筆で書かれた入場許可証と今回の疫病派遣者専用のカードを渡され、俺達は一先ず建物も出た


見送りに来たティアが俺達に向けて『頑張って!』と笑顔を咲かせて言ってくる。


頑張るよ


俺達四人は顔を見合わせた


アカツキ

『こっちは北区、そっちは東区を頼む』


リリディ

『わかりました。調べ終えたら宿に集合ですね』


アカツキ

『そうだな…ん?』


ふと騎士に担がれて回復魔法師会の臨時治療施設に運ばれる老いた女性を見た

目が赤く、かなり咳き込んでいて衰弱している

疫病に感染した人か…。


リュウグウ

『空気感染せずとも接触すれば感染の可能性は高いのに、騎士も命懸けね』


ティアマト

『だな。早く行こうぜアカツキ』


アカツキ

『そうだな…無理はするなよ』


皆が頷くと、俺はティアマトを連れて街の北に向かって歩き出した。


殆どの人間が口に布マスクをしているのが異常さを物語っており、俺とティアマトもモーラさんから貰った布マスクを口にすることにした


息がしずらい、気になる


『外して良いか?』


『ティアマト、つけてから10秒も経過してないぞ』


《我慢しな》


『わぁったよ。まぁ魔物退治できるなら施設まで我慢すっか』


人目があるときはしていてほしい

見た人が不安がるからな

それにしても商人の馬車がひっきりなしに行ったり来たりだ

近くの街の商人が街の入口まで食料や水といった物資を運び、街の中で住まう商人がそれをせっせと運んでいるのだ


結構な大ごとであるとわかる

街の労働者は労働の停止を命じられ、従った企業には助成金が入るという事で労働者や企業は安心して休める…いや安心できないだろうな


『あっちはいいよな、ギルハルドいるしよ』


『ティアマト、2人の方が敵を独り占めできるだろ?』


『お?そうだったな、へへ!』


嬉しそうだ


《真っすぐ進んでから広場を右、んで突き当りを左な》


テラ・トーヴァが教えてくれるそうだ

魔物の気配でどこの施設にイビルハープがいるか教えてくれないのかというと、彼は《努力を覚えろ》と言ってきた


ならなんで治し方教えたんだよっ


『てか飯忘れたな』


ティアマトの言葉で俺はアッと思いだす

そういえば宿だ…まぁいいか


2時間かけて辿り着いた場所、湧き水の汲み上げ貯蔵庫

結構大きな建物だ、入り口の前には鉄格子の扉があり、ここから見える中庭には幅5メートルほどの浅めの井戸が水一杯に敷き詰められている

その井戸からも湧き水が沸いており、一杯になると隣の井戸に流れていく仕組みか


それが5つ、最後の井戸には鉄のパイプが入っていてどこかに移動させているようだ

奥に見える貯水タンクだろうか

普通の湧き水は実際のところ、細菌が入っている場合があるから飲めない

しかし、この街から湧いてくる水は別だ、マグナ国で一番綺麗な水であり、ミネラルが豊富だ


一度沸騰させなくても飲めるって凄いと思うよ

鉄格子扉の奥にいる


アカツキ

『ここか…』


ティアマト

『てかよ、まず先に水を調べねぇの可笑しいな』


アカツキ

『総合研究会の人数が足りてないんだ、俺達が来なくても結局のところ、水が原因って特定はしていただろう』


《そういうこった。ポーラも言ってたが…人が不足してんだってよ。》


ティアマト

『まぁいいか、いくぜ?』


俺達は鉄格子扉に近づくと、当然のごとく奥にいる男2人が口を開く


『今は見学も作業も停止中だ。どうした?』


俺達は彼に入場許可証を見せ、中に入れてもらう

広い中庭を歩きながら事情を説明すると、とても驚いていたよ


作業員A

『そんな馬鹿な…。魔物は入ってくる筈がないぞ』


作業員B

『いやしかし、湧き水の汲み取りは地下だ…地下水源からなんらかの方法でイビルハープの胞子が運ばれて近くに付着して花になってしまったのかもしれん』


アカツキ

『地下ですか?』


作業員A

『地下は鉄パイプが入り組んだ廊下がある、倉庫などもたくさんあるが…。』


作業員たちは何故か困惑した顔を浮かべている

どうしたのか聞いてみると『貯水タンクから湧き水が漏れてるから腰の位置まで浸水している』というんだよ


しかもそれは2週間前から。修復作業予定は3週間後だったのだが

その間に疫病が流行ってしまい、中止だそうだ


ティアマト

『この時期に水につかるとかマジかよ』


アカツキ

『仕方ないだろティアマト』


《冬でも熊は川で魚とるだろ?》


ティアマト

『人間だっつの』


作業員2人は首を傾げていた

こうして建物内に入るが、施設って感じがしない

大きなロビーに大きなフロントだ

奥の廊下を進めば作業場、いわば湧き水を汲み取り、街の水路にそれを流す場所だ

しかし殆ど人間がする作業はなく、見て監視しているのが殆どだと作業員が言う

安易な修理ならば彼らもできるため、水漏れなどなら直ぐにボルトを締めなおして止めるのだが今回はあまり人がいかない地下であるため。気づくのが遅れてしまったんだとさ


作業員B

『長い廊下を歩くと途中、右にも廊下がある。そこを進んでいけば直ぐに古びた鉄の扉だ』


ティアマト

『あんたらは?』


作業員A

『入り口の監視だ』


そういうと彼らは戻っていってしまう

置き去りにしていいのだろうか、奥に見てる廊下を見てみると誰もいない


《ここにゃ5人しかいないな…2階に1人、建物の裏側に2人だ》


アカツキ

『必要最低限か』


《そういうこった。さぁ行こうぜ》


俺はティアマトと共に地下に向かう













  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る