第127話 シロオニバス
夜はやはり俺がランタン係、それに関してはティアマトは決してツッコんでこない
交代は嫌だからだろ?それは彼的に戦いたいからあえて俺にその件は話さないんだ
そんなところは俺達気づくし頭が回る
『ヒヒン』
ブルドンが隣で歩く俺を見て小さく鳴く
慰めてるのか?
川を渡り、少し歩くと夜の定番魔物が姿を現す
『アアアア』
『アアアア』
『やっぱり夜にはアンデットって感じだねぇ』
ティアが口を開く
奥から汚い剣を地面に引きずりながらゆっくり歩いてきていたゾンビナイトはゆっくりとこちらに歩いてくる
やる気の感じられない歩き方は、俺達を視認すると打って変わる
『アアア!』
早歩きに変わったが遅いな
ティアマトとティアは同時に駆け出し、剣を振られる前にあっさりと倒した
魔石を拾い、バッグに詰めているとテラ・トーヴァが話しかけてきた
《少し静かにしとけ?ティアお嬢ちゃんの範囲の少し奥に侍ゾンビとそれ以下のアンデットの集団がいる》
右側だとテラ・トーヴァは説明する
数は多いから今は避けるべきか、ティアマトは戦いたそうな顔を浮かべるけども、それは止めた
『出てきた魔物は譲るからさ』
『しゃぁねぇ』
『だから血…』
『おまっ』
ティアが口を隠して笑いを堪えてる
しかし最悪な事に、それは平等にジャンケンとなり、俺が負けた
今度はティアマトが腹を抱えながら声を出さないで笑っていた
なんだか悔しいのは気のせいだろうか
『頑張ってアカツキ君』
オイルランタンは左手に持ってるから右手を握って言ってきた
うむ、まぁ…いっか!
《夜は意外とシロオニバスって活発なんだぜ?湖の近くで音出せば浮いてる奴らが近寄ってきて陸に上がってくる》
ティア
『陸!?』
ティアマト
『は?』
アカツキ
『水に浮いてる花の魔物だろ?陸に上がるって一体…』
そんなの見たことない、冒険者の誰もがとは言わないけどさ
聞いたことがないって言った方が正解かもしれん
逆にどう陸に来るのか興味が湧いた
『後方から気配、ティアマト君おねがいね』
『よしきた』
ティアマトは意気揚々と片手斧を肩に担ぎ、最後尾に移動するとそれは姿を現す
『カカカ』
リッパーだ、全身が包帯まみれであり、顔の包帯の隙間から赤い片目が見えている
口はギザギザ、グールよりも遥かに長い
グールが噛みつきならこいつは鋭い爪を使っての切り裂きって感じさ
魔物ランクはD、それが2体同時
『たまらねぇ』
ティアマトは嬉しそうにしながらも堂々と歩く
カクカクした歩き方をしているリッパーはティアマトに視線を向けると、足を止めた
その意味は分かる、間合いを詰めれる距離まで待つことがこのアンデットはある
今回、それをしようとしているんだ
『その間にブルドンちゃんに水分タイム』
ティアはマイペースだ。バッグから革袋タイプの水筒を取り出してブルドンに飲ませようとしている
しかし、彼女のこのタイミングでの行動はある意味、ティアマトに対しての信頼ともいえよう
俺もそうさ、完全に正面の敵から視線を外して左右を警戒しているからな
でも見とくかな
『イイイイイ!』
『イイイイイ!』
低い姿勢で一気に突っ込んできた
ティアマトは目を細め、待っていると2体は直ぐに目の前まで迫る
腕を大きく振ってティアマトを爪で斬り裂く気だ。
『ケッ!』
彼はすれ違いざまに右側のリッパーの体を両断した
素早く彼が振り向くと、左手に持つ片手斧を残りのリッパーに投げつけた
回転する彼の武器は、振り向いたリッパーの額に綺麗に食い込み、地面に沈める
『やりぃ』
ティアマトは小さくガッツポーズしつつも倒れているリッパーの額から武器を抜き、振って血を飛ばす
『ティアマトも見た目に似合わない素早さだよな』
『筋肉あるからな』
《そういう問題か?》
テラ・トーヴァは納得いってないけど、それは俺もそうだ
ティアは革袋製の水筒をしまうと、『もうすぐ湖だよ』と告げた
魔石を回収してから先に進むと、湖が正面に広がっていた
さほど大きくはない、だが直径100メートルはありそうな湖、それが2つ見える
周りの木々がほとんどなく、月の光で十分に視界を確保できるから凄い助かるな
案外、月って明るい
アカツキ
『あそこにシロオニバスが集まってる』
湖の右側に緑色をした丸い葉は浮いている、その上の花は白く、何かの模様らしき感じだが
倒れていてよく見えない、というか陸地から数十メートルも離れてる場所でプカプカ浮いてるから遠いんだ
円状の葉のサイズは丁度1メートル、大きくはない
近くの陸地まで歩き、俺達はそれを眺めた
《8体か》
ティア
『花だし8輪じゃないテラちゃん?』
《そういうことにしとくか》
アカツキ
『俺800㏄も吸われるの』
《なんか見て見てぇな。人が血を失ってギリギリ死ぬか際どいの量》
ティアマト
『確か3分の1無くなりゃ致命的だってか』
ティア
『ティアマト君、正解』
何故かティアマトは俺にブイサインしてきた
俺も知ってたぞ!それくらいは
水辺に移動し、ティアとブルドンは後方で見守っている
俺の隣はティアマトだ、俺を横目で見てクスクス笑ってた
『しかしだ、普通に見ると綺麗な花に見える気がするんだがな』
『見た目はな…んでよアカツキ』
『なんだ?』
ティアマトは後ろを確認し、ティアとブルドンに聞こえないように聞いてきた
『お前、ティアちゃんとどこまでいった』
ビクン!と俺の体が反応し、体が強張る
そんな反応に期待したティアマトが俺の首に腕をまわし、更に尋問をしてきた
『ブッチューは?』
『その言い方やめてくれ…、その…ほほほほほほほに』
『あ?頬に?』
『ほに…頬にちょっとされただけで』
《ああそうだ熊五郎、こいつティアお嬢ちゃんを食べれるチャンスにビビったぞ》
ティアマトは溜め息を漏らしながら呆れた顔を見せる
緊張してたんだと言うと、彼は『次は飛び込め』と強引なアドバイスを投げてきた
できるならそうしてるよ
『何か話してる?』
後ろからティアが聞いてきたので『作戦考えてた』と誤魔化す
でも、作戦もくそもないかもしれないな
『吸い終わった奴を倒しまくってくれ』
『おう!股間だけ隠しとけ?そこ刺されたいか?』
『絶対嫌だ』
すると、ティアマトは俺の肩をポンポン叩いてから湖に向かって大声を出す
『アカツキの血、今なら吸い放題だぞ!』
それは半分合ってる
湖に浮いていたシロオニバスはゆっくりと陸地に移動しており、倒れていた花が静かに起き上がってきたんだ
模様が鬼の目に似ていると言うのは本当だったか、ハッキリ見えるよ
湖に浮かぶ花が全てこちらに向くと、静かに水面を移動している
どうやって動いているのか疑問だけども、それは知らないほうが良かったかもな
少し後ろに下がり、陸に上がってくるのを待っているとシロオニバスの全体が姿を現した
『うわ、キモッ…』
ティアが後ろで囁いていた
根っこだ、茶色い根が沢山生えており、足みたいに上半身である円状の葉と本体の花を支えていたのだ
見たくなかった
その魔物は花の中から1つの触手を伸ばしてきた。かなり小さな触手だ
あれだとそんな吸われない
『ほれ』
『えっ!?』
ティアマトが俺の背中を蹴った
前のめりに転倒した俺は背中をおさえながら立ち上がると、尻に何か刺さった
『ったぁ!』
《尻かよ》
素早く視線を尻に向けると、触手が刺さってる
しかも俺はちょっとピリッとした感じを覚え、体が思うように動かない
無理やり動かせば動くけれどもな
痛いけども、注射された感じに近い
しかも吸われてるし
この魔物は鳴き声などはないのか。静かに俺の血を吸っている
んで何故かシロオニバスが並んでる、なんで?
ティアマト
『は?なんだこれ』
『ヒヒン!?』
《シオオニバスは縦社会だ、強いものから吸う》
なんだよそれ!
俺は四つん這いのまま、吸われてる
それを横でティアが珍しそうに見ているんだが恥ずかしすぎる
どんな恥辱だ…
1輪目が吸い終わると、尻から触手を抜いた
するとティアマトは『ほれ』とか言いながらシロオニバスの花を片手斧であっさり斬り裂いた
途端に他のシロオニバスが湖に逃げていく
『なんで攻撃したの?』
『え?血を吸ったしよぉ』
『逃げるに決まってるでしょティアマト君…』
『ははは…』
ある程度の数に吸わせて倒す予定だったか
ティアマトが先走ったが、運が彼を救った
『…アカツキの血に感謝だ』
発光した魔石を落としていたんだ
ティアは驚きながらティアマトと共に魔石に近づいて手を伸ばした
『キュアだね』
『助かったぜ。んで…アカツキはいつまでそんな恰好してんだ?その恰好する側じゃないだろ?』
お前…その恰好する側じゃないとはよく言ったもんだな
ティアが首を傾げているから彼女は純潔、それでいい
彼女は魔石を掴んでスキルを吸収している姿を見ながら俺は立ちあがって尻をさする
麻痺がほとんど治ってる
『お疲れ様』とティアが笑顔で言うと、俺は苦笑いを見せた
《都合よく手に入るとは思わなかったぞ…》
『日頃のご褒美かもな』
《そういうことにしようか兄弟》
するとティアが魔物が5体と言い、俺達が来た道に顔を向けた
体を動かしたい俺はティアにオイルランタンを任せてティアマトと構えていると、Cランクの侍ゾンビ1体とDランクのリッパー3体が現れる
『オオ…オオオ』
『イーヒヒヒ!』
侍ゾンビの鳴き声はまだいい、リッパーは笑ってるのか?不気味だな
『ティアマト、リッパー頼む』
『まぁお前は頑張ったからな。てか麻痺大丈夫か?』
『大丈夫だ』
俺はそう言いながら姿勢を低くし
先に襲い掛かってくるリッパーたちの間を光速斬で通過して奥の侍ゾンビに飛び込んだ
《技無しで倒してみな兄弟!》
『やってみるか!』
そう意気込みを口にし、俺は両手に握る刀を全力で振った
『オオオ!』
奴は刀を前にして俺の攻撃を防ぐ
ガキン!と金属音が鳴り響き、鍔迫り合いとなった
『ぐううううう!』
『オオオオオオオ!』
ゾンビの癖に!俺と互角か
荒げた声を上げ、奴の刀を弾く
ふらついた侍ゾンビの首を跳ね飛ばそうと刀を振ると、奴は柔軟性を活かして上半身を大きく反り曲げる
こっちは驚きだよ。奴の頭部が地面に触れそうなくらい海老ぞりだ
『オオオオ!』
その反りを戻すと同時に刀を振り下ろしてきた
回転しながら避け、刀を突くと、侍ゾンビは俺の刀を弾く
んで蹴ろうと足を押し込んでくる
『見えてるぞ!』
顔を狙ってたか…
俺はしゃがみ、奴の足を斬り飛ばす
動体視力とスピードのスキルがあるだけでここまで戦いやすいとはな
しかし、相手は侍
『オオ!』
『マジッ!?』
片足で体を回転させて刀を横に薙ぎ払うように振ってくる
急所を狙わないと元気なのを忘れていたよ
『こいつ!』
刀でガードしたら不味い
軽く跳躍し、攻撃を避けると刀を振る
奴もそれを避けようと飛び退くが胸部は深くまで刀が通った
血は流れないが奴が距離を取って着地をすると僅かにフラつき、胸部に傷に視線を向けた
痛みはないだろうな
斬られたとも感じているかもわからない
でも敵を相手にその行動は自殺行為だぞ。脳も退化していなければ良かったな
俺は素早く突っ込み、奴の懐に潜り込むと顔面を貫いた
そのまま横に振り、顔を裂く
『オッ!』
顔をおさえて前屈みになる侍ゾンビ
こいつはもう少しパワーがあれば苦戦したかもしれない
だが侍ゾンビはこれが限界だ
以前、出会ったかなり強い侍ゾンビとはえらい違いだ
あれは強すぎた、今でもそう思える
『終わりだ』
俺は跳び込み、奴が顔を上げると同時に刀を振り下ろして両断
2つに割れた侍ゾンビは地面に落ちると、片方から魔石を落とす
『こっちは終わってんぞ?』
ティアマトはリッパーの顔面を掴んで引きずってこっちに近寄ってくる
そいつはもう死んでいる、切傷はないから多分殴り倒されたんだろう
魔石はティアが拾っている姿が見える
俺は侍ゾンビの魔石を拾い、ブルドンの背中のバッグに入れると、テラ・トーヴァは口を開いた
《まぁ合格だな》
『筋力強化欲しいな』
《それはのちほどだな、また魔物来るぜ?》
ティア
『今度はなんだろうね』
ティアマト
『どんどんこいや』
まぁ現れたのはグールやゾンビナイトやゾンビランサーだ
沢山いたけども3人と1頭で倒したよ
ブルドンの後ろ足の蹴りは本当に強力だった
蹴る瞬間があまり見えないからな
あいつだけで3体のゾンビナイトの頭が吹き飛んだ
こういうときの頭数になるから頼もしい
森を抜けると入り口にはシグレさんが倒れている侍ゾンビに馬乗りになってなんか殴ってる
その光景を彼の仲間が引いた顔で見ていたんだ
こっちだって意味が分からずにドン引きさ
ティアマトなんか顔を逸らしてる
ティア
『お兄ちゃん何してるの』
シグレ
『特訓だ』
『ゴッ…』
そう言いながら侍ゾンビを殴る
まだ生きてる、声が今聞こえた
シグレさんの腰の両脇には短い鉄鞭、それを使わないで素手で倒したのか
『おわり』
そう言って顔面殴って潰した
グロいぞ
でも彼は心地よさそうに立ち上がり、魔石が地面に転がるのを確認してから侍ゾンビの足を掴むと森に向かって投げたんだ
あんな助走無しの投げ方でなんではるか遠くまで飛ぶのか理解できない
シグレ
『ティア、魔石あげる』
ティア
『やったー!』
ティアマト
『素手であれ制圧したのか』
アカツキ
『やっぱ強いな』
こうしてギルドに戻り、ロビーに入ると冒険者はほとんどいない
パット見で10人ほどか…2人ほど酒を手にしたまま近くの丸テーブルで顔を沈めてスヤスヤだ
全員が知っている顔さ
すると聞き覚えのある声に俺達は顔を向けることとなる
リゲル
『頑張るなぁお前ら。3人かよ』
クワイエット
『もう眠いよリゲル、寝ようよ』
丸テーブル席で寛ぐ2人がそう言ってきた
凄い堂々としているのが似合わない、しかもこいつら聖騎士の鎧じゃなくて冒険者の格好をしてる
見た目は安い革装備なんだけどな…
彼らに声でもかけないといけない気がし、口を開こうとすると久しぶりな奴が反対側のテーブルから口を開く
ゼルディム
『3人でとは油断が過ぎるな』
お前、久しぶり過ぎるぞ
帰ってきてから運悪く遭遇してなかったけども元気そうだな
アカツキ
『2人ケガしててな』
ゼルディム
『ふん、仲間が回復するまで大人しくしてればいいだろう…』
ティアマトが嫌そうな顔を浮かべて俺のバッグを奪って我先にと受付に向かった
あまり話したくないからだろう。魔石の換金は彼に任せるか
ゼルディムは1人のようだ
彼は立ち上がり、俺に近づいてくると体中をなめ回すように見てくる
細目で少し邪険そうな感じに見てくるけども荒さがしかなと思っていると、溜息を漏らしてから背を向けてテーブルに帰っていく
『変な問題だけは街に持ってくるなよ』
リゲル
『もう持ってきてるよな…』
呟いとる、でもゼルディムはリゲルを横目に見ながら舌打ちをするだけだ、そのまま席に座った
《おいお前ら、ロイヤルフラッシュはどうだ?》
リゲル
『明日に知らせる、ここじゃあれだしよ』
《だな。兄弟は何か言うことあるか?》
アカツキ
『…居心地はどうだ』
クワイエット
『ここは魔物が弱くて大変さ、海抜の低い場所に行ったけども…』
リゲル
『あそこじゃないと楽しめねぇな。今日は偶然にもトロールが3体現れたから遊んだぜ?弱いけどな』
ゼルディムに顔を向けて言っている
彼は苦虫を噛み潰したような顔を浮かべ、手に持っていたオレンジジュースをがぶ飲みした
その挑発に乗らないだけ彼は大人だ、我慢強さはティアマト以上だな
するとギルドのドアが開く
現れた冒険者に俺達は視線を向けたよ
この街一番の冒険者チームのエーデルハイドさ
グリンピア冒険者チーム『デーエルハイド』(Cランク)
クリスハート 片手剣士、
シエラ 魔法使い、
アネット 片手剣士、
ルーミア 双剣士
こんな感じさ
クリスハートさんは俺達に気づくと、ニコニコしながら早歩きで近づいてくる
シエラ
『久しぶり、生きてた』
クリスハート
『元気そうですね。大丈夫ですか?』
顔を覗き込んでくる
すると俺は何かに背中を引っ張られて後ろに下がる
ティアがムスっとした顔を浮かべて俺の背中を引っ張ったんだ
あれれ?ティアさん?
アネット
『色々クローディアさんから聞いたよぉ?もう私たち以上じゃないかなぁ?』
アネットさんは俺をジロジロみながら言ってくる
まだそうとは感じないけども、どうなんだろう
今日は昼過ぎから海抜の低い森の奥で魔物を倒していたらしく、かなり稼げたと言いながらパンパンのバッグをルーミアさんが見せてきた
ルーミア
『当分困らない稼ぎねぇ!』
クリスハート
『そうですね。何体か先を越されましたが…』
彼女はリゲルとクワイエットに顔を向けて告げた
確かにこの2人も海抜の低い森で魔物を倒していたと言っていたが
お前らか…
クワイエットは苦笑いを浮かべ、頭を掻いている
しかし、リゲルは満足げな表情を見せながらも足を組み、彼女らに口を開いた
『女の癖によく戦うぜ。』
クリスハート
『お強いですね、貴方達』
『まぁな、今までずっとあの森の奥にいたのか?』
クリスハート
『はい。Bランクを目指しているので強敵探しに向かっていたのですよ』
『そうかい』
リゲルはまるで興味が無さそうな素振りを見せながら彼女と会話をしていた
シエラさんはそんなリゲルを細目で視線を向け、近づいていく
『なんだ。チビ女』
シエラ
『シエラ』
クリスハート
『名前で呼んであげてください』
クリスハートさんにそう言われると、リゲルは面倒くさそうな顔を浮かべたまま頷いた
ルーミアさんとアネットさんはシエラさんを引き戻す
彼女らは受付に向かうために背を向けると、最後に俺達に『お互い頑張りましょう』と笑顔を見せてくる
本当に綺麗な人だ
あんな美人が知り合いなのはちょっと嬉しい
でもティアが不満そう
軽食屋の店員はリゲル達にホットドックを持っていく
寝る前だと思うけども、まだ食べるのかお前ら
ティアマト
『終わったぜ?』
ティア
『お疲れ様』
アカツキ
『どうだった』
ティアマトは口元に笑みを浮かべ、金の入った小さな布袋を見せてくる
まずまずな成果か、まぁ低ランクばかりだったし
今日は稼ぎというよりもスキル狙いだ。それは奇跡的に達成できたから満足してる
いつの間にかゼルディムがいない、どうやらクリスハートさんがリゲルと話をしている間に帰ったとティアが教えてくれた
さて…俺達も帰るか
明日はリリディとリュウグウが完全に退院できる
明後日は彼らを連れて低ランクの魔物相手にリハビリをしないとな
久しぶりのメンツでの稼業に楽しみがある
ギルドを出ると、ブルドンを連れて家まで3人で戻る
赤騎馬ブルドンはティアの家で飼うらしい
というかこの馬、どこかの馬小屋から盗んでしまった馬だったな
そのことを口にしながら帰っていると、ティアが面白い事を口にしたんだ
『貰ったよ!ブルドンちゃん言うこと聞かなくて困ってたって馬小屋のマスターが言ってたの、そしたらお父さんが買ってくれた!』
アカツキ
『凄い』
ティアマト
『マジか』
『ブルドンちゃん用の馬小屋もお父さんがお兄ちゃんと作ったよ。小さいけど1頭なら十分だと思う』
凄すぎだろ…
まぁティアのお父さんであるルーファスさんは日曜大工が趣味だったし容易かったかもしれない
皆と別れ、俺は家に向かって色々してから部屋に戻ると、シャルロットが俺のベットで寝てる
気にせず妹を壁に寄せて俺はベットに潜り込んで寝ることにしたけども
そこでテラ・トーヴァは理解できない言葉を口にしたんだ
《面白い野郎が来るじゃねぇか》
寝る瞬間に言われると、俺は返事は出来ないぞ?
気にせず俺はそのまま寝てしまった
それは明後日起きることに対しての言葉であると、俺はその時になっても忘れていて気づかないだろうな
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