第123話 帰り道の死闘編 2 

次の日、朝食を取ってから直ぐに支度をして宿の外に出ると、グラスタさんが馬車を用意してくれていた


『また赤騎馬借りるよ?』


馬小屋に向かってブルドンを回収し、グラスタさんが繋げていると、俺は視線を感じた


《見られてら》


近くの建物では冒険者が3人、たむろしている

会話してるのだろうがチラチラと此方を見ているのがハッキリわかる


『だが森を抜ければ安心だ』


俺はそう言うと、グラスタさんが準備を終えて乗り込むように指示してきた


リュウグウ

『きっと連絡される』


リリディ

『監視から変更なければ嬉しいですがね』


仲間がそう言いながら馬車に乗り込むと、俺が最後に入る

グラスタさんは直ぐに馬車を進ませ、大通りを目指す


人目が多い道が安全だからだ

最短ルートは逆に危険だしな


ティア

『ルドラさんが不安だね』


アカツキ

『スキルの事を知ってれば尚更動きそう』


ティア

『うん。でもさ…あの聖騎士二人は言わないだろうね』


ティアマト

『ちっとばかし祈るか』


ティア

『そだね。あの2人が動かなければルドラさんも迂闊に動くことはないとは思う』


リュウグウ

『それに、奴がスキルを知るかもしれん』


リリディ

『今現在、ルドラは知ってると思いますか?』


アカツキ

『いや、知らないだろうな』


《知らねぇな、知ってたらもう勝手に動いてる。だからリゲルとクワイエットは話さねぇ》


過去なら見ることが可能なテラ・トーヴァ

そしてルドラが上司であるリゲルとクワイエット

話したら不味い人間である事は、この会話で読み取れた


それにしても尻が痛い

椅子がない馬車の中で床に座ってるが揺れると痛い

正面側に大きめの箱があり、それを見ていると馬を引くグラスタさんが後ろを向き、口を開く


『あ、床痛いだろ?箱に座布団あるぞ?エド国産だ、変わったクッションだろ?馬車にスプリングないからそれ使ってくれ』


スプリングついてないのか……

箱から座布団を取りだし、床に置いて座るとかなり楽になる

最初から言ってくれ…


《街じゃ何も起きないが…わかってんなお前ら?》


アカツキ

『わかってる、街を抜けた先の森で待ち構えてる可能性があるだろ』


《今回は教えてやる、待ち構えてる》


珍しい教えてきた事に驚いた

いつもは自分で感じ、自分で対処しろがテラ・トーヴァのやり方

珍しさが不気味だ


仲間の顔色は険しい

だが俺はそうならない

待ち構えてると予想して地道にしてきた作業がある


それは朝食時、皆に伝えてある



アカツキ

『ティア、すまん…巻き込んでしまう』


ティア

『いや、それでいいんだよアカツキ君。背負い過ぎないで、みんな助けてくれるから』


リュウグウ

『さて、面白い光景が見れるな。待ち構えてるのは誰だテラ』


《ルドラと、その部下10人だがその中にあの2人もいる》


ティアマト

『ケッ!覚悟決めるか…最悪の場合、人を斬る事になる』


リリディ

『その覚悟くらいあってついてきてるんです。』


アカツキ

『みんな、頼む…力を貸してくれ』


俺は頭を下げると、ティアマトが呆れた顔をした

しかも俺の頭を叩いてくるし


『いった…』


『馬鹿か?馬鹿の取り柄はこれしかねぇだろ?』


リリディ

『仲間を大事に、ですね…』


彼は胸を張ってそう告げた

巻き込まれてるのに、そう言ってくれて嬉しい

俺はなんだか軽くなった


ティアがニコニコしながら俺を見ている

助けて欲しいときはそうする事を俺は全力で実行する事にした


だから待ち構えていても無駄だ

街を抜けるまでは結構かかった、昼を軽く過ぎたからな

グリンピアまでは夕方は確実にかかるだろう


止まらずに行けば日が暮れる前に到着できる

まぁ止まるんだけど


道が広い森の中を進む

人の気配を感じ取れない俺達はどこで奴らが待ち受けているかわからない

いることはわかっているのにだ



《1時間すすみゃ出会える、リゲルとクワイエットはどう動くかそこが問題だが…まぁそれ以外の聖騎士連中は今のお前らならば倒せるはずだ》


俺はテラ・トーヴァの言葉を聞いてから仲間に指示をした

先制の合図はリリディが一番だ、彼が一番適任なんだ

緊張する様子を見せない彼はメガネを触り、鼻で笑う


『お任せください、数は減らしてみます』


頑張れリリディ

無駄に俺だけ緊張してきた感じがしてくる、キンキンと体が響く感じが久しい

敵が待ち構えていることをグラスタさんにも伝えると、彼は笑っていた


『まぁなんとかなるさ!俺もいるしな』


隠密行動中、そこで聖騎士と戦っても奴らは素直に上に報告なんて出来ない

だからこそ俺達は全力で叩くことが出来る

力の差はわからない。あっちもだ


わかっているのはリゲルとクワイエットのみ

彼らが仲間に情報を与えていなければな


その中でもリゲルは苦手だ、というか嫌いだ

だがそんな感情があっても信頼できる部分はある

リゲルとクワイエットさんは自分たちの生き方や決まりを持っている事は知っている

だからこそ挑める


森を進んでいる間、魔物は現れない

というか死んでいる低ランクの魔物が茂みで倒れていたりと見かける

誰が倒したのか、わかりやすい


『そろそろ1時間、かな』


グラスタさんが笑みを浮かべて告げると、テラ・トーヴァが語り掛ける


《100メートル先、お前ら構えとけ…いきなりブッパとかあっちはしない筈さ。最初は話し合いという手を使うだろうからその間に覚悟決めておけ?》


アカツキ

『俺が会話する、リリディは決めとけ』


リリディ

『わかりました』


リュウグウ

『初動から全力でいかないと意表もクソもない、時間をかけて倒せるとは思えないからな』


ティア

『そうだね』


すると馬車が急に止まる、俺達は倒れないように体を支える

グラスタさんが溜息を漏らしながら正面の窓からこちらに顔を向けてきた

それだけで意味がわかる


俺は頷き、仲間と共にドアから外に飛び出すと、いたんだ

姿に驚くよ…。冒険者の格好だったよね君たち?

なんで賊なの?山賊?今更そんな集団とかあまり聞かないぞ?


格好をかえても顔は変わってない

正面に5人…堂々と通せんぼしているが残りの5人はどこだ?


《左右に2、3だ…リゲルとクワイエットは正面》


リリディ

『右の3人の詳しい位置を』


彼が小声で言うと、テラがそれを教えた


《赤い鳥が止まっている木の横の茂みに3人》


距離は15メートル、左はもっと奥で隠れているらしい

俺は彼らが口を開くまで考えた

正面に5人、リゲルとクワイエットを【抜かせ】ば3人


すると50メートル先にいる賊の格好をした聖騎士がこちらに歩いてくる


『リリディは右、ティアマトは左、リュウグウとティアは正面頼む』


リリディ

『ギルハルドはこっちですね』


『ニャ』


《同時に動かないと意味ないからな?話が終わればこいつら戦う準備を直ぐにする…その前に先制しな。お前らなら出来る》


俺は拳を強く握り、頷く

すると奥から歩いてくる男が話しかけてきたんだ


『悪いが通せん』


ルドラだ

あ、どこで先制するタイミングにするか俺は決めれない

まぁどう話したってこっちは拒否するからいつ始めても…同じだな


『ロットスターさんと仲良いんですか?』


『っ!?』


ルドラは『多少はな』と普通に答えてくれたのは意外だった

彼らを見ると異様に落ち着いており、こういった状況にもかなり慣れているとわかる


『俺は見てますからね』


リゲルが口を開くと、クワイエットと共に数歩後ろに下がった


本当に出来るか不安だが、保険はかけまくってる!いける!

勢い大事だ


ルドラ

『君らに恨みも何もないが、遊ばせてもらうぞ?』


唐突に鳥肌が俺を襲う

目の前にいるルドラの顔色が一変し、凍てついた表情をしたのだ

聖騎士の中でも精鋭、その1番隊の隊長


弱い筈がない、きっと俺が思う以上にこいつは…

リリディに合図を送ろうとした時、こいつは勝手に動いた


『シュツルム!』


右側の茂みに向かって黒弾を放った

それはテラ・トーヴァが教えてくれた場所に飛んでいくと爆発が起きた


『ギャァァァ!』


『ガッ!!』


2人吹き飛んだのが見える、1人は顔を出して吹き飛ぶ仲間を見ていた

いきなりの状況に聖騎士といえど、驚くという予想外な感情を出すのが人間の本能的に起きる

それと同時に仲間は走った


ティアマトは左の茂みに、リリディは倒しきれなかった右の敵に

俺はティアとリュウグウと共に正面に飛び込んだ


『覚悟は良し、か』


ルドラは冷静に剣を抜く

同時に彼の近くにいた2人の賊の格好をした聖騎士も剣を構えたんだ

そこで俺は心の中で強くガッツポーズをした、よしっ!!!!と


リゲルとクワイエットは動かない、腕を組んで傍観だ


お前らが戦いに参加しない、それが俺達の賭けだ

指示以外のことは決してしないのはお前ら2人だろ?


そのまま立ってろ!頼む!


ルドラ

『お前ら!アカツキ以外を制圧しろ!』


《いけ兄弟!》


アカツキ

『高速斬!』


俺は叫び、突っ込んだ

狙いは大将?いや違う!困惑しているお前の部下だ!


聖騎士

『あっ!』


一瞬で懐に潜り込むと、太腿を斬り裂いた

男が苦痛を浮かべているが、戦意を失っていない


『ぐぞっ!!』


不細工な声を上げ、剣を振ってくる

俺はそれに構わずに近くの男の剣を刀で受け止めた

何故避けなかったか?それはリュウグウがきっと何とかしてくれる


『槍花閃!』


槍を光速回転させていた彼女は勢いよく槍を突き、光線を飛ばした

桜の花びらが舞うその光線の軌道上には俺が最初に攻撃した男の持つ剣

ガキン!と金属音が響くと、男は苦痛を浮かべて剣を弾かれ、それが宙に舞う


『ぐっ!』


俺は別の男の剣を受け止める、重い!流石聖騎士だ…両手でも押し込まれそうだ


『ショック!』


ティアが男に雷弾を放ち、それを当ててくれた

ビリビリと1発で感電して麻痺している、そいつは倒れていくので剣を離した男を攻撃しようとしたらルドラが目の前に現れた


『調子に乗るな』


『!?!?』


大将各が見ているだけの筈はないな

ルドラは無表情のまま、その手に握る剣を全力で振ってきた

俺は振られる前に刀を前にしてガードしたおかげでガードすることが出来た


実際、ルドラの動きを見てからだと間に合わない

それほどまでにこいつの行動は俺の目で捉えれないくらい強い


ガードした俺はリュウグウとティアを突き抜けて軽々と吹き飛んだ

強い…、だが今の一撃でなんとなくこいつの力はわかる


『強風』


助け舟だ

グラスカさんがリュウグウと交戦している男に突風を飛ばし、遠くに吹き飛ばす

ティアは麻痺して倒れている男の顔面を『えいっ!』と回し蹴りを当てて気絶させている


ティアマトは?俺は一瞬だけ顔を向けた

彼を見て俺は安心したよ

茂みに隠れていた賊の格好をした聖騎士2人、先頭の1人がティアマトの武器とぶつかると、弾かれたのだ


『ツッ!?!?』


ティアマト

『単純な力でゴリ押す!』


流石熊だ

ごり押しで弾き返し、回し蹴りで顔面を蹴って吹き飛ばしていた

すかさず近くの男がティアマトに飛び込んで斬り裂こうとするが。ティアが援護した


『ショック!』


麻痺魔法、雷弾だ

相手は聖騎士だからティアの攻撃に即座に反応し、それを避けてからティアマトの振り下ろされる片手斧を飛び退いて避けた

あっちも強い奴がいる…いや違う

最初の男はティアマトを甘く見ていた感じがする


力負けしないと何故思った?スキルが高いからと強欲になったのかもしれない


『どこを見てる?』


一瞬の余所見、前にはルドラが凍てついた眼で迫る

リュウグウとティアは無視されたらしく、彼の背後を追いかけているようだ

でも大丈夫


『仲間だ』


歯を食いしばり、真横に飛んで剣の突きを回避

結構ギリギリだったな


『ふん』


ルドラは鼻で笑い、瞬時に俺に追い付く

剣を何度もついてくるのでそれを何度も避ける

避けるという点では自信があるからそこは問題ない

ただどうやって攻撃を当てるか…だな


最初の一撃よりは攻撃は弱まっている気がするが

あれは俺を試しての1回限りの全力だったのだろうか?


『くそぉぉぉ!』


突風で吹き飛んでいた男が戻ってくる

リュウグウとティアは俺の加勢を諦め、その男に向かっていった

それでいい、ルドラは俺だけで十分だ


『若い動きだ。昔のリゲルのだ』


巧みな剣の使い方だ、振ったと思えば素早く角度を変えて振り上げてくる

俺は彼の攻撃スピードに対抗するにはステータスが足りない

一撃目に見せた全力がくればひとたまりもない


刀を前に出し、彼の剣を防ぐが重すぎて何度も弾かれる

隙はある筈なのに、ルドラはそこを狙おうとしていない

まるで遊んでいるかのように淡々と攻撃している気がする


ルドラ

『協会は衰退した、特に魔法騎士会だが我ら聖騎士会は違う』


アカツキ

『くっ!』


ルドラ

『確かに貴様は強くなった、スピードは評価しても良いが攻撃してこなければ相手は倒れぬ』


そう告げると、彼は俺の刀を弾いてから腹部を蹴って地面に転がす

ティアとリュウグウが近づいてきて起こしてくれるけども俺はかなり体力を削られたようだ


息切れが激しい

全力じゃないルドラの攻撃でもこれほどまでに重いとはな


ルドラ

『どうした小僧?光速斬でも使ったらどうだ?』


アカツキ

『お前、倒す気がないな?』


ルドラ

『お前を倒すならば一撃目でとっておきの技を放って肉塊にしていた』


ハッタリじゃない

それだけはわかる

この戦いは何をもって終わりなのかがわからない

明らかにルドラと戦って勝てる見込みがない状況じゃ僅かな抵抗すらままならない


ティアマト

『おらぁぁぁぁ!』


途端にティアマトがルドラに飛び込む

どうやら自分の持ち回りを片付けたらしく、聖騎士が森の中で気絶して倒れていた

単純な腕力ならばいけるかと俺は思った、しかも意表を突いた攻撃


側面から飛び込んできたティアマトに視線を向けたルドラは剣を差し向けて攻撃を受け止める

甲高い金属音が響き、ティアマトは驚愕を浮かべた


彼の攻撃が止められたからだ


ティアマト

『なっ!?』


ルドラ

『本物をなめるな!熊もどき!』


ルドラは叫び、片手斧を弾くとティアマトの懐に潜り込んで胸ぐらを掴んでこちらに投げる


強い、とんでもなくこいつは強い

ティアマトはすぐに立ち上がり、俺達と共にルドラに武器を向けて構える

4人ならばなんとななると数での自信だけで構えたは良いが


剣を構えるルドラの表情を見れば自信がなくなりそうだ


ルドラ

『4人ならば少しは楽しめそうだ』


リュウグウ

『この男・・』


アカツキ

『流石に強い』


ルドラ

『当たり前だ、聖騎士の1番隊隊長だ…貴様ら冒険者如きに遅れをと…『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』』


彼の言葉をふせぐ大声が響く

ルドラは『ぬ!?』と声をだして背後に振り向く

リリディの相手していた男が鎖でグルグル巻きにされ、ルドラの頭上から降ってきたんだ

彼は舌打ちしながら飛び退くと、鎖に繋がれた男が地面に叩きつけられる


『ぶぺっ!!』


リリディ

『終わりです』


彼は息を切らしながらメガネを触り、そう告げているが

肩から血を流していた

斬られたのか…結構深いぞ


『光速斬』


飛び退いたルドラに俺は跳び込む

彼は驚くことなく、俺の刀を剣でガードする


《いけ兄弟!》


『うおおおおおおおお!』


俺は叫びながら奴の剣を避け、刀を振り上げた

しかし剣を受け止められてしまい、体を押しておrを吹き飛ばす


ルドラ

『まぁ確かにお前らが惚れ込む意味も少しはわかるかもしれないな』


リゲル

『言ったじゃないですか、面白いでしょ?』


ルドラ

『…これ以上は野暮か』


リゲル

『ロイヤルフラッシュさんの指示の範囲外ですから…どうします』


ルドラ

『…』


迂闊に飛び込めない

このまま満足してくれたらという願いが俺の頭を埋め尽くした

どう足掻いても無理なんだ、勝てる気がしない

ルドラは周りで倒れる聖騎士を見て『甘ちゃんめ』と囁き、俺に顔を向ける


なにやら先ほどの怖い顔とは打って変わって、怠そうな表情になっている


ルドラ

『今回は見逃そう。中身の見えない任務に命を賭けられん』


クワイエット

『流石ルドラさん』


捕らえる気はない

それがわかると肩から力が抜ける


ここで聖騎士の追手が諦めてくれるならば助かる

刀をおろし、重すぎる体を感じながらも俺はルドラに視線を向けると

彼は俺を見て鼻で笑い、背を向けた


帰ってくれる、それだけでいいんだ

このままグリンピアに帰れれば俺達の不安も解消され、今後に向けて支度がしやすくなる


ティア

『大丈夫!アカツキ君』


アカツキ

『大丈夫だ、みんなは?』


リリディ

『大丈夫ですよ、ご安心を』


無傷ではない、怪我をしているが重傷じゃないことが運が良い


リゲル

『また監視かよ…』


クワイエット

『マジなんです?』


ルドラ

『マジだ。頼むぞ2人共』


彼らはそう言いながらも周りの仲間を起こそうと動き出す

しかし、別の問題が起きり始める


《やべぇ!これあいつの気配だ!》


俺達は何のことなのか、直ぐにわかった

なんでこの状況でくる?もう少しでルドラは撤退するかもしれなかったのに

こんな場面では逃げるしかない、それなのに…


リゲル

『!?』


あいつも気づいたか…俺達は気配を感じてない

だが危機感という経験の豊富さがそれを感知したのかもしれない


『見つけたゾ』


森の奥から真空斬が飛んでくる、それは大きくてとてつもなく早い

死角から放たれたルドラの部下である聖騎士は振り向くと同時に首を跳ね飛ばされ、体はその場に倒れた


ルドラ

『なっ!?』


リゲル

『…』


クワイエット

『!?』


聖騎士

『ひぃ!?プラガ!!』


宙に跳んだ首がルドラの足元に落ちる

自分の部下の頭部を見て彼は凍てついた顔を浮かべ、声のした方向にゆっくりと顔を向ける


気配のない敵と言えばあいつしかない

そいつが姿を現した


『なんだ貴様…』


ルドラが低い声で告げると、蛸頭の貴族風の服を着た化け物は口元の触手を動かしながら両手を広げ、軽く会釈をして答えた





『初代マグナ国王、ゾンネ』




最悪な奴が現れた

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