第115話 激高する地獄からの蠍編 2
アカツキ・ライオット
☆アビリティースキル
スピード強化【Le4】
気配感知 【Le3】
動体視力強化【Le4】
斬撃強化 【Le3】
☆技スキル
龍・開闢 【Le3】
刀界 【Le2】
居合突 【Le4】
光速斬 【Le3】
地斬鉄 【Le2】
☆魔法スキル
称号
無色斬鉄
☆称号スキル
技・魔法発動速度【Le1】
斬撃強化【Le1】
特殊技『断罪』
・・・・・・・・・
リリディ・ルーゼット
☆アビリティースキル
魔法強化【Le1】
打撃強化【Le4】
気配感知【Le3】
動体視力強化【Le2】
麻痺耐性【Le3】
スピード強化【Le3】
攻撃魔法耐久力強化【Le1】
☆技スキル
ドレインタッチ【Le3】
爆打 【Le2】
骨砕き 【Le1】
☆魔法スキル
風・突風 【Le3】
風・カッター 【Le3】
黒・ペイン 【Le1】
黒・シュツルム【Le3】
黒・チェーンデストラクション【Le2】
称号
リトル・クルーガー【黒】
☆称号スキル
毒耐性【Le1】
動体視力強化【Le1】
・・・・・・・・・・
ティアマト・ウロボリス
☆アビリティースキル
斬撃強化 【Le4】
気配感知 【Le2】
毒耐性 【Le4】
耐久力強化【Le3】
動体視力強化【Le3】
スピード強化【Le2】
☆技スキル
連続斬り 【Le3】
真空斬 【Le2】
大地噴出断【Le1】
鬼無双 【Le2】
☆魔法スキル
☆称号
バトラー
称号スキル
体術強化【Le1】
耐久力強化【Le1】
特殊技『ギロチン』
・・・・・・・・
ティア・ヴァレンタイン
☆アビリティースキル
安眠 【Le1】
気配感知【Le4】
麻痺耐性【Le1】
動体視力強化【Le2】
スピード強化【Le3】
☆技スキル
☆魔法スキル
火・ラビットファイアー【Le3】
雷・ショック【Le4】
木・スリープ【Le2】
風・ケア 【Le2】
風・シールド【Le3】
称号
パナ・プレイヤー
☆称号スキル
デバフ強化 【Le1】
自然治癒 【Le1】
スピード強化【Le1】
・・・・・・
魔物表
A闘獣 金欲のアヴァロン(妖魔羊)、睡欲のモグラント(土駆龍)
A 呪王ジャビラス
B デュラハン、将軍猪、閻魔蠍、鬼ヒヨケ、女帝蜂、ミノタウロス
C ブラック・クズリ、トロール、ファングマン、侍ゾンビ
パペット・ハンマー、リザードマン、鉄鳥、マグマント
剣蜂、キラービー(単体D/集団のみC)、般若蠍、ベロヌェルカ
ロゴーレム、ニャン太九郎、魔妖精
D キングゴブリン、グランドパンサー、ゴーレム、ラフレコドラ、ケサラン
ソード・マンティス、黒猪、グレイバット、鎧蛇、棘巻トカゲ
リッパー、ゲロックロ、ハンドリーパー、ブー太(梟)
E コロール、エアウルフ、ハイゴブリン、エレメンタル各種
パペットナイト。ボロゴーレム、棘蜂、グール、グリーンマンティス
ゲコ(ヤモリ)、闇蠍、格闘猿(エド国)
F ゴブリン、ディノスライム、格闘猿、ゾンビナイト、風鳥
ゴースト、ウッドマン、ビリビリフラワー、眠花蜘蛛
角鼠、カナブーン ゾンビナイト、赤猪、棘鴉、オオダンゴ
ギョロギョロ、ゾンビランサー
・・・・・・・・・
リリディ
『1体斬り刻め』
その言葉が言い終わるとギルハルドは一直線に般若蠍に突っ込んだ
虫も動体視力はスバ抜けている、しかしギルハルドのスピードが上だった
『キッ!』
『シャ!』
般若蠍が避けようと横に動くが、ギルハルドは尻尾を斬り飛ばした
もう1匹の蠍がギルハルドに飛び込むが、それを容易く掻い潜ってから尻尾を斬り飛ばした般若蠍に飛び込み、顔面に爪を突き刺した
キキキと鳴きながら悶えると直ぐに動かなくなり、魔石を体から顔を出し、ギルハルドの足元で止まった
『シャァァァァ!』
ギルハルドはもう1匹が飛び込んでくる
足元にある魔石をすくいあげると、半回転して後ろ足手蹴り、飛び込んできた般若蠍にぶつけた
『ギ!?』
その戦い方にリリディは驚いてしまい、カバーすることを止めた
俺でも止めるだろうな
見ていたいという好奇心が勝るからな
ウレア
『首輪ついたニャン太九郎…面白いわね』
般若蠍の攻撃を避けて隙を伺うギルハルドを眺めて彼女は言い放つ
その戦いは徐々にギルハルドが押していっていた
ティアマト
『前より強くなってんぞ…』
リュウグウ
『本当にCなのか?』
《お前ら、魔物がどう強くなるか知ってるかい?》
誰もが俺に顔を向ける
テラ・トーヴァの声が聞こえるのが俺だからだな
《魔物は強くなるために魔物同士抗争するという習性があまりない、生きる為に強くなるしかない環境だった魔物は成長して強くなり、進化する…。そのように俺が作った》
リュウグウ
『無駄に戦わず、穏便に種族の維持を目的としているという事か』
《そうさ。ギルハルドは今どこにいる?強くならないと駄目な兄弟達の元にいる、強くなる道理さ。戦いに身を置く魔物はそうなるように俺が構成した…この星にある強さは経験が全てになるように》
戦いの神テラ・トーヴァのはこの星に存在する力をどう上げるかを作ったと言う
そうこうしているうちに般若蠍はギルハルドの速度に追い付けず、側面から突っ込んできたギルハルドの斬り裂かれて転倒した
尻尾で何度も刺そうとしても全てギルハルドに避けられ、そして最後には右前足で尻尾を抑え込まれ、左前脚の爪で顔面を刺されて死んだのだ
リリディ
『流石ですギルハルド』
彼はギルハルドに近づき、懐から干し肉を取り出すと、それを放り投げた
『ミャー!』
宙返りしながら口でキャッチし、着地
モグモグと美味しそうに食べている
するとそこで般若蠍の体から発光した魔石だ、それは突強化スキル
誰もがそれをリュウグウの者だと悟り、彼女に任せた
リュウグウ
『助かるぞ、ギルハルド』
『ミャ』
彼女は微笑みながら発光した魔石の光を体に吸収する
そこでリュウグウはとんでもない行動をとったのだ
『お前らには見せてもいいかもしれない、私のステータス』
『どうしたんですかリュウグウさん?熱ですか』
リリディが驚きながら彼女の額に手を付けると、リュウグウは赤面しながらリリディの腹を殴った
悶絶する男は置いといて・・・だ
どうして彼女はそんな気になったのかはわからない
でもリュウグウは『深く聞くな、今は見せるだけよ』と告げた
空気を読んだウレアさんは少し離れた場所で周りの警戒をしてくれたので、俺達は彼女のステータスを見ることになった
・・・・・・・・
リュウグウ・モチヅキ
☆アビリティースキル
突強化 【Le4】
スピード強化【Le3】
気配感知 【Le2】
動体視力強化【Le4】
限界突破 【Le1】
☆技スキル
鬼突 【Le2】
三連突【Le2】
シャベリン【Le1】
ドレインタッチ【Le1】
槍花閃【Le1】
☆魔法スキル
称号
星渡
☆称号スキル
隠密 【Le3】
運 【Le4】
・・・・・・・・・・
ツッコむなと言われているが、我慢している
限界突破?星渡?、まぁ星渡は以前聞いたことがあるが今はそれをとやかくいう時間はない
リュウグウは切なそうな顔をしながらもステータスを閉じる
リリディ
『ようやくお仲間ですね。リュウグウさん』
リュウグウ
『いつの間に回復した…』
リリディ
『やせ我慢です、僕の特技』
わからんこともない、彼の額は汗だくだ…まだ痛い筈さ
リュウグウは変な我慢をするリリディにクスっと笑うと、彼は答えたんだ
『信じることから始まるんですよ、貴方がどういう心情なのかは正直わかりませんが、これは一歩です。赤点しか取れなくても誰かを信じることが出来ます、これからもよろしくお願いします』
リリディはそう告げ、貴族のような振る舞いでお辞儀をする
リュウグウ
『…お前らの旅に付き合ってやる、今更付き添いだなんてもう言えまい』
アカツキ
『やったなティア』
ティア
『イディオット正式メンバー』
ティアマト
『これでお前も馬鹿の一員なんだから深く考えるだけ無駄だぜ?気楽にいかねぇと見たいもん見えねぇ時はある』
リュウグウはその言葉に苦笑いを浮かべる
まぁ彼女が何故このタイミングなのかはわからないが、なんとなく締まった気がした
ウレア
『そのニャン太九郎すっごいわね!成長するとヒドゥンハルトって幻の魔物とかになったり…しないか』
彼女はアハハとお茶目に笑う
だが魔物は敵を倒すと発光する魔石のドロップ率が異常に上がる
そうして強くなり、進化するんだ
ギルハルドの体つき以前よりも僅かに大きいから成長してるのは間違いないな
リリディ
『ヒドゥンハルトは確かに夢ですねギルハルド』
『ミャッ』
リュウグウ
『魔物の本だと忍者見たいな格好の猫だったわね、被る黒布からなびく2本の帯が格好良かったな』
アカツキ
『忍者?』
リュウグウ
『エド国だと忍者は通じるのにお前はダメか。魔物の本では歴史上その個体を見た者はごく僅か、どんな戦い方をし、どう生きるのかも不明点が多いと書いている』
謎の魔物か
するとティアが『ランクも不明だけども予想でBって書いてたよね』と話す
リュウグウ
『見てみたいものだな』
あとで調べとこう
俺は魔石を回収せずに後回しにして先に進む
そういえば轟音も聞こえなくなったな
疲れたのかな、それなら嬉しいけどさ
『また魔物だ』
俺はオイルランタンで前を照らす
般若蠍が1匹だ
奴はいきなりこちらに飛び込んできたが唐突過ぎる
『わっ!』
驚きながら避け、刀を降る
運良く刀が尻尾を捉え、切断出来たのは驚きだ
直ぐ様、リリディが般若蠍の顔面をスタッフでフルスイングして仰け反らせると、リュウグウが真横から素早く2回突いた
『今だ!』
リュウグウの合図で飛び出したのはティアだ
『えい!』
彼女は最後にサバイバルナイフで急所を刺して倒した
Cの魔物ならば大勢で挑めば問題なく倒せるくらいになったのは嬉しいな
アカツキ
『ゆっくり進もう、きっともうすぐだ』
ティア
『閻魔かぁ、どんな姿してるのかな』
俺に問いかけているのだろうか
その答えはわからない
わかる人が答えたのだ
ウレア
『初見だと確実に逃げたくなるわよ?メスだし?』
リリディ
『メス?』
ウレア
『閻魔蠍は1匹じゃなかったのよ、私たちフレアチームは1匹は倒したけど…それはオス…番(ツガイ)のね』
アカツキ
『産卵期だったのか』
ウレア
『そのようね、メスにもいくらかダメージを与えたわ…。でも私たちの魔力や体力じゃ無理だと判断して赤の発煙弾を空に飛ばしたの。旦那さん倒されたメスはヤバいわ…森の中で私たちフレアを探してる』
森から轟音が聞こえた
何かを破壊している音だか、木かな…
相当暴れているようだ
ウレア
『あっちも万全じゃない、それでも激昂するメスは歯止めが利かない。あんなの街に向かったらめちゃくちゃになる』
ティアマト
『なら俺達が奴をめちゃくちゃにすっか』
ウレア
『頼もしい熊さんね』
彼女にも熊と言われたか
ティアマトは何か言いたげだが、言わない
森の奥で暴れ回る音が聞こえなくなると、俺達は先に進む
開けた場所に辿り着いたが、ここがテラが言っていた一先ず目指す場所だ
草原地帯か、日中なら見張らしは良いだろう
草で膝まで隠れるぐらいの長さか
『周りの警戒頼む』
俺はそう告げ、仲間達は小さく頷いた
ウレアさんは最後尾から辺りを見回してくれている
するとどこからか小声で男の声が草原地帯から聞こえてきた
『討伐隊か?ウレア』
ウレア
『やっぱり無事だったのねギオン』
男はゆっくり立ち上がる
うつ伏せで身を潜めていたらしい
しかも一人じゃない、彼の近くで他に二人が姿を表した
全員男だ
『一先ずは揃ったな』
『マジ予想外過ぎるぜ、1匹ならまだしもカップル相手はやべぇよ、女マジギレだぜ』
ウレアさんの仲間がなにやら困り顔で会話している
ギオンさんはフレアのリーダー、先ほどの2人はマッシュとスカッシュ、名前が似ているが兄弟だ
男3人が剣士でウレアさんは双剣だ
Bランク冒険者になる手前の人たちらしい
森の奥から地面を叩くような轟音が聞こえると、彼らは驚いて伏せてしまう
マッシュ
『お前らは見てないからまだ平気なんだろうな』
ウレア
『彼らが倒しに来たのよ?』
ギオン
『まだ10代じゃないか…』
彼は起き上がると、俺達の顔をマジマジと見つめだす
少し唸り声をあげているが…
リュウグウ
『不満か?』
ギオン
『そうではない…。遊びで来たわけじゃないよな?』
ティアマト
『蠍とデートでもしに来たと思ってるのかい?』
ギオン
『あはは、でも君たちはあれを見てどう考えるか…それだけはわかる』
彼はそこで口を閉じる
ウレア
『行けばわかるわ、君たちが倒せなくても…あの発煙弾は街から見えるからそろそろ私達が戻っても守りを固めている筈よ、逃げても大丈夫』
ウレアがそう告げると、男たちは溜息を漏らしながら背を向け、歩き出した
森を出る気だ
時間的に今森を出ても問題ないと思ったのだろう
ウレアは苦笑いしながら俺達に手を振ると、彼女も仲間についていった
強い人たちだとわかる
それでも背中は小さく見えた
ギオンさんは途中、こちらに振り向き、話しかけた
『俺達も上を目指しているが、死んだら夢は消える。今言う話ではないが、どこの国も冒険者のBの連中は30組いるかどうかだ、Aになりゃ片手で数えるほどのチームしかいない…Sとなると王族から任命されないとなれない…このエド国では3人。誰だかわかるな?』
彼はそこまで言うと、軽く手を上げてから去っていく
Sが3人か…なるほどな
再び静かになる、目的の魔物が暴れる音で俺達は同時に森の奥に顔を向けた
フレアという冒険者チーム、彼らはCランク冒険者チームとして熟練している
そんな彼らでも立て続けにBを相手にするのは流石に辛かっただろうな
リリディ
『1匹を倒しただけでも凄いですよ』
アカツキ
『んで2匹目にも果敢に挑んだ…。流石だよ』
ティアマト
『強ぇんだろうなあいつら、行動は間違っちゃいねぇ、無理する時じゃねぇってあり得ない状況で判断したんだと思うぜ?』
リュウグウ
『それで…これからどうする?』
《兄弟、お前が決めるんだぜ?》
考える頭は俺にはない
『行くと決めたんだ、行くぞ』
ティアが俺の服を掴んでくる
不安そうな顔をするのかと思いきや、彼女だけ笑顔だった
『頑張ろう、多分思い通りにいかないかもだけど…冷静を失えばきっとみんな死んじゃう』
『死ぬ…か、俺は何故か緊張感がないかもな。今死ぬか乗り越えるかだが2択ならば選ぶ勇気さえあれば馬鹿な俺でも前に進める』
普通に考えればそうさ、危険なチャンスがあれば駆け込むしかない
俺は狙われているんだ、色々な者にな
強くならなければ道はない、無理は承知の上さ
ぬるま湯な道じゃない、スキルを手に入れるのだけが楽なだけ、それを活かすためにどう動くかは自分次第だ
今だ
《変なの来てるぜ?気づいているか》
テラ・トーヴァがそう言う
俺は側面から近づいてくる魔物を横目で捉えた
魔物ランクCの般若蠍、他の蠍よりも足が刺々しいが閻魔蠍はこれなんて赤子のように見えるんだろうな
冒険者Cってランクは一番の壁になっている
1段階上のランクの魔物を討伐許可されているのだが、Bを倒せる者と避ける者で道は決まる
殆どが避けるんだ、強さの次元がそこから違うからな
ミノタウルスで十分に理解したよ
あれ以上か…だけども俺達は閻魔蠍以上の者と出会っている、今更Bで驚いていては何も未来はない
俺は無言のまま歩き出すと、皆がついてくる
《今更だよな、お前らは色んな野郎と出会ってきた》
歩いていると、テラ・トーヴァが口を開いた
俺達はその言葉を聞きながら森の奥に向かっていった
《ランクAの中でも闘獣と言われる戦闘特化型の魔物、金欲のアヴァロンに睡欲のモグラントに出会った、んでゾンネにムゲンそして元英雄五傑の者、エド国最強の王に世界最強の座を持つ世界騎士イグニスなど色々な…》
俺達は草原地帯を超え、森の中を歩く
それでもテラ・トーヴァはその口を止めなかった
《そんな野郎の一部に馬鹿みてぇに戦った兄弟達が何を今更恐れる?怖いのはなれることはない、それは生きる者が得た感情、どう感じて挑むか…お前らは感覚でわかってるだろ?》
体が小刻みに震える、Bの中のBの気配が俺の気配感知に入る
鳥肌が止まらず、真夏日のように体が熱く、心臓の鼓動だけが耳元でこだまする
《強くなるために、数えきれない怖さを体験しなきゃ人間は強くなれない…。そろそろお前らも感じる距離だ。いや感じている筈だ》
ティアは既に体が強張っており、俺の腕を強くつかんでいる
こんなに力強いんだな…初めて知ったよ
体中に電撃が走ったかのような感覚だ、初めてじゃない
一瞬で頭が真っ白になるが、直ぐに持ちこたえれるよ…初めてじゃないからな
それでも飛んでくる気配、威圧はもの凄いよ
森を抜けると、草木さえ生えない開けた場所に辿り着いた
中央部分が山のように盛り上がっており、その頂上に誰もが視線を奪われる
目の前の光景に俺達は口を開け、動けない
大きな閻魔蠍が血だらけで息絶えていた、デカい…全長7メートルは軽くあるだろうサイズだ
尻尾だけでもかなり長いが先端が切断されている
これを倒したか…フレアって凄いな、やっぱ強いんだ
『シャァァァァァァ』
ギルハルドが毛を逆立てて威嚇をすると、それは現れた
大きな足音、地面を突き刺すような感じの音だ
その音の正体は遠くから音を出していた奴だ
頂上付近の奥、そこにはあり得ない巨体の蠍が死んだオスの近くから俺達を見降ろしていた
その左右合わせて6つの足の先端は鋭く槍のようだ
リュウグウ
『これは…』
2つの巨大な鋏は全ての物質を砕くだろう
それは俺達を鋏で両断するぞと言いたげに何度も金属音を響かせ、閉じたり開いたりしてる
リリディ
『こんなサイズ…』
黒光りした甲殻にはまるで閻魔様のような模様が白く描かれていた
ティア
『こんな魔物…本当にBなの?』
頭頂に2個と左右に3つずつ目が並んでいるが、その全てが赤く染まっている
蠍の目が白いのに、怒ると赤く染まる
アカツキ
『でかすぎる…今更引けないぞ…』
その体は全てを弾く鋼の体、俺達の攻撃が通じるかはわからない
しかし、所々にヒビが入っている…
『ギュイイイイイイイイイイ!!』
甲高い鳴き声に鼓膜が破れそうだ
軽く衝撃波も飛んできたぞ…なんで声してるんだよ
顔を覆い隠し、怒りを浮かべる閻魔蠍から目が離せない
《激高した閻魔蠍、それもメス…虫の世界の殆どはメスが大きくて強い》
頂上付近で俺達にその怒りをぶつけようと決めた地獄からの魔物は地面を足で何度も強く踏み、両手の大きな鋏を広げた
《サイズは10メートル!お前らがせっせと倒したミノタウルスなんざ目じゃねぇ!手負いだとしてもこいつを倒せれば馬鹿なお前らでも先が見えるだろ!遊びじゃねぇ!それはもうわかってんな!兄弟!》
『ああ!』
俺は刀を抜いて構えると、誰もが同時に身構えた
月が雲から顔を出す、巨大すぎる閻魔蠍の黒光りした甲殻が綺麗だ
雲はもうない、月の光がこんなに明るく、蠍がこんなに大きいとは思わなかった
《生きたきゃ倒せ!もうお前らは逃げれない道にいる!》
戦いの神の言葉
俺はそれを飲み込んだ
『ギュアァァァァァァァァァ!!!』
来たぞ、10メートル以上もある巨体が坂の上から下りてくる
『みんなで倒すぞ!俺達馬鹿は!』
『『『『剣より強い!』』』』
『シャァァァァァ!』
俺は叫びながら光速斬で駆け出した
お前を倒し、先の日を鼓舞しよう
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます