第107話 帰らぬ者を迎えに
イグニスとの地獄の出会いをした夜、ジェスタードさんはティア達が入院するカマクラの治療施設内で入院を余儀なくされていた
当然、彼は酷い怪我をしているから入院決定さ
安静は3日間、全治3週間だってさ…所々骨折があるらしい
しかも彼は個室を用意され、その部屋の前にはムサシさんの側近女侍騎士が警備するという特別待遇扱い
俺達はイグニスが去ったことをテラ・トーヴァに教えてもらい、治療施設に戻ったんだ
ティアとリュウグウをベットに戻すためにだ
2人はジェスタードさんの様子を見に行ってというので、俺達野郎3人は厳重な警備で守られているジェスタードさんの個室に少ししてから向かったのだ
そこは地獄絵図だった
俺達3人はドアを開けてから固まってしまったよ
『美味しい?カウラ』
エドの力の象徴であるムサシ国王がデレデレしながら皿に盛られた果物をフォークで刺すと、ベットに横になっているジェスタードさんに食べさせていた
しかも既に彼は新しい布袋を被っており、ムサシさんは袋の中に果物を入れている
『美味しいデスね』
どんな光景を俺達は見せられているんだと自問自答を何度もした
でも答えが出ない
『式はいつにするの?カウラ』
『我が輩でいいのか?男の顔をしていないのダゾ』
『大丈夫、不満そうな顔した家臣は斬るから』
斬るの!?
『やべぇこいつ』
ティアマトが真剣な顔のまま、小声で呟いた
『寝室で被り物は脱げばいいでしょ、普段は普段通りで問題ないわ』
『うぅむ…』
今、ムサシさんは完全にメスの顔だ
凄いデレデレしているが…俺達はここにいていいのか?
『それで?式はいつ?王政は私がするから魔法侍騎士の指揮は任せたわよ?今までそれを担ってたゲイザー魔法侍騎士長は奥さんとそろそろ隠居生活したいってゴネてるのよ』
『あのゲイザー殿が?まぁ彼は愛妻家デスからね…』
『まぁ自由の主張はエド国の良さなんだけど、説得してなんとか今まで持ちこたえてのよ』
『彼も60を超えているでしょう?頑張ったほうデス…仕方がない』
『よしよし!』
ムサシ王、ジェスタードさんの頭部をハグだ
何故だろう、羨ましい
俺達はいない存在みたいだし、無言のまま部屋を出た
すると部屋の前を警備していた3人の側近女侍騎士が、鼻で俺達を笑うと一同に口を開いた
『我らも部屋の中で警備は苦痛だったのよ、ここにいる』
『まぁムサシ様の初恋だから仕方がない、初めての体験で少し我を忘れている』
『言うなよ?若き冒険者よ』
アカツキ
『…はい』
《生きてればあんな面白いもん見れるんだなぁ》
そういう問題じゃないがな
俺達は真っすぐティア達の元に戻り、さっき見た光景を話すかどうか悩んだが
リリディは首を横に振るのでやめておいた
ティアはリュウグウの肩や腕にケアを施して回復を促している
少しでも治りを早くしたいからだ、2人とも貫かれたときに骨もやられている
それが無ければケアで十分治るけど、今のレベルでは骨は直らないんだ
傷は消えても、骨は飽くまで回復速度を上げる程度
『すまないティア』
『いいのよリュウグウちゃん!早く私達治さないとね』
ケアを終えたティアは片足ケンケンで自身のベットの戻る
そこで俺達はイグニスにバレたことを話し合った
いつかまた来る
ゾンネよりも厄介な奴にバレるとなると危機感を凄い感じる
急いで強くなりたいけども、開闢は1日1回しか使えない
まぁ帰ってからも問題はあるけどね、ロイヤルフラッシュ聖騎士長ってのがねぇ…
『はぁ』
俺は椅子に座ったまま、溜息が漏れる
見かねたティアマトが苦笑いしながら俺の額にデコピンしてから口を開いた
『考えすぎても体に毒だ、明日は明日の風が吹くってな』
《熊五郎のくせに良い事いうじゃねぇか》
『熊五郎ってなんだよ熊五郎って』
不貞腐れた顔のティアマトは不満を口にする
するとティアが横の小さな机に乗る皿の中の切り分けられたリンゴを食べながら話したんだ
『話し合ってもそれ以上の答えは出ないと思えば疲れるだけだよ、今日はみんなメンタル的に絶対疲れてる筈だからちゃんと休んでね?』
そうするか
だが時間はまだ16時と余裕がある
違う話でもしようかと考えていると、リリディがそれをした
『ジェスタードさんでも流石にイグニスは無理かと思いましたが、ちょっと怒ったら変わりましたね』
『愛のパワーだね!』
ティアがスイッチ入りそう、リリディやめて
アカツキ
『まぁジェスタードさんの実力はもしかしたらイグニスに一番近いかもしれないな』
リュウグウ
『気持ちの持ちようって事だな』
アカツキ
『俺にはそう見えた』
ティアマト
『アカツキ、お前みたいだな』
俺は『どういうことだ?』と問う
それが間違いだったと後悔する答えをティアマトは言った
『ティアちゃん関係はお前もああなるだろ?ムゲンの時もそうだったろ?』
こいつはニヤニヤしながら言ってるから確信犯だ
リュウグウは目を細くして俺を見るし、肝心のティアは恥ずかしくて布団に隠れたぞ
『リリディ、助けてくれ』
『無理な相談です』
『テラ』
《勘弁してくれ兄弟、つぅかこれでチーム全員が称号持ちだぞ?ランクの先が見えてくる頃合いだ》
そうだな
全員が称号持ちになったんだ、素直に嬉しい
今はCランクの安定が近いけど、Bという魔物ランクの壁を乗り越える準備は出来たようだな
『私はチームメンバーでは・・・』
リュウグウがそれを最後まで言うこと無くテラが話した
《諦めなリュウグウのお嬢ちゃん》
『お前は嫌いだぞ』
《まだ根に持ってるか…意味があって連れてきたんだぜ?》
『本当の事を話さないからな』
《悪気があったわけじゃないことだけは確かだ、時が来たら教える》
『どうだか』
リュウグウはプイッとそっぽを向く
俺は苦笑いを浮かべていると、コンコンとドアを誰かがノックする
入ってきたのはガーランドだ
ここで彼らのおさらいだ
カマクラ冒険者チーム『羅生門』(Dランク)
ガーランド・ヴィルムット 片手剣士
ミシェル・ロドリー 片手剣士
ノース・カミール 鉄鞭師
キャルミラ・ハーレン 魔法使い
こんな構成さ
全員いる、なにやら心配そうな顔をしているけども、どうやらお見舞いだ
『話は聞いてますよパイセン、夜襲犯を倒したんですよね?』
ガーランドがそういうけども、俺は1人しか倒してないことを告げると彼らは驚いていた
キャルミラ
『マジ?まだいるんですか…』
アカツキ
『夜は変に人気がない場所にはいくなよ?そっちのほうがやばい』
キャルミラ
『わかりました』
ガーランド
『てかアカツキパイセン、違う部屋の警備がやばいんですけどもあれなんですか?凄い人でもいるんですかね』
気づいてないなら言う必要はない
俺は知らないと告げる
見舞いもそうだけども他に用事があって来たことを彼らは話した
どうやら早めに戻る冒険者チームが1組戻ってきていないらしく
捜索を手伝ってほしいという頼みだ
俺たちと面識のないチームであり、Dランクだという
ガーランド
『リオンってチームです…必ず夕方になる前に戻る20代の野郎チームなんですけども』
ミシェル
『今日も夕方前に帰るようなことを口にして森に行ったのをロビーで聞いていた冒険者が結構いたんですよ、でもまだ戻ってないんです』
時間は夕方を過ぎている、外に行けばそれなりに暗くなっている頃合いだ
ティアは『いってらっしゃい』とニコニコしながら言うので俺はガーランドに無言で頷いた
彼らも同行だ
本当はコヴァのチームが適任なんだけど…
彼らは今出払っていて動けないらしい
だから俺達か、仕方ないな
俺は椅子から立ち上がると、ティアマトやリリディも立ち上がる
『ギルハルドは置いていったほうがいいですね、悪いですが頼みますよ』
『ミャーン』
リリディはギルハルドの頭を撫でる
その様子をキャルミラは羨ましそうに見ている
『ニャン太九郎…懐いてる姿って可愛いなぁ』
『触ってもいいですよ』
キャルミラは嬉しそうにしつつも恐る恐るギルハルドの手を伸ばす
すると面白い事にギルハルドから彼女に近づき
体をすりすりさせたんだ
『可愛い』
満足そうで何よりだ
『ガーランド、森はお前らの方が詳しいから先導頼むぞ』
『任せてくださいアカツキパイセン達!まぁ世話になったことあるチームなんでここで恩でも売っておかないと』
意味合いが違う気がするが…返すんじゃないのか?
そこはツッコまないようにするか
『ティア、リュウグウ…悪いが言ってくる』
『頑張ってねみんな』
『終わったら宿に直帰でもしとけ、きっと遅くなるだろうからな』
直帰か
多分夜遅くなるしそれがいい
俺達はガーランド達を連れて森に向かう
赤騎馬ブルドンも勿論共にである
時刻は19時、俺はオイルランタンを片手に先頭のガーランドと共にあるく
最後尾はティアマトとリリディだ
彼らに後ろを固めてもらってるよ
本当はどの国にも光粉という光る粉をまけばその一帯が明るくなるという素晴らしい粉があるけども。それは戦闘時にしか使えない
だから俺はオイルランタン派だ
しかし、光粉は持ってるからいつかは使うだろう
森は静かだが鳥の鳴き声だけが不気味に響く
視界も良いとは言えない
夜の森は本当に戦うには苦労する
静かに歩きながら道を歩いていくと、ガーランドが口を開いた
『パイセン、不気味ッスね』
『どういう意味で言ってる』
『誰もリオンの冒険者を森で見ていないっていうんですよ』
確かに嫌な予感がする
冒険者は森で遭難した時、無暗に叫んだりはしてはいけないと教わる
森に住む魔物を刺激するからだ
以前同じような依頼を受けて救出したことはあるんだけど…
今回も生きていてほしい
『右正面の茂みの向こう、5体が静かにこちらに近づいてきます』
リリディが小声で後ろから声を放つ
全員の足が止まり、俺はガーランドの肩を軽く叩く
『ミシェル』
『はいはい』
ガーランドはミシェルを呼び、共にいつでも迎え撃てるように身構えた
数秒すると彼らの気配感知にも入ったのだろう、更に体に力が入った
『アアアアア』
『カカカカカ!』
『アアアアア』
俺の持つランタンの灯りに堂々と姿を現すはゾンビナイト4体にグール1体
直ぐに飛び出してきたのはグールだ
裂けた口を大きく開いて先頭のガーランドを頭部から噛みつこうとしたんだ
『他をやれお前ら!』
ガーランドはグールの口に片手剣を食い込ませて防ぎ、言い放つ
素早く彼の仲間たちは飛び出し、言われるがままアンデットを倒していく
その間、ガーランドはグールを素早く斬り倒した
まぁそのくらい出来るよな、うん
俺達はついてきただけって感じだから魔石は回収する気はない
ノースがニコニコしながら倒したアンデットの魔石を拾っていると、俺は茂みの中に何か光るものを見つけた
俺は取りに行こうとすると、ティアマトが俺を静止させてから彼が取りに行った
拾い上げると、それは雲行きが怪しいと思える物だった
血の付いた剣、しかもガーランドがそれを見て目を背けた
『ガーランド…これは誰のだ』
『アカツキパイセン、捜索してるチームの持ってる剣です』
そうか
《おいおい兄弟、変に期待しないほうがいいぜ》
わかってるさ、こういう時もある
だがまだ決まっているわけじゃない
ティアマトは剣を持っていくことにしたらしい
右手に片手斧、左手に剣かぁ…似合うな
そのまま進みながら周りを探索し、水の流れる音がする方向に向かうとそこは川だった
『何もありませんね、魔物の気配以外は』
リリディはそう告げながら川の向こうに目を向けた
俺達が構えると、ガーランド達も身構えた
『夜は静かだけど、静かじゃないわね』
ミシェルがそう言いながら川の向こうに手を伸ばし、いつでも魔法を放てるようにしていた
現れたのはガーランド達には荷が重い敵だった
『ォォ…オ』
ガーランド
『いぃっ!?侍ゾンビ!』
ゾンビと言っても見た目はミイラ、黒装束を羽織り、鞘に納めた刀を手で握っている
いつでも抜刀可能という事か
魔物ランクCの面倒な魔物だぞガーランド
ノース
『いけるか…?』
ティアマト
『誰かが当たり役になって冷静になれば大丈夫だ、焦れば一瞬であの世だぜ?』
ガーランド
『当たり役?』
浅い川を渡ろうとする侍ゾンビを眺めながらガーランドが呟いた
アカツキ
『奴の攻撃を受け止めるタンク役だ、力は強い方じゃないから1回でも弾ければいい…だけども攻撃速度は速いぞ』
『オオォ…』
奴が川を渡り切った
俺たちなら大丈夫だがDランクチームの羅生門達は息を飲みこむほどの魔物だ
そうこうしているうちに先に侍ゾンビが一直線に俺達に向かって突っ込んできた
速いなやっぱ
俺達がやるしかないかと動き出そうと考えるが、俺はランタン持ってるし
だがしかし、誰よりも先に動いたのはガーランドだった
凄い形相で侍ゾンビの正面に立ちはだかると間一髪で剣で受け止めたんだよ
あの速度に反応できるとは驚きだ
まぁガーランドもギリギリらしく、顔は必至だ
『オォォ!』
『リーダーの俺ならこんなのららら楽勝だぜ!』
噛み過ぎだぞ
いやしかし、こいつは責任感がある
怖いのに前に出れる強さがあるのは俺も見習わないといけない
『ショット!』
白い魔法陣を出現させ、そこから白弾を放つミシェル
ガーランドはタイミングよく大声を出して侍ゾンビの刀を弾いた
でも反射速度は奴が上
『オッ!』
侍ゾンビは刀で素早く白弾を弾き、体を回転させながらガーランドの懐に飛び込んでいく
『うわっ!』
ガーランドは侍ゾンビの突きだす刀をこれまたギリギリで避ける
彼の顔を見れば凄い必死なのが伝わる
少しでも集中力を切らせばきっと彼はやられる
『おらぁぁぁぁ!』
ノースが横から飛び込んできた
侍ゾンビはガーランドに攻撃を止め、飛び退こうとするがそこでガーランドがやってくれた
『うおおおおおおおおお!!』
彼は侍ゾンビの両足に掴みかかった
流石に両足を掴まれた侍ゾンビは大きくバランスを崩し、そのまま背中から転倒してしまう
不細工な戦い方ではあるが、これが丁度良い
なるようになったと言えばいいだろうか
『爆打ぁ!』
ノースの持つ鉄鞭のフルスイングが転倒している侍ゾンビの顔面に炸裂だ
ボンッと小規模の爆発が起き、侍ゾンビはの頭部は破裂だ
両足を掴んで動きを止めたガーランドだが、判断に間違いはない
思い切った行動が起きた結果だろう
両足を掴めば速度ある侍ゾンビでも辛い
そして奴は耐久力は無い
一撃で倒れた侍ゾンビから魔石が出てくると、ガーランドはようやく足を離して立ち上がり、小さなガッツポーズをする
ガーランド
『よし、ナイスだノース』
ノース
『今しかないと思ったがよかった…やばい心臓がまだバクバクする』
ミシェル
『倒した…侍ゾンビを』
キャルミラ
『私何もしてないけど…やった!』
みんな嬉しそう
いい感じにトントンと戦況がよく動いてくれてよかったよ
ティアマトはヘヘッと笑みを浮かべてその様子を見守っていた
『ダッセェ動きの封じ方だが、シンプルで完全だ』
『確かに見た目はアレでしたが両足を掴めば流石にあの魔物でも無理ですね』
ティアマトとリリディが口を開いている
俺はガーランドに近寄ると、彼の背中を軽く叩いて話しかけた
『流石だガーランド、お前の思い切りがあったから誰も怪我をしなかった』
『うっす!』
『でも無理し過ぎるなよ?』
『ういっす!』
彼は汗だくだけども嬉しそうでよかった
だけど油断だけはしないでほしいかな、死んだら意味がない
《兄弟、人間の気配がないぜ》
『言うなテラ』
ガーランド
『アカツキパイセン?』
『いや、何でもない…独り言だ。皆でこの辺りを調べてみよう』
全員で川の周辺を調べる、しかし数分かけても手掛かりはない
完全に夜だ、月すら出ていないからランタンの灯りが無ければ視界はゼロだ
『アカツキさん、もしかしてですけども…』
ノースが険しい顔をしながらこちらに振り向き、話しかけてくる
俺は首を横に振ると、彼はそれ以上は何も言わなかった
ティアマト
『リリディ、気配はどうだ』
リリディ
『ギリギリ捉えられる範囲に3体、しかし気づいていないので皆さん静かにお願いしますね』
アカツキ
『もしバレたら今度は俺たちで対処しよう』
ティアマト
『はぁ?灯り係は戦わなくていいぜ?』
え?あぁはいはい頼みますよ
しかし手掛かりはない、そのまま気配に感じていた魔物だったグール3体が姿を現すと、ティアマトが意気揚々と奴らに襲い掛かった
『カカカカ!』
『カッ!』
『カカ!』
3体同時に飛び込んでくると、ティアマトはその中の2体を片手斧と剣で一気に斬り裂いて通過する
素早く半回転し、左手に持つ剣を突きだすと、丁度振り返ったグールの顔面に深々と突き刺さり、奴は倒れた
ティアマトが剣を使っての戦闘を初めて見たけど、案外いけるな
上手く使い分けている気がする
ティアマト
『ヘッ!ざまぁねぇ』
ノース
『うわぁ…』
ミャルミラ
『流れるように倒すのって凄いわねガーランド』
ガーランド
『パワー系パイセンのティアマトさんでもあれだけ俊敏なんだ…』
ガーランド、驚き中
ティアマトは魔石を回収し、赤騎馬ブルドンの背中のバッグに入れてから俺達は更に森を進んで捜索した
20分ほどだろうか
そこで見たくもない事実を突き付けられることとなる
周りの探索をしていると、リリディは茂みの奥で何かを見つけ、口元をおさえながら小さく呟いた
『これも冒険者として見なければならない役目ならば辛いですね』
『リリディ、どうした』
『アカツキさん、5人全員ここに居ました』
彼の顔は凍てついていた
俺はそれを見て足を止めた、それ以上前に進めなかった
《逃げるな》
テラが珍しく、低い声だ
俺は返事をせずにリリディの見る茂みに向かって近寄る
確か男4に女1だったか
目をそむけたくなる光景だ
貪り食われており、性別がわからないほどだった
何に食われたのかわからないがやられたんだろうな
《綺麗ごとだけ見ようとするな、お前もこうなる危険があるって自覚を今知ろ》
テラの言葉を聞いていると、ティアマトが後ろから近づいてその場の光景を目にした
ガーランド達もそれに気づき、皆が集まるとノースとキャルミラが我慢できずに顔を背け、奥に走って吐き出していた
ティアマト
『無念だったろうな…』
彼は目を閉じ、仏に軽く頭を下げる
ガーランド
『すいませんアカツキパイセン、もし死亡していた場合には赤の発煙弾と言われてますので…』
彼の声に覇気がない
誰だって同じ冒険者の無念な姿を見て明るく振る前う事は彼にも無理な事だ
ガーランドはうつむいた顔をしたまま、俺たちと距離を取った場所で懐から丸い球を取り出すと、それを地面に叩きつけて小規模な爆発を起こした
それは空へと高く飛び上がると、更に爆発して眩しい赤い光を放ちながら静かに落下を始める
ガーランド
『森の入り口で輸送隊は待機させると聞いてますので…』
ミシェル
『そうだね』
誰もが暗い、夜の方が明るいくらいに
ミシェル
『ほんと、酷い…』
アカツキ
『そうだな』
俺は冒険者たちの亡骸を見つめていると、リリディが唸り声をあげて奥に向かって構える
気づいていたけども、あまり興味はなかった
『グルルルル』
ガーランド
『ブ…ブラッククズリ!?』
誰もが驚愕を浮かべ、慌ただしく武器を手に構えだす
何故ここにこんな魔物がいるのか、考えなくてもわかる
デカい…全長2メートル半もある、口元は赤く染まっていた
きっと最大個体だろう、今まで見た中で一番でかい
Cというランクにはおさまりきらない力を感じる
お前かやったのか
『光速斬』
俺は小さく呟き、一気に駆け出した
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