第94話 完成された猛獣との戦い
アカツキ・ライオット
☆アビリティースキル
スピード強化【Le4】
気配感知 【Le2】
動体視力強化【Le4】up↑
斬撃強化 【Le3】
☆技スキル
龍・開闢 【Le2】
刀界 【Le1】
居合突 【Le3】up↑
光速斬 【Le2】
地斬鉄 【Le1】
☆魔法スキル
称号
・・・・・・・・・
リリディ・ルーゼット
☆アビリティースキル
魔法強化【Le1】New
打撃強化【Le4】
気配感知【Le3】
麻痺耐性【Le3】
スピード強化【Le2】
攻撃魔法耐久力強化【Le1】New
☆技スキル
ドレインタッチ【Le3】
爆打 【Le2】
骨砕き 【Le1】
☆魔法スキル
風・突風 【Le2】
風・カッター 【Le2】
黒・ペイン 【Le1】
黒・シュツルム【Le3】
黒・チェーンデストラクション【Le2】
称号
リトル・クルーガー【黒】
☆称号スキル
毒耐性【Le1】
動体視力強化【Le1】
・・・・・・・・・・
ティアマト・ウロボリス
☆アビリティースキル
斬撃強化 【Le3】
気配感知 【Le2】
毒耐性 【Le4】
耐久力強化【Le3】up↑
動体視力強化【Le2】
スピード強化【Le2】
☆技スキル
連続斬り 【Le3】
真空斬 【Le2】
大地噴出断【Le1】
鬼無双 【Le2】
☆魔法スキル
☆称号
バトラー
称号スキル
体術強化【Le1】
耐久力強化【Le1】
特殊技『ギロチン』
・・・・・・・・
ティア・ヴァレンタイン
☆アビリティースキル
安眠 【Le1】
気配感知【Le4】
麻痺耐性【Le1】
動体視力強化【Le2】up↑
スピード強化【Le2】
☆技スキル
☆魔法スキル
火・ラビットファイアー【Le3】
雷・ショック【Le4】
木・スリープ【Le2】
風・ケア 【Le2】
風・シールド【Le2】
称号
パナ・プレイヤー
☆称号スキル
デバフ強化 【Le1】
自然治癒 【Le1】
スピード強化【Le1】
・・・・・・
魔物表
A闘獣 金欲のアヴァロン(妖魔羊)、睡欲のモグラント(土駆龍)
A
B デュラハン、将軍猪、閻魔蠍、鬼ヒヨケ、女帝蜂、ミノタウロス
C ブラック・クズリ、トロール、ファングマン、侍ゾンビ
パペット・ハンマー、リザードマン、鉄鳥、マグマント
剣蜂、キラービー(単体D/集団のみC)、般若蠍、ベロヌェルカ
ロゴーレム、ニャン太九郎
D キングゴブリン、グランドパンサー、ゴーレム、ラフレコドラ、ケサラン
ソード・マンティス、黒猪、グレイバット、鎧蛇、棘巻トカゲ
リッパー、ゲロックロ、ハンドリーパー、ブー太(梟)
E コロール、エアウルフ、ハイゴブリン、エレメンタル各種
パペットナイト。ボロゴーレム、棘蜂、グール、グリーンマンティス
ゲコ(ヤモリ)、闇蠍、格闘猿(エド国)
F ゴブリン、ディノスライム、格闘猿、ゾンビナイト、風鳥
ゴースト、ウッドマン、ビリビリフラワー、眠花蜘蛛
角鼠、カナブーン ゾンビナイト、赤猪、棘鴉、オオダンゴ
ギョロギョロ、ゾンビランサー
・・・・・・・・・
茂みに隠れていると、ゴブリン種の集団が俺達の視線の先を通過していく
色々な物資を背負っている
13体、ゴブリンやハイゴブリン、中央にはキングゴブリンがいる
やたらと後ろを気にしながら大移動をしているようだ
焦りの顔といった感じだな…
ティア
『ゴブリン種は住処を作る、人と同じだよ』
リュウグウ
『だろうな、アニメで見た』
ティア
『アニメ?』
リュウグウ
『いや、何でもない』
俺も気になる、アニメってなんだろうか
しかし今はそんな時じゃない
リリディ
『何故住処を出ることに?』
アカツキ
『それは奴らの体を見ればわかる、傷だらけだ』
ティアマト
『襲撃された、か・・・冒険者か?』
ティア
『ひっかかれた傷跡もあるから魔物だね、冒険者じゃない』
アカツキ
『となると…』
リュウグウ
『その答えは奥に行けばわかるだろうな』
ゴブリン達の大行進は途中で道を外れ、茂みの奥に消えていく
住処を奪われたのだろうが、それは俺達が狙う魔物なのかもな
少し進むと湖に出る、ここを真っすぐ向かえば川の中流に行くことが出来る
湖は沢山のオニバスという水草が水面に浮かび、花を咲かせていた
ティアはその綺麗さに警戒を解いたが…。魔物の気配はない
『少し休憩だ』
俺がそう告げると、リリディは懐から干し肉を取り出してギルハルドに与え始める
ティアはブルドンのバックから牧草団子を2つ取り出してブルドンに食べさせると、湖で水を飲ませた
湖に近づくと、底が見えない
魚が泳いでいるのは見える、水面に顔を近づけると魔物の気配が湖の中心付近から感じ始める
だけども皆は普通にしている。動いている様子はなく…まだ警戒しなくてもいいとの事だ
ティア
『多分、寝てる』
アカツキ
『少し強めの気配だが、ベロヌェルカかな』
ティア
『その線は高いね、ブラック・クズリ討伐まで体力は温存したいでしょ?』
アカツキ
『ああ、静かに休もう』
俺は水面近くで腰を下ろし、水筒の中のミネラルウォーターを飲んで水分補給する
甘くて美味しい、今は夏が終わる時期だから暑くはない
だからこそリリディの顔はいつもより生きている
『なんですかアカツキさん?』
『夏は嫌いか?リリディ』
『暑いだけですからね』
リュウグウ
『同感よ、秋の方がいい』
リリディ
『でしょう?』
《お?人の気配が近づいてるぞ?》
俺はテラ・トーヴァに言われ、言われた方向に顔を向けると、仲間たちも俺に行動に気づいて同じ方向に視線を向けた
現れたのは変わった服装の人間だ
服の肩部分には双眼鏡のマークの刺繍、それでこの人ら4名の正体が分かった
調査兵団だ。
森の生態を調査する国で認められた特殊な兵士である
協会の独立機関とは違い、彼らは王族直属の機関だ
双眼鏡は凄い高く、安くても金貨50枚はする高級な代物だ
3人の首にぶら下がっているのは双眼鏡、残りの2人は腰に刀だ
『おや?冒険者か?』
俺たちに気づいた彼らのうち、1人が口を開きながら近寄ってきた
アカツキ
『はい、今日は傷だらけのブラック・クズリの討伐でここまできました』
『なるほど、ということはゴブリンの大移動は見たかい?』
アカツキ
『見ましたが、あれは何ですか?』
『…』
調査団の人は仲間に『小休憩、5分後に出る』と伝えて部下を休ませ始めると、再び俺に顔を向けて話し始めた
『私は調査兵団の隊長をしている者だが、私達もゴブリンの大移動は見た。あの集団は川の中流付近にある滝の近くで縄張りを持っていたゴブリン集団だ、しかし最近近くで別の魔物が暴れているから住処を変える為に移動を開始したのだろう、弱い魔物や動物なども離れるようにして移動したから森の生息地も一気に変わる筈さ。ブラック・クズリ1頭のせいでな』
『なるほど、となると普段浅い森で狩場にしている冒険者もそこが危なくなる場合もあるわけですね』
『そうだ、その情報をいち早く共有するために我ら調査兵団はいる。君たち冒険者ランクは?』
俺は懐からカードを出した
カードの色はランクCなのでブルー、調査兵団の隊長は『ほう!』と感心した様子で腕を組み始める
『それなら問題ない、奴は中流の滝付近の穴ぐら・・・先ほどのゴブリン達の住処を奪って休んでいるだろうから気を付けたまえ』
『大丈夫です、Bの魔物だと思いながら挑みます』
『良き考えだ、あと蛸頭の魔物には注意せよ…昨夜うちの部下がやられて右腕を失った』
『え!?あいつに出会ったんですか?』
『知っているようだな』
隊長は一息つき、その場に座る
自然と俺も地面に座ると、気づけば仲間たちも近くで腰を下ろしていた
『君たちの情報を聞きたい』
『剣術がやたらと高い魔物、ですかね・・・口調はなんだか自分は高貴な存在だと言わんばかりの奴でしたけど』
『口調に貴族っぽさ、か…』
《ゼペットの部下とは言わないほうが良いぜ兄弟、お前を勘繰る恐れがあるからそれ以外で話しな》
こわっ…
アカツキ
『何かを探しているような感じの話しぶりでしたが、僕らは何のことだかさっぱり』
『探し物か、なるほどさっぱりだ…だが良い情報を頂いた。知性ある人型の魔物か』
『元人間とも言ってましたが…』
その言葉に、隊長だけじゃなく聞き耳を立てていた他の調査兵団が口を大きく開いて驚いていた
異様過ぎる驚き様に俺は困惑した
隊長さんだけは直ぐに真剣な顔になると、懐から金貨3枚を俺に投げ渡したのだ
『うわっ』
ちゃんと3つキャッチした
すると隊長は静かな声で言ったのだ
『なるほど、良い情報過ぎる・・・それは誠か若い冒険者よ』
ティア
『確かに聞きました』
リュウグウ
『あれはなんだ?』
『…すまない、それは言えない』
アカツキ
『何故です?』
『混乱を招く恐れがありすぎるからだ。いやしかし、まさか…蘇っていたのか…あの暴君が魔物として』
隊長は立ち上がりながらそう告げると、俺たちに一礼をしてから部下を連れてその場を去っていった
彼らは俺達の情報で奴が何者かがわかったらしい、ゼペットの部下とは言えなかった
ティアマト
『元人間ってのはマジだったか』
リリディ
『そうですね、しかし元人間がどうやって魔物と化すのでしょうかね』
ティア
『人が知らない世界があるんだろうね』
アカツキ
『…元人間、崇高な存在であった…そして暴君か』
俺は答えがそこで出る筈なのに、思い出せないでいた
歴史をちゃんと勉強しておけばよかった?違う
それなら頭のいいティアが答えを導きだしている筈だ
話し合い中、テラがおもむろに口を開いた
《俺の予想が当たっているならばだが、ゼペットの手下は3人いる》
『3人だと?』
俺の声に仲間が反応した
リュウグウにはテラ・トーヴァという名は伏せているが、皆はスキルの声を聞いているとわかってくれている
『ゼペットの手下が3人だというのか…』
《スキルに溺れた野郎共さ…》
『ほかの2人も元人間か?』
《1人は獣かもしれないが、もしそうならば結構やばい奴だ。それは置いといて…、スキルを知り、一度手にしたことのある者は兄弟の他に沢山いた。その中で最後の根が今で叶えた者が3人いたのさ…その3人は俺のスキルに溺れて間違った使い方をした。ずっとゼペットが持っていたわけじゃないのさ…俺は点々と生命の宿る体を移動していたんだからな》
『俺も奴らのように魔物になるのか?』
《兄弟が今のままならばならない、今までの3人は欲に溺れた…願い事を叶える代償に人生を頂いたからな…大きすぎる夢を叶えた。その代償は命だ》
とんでもないスキルが俺の体にいるんだなと再確認できた
自然と汗が額を流れると、テラ・トーヴァは笑ってから続けて言い放つ
《だから俺は良いイメージが無いのさ、でかい夢を叶えるにはそれなりの代償は貰う…兄弟の夢は何だ?》
『俺は…』
《別にないならないで俺は何もしないさ。今のままで高みを目指してくれ兄弟》
『そうするよ…んでだ、意地悪は終わりにしろ』
《まぁそうだろうな、お前らの前に立ちはだかった蛸頭…懐かしい口調だった》
『誰だあれは』
《マグナ国の初代国王、ゾンネ・マグナート・・リュ・エンデバーだ》
俺はその後、直ぐに仲間にテラ・トーヴァから聞いた話を伝えた
納得のいく言葉だった、マグナ国の初代国王の遺体は盗まれたとトーマさんから聞いたからな
大きな夢を叶えた代償として人生、すなわち命を奪われて初代国王は死んだ
その後、王族墓地に埋められて数百年の月日が立ち、その体は地面に埋まった棺の中で魔物の体へと変貌を遂げていたのだ
盗まれたのではなく、自身で抜け出した
ゼペットは黒龍であり、長寿の為、彼らの事は知っていたから上手く説得して手下にしたのだろうとテラ・トーヴァは話す
何人いるかは知らなかったらしいが1人だけは知っている
その1人は話す気はないと彼は言う、俺達が混乱するからだ
グリンピアの街にいる、今もだ…
そいつが一番強いかはわからない
数秒の静寂ののち、ティアが口を開く
ティア
『遺体が消えた話は極秘情報なのね、だから私達マグナ国民は誰も知らない』
リリディ
『もし本当なら、他の2人も開闢スキルに溺れた者ということですが』
ティアマト
『初代国王以外に2人、誰だと思う?俺たちの知る歴史の中の人間でよ』
リュウグウ
『私は知らない、歴史など皆無だ』
アカツキ
『…1人いる』
俺が告げると、皆驚いた顔を向ける
あっているか、わからないがな…
ティア
『あっ…』
アカツキ
『ティアは思い出したようだな、ドルトランダーに数百年前にいた有名な冒険者ムゲン』
ティア
『学生時代の授業で聞いたことある、強すぎて無敗だったって人』
アカツキ
『そうさ、しかも彼はやたらと身分を明かしたがらなかったらしく、家族構成も未知数だったが昔のマグナ国との戦争で彼は大活躍し、敵を退かせた実績が残っている…単騎でだぞ?』
ティアマト
『単騎とかあり得ねぇだろ…』
アカツキ
『万の兵じゃなく、数千のマグナ兵相手だったらしいけども…』
リュウグウ
『それでも凄まじい強さよ』
アカツキ
『そうさ…そして忽然と姿を消した、墓もわかっていない』
リリディ
『言われて思い出しました、ドルトランダーの歴史上で一番槍の扱いに優れた冒険者だったと、彼は幼い頃は浮浪児だったとの逸話もあります』
リュウグウ
『ほう…』
《あいつの事は覚えてねぇ…しょうもない奴だったからな》
覚えていてくれよ…
アカツキ
『まぁ予測だ、一応頭に入れといてくれ。テラ・トーヴァの話だと実力の半分を蛸頭、すなわちマグナ国初代国王であるゾンネ・マグナート・・リュ・エンデバーは出し切れていないと言っていた』
リリディ
『憶測ですが…魔物の体では生前の力が出せないのでは?』
ティアマト
『んな都合良い理由が何かあんのか?』
ティア
『今はかわらないけども用心しないとね』
アカツキ
『そうだな、あとでこれはまとめよう…蛸頭はまだエド国内にいる筈だ…魔物でも人間でもないから俺の開闢スキルでも感知できないのだろうから気をつけろ』
ティアマト
『おうよ』
こうして休憩を終え、俺達は先を進む
グランドパンサー2頭が道中で現れ、ティアとリュウグウがそれを倒す
Dだとティアでも全然余裕持って倒せているので、やはり接近戦もそれなりにできる
だがあと1つ、攻撃魔法が欲しいところだな…今後の課題だ
しかも1頭の魔石が発光しており、動体視力スキルであった
それはリュウグウに渡した、槍には必要なスキルだからだ
スキルレベルが4になった、と彼女は凄い喜んでいた
かなり高い、ほとんどの攻撃は見えるらしいからカウンターで倒せるとの事
先ほどのグランドパンサーとの戦いもそうだった
相手が飛び込んでくる瞬間に彼女が飛び込み、口に槍を突き刺したからな
俺より僅かに反応が速かった
川の中流まで来ると、魔物の気配が一気に無くなった
異様な光景だ、見晴らしの良い場所なのだが…生き物がいる感じがしないぞ
『不気味な感じだ、魔物や動物がいてこそその場が生きているって実感があるんだがな』
ティアマトがそう告げながらも辺りを見回す
俺はティアと共に地面から顔を出す岩場に腰をおろし、足を休ませる
リリディ
『魔物の気配なったくですね、ゴブリンの住処はここより少し上だと思います』
アカツキ
『流れが穏やかな場所か』
リリディ
『川魚が沢山いますからね、ゴブリン達も魚を取りやすい場所に住処を作るなら少し上に歩けば川の幅が広い場所があるのでそこだと思います』
アカツキ
『よし、じゃあ出発だ…』
俺は立ち上がり、川を沿うように進む
曇り空のため、アンデット種の魔物もいる
しかし……
『アァー』
ゾンビナイトが溺れながら流されてる
どう反応していいかわからない
無言でその様子を眺め、見えなくなるとみんな何事も無かったかのように歩き出す。
ノーコメント、と言うことか
こうして川の幅が広くなると、流れも穏やかになる
奥にはいわばがあり、小さな集落でもあったかのようなボロボロの木材で作られた小さな建物がある
その横には洞穴、入り口には松明がたてられているが、火はついてない
『ゴブリンの縄張りだったのでしょうね』
リリディが口を開く
するとティアは真剣な顔を浮かべたまま、身構えたので俺達も自然と武器を構えた
『強い気配、本当にCなのか疑っちゃうかも』
『ならば先制攻撃か、リリディ』
俺はリリディに顔を向けると、彼はメガネを触る
何故かメガネが一瞬光った気がするが、気のせいか
『フフフ、お任せください』
『ミャー』
リリディは隣にいるギルハルドの頭を撫でると、腕を伸ばして黒い魔方陣を発生させた
『シュツルム』
魔方陣から黒弾、前より僅かに大きい
拳ほどのサイズが更に増したか
それは洞窟の中に飛んでいくと、中で爆発が起きた
黒煙が漏れだし、俺達は洞窟を取り囲むようにしていると気配がまったく弱まっていない事に気付く
当たってない?
《残念、手前の障害物に命中したから本命には当たってない》
『でも…』
《相当怒ってるぜ?気張っていきな!》
黒煙の中から現れたら魔物に俺達は少し驚き、後ろに下がった
2メートル半はあるだろう真っ黒い毛並み、やはり所々に傷がある
目は赤く、爪も長い
ひっかかれたくはないなぁ
『グルルルル』
牙をむき出しにし、怒りを浮かべていた
ティアマト
『でけぇ…』
ティア
『気をつけて!相当強い』
アカツキ
『本当のブラック・クズリか…』
今まで倒したらブラック・クズリはこれより小さい
仕上がったら目が赤くなるらしいが
俺がティアを守るために戦ったクズリは赤く無かったな
リリディ
『さて、頑張りましょうか』
アカツキ
『いくぞお前ら!俺達バカは!』
『『『剣より強い』』』
直ぐにブラック・クズリは吠えながらジグザグに走ってきた
それに対し、ティアマトが前に躍り出た
ティアマト
『リリディ!』
リリディ
『チェーンデストラクション』
2つの黒い魔方陣から鎖が伸び、ブラック・クズリに襲いかかる
しかし奴は捕まることなく、避けながらもティアマトに飛びかかった
『チッ!速いか!』
ティアマトは囁きながら片手斧を振りかぶった
ブラック・クズリが右前足を前につきだしていたからだ
片手斧が奴の爪に当たると、甲高い音が響き渡る
『ぐっ!?』
ティアマトは打ち負けた
体を反らせ、建て直す隙にブラック・クズリが彼の首に噛みつこうとする
だがティアとリュウグウがティアマトの頭上から飛び出してきて攻撃を仕掛けた
『ショック!』
『鬼突!』
『ガウ!』
ティアの雷弾もリュウグウの槍の突きも当たる前にブラック・クズリはすり抜けるように避け、ティアマトとリリディに襲いかかる
でかいのに身軽な奴だな
『ケッ!』
ティアマトはブラック・クズリの爪を片手斧で受け止め、リリディは突風でバランスを崩そうとした
『おわっ!』
巻き込まれたティアマトは転がるが、ブラック・クズリは耐えている
『光速斬!』
リリディの放つ風に乗り、加速した俺はブラック・クズリの側面を切り裂いた
『グルァッ!』
結構頑丈だな
よろめいた隙にリュウグウが槍を回転させ、その勢いを使って突き出すと、黄色い光線が放たれ、桜の花弁が舞う
その軌道はブラック・クズリの肩を貫いた、避けようとして僅かに狙いを外れたみたいだな
リュウグウ
『チッ!』
『ガァァァ!』
より怒るブラック・クズリ
背中にティアの放ったショックが命中してもなんのその、気にしていない様子だ
ティア
『えぇ…』
アカツキ
『来るぞ!』
俺達の周りを縦横無尽に走り回るブラック・クズリは途中で角度を変えて飛び込んでくる
リリディ
『くっ!』
ティア
『わっ!?』
速い、避けたと思えばまた走り回る
しかしだ…、俺達は反応出来ていた
スピード強化に動体視力スキルのおかげだ
これがあるから皆は避けることが出来ている
『ガァァァ!』
《やれ兄弟》
俺は飛び込んできたブラック・クズリに向かってタイミングよく顔面を斬った
甲高い鳴き声と共に奴はゴロゴロと地面を転がり、直ぐに俺を睨み付けてきた
少し違和感だ。
いつもより姿勢が低い、咄嗟に俺はスキルを使うと思い、身構える
『ガッ!!』
光速斬のスキルを持つ魔物だ、こいつも似た技を使える
先ほどとは比べ物にならない速度で突進してきた
俺のスキルでも僅かに見えるだけ、それほどまでに速い
『刀界!』
鞘に強く刀を納め、金属音を響かせると正面に向かって無数の斬擊が衝撃波と共に放たれる
『グワッ!?』
一瞬体がフワッと浮いたブラック・クズリは身体中を切り刻まれる
しかし、止まらない
怒号を上げながらの突進が見事に俺にダイレクトに命中したよ
かなり痛い
『がっ……』
『アカツキ君!』
ティアが叫んでるが大丈夫だと思う
仲間たちが俺の近くにくると、ティアマトが起こしてくれた
ティアマト
『そういう無茶は俺の仕事、な?』
アカツキ
『だな…』
リュウグウ
『見ろ、ブラック・クズリが』
彼女はそう告げると槍を構えた
まだ奴はやる気のようだ。
血だらけの体でうなり声を上げ、俺達の回りを静かに歩くその姿に焦りは感じられない
ティア
『さっきの技、私凄い早かった』
リリディ
『あれは面倒ですね』
ティアマト
『どんとこいや!俺なら胸を貸すぜ?』
リリディ
『僕は嫌です』
『ニャー』
誰もあんな突進を受け止めたくない
身体中がジンジンするが骨は折れてない
それが救いかもしれないな
アカツキ
『!?』
ブラック・クズリは突拍子もなく突っ込んでくる
それに反応するかのようにティアマトが前に出るが、彼が片手斧を振りぬく前に体当たりで吹き飛ばされ、後続として動き出していたリリディにぶつかって2人仲良く地面を転がる
ティアがショックを再び放とうとする、しかし撃つよりも奴が速い
ティア
『あっ・・・』
魔法の発動中であったティアは撃ちながら避けようとしたが、あれでは間に合わない
俺は全力で走り、ティアの前に躍り出るとブラック・クズリの振り下ろす爪を刀で受け止めた
ティアの放ったショックは命中したものの、奴は効いている様子はない
『ぐっ!!』
『グルァァァァァ!』
ガキンッと金属音を響かせ、俺の刀は弾かれてバランスを崩す
このまま飛び込まれると思ったが、そうもならない
『三連突!』
リュウグウが俺の頭上から飛び込み、技を繰り出した
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