第92話 内部争い
リゲルはアンデットの群れに意気揚々と飛び込んだ。
『おらよ』
目の前で剣を振るゾンビナイトを剣ごと斬り裂き
、周りのアンデットをひと振りで数体巻き込んで倒していく
クワイエットは楽しそうにトーマさんの周りのアンデットをどんどん斬り倒し、飛び込んできたグールを殴って吹き飛ばしていた
倒すスピードが早い、早すぎる
『さっさとそいつ倒せ』
リゲルがこちらを見て言い放つ
コンペールの事だろう、俺は襲いかかるコンペールの側面を斬って背後に周り、奴が振り向くと同時に刀を鞘に強くしまって叫ぶ
『刀界!』
正面だけの衝撃波、斬撃も混じってるさ
コンペールは衝撃波に飲まれると、体中を斬り裂かれながら吹き飛んだ
転がるコンペールに向かって跳躍し、立ち上がろうとした瞬間を狙って刀を胴体に突き刺した
それでもコンペールは止まらない
『ギャン!グラァ!』
残る左腕を振り回し、掴まれてから投げられた俺は地面を転がった
だがコンペールもそろそろ限界のようだ、かなりふらついてる
『グルル…』
周りに意識を取られて戦うよりも、こうしてお前だけに全力を出せるなら問題ない
俺は小さく深呼吸をし、刀を強く握りしめた
『終わりだ、光速斬!』
俺は真っ直ぐ突っ込み、コンペールの体を深く斬った
黒い血が吹き出し、奴は叫びながら地面に倒れる
まだ息があるのを確認し、倒れた状態のコンペールにゆっくりと近づき、急所を刺して倒しきったよ
魔石が体から出てきたのがその証拠さ
『アカツキ君!』
『ティア!今加勢する!』
俺は直ぐに彼女の救援に向かった
よく一人で持ちこたえたな、偉いぞ
『遅いんだよ半人前』
『リゲル…言い過ぎだよ…』
否定は出来ない
結局、彼らが来なければ危なかったからだ
アンデットの数は10を切る
ティアはアンデット達の攻撃を避けてはサバイバルナイフで斬ったりラビットファイアーで燃やしたりとどんどん周りを片付けていく
俺も近くのグールの引っ掻きを刀で弾き、体を回転させてから斬って首を飛ばした
『よかったぁ…』
エルデさんはホッとしているが、まだ早い
『刀界!』
前方に無数の斬撃の交じった衝撃波を発生させ、4体のアンデット系の魔物を斬り刻んで倒していく
本当にこの技は便利だ
切り札にそのうち出来そうだ
すると周りが異様に静かになったが、敵の全滅だ
『よし!よし!』
ベイクさんはガッツポーズで喜びだした
誰も欠けなくて本当に良かった
俺はその場に座ると、ティアは汗をかいたまま俺の頭をポンポンと叩いた
『危なかったね、お疲れ様』
『お疲れティア、無理させてすまない』
よくやってくれたよ
今はまだ動きたくない、一息ついてからリゲル達に一応お礼を言わなければと顔を向けようとすると、いつの間にか彼らはいなかった
『あれ?ティア…』
『いないね?テラちゃんどこ?』
《帰ったよ、回収できるだけの魔石を持ってな》
『帰ったってさ、魔石も持ってだ』
『あ、確かに半分ない!』
おのれ…
奪われたか。
だが仕形がない、助けてもらったから報酬としては相応だと思える
トーマ
『あれは知り合いかい?』
アカツキ
『知り合いですが仲は悪いです』
ベイク
『なるほどなぁ、にしても強かったなぁあの二人』
トーマ
『凄い実力だったな…だがコンペールを一人で倒した君もだけどね』
アカツキ
『俺も安心してますよ…。少し休憩しましょ』
エルデ
『賛成、俺足がもうヤバい』
俺も疲れたよ
エルデさんが倒れ込むように地面に寝そべる
彼もかなりギリギリで戦っていたから相当疲れた筈さ
すると森の中から魔物の断末魔が聞こえた。
あれは犬?狼?凄い声で鳴いているぞ
トーマ
『雷狼の鳴き声に似てる』
ベイク
『俺たちが進む方向から聞こえるが…まさか』
アカツキ
『…今は休みましょう』
トーマ
『そうだな…』
こうして、ちょっとした小休憩を挟んでから、彼らを連れて街に戻るために森を歩いていると、魔物の断末魔の正体が姿を現す
川辺付近にて、2頭の雷狼が生き絶えていたんだ
冒険者にやられたか…しかしこの時間に森にいる冒険者なんて…
いないよな…ならばあいつらか…
これなら一気に街まで帰れるぞ
『ティア、帰れそうだな』
『そだね!帰ったら沢山寝ないと』
『俺もそうするよ。明日は昼過ぎからだし余裕ある』
トーマさん達も雷狼が倒されたのを見て安心していた
元凶はこの魔物だからなぁ
まぁすんなり帰れる訳ではないと言わんばかりに魔物の気配が近づく
ゾンビランサーとゾンビナイトだ
夜だと普通の魔物は殆どが寝静まるが、アンデットは夜が本番だ
『多いな』
ベイクが苦笑いを浮かべ、口を開いた
ざっと見て6体
俺はランタンをトーマさんに任せることにし、ティアと共に魔物に向かって一直線に走る
彼女は走りながら腕を伸ばし、赤い魔方陣を出現させた
『ラビットファイアー!』
5発の熱光線が飛ぶ
それはゾンビナイトやゾンビランサーに命中すると激しく燃えながら倒れていく
炎属性なら当てれば一撃だからこの魔法はアンデットにかなり有効だ
助かる
『アアア!』
『おっ?』
ゾンビランサーが錆び付いた槍を突いてくる
剣と違って脱力が大事な武器である槍の攻撃速度はまぁまぁ速い
だが全然見えるよ
『よっと!』
『アッ…』
槍を弾き飛ばし、刀で首を斬り飛ばす
横から倒れるようにして剣を振るゾンビナイトの顔面に刀を突き刺して押し倒す
そして背後に勝手に回り込んできたゾンビナイト…いや違う
『カカカカ!』
グールかよ、いつの間にか混ざっていたか
鋭利な爪を振って俺の体を引き裂こうとしているようだ
刀で受け止め、腹部を蹴って押し倒すとティアがそいつの頭部にサバイバルナイフを突き刺し、グールはビクンと痙攣してから動かなくなる
『増えてるね』
ティアが話しかけながらも遠くから近づく黒い煙状の魔物、ゴーストをショックを当てて弾け飛ばせた
低ランクの魔物ばかりだが数が増えている
生きる者の臭いに釣られたか
《どうやら熊五郎達も森に入ってきたぜ?》
『なんだと?』
《まぁ聞き付けて森に来たんだろうな、こっから出口まで1キロちょい…少し持ちこたえな兄弟》
『了解だ!』
『カッ!』
俺は返事をすると、振り向きながらも背後から飛び込んできたグールを両断した
ティアにもティアマト達が来ていることを告げると、安心したような面持ちを浮かべる
『なら少し耐えようか』
エルデさんは双剣でアンデットの魔物の間を通り、斬り刻みながら口を開く
ベイクさんはトーマさんに肩を貸しているから戦えない
二人に近づけさせないようにするか
『地斬鉄!』
刀で地面を斬り、言い放った
縦の斬撃が地面を滑るようにしてゾンビナイトの群れに向かうと、数体の魔物の足を両断する
奴等はバランスを崩して倒れていく
まだ動けるな…
意外に技の使い方に困る技だが、まぁいいか
『ほっ!』
ティアもアンデット種の魔物に対して治癒魔法使いに似合わない近接戦闘をしている
ゾンビランサーの槍を避け、それを掴んでから下に引いて転倒させると頭部を強く踏んで倒し、グールやゾンビナイトの集まりに向かってラビットファイアーで燃やす
『アアア!』
『はいおわり!』
剣を振り下ろすゾンビナイトの懐に潜り込み、サバイバルナイフを顎に突き刺す
するとエルデさんが俺の周りのゾンビナイトを双剣で素早く斬り倒していく
双剣は攻撃の速さがある
低ランクの魔物では避けるのは無理だろうな
『君たちは本当に強いな』
ふと、トーマさんが話しかけてきた
『そうですか?』
『強いよ、ランクは?』
『Cです』
『あはは…流石だね。しかしこの量だ』
アンデット種の魔物がウヨウヨだ
《兄弟、間に合ったぜ?》
ふむ…、助かった
俺は周りのグールやゾンビランサーを倒しながら彼に口を開く
『ですが大丈夫です。仲間が来ました』
『仲間?』
トーマさんが首を傾げる
すると、森の中から叫び声が響き渡り、ティアマトが姿を現した
『おーい!大丈夫かぁ!?』
『助かる!周りのアンデットを頼むティアマト!』
『任せろ!行くぞお前ら!』
リリディやリュウグウ、そしてギルハルドも登場だ
『楽しそうですね、交ざりに来ましたよ』
『いいから周りのアンデットを倒すぞメガネ!』
一安心だよ本当に
トーマさん達は直ぐに俺の仲間だとわかると、ホッと胸を撫で下ろした
『ふぁ~、助かったぁ』
『恩に着る』
ベイクさんとエルデさんはそう告げると、溜め息を漏らしながら足を止めた
数分足らずでようやくアンデットも全滅、そこで運良く突強化スキルをゾンビランサーの魔石からゲットだ
リュウグウはご機嫌があからさまに良くなるのは面白い
リリディが魔石を回収している間、俺は地面に座っていたティアに声をかけた
『お疲れ様』
『頑張ったね私達』
『あぁ頑張ったさ。帰ろう』
『そうだね』
彼女が手を伸ばしてくる
引っ張れ、だな…
ティアの手を掴んで立ち上がらせ、仲間を連れてトーマさん達を護衛しながら森を出たよ
ギルドの中には冒険者は少なく、4組程度だけだ
入った瞬間に受付カウンターにいた見覚えのある女性に目がいく
あれはトーマさんの心配をしていた奥さんだ
『サリナ、すまん!やらかした!』
トーマさんが口を開くと、奥さんであるサリナさんの不安そうな顔が一気に晴れた
『どうしたのトーマ!足!』
『面倒な魔物に遭遇してな、折っちゃった…あはは』
サリナさんは走ってくると、近くの職員も彼に駆け寄る
どうやら治療室直行だ
ベイクさんがトーマさんに肩を貸しつつ奥の治癒室に向かう姿を仲間と共に見送る
エルデ
『本当にありがとう、今は何も持ってないけど今度会ったらお礼をするよ…今はこれでいいもん食え』
金貨1枚だ
お金のためじゃないから受けとるのはどうかなと思い、悩んでいるとエルデさんは苦笑いしながら俺の手に無理矢理金貨を握らせた
『これでも少ないんだ、だって命を救われたからな』
『それならありがたくいただきます』
『ありがとう、俺もトーマの様子を見に行く』
『今日はお疲れ様ですエルデさん』
『それはこっちのセリフさ。いつか君たちみたいに強くなりたいな』
彼はそう言うと、奥の治癒室に小走りに向かう
最悪な展開にならずに済んだ
正直かなり疲れたけども、冒険者として良い事が出来たと実感している俺は十分だ
受付嬢
『イディオットさん、報酬報酬』
カウンターから受付嬢が手招いている
リリディと顔を見合わせてから受付に向かうと、受付嬢はニコニコしながら欠伸を目の前でやりやがった
眠いのか…
『お疲れ様です。緊急依頼としてサリナさんが依頼をギルドに登録していたので報酬ありますよ?』
『え?』
『貴重なアイテムです。凄い高いので無くしたら駄目ですよ?』
受付嬢が取り出したのは指輪だった
ダイヤ?いやわからん…宝石の部分が緑色で透き通った綺麗な指輪だが、話によるとダイヤじゃなくて緑魔宝という貴重な魔石だ
赤魔宝とか別の種類も勿論存在する
これは魔石より遥かに価値の高い魔石さ
魔物のダイヤとも言われるが…
その魔宝の色の属性、すなわち緑なら風魔法が付与されてるのだ
魔力を流せば誰でも使える笑いたくなるほどの便利アイテム
普通に買えばいくらか?安くても金貨30枚以上はいく
だって魔法スキルにセットしなくてもアイテムとして使えるからだ
『すご…』
ティアが俺の横から覗きこんで見ていた
受付嬢に聞いてみるか
『何の魔法が?』
『レイヴンです』
風魔法レイヴン
手をかざし、緑の魔方陣が出現すると勢いよく飛び上がる事が可能、その高さは50メートルが最高らしいが、凄い
浮遊を維持は不可能、飛び上がると徐々に高度が下がる
まぁこれを利用して高台から飛び降り、ゆっくり降下しながら着地も可能
便利なんだよ
リュウグウ
『人助けもなかなかに良いな』
ティアマト
『凄ぇな、だがこりゃ…』
リリディ
『使いどころ難しいですね。アカツキさんとティアさんの功績ですから二人で決めてはどうです?』
アカツキ
『となると俺は持ち腐れになりかねないからティアだな』
俺は彼女に指輪を渡すと、彼女は何故か恥ずかしそうにしてる
まぁ受け取ってくれたから、まぁいっか
ティアマトはクスクス笑ってたが、あいつはわかったのかな
俺はティアと共にトーマさんの様子を見るために他の仲間をロビーで待機させ、治療室に向かう
いつのまにか時刻は22時、こりゃ寄り道できないな
足の骨折、トーマさんは既に治療室奥にあるベッドに横になり、仲間達と奥さんのサリナさんが彼の様子を見ていたのだ
トーマ
『やぁ強い恩人さん』
サリナ
『本当にありがとうございます。指輪は受け取ったと思いますが是非お使いください』
アカツキ
『いいんですか?こんな高いの』
トーマ
『君たちがこなきゃ俺達どうなってたか…』
エルデ
『死んでたかも知れないしな』
ベイク
『あぁそうだな、助かったよアカツキ君にティアちゃん』
ティア
『無事で何よりです』
トーマ
『そう言えば君たちの国は大変そうだね…』
アカツキ
『やっぱそう思います?』
トーマ
『新五傑公表だからねぇ…、まぁガンテアとの戦いの時に5傑が分裂しちゃったのは各国のトップはそれをマグナ国の弱体化と捉えただろうから、マグナ国の国王は時期を見て育った人材を5傑に任命したんだろうさ』
ティア
『詳しいんですか?』
トーマ
『父がエド国の王都アヅチで軍師をしてて話を聞いたんだ』
《凄い奴の息子を助けたな兄弟》
流石に驚いた
俺はきっと詳しく聞けると思い、トーマさんに何があったか聞いてみると彼は秘密の話なのに教えてくれたんだ
大事な話だと悟ったエルデさんとベイクさんは席を立つと、ロビーで待っとくと告げて部屋を出た
『内密だよ、ガンテアとマグナ国の国境にある山脈、龍山があるのはわかるよね?』
アカツキ
『はい』
『マグナ国側、山の手前には黒豹人族の集落、今のマグナ国最強と言われるロイヤルフラッシュ聖騎士長の故郷がある、いや…あった』
ティア
『戦争に巻き込まれたと聞いてます。夜襲してきたガンテア共和国の精鋭にやられたと』
『違うよ、マグナ国の国王が消したんだ』
俺とティアは言葉を失った
どうして?何故?と
『マグナ国は当時、本気でガンテア共和国との戦いに勝つためにエルベルト山、別名は龍山、そこに拠点を構えたかった。山の主を倒すために初代五傑を全て集め、山を攻略するために10万の兵を引き連れて黒豹人族の集落の近くに一度拠点を敷いたんだ』
アカツキ
『そもそもなんで戦争に』
『政治的な理由じゃない、ガンテア共和国の王が伝説のスキルと神の居場所を知っているからだ、それを知るために戦争を仕掛けた』
初耳過ぎる
ガンテア共和国が持つ物資じゃないのか…
ティア
『神?』
『それに関してはわからない、敵のスキルを奪うスキルって情報はわかるけどね』
開闢だ、俺はそれには触れず、戦争について聞いてみたよ
アカツキ
『五傑の分裂とは何があったんですか』
『黒豹人族の集落付近に一度拠点を敷いたマグナ国勢力は大規模な夜襲を受けた、ガンテア共和国の勢力は山の向こうにいるはずなのに』
アカツキ
『誰が夜襲を…』
『ガンテア共和国の兵さ、既にマグナ国領土内でひっそりと隠れていたんだ。黒豹人族にガンテアと繋がるものがいたらしい…。マグナ国の兵が黒豹人族の集落に向かうのは黒豹人族にしか伝えてなかった、だから内通者が自国の国民でもある黒豹人族だと直ぐにマグナ国の国王であるエルデヴァルド王は悟った。
その夜襲でガンテアは全てを決するつもりだった、しかしあまりにも5傑が強くて夜襲は失敗し、5万のガンテア兵は撤退したがマグナ国の兵も7万まで減らした…。だがマグナ国の国王エルデヴァルドは危険分子として黒豹人族の集落を抹消し、再び拠点を固めることにしたんだ
』
アカツキ
『ロイヤルフラッシュ聖騎士長の故郷を抹消…ですか』
『その極秘任務を請け負ったのは五傑最強の世界騎士イグニス、あれは各国のトップが一番恐れる兵器さ。ガンテアの夜襲に見せかけるようにして集落を焼き払う、動員数は少ない方が事実は漏れない、だから単騎で村程度を直ぐに墜とせるイグニスに任命したんだ。軍を集落から離れて拠点を作っている時に決行されたらしい』
ティア
『……』
『黒豹人族の集落を火が包んでいたらしいね。それにいち早く気づいたのはロイヤルフラッシュ聖騎士長さ、彼は怒り狂ってイグニスに襲いかかったらしいが…まぁ無理だよね、世界騎士には勝てない…。イグニスも戦争に甘い考えを持ったロイヤルフラッシュを返り討ちにしたが殺しはしなかった。それが仇だったのかもな…』
アカツキ
『どうなりましたか…』
『ロイヤルフラッシュ聖騎士長はその後どうしたかはわからないが五傑はそこでそれぞれが姿を消したってさ、そこでマグナ国は攻める事ができずに戦争を放棄することとなったらしい…停戦状態だ。戦争は続いているんだよアカツキ君』
ロイヤルフラッシュ聖騎士長はイグニスという最強の英雄五傑を恨んでいるのか
故郷の黒豹人族は誰も生き残らなかったらしく、親族さえも殺されたとか…
そりゃ怒るだろう
怒るってレベルじゃない、恨みの塊となっている筈さ
あの人が鳥仮面騎士をしつこく追う理由がわかった
俺たちが見た黒い騎士は世界騎士イグニス
ロイヤルフラッシュ聖騎士長は奴を倒すために情報を集めているのだ
しかし、イグニスはなんでマグナ国の上層部を狙う立場に?わからん
『悪いがこれには少し父の憶測も混じってる』
アカツキ
『いえ、助かりました…』
ティア
『ガンテア兵が黒豹人族の集落を襲ったんじゃなかったんですね…』
『あれはイグニスだと聞いていた。神とスキルに関した情報のためには人はそんなことも出来る、それが王なのだろう…。あとはマグナ国の初代国王の遺体もガンテアが持ってると言われていたからね』
アカツキ
『へ?』
ティア
『え?』
『やはり誰も知らないか…。かなりの暴君と歴史では言われていた300年前の初代国王、王族墓地から遺体が掘り起こされ、盗まれた話は聞いては?いないよね…公になるはずもない』
アカツキ
『なんのために…』
『わからない、だが初代国王は神と話したことがあり、伝説のスキルを手にしたことがあると言われていたから少しでも情報が知りたい誰かが遺体を持ち運んだかもね…。』
俺たちの国の初代国王の墓地から遺体が盗まれた…か
テラ・トーヴァならば知っている筈だ
俺は彼に話し掛けようとすると、彼から口を開いた
《マグナム国初代国王かぁ、まぁあいつは変わったやつだよ…》
アカツキ
『何故遺体が盗まれた?』
ティアがトーマさんと会話し始めたのを見計らって俺は小声で話し出す
《それは知らねえ、だが兄弟…そのうち初代国王に会う筈さ》
『馬鹿な…』
《これ以上は秘密だ、まぁ盗まれたというのは違うかもな》
『違う…?どういうことだよ』
《時がそれを教えてくれる…兄弟はゼペットの手下の襲撃に備えな…。あのタコ頭は強いぞ?生前の半分しか実力を出してなかったしな》
『生前?』
《あっ!俺は寝るぜ兄弟!あばよっ!》
これだよ、ったく
トーマ
『遅くなるとあれだ、今日は帰った方がいい』
サリナ
『指輪、大事にねティアちゃん』
ティア
『大事にします』
アカツキ
『では俺たちはこれで』
俺はティアと共にギルドロビーにいる仲間の元に戻った
歴史の教科書ちゃんと見とけばよかったなぁ、いつが初代か全然的外れだった
300年も前か…なるほどな
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