第89話 決着!ミノタウロス戦 2
ミノタウロスが走ってくると、俺は高速斬と叫んだ
一気に加速し、奴の目の前まで迫ると殴られる前に右肩を切り裂いた
スピード強化スキルのレベルは4、もうお前の目では限界だ
わかっていても、体が反応する頃には俺が攻撃している筈さ
そして疲労しきっている今なら存分に使える
『高速斬!』
ミノタウロスが振り返ると同時に脇腹を斬って背後にまわる
今更腕を振ってもそこに俺はもういないぞ
その間にギルハルドはリュウグウの槍を加えて引きずりながらリュウグウに持って行っているのが見える
それでいい、ナイスだ!
ティア
『ラビットファイアー!』
赤い魔方陣から5つの熱光線がミノタウロスに飛ぶ
それは両腕を前にクロスしてガードして受け止めていたが、完全にダメージを消したとは言えない
ミノタウロスの腕が酷い火傷を負ったからだ
苦痛を浮かべるが堪えている、痛みよりも怒りが増しているようだ
『ウモオオオオオオオ!』
ティアマト
『ギロチン!』
『ッ!?』
ミノタウロスの横からティアマトが飛び込みながら叫んだ
彼の姿に気を取られたミノタウロスは頭上から落ちてくる斬撃に気づくのが遅れ、右腕を上に掲げてガードするという選択肢を取ってしまう
それはミスだ
落ちる斬撃がミノタウロスの右腕に触れると、奴の腕が吹き飛んだ
血を拭きだし、驚愕を浮かべるミノタウロスは飛んでいく自身の腕を目で追ってしまう
ティアマト
『鬼無双ォォォ!』
またしてもミノタウロスはミスを犯した
飛び込んでいたティアマトから視線を外して自身の吹き飛ぶ右腕を見ていたせいだ
振り向くと同時にティアマトが魔力で固めた右手によって頬を全力で殴られたんだ
そこでミノタウロスは意地を見せる
『ウモォォ!!』
『なっ!』
左手でティアマトの右腕を掴み川に向かってブン投げたんだ
石を投げ、池の水面を跳ねさせる遊びは俺は見たことがある。
ミノタウロスはそれを人間でしたんだ
『がっ!』
ティアマトは水面をバウンドし、向こう岸まで吹き飛ぶ
叩きつけてない駄目マシだろうな
ミノタウロスはこちらに体を向けると、左手で地面の砂利を掴んでこちらに投げた
ティアはシールドを展開し、近くにいた俺とリュウグウはそれで防ぐことができたが、リリディは間に合わずにスタッフでガードしたまま石という高速で飛ぶ凶器の雨に命中して吹き飛んでいった
リュウグウ
『メガネ!』
ティア
『リリディ君!』
アカツキ
『馬鹿!前見ろ!』
『ウモオオオオオオオ!』
ミノタウロスが迫っている
左腕で薙ぎ払い、俺達3人同時に吹き飛ばす気だ
これには流石に俺達3人全員が慌てて避けるしかない
飛んで避ければきっと狙われる
リュウグウはギルハルドから受け取った槍を回し、その勢いを利用してミノタウロスの方向に突きだすと『槍花閃』と叫んだ
光線がミノタウロスに一直線に向かうと、それは奴の右肩に命中する
貫けなかったのは残念だ、しかし傷は深い
ミノタウロスは左手で傷ついた右肩を抑えることもせず、巨体を活かして突っ込んでくる
スキルを使ってもこいつはきっと関係なしに突っ込むと何故か感じた
『避けろ!』と叫び、ティアとリュウグウは横に飛んで避ける
俺は真上に飛ぶとミノタウロスは足を止めて俺を睨んでくる、落ちてくるのを待っているな
だけども無策で飛んだわけじゃないさ
『チェーンデストラクション!』
リリディだ
彼は倒れたまま、両肩部付近にある2つの黒い魔方陣から鎖を伸ばすと、ミノタウロスの両足に巻き付いて引いたのだ
『モモッ!?』
すってんころりんだ
背中から転倒した姿が見える
俺は落下しながら納刀し、大声で叫ぶ
『刀界!』
真下に斬撃が交じる衝撃波が飛ぶ、狙いはミノタウロスだ
奴は左腕で顔だけを守る
だが体中は俺の技によって深くはないがズタズタに斬り裂かれたんだ
このまま落ちるわけにはいかないな、不味い
『リリディ!』
俺は叫ぶと、彼はその意味を瞬時に理解してくれたんだ
『突風!』
俺に強い風が吹き荒れる、吹き飛ぶようにして俺はミノタウロスから離れ、体を回転させて離れた場所で着地できた
流石だよリリディ、助かる
ギルハルドはキュウソネコカミを発動させたまま上体を起こすミノタウロスの首を斬る
この猫もかなり助けになっている、リリディが羨ましいな
『モッ…グ!』
首の傷から流れる血を見て傷口を左手で抑えながらミノタウロスは立ち上がる
この一撃で正気に戻ったのか、奴は目を細めたまま俺達をジッと見ていたんだ
リリディがフラつきながらも俺達の元に戻ると、全員で構えて待ち構える
見るからに疲労困憊、その言葉が頭に浮かぶ
こちらも奴の大振りな攻撃を避けたりと忙しかったからかなり疲れが来ている
本当に強い…俺は口では言い表すことが出来ない謎の高揚感を感じた
武者震い?違う…
なんだろうか
だけどもこれだけはわかる
Bという魔物相手によく戦っているというせいで、俺は強くなっている実感を持てたよ
ティア
『ティアマト君、大丈夫そうだね』
彼女は真剣な顔を浮かべたまま、上手く川を越えてきたティアマトに目を向けて言い放つ
ティアマト
『いてぇ…だがこれでいい、良い痛みだ』
リリディ
『まだ休んだら駄目ですよ?』
ティアマト
『はっ!誰が休むか馬鹿っ!』
頭から血を流しているティアマトは背後からミノタウロスに突っ込んだ
それと同時にミノタウロスは横目で彼を確認し、苦虫を嚙み潰したような顔を浮かべたまま飛び退いて俺たちから距離を取る
ようやく頭を使ってきたか…俺達4人とティアマトを視線におさめようとしている
それは正解だ
リュウグウ
『こんな戦い初めてよ、体が震えるわ』
アカツキ
『どうした?』
リュウグウ
『多分、恐怖だろう』
リリディ
『当たり前ですよ、相手はいつも戦っているランクとは比べ物にならない強さを持った魔物ですよ…』
ティア
『危険な分、命賭けてるんだもん…誰だって怖い筈よ』
アカツキ
『怖いのが普通だ、リュウグウ』
彼女は深呼吸し、苦笑いを浮かべた
だが無理をしている気がする
無理を出きる余裕があるならば君は大丈夫だ
《兄弟、大丈夫か》
『大丈夫だ、だが最後に無理をする』
《それでいいさ》
彼の声はいつもより優しかった
俺は一息つくと、納刀した刀を握り締めてからティアマトに小さく頷いた
気づいてくれよ?頼む
俺は仲間達と共に走り出した
ミノタウロスはそれに何かを感じたのか、左拳を握り締めたままこちらに襲いかかってきたよ
『ラビットファイアー』
ティアが発生させた赤い魔方陣から5つの熱光線が飛ぶ
ミノタウロスはそれを避けることなく、胴体で受け止めたのだ
何故?それは誰もがきっと感じている
避けるくらいならば堪えて一気に畳み掛ける事
ミノタウロスに残された道はそれしかない
体が多少燃えても気にせずに奴は掴み掛かってくる
狙いは俺
光速斬の加速で無理やり懐に潜り込み、脇腹を斬り裂く
ガクンとバランスを崩した隙に、リュウグウは『鬼突』と叫び、ミノタウロスの左肩を槍で貫いた
『ウガァァァァ!』
リュウグウ
『ぐっ!』
ミノタウロスがその場で暴れた拍子に左腕に接触し、槍が食い込んだ状態のまま彼女は吹き飛び、地面を転がった
もう左手にもあまり力は出ない筈
『でやぁぁぁぁ!』
俺は大声を上げながらミノタウロスの蹴りを避け、そのまま太股を刀で斬ってから跳躍し、胸部を斬った
血が飛び出ても奴は歯を食い縛り、飛び上がる俺の足を左手を伸ばして掴んで来たんだ
動かせるのか!?しかも反応が早い!
『モォァァァ!』
『うわ!』
足を捕まれた瞬間に手の甲を刀で突き刺そうと考えた
その前に俺は地面に強く叩きつけられたよ…
激痛が全身を襲う、折れた?いや…大丈夫だ
『が…』
しかし、起き上がれない
呼吸すら出来ない、息が抜けていく一方だ
吸いたくても吸えない感覚って不思議だ…
《立て兄弟!!!》
ティア
『アカツキ君!!』
『ウモォォォォォォ!!』
倒れたまま顔を上げた
すると目の前でミノタウロスが大口を上げて叫びながら左腕を振り下ろしてきた
駄目だ!避けれない
ティアは冷静さを失ったのか、俺に飛び付くと魔力で作ったシールドを頭上に展開してくれた
それで奴の攻撃は防げないのを知ってる筈だぞ!
俺に覆い被さるティアは強く俺を抱き締めた
何故だ?
その答えはいつかわかるだろう
俺は今日は死なないぞ
ティアマト
『アァァァァァァァァ!』
大声で叫びながらティアマトが俺の前に現れ、ミノタウロスの振り下ろす左拳に片手斧をぶつけたんだ
これ以上はないほどの全力でだ
普通ならばそんな事、彼も考えない
でも頭はミノタウロスもかなりギリギリなのを彼は悟り、止めれると賭けた
ミノタウロスの拳にティアマトの片手斧が深々と食い込み、鮮血が飛び散る
流石だよティアマト、お前は止めてくれたんだ
『ウガァ!』
たまらず左手を引くミノタウロス
その隙に俺とティアの頭上を飛び越える頼もしい奴がいる
『賢者バスタァァァァ!』
リリディだ
彼は木製スタッフをフルスイングし、ミノタウロスの顔面にクリーンヒット
打撃強化レベル4は伊達じゃないな
『ガッ』
ミノタウロスは仰け反り、バランスを崩す
俺はティアに引きずられながらその場から離れることが出来たけどもさ
どうせならトドメを俺が差したかったなぁ…
ティアマト『連続斬り!』
素早く奴の胸部を2回斬り、彼は不気味に笑いながら囁いた
『お開きだ!ギロチン!』
彼はその場で片手斧を振り下ろし、ミノタウロスの頭上から斬撃を落とした
それは奴の胸部に突き刺さり、ミノタウロスは吐血する
背中からドスンと音を経って倒れたミノタウロスは、それでも立ち上がろうと力を入れる
底知れぬ意地の強さはBとしての力量を知るには十分過ぎた
だからこそ、ここで終わりにしよう
リリディ
『爆打!』
上半身を持ち上げようとしたミノタウロスの顔面にスタッフを叩きつけ、爆発が起きる
ビクン!と奴の体が反応を示すと、リリディは飛び退いて俺達の近くでスタッフを構えた
ティアマトもこちらに移動して前を固めてくれている
リュウグウが後ろから戻ってきたけど大丈夫そうだな
多少、体が傾いてるけど、どこか痛いのかもしれん
俺はティアに支えられながら起き上がると、ミノタウロスはムクリと上半身を持ち上げる
俺は驚愕を顔に浮かべる
致命傷だったろ、今の!
ティアマト
『マジ…かよ!』
リュウグウ
『こいつ…』
リリディ
『いや…しかし、気配が』
気配は無い
そしてミノタウロスはそこから動く様子が無いんだよ
奴の目は俺達を睨みつけたままピクリともしない
動かない体に鞭を打って刀を構える俺はもう動かないでくれと何度も祈る
ティア
『そんな・・・』
ミノタウロスは静かに立ち上がった
俺は動けなかった、それは仲間も同じさ
何故動けるのか理解が出来ない
魔物とはここまで頑丈なのか
ティアマトは舌打ちをし、片手斧を構えながら飛び出そうとした
すると彼は何かに気づき、その足を止める
リュウグウ
『熊…どうした』
ティアマトはミノタウロスを見たまま、片手斧をおろす
目の前にまだ動く敵がいるのにだ
だが彼が一番、俺たちの中では冷静だったと言わざるを得ない言葉を言い放つ
『終わったぜ』
《帰ったらいいもんくいな、兄弟》
テラ・トーヴァの声と共に、ミノタウロスの体から発光した魔石が胸部から現れ、地面に転がる
ドスン!と音を立てて倒れたミノタウロスは既に立ったまま死んでいたのだ
ティアマト以外、ミノタウロスの気配が完全に消えていたことに気づかなかったんだ
それほどまでに焦りを覚えていたんだろう
最後の最後まで動くとは恐ろしい奴だな
そして強かった……
ティアはまだ過剰に俺を支えてくれてる
肩を貸してくれればいいのに、なんで抱き付いてるのかな
まぁそっちのほうが俺は好きなんだけどさ…
全員がミノタウロスの前に近づき、魔石の前に座るとリュウグウが笑い出した
それに釣られ、どんどんみんなが笑い出す
アカツキ
『良い結果だ』
ティアマト
『いやぁ!これが冒険者なんだな』
リリディ
『暴れすぎですよ…この魔物』
リュウグウ
『倒したのね、魔石のスキルはなに?』
ティア
『アカツキ君、大丈夫?』
『大丈夫だよティア、それよりスキルだ』
俺はみんなと同時に発光した魔石に手を伸ばした
ランクBとなるとやはり驚きの連続だった
これが俺たちの進むべき道にいる魔物の力なんだと知ることが出来たのが大きい
それを倒せたんだ…帰ったら美味しい夜食でもみんなで食べよう
《流石のBだ、スキルは期待していいぜ兄弟》
『いったい何の…』
俺は口を止めた
伸ばした手から感じる魔石のスキルは『攻撃魔法耐久力強化スキル』
それは受ける攻撃魔法のダメージを減少させる素晴らしいスキルだった
だからこそミノタウロスはティアのラビットファイアーの危険度優先度を低くしていたんだろうな
しかし、リリディの黒魔法は別だ
彼のシュツルムのレベルが高かった
ミノタウロスの魔法耐久力でも危険視していたくらいだ
『誰がこれを?』とリュウグウは話す
俺は仲間を順番に見て考え始める
ティアマトは物理的な耐久力強化スキルを保持しているので今は彼ではない
俺はスピードがある、これはまだいらない
リュウグウは槍であるため、そもそもこれを持っていても槍を活かすアビリティスキルのスロットを減らす恐れがまだある
リュウグウは自身でも『私ではない気がする』と囁いていた
ならば彼女でもない
ティア
『私はシールドのスキルレベル上げればいいし、これを持っても余分かな』
アカツキ
『リュウグウもティアも俺もティアマトも一先ずは今必要はない、ということは』
全員が、リリディに顔を向けた
彼は発光した魔石を掴んで立ち上がると、眼鏡を触ってクスリと笑みを浮かべ、答えた
『貴重なスキル、その分は必死に働きますよ』
こうして、光を吸収した彼はまた1つ、強くなれた
ドッと疲れが押し寄せ、俺たちは大きな溜息を漏らし、その場に大の字で地面に転がる
あぁそうか…もうすぐ夕暮れだ
遠くの空から雨雲が押し寄せてきているのが見える…
今日も雨か、夜だけどな
アカツキ
『今日は帰ったら肉を食おう』
リュウグウ
『カルビ丼で頼む』
リリディ
『今日くらいは贅沢しましょう』
ティア
『しょっちゅう贅沢してない?』
ティアマト
『ヘヘッ!まぁいいじゃねぇかティアちゃん』
ティア
『まぁそうだね、今日は本当にお疲れ…』
アカツキ
『ギルハルドも助かったよ、高級な牛肉をあげないとな』
『ミャー!』
おっ!?俺に対して初めていい感じの声で鳴いたぞ
まさか、牛肉で・・・なのか?
《兄弟、動けるか?》
『ちょっと無理がある、少しだけこのままにさせてくれ…』
《ったく、呑気なもんだぜ兄弟》
『でも許してくれるだろ?』
《まぁな、あんだけ全員が必死に戦ったんだ…。休ませないと野暮ってもんだ》
わかってくれて安心するよテラ・トーヴァ
数秒間、静寂が訪れる
俺は空を意味もなく見つめていると、何やら街のある方角の森の奥の方から聞きなれた声が聞こえてきたんだ
『パイセン方!流石ですねーーー!!!!』
興奮した声を出したのはカマクラ冒険者チーム『羅生門』(Dランク)
そのリーダーであるガーランドだった。
彼だけじゃない、勿論チームの者も彼の後ろから歩いてくるのが見えるよ
『すっご・・・Bのミノタウロスをチーム1組で倒したなんて』
『やっぱ凄いチームですね。戦い疲れているようですけど』
ミシェルとノースの声だ
俺は『なんで来た?』と告げると彼らは答えたんだ
気になって見に来た、とな
危なすぎないか?
俺たちは起き上がり、水分補給をしてから羅生門チームと共に街に戻ることにした
既にこっちは疲労困憊、帰りの道中での魔物はガーランド達に任せたんだけどさ
やっぱガーランドはそれなりに責任感があるらしく
強めの魔物に対して前で意識を自身に向けさせるようにして戦うスタイルを見せていたんだ
コロールが現れた時、ガーランドはコロール2体の攻撃を避けながら意識を向けさせ、仲間が不意を突いた瞬間に自らも敵に剣を振ってトドメを刺した
結構普通にリーダーしてるとわかるとなんだか彼の性格が勿体ないなぁとやはり感じる
『これで片付きましたね、アカツキパイセン』
その呼び名、どうにかならないかなガーランド
俺は苦笑いをするしか反応が出来ない
ミシェルが魔石を回収している間、ノースが頭を抱えて俺に話し始める
『そういやアカツキさん達が出発してから30分後くらいですかね、キリサキがギルドに来たんですよ』
それはカマクラのギルドの冒険者のボス的なチームである
勿論チームランクはC、しかもBランクの魔物も倒せる強さを誇る熟練者の集まりだ
ギルドで顔を合わすことは多々あるけども俺が顔を向けると彼らは邪見そうにして視線を逸らす
あまり良い印象を持たれていない
理由は余所者だからだ
俺たちはここにきてから問題は起こしていないが、そのうちあっちからアクションがありそうで怖いな
『それを俺たちに聞かせて何を言いたい、ノース』
『アカツキさん、その…コヴァさんに様子見てこいって言われて俺達来たんですよ』
コヴェとはキリサキのリーダーだ
ティアマトよりも体が大きく、筋骨隆々としたタンク系の男だ
盾に鉄鞭を手に敵の攻撃を防ぎ、そして弾き返して攻撃を行うのを得意とする
普通は剣に盾、コヴァは鉄鞭だ
特殊な武装として別の街でも有名なほどだ
『俺たちを?』
俺は驚き、足を止める
するとノースは気まずそうに続きを話した
『どうやらミノタウロスの依頼を街中で聞いて急いでギルドに駆け付けたらしいんですが、アカツキさん達が向かったと聞いて怠そうな顔をしたまま様子を見て来いって俺たちに指示してきたんです。まぁ俺達アカツキさん達とよく話していましたから』
『ギルドにいったら仲良く握手して感謝されるって展開は無さそうな話だな』
『そうっすね』
面倒だな
ティアマトは怠そうな面持ちで俺とノースの話を聞いていたらしく、『どうする?』と聞いてくる
『決まってるだろ、帰る』
即答だ
ティアマトは鼻で笑い、俺の肩を軽く叩くと先に歩き出して言い放つ
『さっさと報酬貰っていいもん食おうぜ』
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