第84話 激闘リザードマン編 2 ランク詐欺

アカツキ・ライオット


☆アビリティースキル

スピード強化【Le3】

気配感知  【Le2】

動体視力強化【Le3】

斬撃強化  【Le3】


☆技スキル

龍・開闢  【Le2】

刀界    【Le1】

居合突   【Le2】

光速斬   【Le2】

地斬鉄   【Le1】


☆魔法スキル


称号

・・・・・・・・・

リリディ・ルーゼット


☆アビリティースキル

打撃強化【Le4】

気配感知【Le3】

麻痺耐性【Le3】

スピード強化【Le2】


☆技スキル

ドレインタッチ【Le3】

爆打  【Le2】

骨砕き 【Le1】


☆魔法スキル

風・突風   【Le2】

風・カッター 【Le2】

黒・ペイン  【Le1】

黒・シュツルム【Le3】

黒・チェーンデストラクション【Le2】up↑


称号

リトル・クルーガー【黒】


☆称号スキル

毒耐性【Le1】

動体視力強化【Le1】


・・・・・・・・・・・

ティアマト・ウロボリス


☆アビリティースキル

斬撃強化 【Le2】 

気配感知 【Le2】

毒耐性  【Le4】

耐久力強化【Le2】

動体視力強化【Le2】

スピード強化【Le2】



☆技スキル

連続斬り【Le3】

真空斬 【Le1】

鬼無双 【Le2】


☆魔法スキル


称号

・・・・・・・・

ティア・ヴァレンタイン


☆アビリティースキル

安眠  【Le1】

気配感知【Le4】

麻痺耐性【Le1】

動体視力強化【Le1】

スピード強化【Le2】


☆技スキル


☆魔法スキル

火・ラビットファイアー【Le3】

雷・ショック【Le4】

木・スリープ【Le2】

風・ケア  【Le2】


称号

パナ・プレイヤー


☆称号スキル

デバフ強化 【Le1】

自然治癒  【Le1】

スピード強化【Le1】

・・・・・・


魔物表


A闘獣 金欲のアヴァロン(妖魔羊)、睡欲のモグラント(土駆龍)



B デュラハン、将軍猪、閻魔蠍、鬼ヒヨケ、女帝蜂、ミノタウロス

  


C ブラック・クズリ、トロール、ファングマン、侍ゾンビ

  パペット・ハンマー、リザードマン、鉄鳥、マグマント

  剣蜂、キラービー(単体D/集団のみC)、般若蠍、ベロヌェルカ

  ロゴーレム、ニャン太九郎


D キングゴブリン、グランドパンサー、ゴーレム、ラフレコドラ、ケサラン

  ソード・マンティス、黒猪、グレイバット、鎧蛇、棘巻トカゲ

  リッパー、ゲロックロ、ハンドリーパー


E コロール、エアウルフ、ハイゴブリン、エレメンタル各種

  パペットナイト。ボロゴーレム、棘蜂、グール、グリーンマンティス

  ゲコ(ヤモリ)、闇蠍、格闘猿(エド国)


F ゴブリン、ディノスライム、格闘猿、ゾンビナイト、風鳥

  ゴースト、ウッドマン、ビリビリフラワー、眠花蜘蛛

角鼠、カナブーン ゾンビナイト、赤猪、棘鴉、オオダンゴ

ギョロギョロ、ゾンビランサー


・・・・・・・・


小雨も気にせず俺達は堂々と道の真ん中を歩いて進む

結構奥まで来ると魔物も出現しやすくなる


『ガルルル!』


エアウルフ4頭

前後から2頭ずつ、挟み撃ちらしいが犬は頭がいいな


ティア

『森の中にまだいるよ!様子見てる!』


彼女はサバイバルナイフを構えながら口を開くと、俺は続けて言い放った


『リリディとティアマトは隠れる敵に意識を向けてくれ』


『わかりました』


『おおよ!こいつら頼むぜ!』


『ガルルルル!』


俺はティアとリュウグウに後方を頼むと、俺は前方のエアウルフに体を向けて刀を構える

2頭同時に突っ込んでくるが、俺は刀をその場で突きだして居合突を放つ

突きの真空が飛んでいくと、1頭にそれが命中して地面を転がり、動かなくなる


あれで終わりだろう…もう1頭はジグザグに走って翻弄してくる、しかし俺は身構えて待つことにしたよ


結局は俺に襲い掛かるんだからな


『ガァァァァ!』


ほら、読み通りだ

動体視力強化スキルのおかげでカウンターが出来る

飛び込んできたエアウルフの横を通過しながら刀で側面を斬り裂いて地面に落とした


それと同時に森の中から3頭のエアウルフが顔を出すが、奴らは向かってこない

警戒はしているらしいが…


ティアマト

『逃げやがった』


背を向けて逃げた、まぁそれが賢明だ

ティアマトは戦えずに機嫌が悪そう


『終わったよ』


ティアがニコニコしながら俺に近づいて報告してくる

彼女と魔石を回収し、ブルドンの背中のバッグに入れると道の向こうから冒険者が小走りにやってきた


誰もが首を傾げる

何やら後方を気にしながら走ってきているからな

嫌な予感がするよ

4人組のチーム、1人は仲間に肩をかしてもらっている状態だ

太腿が怪我している


『あんたらこの先は面倒だぞ。沼地だがリザードマンがわんさかいる』


わんさか


わんさか…


うむ、面倒だ

最悪の場合、そうなるかもしれないのは以前話していたよ

リザードマンは集団で行動する習性があるからな

彼らは勝てないと悟って逃げてきたらしい、怪我は獣道を通った時に倒れていた巨木の裂けた部分で太腿を斬ってしまったんだとさ


『私が回復します』


ティアがそう告げて怪我人の前に座り、両手を伸ばした


『え?まさか使えるのか君!?』


『ケア使えます』


怪我をしていた冒険者は口を開けて驚く

ティアが緑色の魔法陣から緑色のオーラを怪我人の傷口に流し、時間をかけて徐々に傷を癒していくと、冒険者の誰もが驚きてしまっている


『ケア持ちとは凄いな』


『お嬢ちゃん、悪いな…』


冒険者たちは口を開き、怪我した冒険者はティアに感謝を告げる

直ぐに傷は消え、怪我人だった冒険者はその場で跳躍して治ったことに喜ぶと、懐から銀貨4枚を出してティアに差し出したのだ


『それはもらえません、無理やり私がしたので』


『ますます気に入ったよお嬢ちゃん、…その前にだけども』


彼は後ろを振り返り、話した


『リザードマン3体、流石に無理がある…奴らだけじゃない』


『何がいるというのです?』


リリディが質問をすると、彼は直ぐに答えた


『棘巻トカゲが取り巻きでいる。多勢に無勢過ぎるよ』


そうとう厄介だ

分断する必要があるな…

彼らはそれを告げると、俺達に手を振って去っていったんだ


『俺達はカタパルトってチームだ!ギルドであったらよろしくな!』


リーダーっぽい男がそう叫んだ

俺は会釈をし、彼らの背中を見守った


《さて、わかってると思うがチーム分けが必要だ》


『犠牲になるチームと、倒すチームか』


《わかってんじゃねぇか、お前と熊五郎は決まってる…となるとだ》


ティア、リュウグウ、リリディが囮になる事になる

俺は全員を一か所に集めて作戦会議を始めると、意外に俺の作戦はすんなり了承された


『いいでしょう。僕らは引き寄せて数を減らしますので早急に孤立したリザードマンに狙いを定めて倒してください』


リリディはそう話すと、ティアが口を開いた


『きっと残ったリザードマンはリーダーだよ。きっと強い』


だろうな


この先は沼地

そこにリザードマンは生息している

ベロヌェルカと戦った場所とは違う森だが、そこよりも広い沼地だとはギルドの情報で聞いてる


リュウグウ

『ブルドンも数に入るか』


『ヒヒン!?』


リュウグウ

『お前も戦え』


『ヒヒン…』


女に弱いのか?ブルドン?

ティアはそんな会話をクスクスと笑っている


ティアマト

『まぁ1体になりゃスピード勝負だ。アカツキわかってんな?』


アカツキ

『そのためには頼むぞティアマト』


リリディ

『こっちは時間を稼ぎますのでお願いしますね』


こうして俺達は真っすぐ前に進む

数分すると大きな沼地が見えてきた


沼地だが水面に木が伸びており、反対側の方にはリザードマンが3体に棘巻トカゲが7匹もたむろしていたんだ

あの数はきつい、分断しかない


横に移動し、茂みに隠れて様子を見ているけど

魔物同士なのに戦わないのは何故か


それは同種だからだと思うしかないだろうな


リリディ

『雨に打たれ過ぎて寒いので少々運動の時間といきますか』


彼はそう告げると、眼鏡の水滴をハンカチで拭いて立ちたがった


リュウグウ

『お・・おい』


ティア

『あらら…アカツキ君とティアマト君お願いね』


『ヒヒン』


『ニャー』


リリディはそのまま沼地に近づくと、リュウグウとティアも追いかけるようにして後を追う

するとリリディは向こう岸にいるリザードマン達に向かって叫んだ


リリディ

『お前の母ちゃん!でーべそ!』


リュウグウ

『子供かお前は…』


リリディ

『…』


ひねりの無い挑発

それは人に使え


リザードマン

革装備を身にまとう人型の魔物、首は蜥蜴だし長いな…

左手には円形の盾、右手には長いタイプの片手剣を持っている

刀に見えなくもないが、あれは片手剣だ

兜も頭部に装着していて防御力は高いと見える

身長は2メートルと大きく、全身緑色の体をしていた


尻尾は長くて武器にもなるらしい


『ゴロロロロ!!』


すると向こう岸にいたリザードマン達は姿を見せているリリディ達を見つけると、その中の1体が彼に指を指して指示する

あれがリーダーだ


するとリザードマン2体が近くの棘巻トカゲと共にリリディたちに向かって沼地を迂回しながら向かっていく


リリディ

『こっちですよ!でべそ!』


リュウグウ

『恥ずかしいからやめろ』


リリディ

『はい』


『グロオオオオ!』


ティア

『来たよ!さっさと逃げるよみんな!』


ティアはリリディの背中を掴むと、彼を連れて来た道を逃げるようにリザードマンとの距離を離し過ぎないように走っていく


俺とティアマトはその様子を茂みの中から見守る


ティアマト

『さっさと残っている1体倒してあいつら助けに行こうぜ』


アカツキ

『そうだな…、それとテラ・トーヴァ』


《なんだ兄弟?》


アカツキ

『近くに邪魔ものは?』


《いねぇ、今しかないぜ》


ティアマトは立ち上がると片手斧を担ぎながら茂みから顔を出す


『なんだって?』


『今しかないだとさ、行こう』


『おうよ!!』


俺達は走って向こう岸で岩に座って休んでいるリザードマンに向かった

奴は俺達の姿を確認すると、目を細めて立ち上がる

お目当ての魔物の前に辿り着くと、リリディ達を追っていったリザードマンよりも大きいのがわかる


これがリーダー格だ

長い舌で口元を嘗めながら俺達2人をジロジロ見ている

刀を抜き、身構えているとテラ・トーヴァが思い出したかのように話しかけてきた


《あ、多分メガネチームの方が楽だ》


『なんで!?』


《リザードマンは爆発魔法に弱い、ということはだ》


わかりやすい

リリディのシュツルムで倒せるということだ

リザードマンは耐久力が高く、斬撃系統はあまりダメージがない

そのことを早めに言ってくれればもう少しチーム編成を変えていたと思う


今言うな


『ゴロロロロオオオ!』


『くるぜ!アカツキィ!』


リザードマンは怒号を上げ、襲い掛かってきた

狙われているのは俺、奴は長い片手剣を前に突きだし、俺を貫こうとする


『ちっ!』


間一髪それを避け、光速斬で脇腹を狙って刀を振って通過した

しかし革装備を斬り裂いただけであり、肉体にダメージはない


『おおおお!』


ティアマトが片手斧を掲げ、連続斬りを放つ

素早い2連撃はリザードマンの盾にガードされ、その盾でティアマトが押されて転倒する

直ぐに奴はティアマトを両断せんとして剣を振り下ろすが、彼は横に転がって難を凌ぐ


『居合突!』


防具が邪魔なら露出している部分だ

突きの真空が飛び、それが首に飛んでいくとリザードマンは容易く避けてから半回転して尻尾で俺を薙ぎ払おうとしてきた


横にそれて避けてからリザードマンの剣を刀でガードし、俺は吹き飛ばされる

ゴロゴロと地面を転がり、すぐに立ち上がると同時にリザードマンと武器をぶつけ合うティアマトの元に急いだ


『くっ!こいつ力もあるなぁ!!』


ティアマトの片手斧、リザードマンの長い剣がぶつかり合って金属音が沼地に響き渡る

互いに力の差は同等に近い、が…僅かにティアマトが押されているようだ

俺は背後からリザードマンの背中に刀を刺し、それが奴の肉体に届いた


『ゴロォ!?』


斬るよりも、突くほうが良い

革装備を貫通し、それはリザードマンの肉体から血を流す

首がこちらに向き、奴は怒りを顔に浮かべるとティアマトが大声をあげて奴の剣を弾くと、拳に魔力を纏わせて固める


『鬼無双!』


魔力で固めた拳、リザードマンはティアマトの大声で俺から視線を逸らし、彼に振り向いた瞬間に顔面を殴られてバランスを崩した


『ゴッ!!』


リザードマンは苦痛を浮かべる

しかし奴も戦士だ。

バランスを崩してもなお、直ぐに踏ん張り、剣を振ったんだ


『チッ!』


ティアマトは片手斧でそれをガードし、弾かれて仰け反る

俺はすかさずリザードマンの太腿に突き刺す、がしかしだ・・・

足のほうが硬いんだな…あまり貫通しない


刀の先が突き刺さっただけ、だがそれでもリザードマンは嫌がり、その場で暴れた


『うおっ!』


素早い剣の振りだ

耐久力もあり、速度もある

飛び退いて避けた俺は着地と同時に地面を刀で斬り、地斬鉄を放つ


地面を縦の斬撃がリザードマンに向かっていくと、奴は自身の剣を地面に突き刺して俺の地斬鉄を受け止めたのだ

技のスキルレベルが低かったか…判断が間違っていたようだ


『ゴロロロロ』


『こっちだトカゲ野郎!』


『!?』


リザードマンはティアマトに視線を向けると同時に剣で彼の片手斧を受け止めた

鍔迫り合いのまま、ティアマトが押されていくが魔物の力は強い

それに対抗しようとするティアマトも凄い


『うおおおおおおおおおお!』


『ゴロロロロ』


俺はリザードマンの背後から飛びかかった

奴はティアマトとの鍔迫り合いに意識を向けている筈なのに、こっちを見てきた


『ゴロロロォ!!』


首だけをこちらに向け、口を大きく開くと火弾を吐いてきたんだ

拳よりも大きい…。俺は驚きながらそれを斬り裂いて消す


『ごっ・・・!』


何かが腹部に激痛が走る、尻尾だ

こいつにはその攻撃方法もあったことをうっかり忘れていたようだ

俺は吹き飛ばされ、地面を転がる


《兄弟!馬鹿な真似しやがって!尻尾も厄介なんだぞ》


『ぐ…今学習したよ』


《おせぇよ!》


だろうな

俺は痛みを堪えながら立ち上がる

魔物Cランクの尻尾の薙ぎ払いとはこんなにも痛いのか

あと1発食らえば立てないとわかる


受けてはいけない


ティアマト

『真空斬!』


ティアマトは鍔迫り合いから弾かれると、飛び退きながら片手斧を振り、真空の斬撃を飛ばした

1発じゃない、彼は何度も片手斧を振って真空斬を放つ


『ゴロロロォ!』


リザードマンは落ち着いてそれらを1つずつ片手剣で全てを斬った

その光景に俺とティアマトは圧巻だ


アカツキ

『本当に…ランクCなのか』


ティアマト

『信じらんねぇ…俺達ブラック・クズリも倒したよな?コンペールも、侍ゾンビも』


『ゴロロロォ…』


リザードマンはまるで首を傾げるかのように首を傾け、俺達を見つめた


《兄弟、勘違いすんな!リザードマンのリーダー格はCランクでも上位だの実力がある!お前らが相手にしているのはただのCじゃねぇぞ!》


テラ・トーヴァよ、今言うな


汗が額を流れる

俺達は敵の実力を見誤ったらしいな、たったの2人でこいつと戦うのか

しかしだ・・・


『侍ゾンビも同じ強さだった、太刀筋はあいつの方が上だ』


俺はそう囁き、深呼吸する

今、比べている

今まで倒してきた奴らとだ


誰より強く、誰より弱いか

今までで強かった魔物で考えよう、将軍猪?あれは戦ってない


デュラハンはちゃんと推し量れてないからわからないが強いのは確かだ

となると1体だけ脳裏に浮かぶ


鬼ヒヨケ

魔物ランクBの虫種、圧倒的な強さだった…

今の俺達でもきっと無理だろう


ミノタウロスは?奴の方が強い

Cの代表的な魔物であるブラック・クズリと比べると素早さはクズリに軍配が上がる

攻撃力と耐久力はリザードマンだな…ん?


俺はふと答えの出ないことを思いついた

素早さならクズリ?ならば…と


アカツキ

『こっちだトカゲ』


『ゴロ?』


俺は目を細め、刀を構えた

静かに呼吸をし、心を落ち着かせると同時にテラ・トーヴァが口を開く


《それでいい…お前は自分のスキルをまだ理解してねぇ、手数で制すればいい》


ティアマト

『アカツキ、何か策があるのかよ』


アカツキ

『隙を作る、頼むぞティアマト!』


俺はそう叫ぶと、姿勢を低くしてリザードマンを睨んだ

それが嫌なのか、奴は嫌そうな顔を浮かべると剣を構えて突っ込んできた


俺は動かずにずっと奴を待った

ここからじゃ避けられるからな…

リザードマンは目の前に来るまでずっと考えたよ


俺のスキルだ

スピード強化スキルは3

光速斬は2


となれば俺のこの技は威力はなくともこの魔物に対して通じる筈だ

犬種は動体視力の高さから遠すぎると避けられる時もある

しかし、目の前ならばその動体視力の高い魔物でも避けれなかった


『ゴロオオオオオオオオ!!』


来た!

俺はリラックスさせた体に一気に力を入れ、叫ぶ


《見せてやれ兄弟!》


『光速斬!!』


リザードマンが長い片手剣を振り下ろすと同時に俺は奴の横を通過しながら腕を斬り裂いた

深くはないがこれでいい

驚くリザードマンは直ぐに振り向くが、その時には俺が既に高速斬を再び発動し、奴の首を狙って飛び込んでいたんだ


『グロッ!?』


流石に避けられたか、しかしそれによってバランスを少し崩したリザードマンは態勢を立て直し、俺に体を向けてくる


『光速斬!!』


俺は果敢にも何度も光速斬を発動し、リザードマンの周りを縦横無尽駆け回る

盾でガードされることもあれば剣でガードされるときもある

しかし、斬れた数が圧倒的に多い


『グロッ!ゴロロ!?』


俺は先のことなど考えず、何度も高速斬を発動させた

読み通りだ。リザードマンは俺のスピードに殆どついて来れていない



俺は技で速度を得ているが、奴は自力で体を頑張って動かしながら俺の攻撃をさばこうとしている

先にリザードマンの体力が尽きるか、俺の魔力が尽きるか

たまにリリディに言われたとおりにやっていた事がある、黙想だ


そうすることによって魔力が微量で上がるというのだ、最大値がな

今はそれを信じよう


『うおおおおおおおおお!!』


『ゴロォ!』


『ぐっ!』


丁度よく尻尾が俺の顔面を叩いた

意識が飛びそうだ、俺は回転しながら吹き飛び、地面に転がった

鼻血が出ている…格好悪いが、仕方がない


ティアマト

『おらぁぁぁぁぁ!』


ティアマトはリザードマンの背後から連続斬りを放った

リザードマンは俺に意識を向け過ぎたせいでティアマトのことなどすっかり忘れていたんだ

そのおかげで彼はリザードマンの背中を斬ることが出来た


『ゴロッ!』


ガクンと膝をついたリザードマンの背中は深く傷つき、血が流れる

俺は痛みを堪えながらも光速斬で飛び込み

奴の首を深く斬り裂いた

鱗のない場所は柔らかい、しかし跳ね飛ばすことは無理だった

それでもいいんだ…奴は苦痛を浮かべながらティアマトを剣で吹き飛ばし、俺に顔を向ける


『光速斬!』


再び高速斬で加速し、刀を前に突きだした

奴の円状の盾が前を固める前に、俺の刀はリザードマンの首元を貫いた


『ガフッ!』


リザードマンは口を開け、貫かれた場所に目を向けた

俺はさらに押し込んだ。奴は苦しみながらも盾で俺を叩き落とした


地面に背中から落ちた俺は一瞬呼吸が出来なくなり、咳込む


『ゴロ…ゴロロロ!』


まだ動けるのか!?

倒れたまま俺は奴を見ていると、剣が発光していることに気づいた

あれは技スキル、受けてはならない


痛みを必死で堪え、俺は立ち上がると高速斬で後方に飛んで避けた

その瞬間、奴は先ほど俺がいた地面に剣を突き立てると、奴の周りに鋭い岩が噴出したんだ

思い出した、リザードマンには斬撃系統の技スキルを豊富に持っている

真空斬も、兜割りも


奴は首を貫かれたというのに、その場で剣を振って真空斬を沢山放ってくる

真横に避け、その隙にティアマトが大声を上げながら飛び掛かり、奴の盾を持つ腕を斬り落とした


『ゴロォァァァァァァ!』


地面に転がるリザードマンの腕、そして奴は激痛で叫ぶ


ティアマト

『俺だっているんだぞこらぁぁぁぁぁ!!』


怒りを浮かべたリザードマンの突きだしてきた剣を彼は避け、素早く回転して薙ぎ払ってくる剣をティアマトは片手斧で受け止めてから腹部を蹴った

転倒しなかったが、リザードマンはバランスを崩す


アカツキ

『お前は強いよ、リザードマン』


『グロロロ』


奴は息を切らしながら俺を睨んだ

俺だってもう魔力がやばい、残っているのは僅かだとわかる

普通ならここで諦めるけども、そうならないんだよな


『俺達馬鹿は!』


俺は多少裏返った声を出しながらも叫ぶと、それに呼応した奴がいた


ティアマト

『剣より強ぇ!』


『ゴロ!?』


リザードマンは真横から来るティアマトに顔を向けた

荒げた声を上げて片手斧を振り下ろす彼の一撃は渾身の一発、リザードマンは剣でガードするが

ティアマトもこの一撃に賭けているんだ


『こんちくしょおおおおおおおおおおおお!!!』


ティアマトは全力で叩きつけた

するとリザードマンは疲労が蓄積したいたせいで彼の力の前に押され、剣が折れたんだ

片手剣は長いと折れやすい、持つべきじゃない

持つならば強度が強い金属で作るべきだが、それを魔物が出来るはずがないな


そのままリザードマンはティアマトに斬り裂かれ、鮮血が飛ぶ

ティアマトはそれでも動くリザードマンの尻尾によって叩かれ、吹き飛ばされるが、丁度良い

これで俺の仲間が巻き込まれる心配はない


俺は最後の魔力を使うために息を吸った


《呼べ》


俺は刀を鞘に強く納めながら、叫んだ


『開闢!』


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