第78話 ニャン太九郎VS詐欺眼鏡
アカツキ・ライオット
☆アビリティースキル
スピード強化【Le3】
気配感知 【Le2】
動体視力強化【Le3】
斬撃強化 【Le3】
☆技スキル
龍・開闢 【Le2】
刀界 【Le1】
居合突 【Le2】
光速斬 【Le2】
地斬鉄 【Le1】
☆魔法スキル
称号
・・・・・・・・・
リリディ・ルーゼット
☆アビリティースキル
打撃強化【Le3】
気配感知【Le3】
麻痺耐性【Le3】
スピード強化【Le2】
☆技スキル
ドレインタッチ【Le3】
爆打 【Le2】
骨砕き 【Le1】
☆魔法スキル
風・突風 【Le2】
風・カッター 【Le2】
黒・ペイン 【Le1】
黒・シュツルム【Le3】
黒・チェーンデストラクション【Le2】up↑
称号
リトル・クルーガー【黒】
☆称号スキル
毒耐性【Le1】
動体視力強化【Le1】
・・・・・・・・・・・
ティアマト・ウロボリス
☆アビリティースキル
斬撃強化 【Le2】
気配感知 【Le2】
毒耐性 【Le4】
耐久力強化【Le2】
動体視力強化【Le2】
スピード強化【Le2】
☆技スキル
連続斬り【Le3】
真空斬 【Le1】
鬼無双 【Le2】
☆魔法スキル
称号
・・・・・・・・
ティア・ヴァレンタイン
☆アビリティースキル
安眠 【Le1】
気配感知【Le3】
麻痺耐性【Le1】
動体視力強化【Le1】
スピード強化【Le2】
☆技スキル
☆魔法スキル
火・ラビットファイアー【Le3】
雷・ショック【Le4】up↑
木・スリープ【Le2】
風・ケア 【Le2】up↑
称号
パナ・プレイヤー
☆称号スキル
デバフ強化 【Le1】
自然治癒 【Le1】
スピード強化【Le1】
・・・・・・
魔物表
A闘獣 金欲のアヴァロン(妖魔羊)、睡欲のモグラント(土駆龍)
A
B デュラハン、将軍猪、閻魔蠍、鬼ヒヨケ、女帝蜂、ミノタウロス
C ブラック・クズリ、トロール、ファングマン、侍ゾンビ
パペット・ハンマー、リザードマン、鉄鳥、マグマント
剣蜂、キラービー(単体D/集団のみC)、般若蠍、ベロヌェルカ
ロゴーレム、ニャン太九郎
D キングゴブリン、グランドパンサー、ゴーレム、ラフレコドラ、ケサラン
ソード・マンティス、黒猪、グレイバット、鎧蛇、棘巻トカゲ
リッパー、ゲロックロ、ハンドリーパー
E コロール、エアウルフ、ハイゴブリン、エレメンタル各種
パペットナイト。ボロゴーレム、棘蜂、グール、グリーンマンティス
ゲコ(ヤモリ)、闇蠍、格闘猿(エド国)
F ゴブリン、ディノスライム、格闘猿、ゾンビナイト、風鳥
ゴースト、ウッドマン、ビリビリフラワー、眠花蜘蛛
角鼠、カナブーン ゾンビナイト、赤猪、棘鴉、オオダンゴ
ギョロギョロ
・・・・・・・・・・・
リリディ
『僕にこいつは預からせてもらいますよ!』
彼は叫び、奥で威嚇するニャン太九郎に走り出す
1人で対抗するには危険すぎると思い、俺は加勢しようとすると、テラ・トーヴァがそれを止めた
《いいじゃねぇか兄弟、やらせな》
アカツキ
『だが…』
《強くなるために必要なことだ、それにあいつにとって都合のいい相手だ…ドレインタッチ持ちの撲殺眼鏡。こりゃ見物だぜ?》
ティア
『アカツキ君、なんて?』
アカツキ
『リリディに任せろ、だと』
ティアマト
『ケッ!まぁ開闢マンが言うんなら我慢すっか』
リュウグウ
『危ないと思えば行くぞ』
アカツキ
『そうしよう』
リリディ
『でやぁぁぁぁ!』
彼は突っ込んでくるニャン太九郎に全力で木製スタッフをフルスイングした
しかし、身軽さは流石は猫というべきだ、ニャン太九郎は地面を蹴ると宙を舞い、彼の攻撃を避ける
リリディの頭上で回転したニャン太九郎は体を彼に向けると、両手の爪を光らせる
『ニャァァァ!』
リリディ
『っ!?突風!』
彼は右手を頭上から襲い掛かるニャン太九郎に向けると、強風を飛ばした
しかし、ニャン太九郎は爪を全力でバツの字に斬り裂くと、その形の斬撃が下にいるリリディに跳んでいったのだ
それは真空斬よりも一段階強い技に思える
リリディが放った強風を容易く斬り裂き、それは彼の持つスタッフによって防がれが、彼は技の威力を前にして花畑を転がるように吹き飛んだ
リリディ
『ぐっ!』
『フニャァァ!』
起き上がろうとすると、既にニャン太九郎は地面を走ってして彼に迫り、爪を突きだす
リリディは叫びながらスタッフを盾代わりに奴の爪を受け止める
リリディ
『ドレインタッチ!!!』
『フニャ・・・』
再びニャン太九郎の体が発光すると、その光はリリディに流れていく
僅かに脱力した敵をリリディはスタッフを振りぬいて吹き飛ばすが、ニャン太九郎は体を回転させて地面に着地した
普通ならリリディはとっくに疲れている筈だ、しかし息が切れていない
ニャン太九郎は変わらずピンピンしているが、まだ駄目のようだ
リリディは縦横無尽に四方から攻撃してくるニャン太九郎の爪の攻撃をスタッフで防ぐ
先ほどよりも敵の速度が上がっており、リリディはタイミングよく技を発動できないようだ
それを理解したのか、ニャン太九郎はニヤリと笑みを浮かべると彼の背後にまわり、爪を突きだした
リリディ
『はっ!』
振り向く時間はないとわかった彼はスタッフを背中に移動させ、ニャン太九郎の両爪が僅かにスタッフに食い込む
『ミャッ!?!?!ニャニャニャ!』
抜けない、本当に数センチだけ爪が食い込んだだけなのに、抜けない
あたふたふるニャン太九郎はスタッフに両後足をつけて食い込んだ両爪を抜こうと必死に力を入れる
『フニャ?』
リリディはスタッフを両手で握り締め、掲げた
リリディ
『ドレインタッチ!』
彼は口を開くと、スタッフを全力で振り下ろしてニャン太九郎を地面に叩きつけた
『ニャハっ!』
苦痛を浮かべるニャン太九郎から光が現れ、それがリリディに流れ込む
リリディ
『うおぉぉぉぉぉ!』
彼は薙ぎ払うようにしてスタッフを振ると、ニャン太九郎の両爪はスタッフから抜けて吹き飛んでいく
後方にある木に背中をぶつけたニャン太九郎は変な声を出して地面に倒れる
終わったかと俺は思ったのだが、そう簡単には終わらない
『シャァァァァァァァァァ!!』
息を切らし、毛を逆立てて目を赤く染めるニャン太九郎はもの凄い形相でリリディを睨んだ
奴の気配が強くなった、これからが本番か…
《踏ん張れメガネ!こっからだ!》
リリディにその声が届かない、しかし彼はスタッフを構えると口を開いた
リリディ
『ここからですね、わかってます…そのために体力を奪ってたんですから』
彼は知っていた
頭は悪いのは俺たちと同じ、それは学園生活で知っている
赤点しかとったことないからな!
だけど彼は魔物に関しては俺たちよりも詳しい
きっとニャン太九郎がどういう魔物なのかを知っていたからドレインタッチを何度も行使したんだ
体力を奪っておかないと、この後に抵抗できない
『シャッ!』
リリディ
『!?!?』
その速さは俺でもギリギリ見えるかどうかだった
Cランクの魔物がそんなスピードを叩きだせるのが可笑しすぎる
リリディの右肩部を軽く切り裂かれ、バランスを崩す
俺達はニャン太九郎の圧倒的な速度を叩きだす代償をこの目で捉えた
『グニャン!』
あまりのスピードに勢いを殺せなかった。
奴はリリディの遥か後方の木に体をぶつけていたのだ
ティア
『諸刃の剣…』
リュウグウ
『なんて奴だ…』
『ヒヒン・・・・』
《兄弟、これがあのニャン太九郎の神髄だ…お前でもガードが間に合うかどうかの凄い速度だ。だが奴は勢いを殺せない!眼鏡が先に倒れるか…猫が力尽きるかだ》
アカツキ
『なんだそれは…』
《あいつの特殊スキルであるキュウソネコカミ、体力を大量に消費する代わりに爆発的に速度が増す。その速さはBでもビックリさ!》
するとリリディは地面に倒れたニャン太九郎に向かってシュツルムを放った
黒い魔方陣から黒弾が飛び出すが、それよりも先にニャン太九郎は目をぎらつかせながらリリディに突っ込んだ
奴の真横を黒弾が通過し、リリディはがむしゃらにスタッフを前に出してガードしようとする
だがしかし、ニャン太九郎が突っ込んでからでは遅い
ガードする前に、リリディはニャン太九郎に脇腹を引き裂かれると、苦痛を浮かべたまま片膝をついた
彼の脇腹から血が流れ、俺達は流石に加勢しなければ死んでしまうと思ったが、テラはそれでも止めたのだ
《やめろ、馬鹿なりに根性でどうにかする》
『死んだらどうする!』
《ここで死ぬようじゃ遅かれ早かれお前らは死ぬ》
後方では彼の敵が地面を転がっているというのに、肩と脇腹から血を流す彼には追撃の余裕はない
アカツキ
『ティア!ニャン太九郎のランクは本当にCか!?』
俺はリリディと同じくらい魔物に詳しい彼女に口を開いた
するとティアは俺の腕を掴み、答える
ティア
『魔物Cランク、の筈なんだけど…』
どういうことだよ…どっちだよいったい
リリディは痛みを堪えながらも立ち上がり、振り向きながら口を開いた
ドレインタッチ、と
彼は僅か2回のニャン太九郎による攻撃でタイミングを計っていたのだ
『ミャッ!!』
それは丁度良くニャン太九郎が飛び出すと同時だった
リリディは大きくスタッフを振り、ニャン太九郎は突っ込んだ際に彼のスタッフに激突してしまう
ヨシ!と俺はガッツポーズを腰のあたりで強くする
敵の攻撃を完全に受け止めれなかったリリディはニャン太九郎の発光する体から光を吸収しながら地面を転がっていく
リリディ
『ぐっ・・・』
彼は体力はあまり減っていない、しかしダメージは受けている
咳込みながら立ち上がるリリディは奥でゆっくり立ち上がるニャン太九郎に顔を向けた
『フシャァァァ』
先ほどよりも疲れを見せていた
どうみてもあと2回突っ込むのが限界だろう
リリディはヨロヨロしながらもスタッフを杖代わりに何とか立ちあがると、その武器を盾にするようにして正面に構えた
体の側面は守れないが、あれなら突っ込んできて僅かにスタッフを動かすだけで急所を守れる
だが彼は凄い息切れを起こしている
それはあっちも同じだろうな
『ミャァァァァァ…ゼェ…ゼェ…』
リリディ
『こんな状況なのに、僕は可笑しな考えをしてしまうとは何事でしょうか』
『ニャァァァ!』
リリディ
『お前は縦社会の中で生きる魔物、僕の夢は大賢者になったときに隣に使い魔が欲しいと思っていたのですよ…可愛い魔物をね』
その瞬間、ニャン太九郎は音速を超えた速度でリリディに突っ込んだ
来るとわかっていた彼は突っ込まれると同時に身を屈め腕を深く斬り裂かれる
リリディ
『くっっっ!!!!』
血しぶきが飛ぶ
だがしかし、ニャン太九郎もその速度の代償として勢いを殺せずに転がっていく
ティア
『リリディ君!』
リリディ
『大丈夫ですティアさん!』
俺は叫び、立ちあがる
何が使い魔だ…無理に決まっているだろう!
魔物を屈服させてペットにでもするつもりか?何故そうしたくなったのか俺にはわからない
リリディ
『冒険者には魔物をパートナーにする者がいる、屈服させる方法は』
ニャン太九郎は疲労困憊を見せながらヨロヨロと立ち上がる
あと一撃、一撃すら出せるかどうかわからない状態でしかない、出すのか?超加速を?
『ニ…ニャァァァァ』
目は死んでいない、やる気だ
リリディはそれを見ると、スタッフを構えながら深呼吸し、構えるニャン太九郎に向かって口を開いた
リリディ
『僕は強い、強くなる…貴方は次の一撃で僕を倒せなかったら…従いなさい』
『ミャァァァァァァァァァ!!!』
大きく口を開き、叫ぶニャン太九郎は全力で地面を蹴って最後の超加速を見せた
飛び出す瞬間の奴の顔は鬼の形相というに相応しく、全身全霊であると思える
俺達は体に力が入る
ティアは俺に抱き着いているけども、集中できない!
リリディは頭を守ろうとしてスタッフで顔を隠す
その読みは当たっており、顔の前に出したスタッフにニャン太九郎の両爪が突き刺さると、リリディもろともニャン太九郎は貫くことが出来ずに吹き飛んでいった
俺達は彼の名を叫び、走って近づく
彼の近くにはニャン太九郎が倒れており、虫の息に近い
奴にダメージはない、ただ疲れすぎて動けないだけだろう
ティア
『今回復するからね?リリディ君』
リリディ
『まだ・・・です』
アカツキ
『リリディ…お前』
彼はうつろな目をしたまま上体を起こすと、横でぐったりしているニャン太九郎に顔を向ける
すると思いもよらない行動をリリディはした
彼は腰の水筒を取り出すと、口を大きく開けて頑張って呼吸しているニャン太九郎にぶっかけたのだ
あまりの事に俺たちは言葉を失う
最後に彼は残った水をニャン太九郎に飲ませるために水を口に垂らす
するとどうだろうか…ニャン太九郎は舌を出して頑張って飲もうとし始めたんだよ
リリディは鼻で笑うと、水筒を口に近づけてちゃんと飲ませる
次に彼は懐から干し肉を取り出すと、ニャン太九郎の口に咥えさせた
しかも食った…どうなるんだと俺たちはソワソワしながら様子を伺っていると
ニャン太九郎は僅かに回復した体力を使い、ゴロリと体を回転させてからリリディに顔を向けた
ティアマトが身構えるが、俺は彼を止めた
様子がおかしいからだ
戦闘中のニャン太九郎の目とは違う、警戒心の無い目だ
モグモグと口に咥えた干し肉を食べるニャン太九郎はまだかなり疲れているようだが
先ほどよりはだいぶマシだろう
それなのに逃げる気配は全くない…
リリディ
『僕も苦労したんです。気持ち届きましたか?』
『ミャ~』
『『『うっそ!?』』』
ニャン太九郎はゆっくりとリリディに近づくと、足元で寝転がった
《かっはっはっは!!犬猫は魔物でも本能的に主人を決める修正があるんだが・・・まさかメガネ小僧かよ兄弟!》
アカツキ
『どういうことだ…・』
《簡単さ!ボスという強いものに従う!が犬、猫は強いご主人様に従う、だ!同じようでまったくの別物さ!猫は癖が強いがなぁ!はっはっは!》
ティアマト
『おいおいマジかよリリディ』
ティア
『ブルドンのお友達増えたの?』
『ブルルっ!?』
ブルドンが一番驚いている
リュウグウ
『ありえんものを見てしまった気がする』
リリディは大きな猫の頭を撫でながら、我が物顔で答える
リリディ
『ニャン太九郎じゃ嫌でしょうから名前を僕が決めます、お前の名はギルハルドです』
『ニャ~』
ニャン太九郎、魔物ランクC
こいつはリリディに降った
俺は確認のため、魔物に手を伸ばす
うん、噛まれた
リリディの怪我を数分かけてティアがケアを使って回復させると、最後に俺の手を治してくれた
本気で噛まれなくとも痛い
ティアのケアで回復してもらっている間、ティアマトはニヤニヤしながら俺を見てたのが悔しい
『ほらな?』とも言ってた
ギルハルド
『ミャー』
リリディに体をスリスリしている
獰猛さは感じなくなったが、そうなると案外可愛いかもしれん
ムカツクことに、このニャン太九郎はなんと女には噛みつかない
撫でるのを許すのだ
きっとこいつオスだ、わかるよ俺には
リュウグウ
『何故捕らえようとした?』
リリディ
『捕らたわけではありません、僕がどうしたいか伝えたら認めてくれたんでしょうね』
リュウグウ
『だがメガネよ、魔物を従えるなんて聞いたことないわよ?』
リリディ
『普通は考えませんよ。ですが泊まっている宿の部屋の本に興味深い事が書いていたのでね』
ティア
『また本?』
リリディ
『エド国の王であるムサシ王によるムサシ伝に記されてたんです。魔物といえど生物、誰が強くて誰が弱いかの判別ぐらい当たり前にする、勿論屈服もすると書いてました』
アカツキ
『屈服だと?確かにマグナ国には少数だけ魔物をパートナーにする冒険者はいるのは聞いたことあるけど…』
リリディ
『グリンピアにはそんな冒険者いませんね、まぁエドで呼んだ本が作り話かどうか試したかったんです、ムサシ王はランクBのサーベルタイガーの攻撃全てを防ぎきってから力の差を見せ付けると、サーベルタイガーは頭を垂れて服従を誓ったと』
ティアマト
『お前、ニャン太九郎の攻撃を受けきれば服従すると思ったのか?』
リリディ
『はい…。まぁしかしあの凄い速度の攻撃を防ぐのは正直怖かったですね。スタッフで致命傷になるであろう急所をガードしていたから無事だといえます』
単純、浅はか過ぎる
一歩間違えれば危険すぎる行為だが、彼の行動は100歩間違ってると思う
誰かの英雄譚なんて多少大袈裟に書いてるに決まってるからだ
鵜呑みにしたリリディは実行したんだけど…
マジかよ
『ヒヒン!』
『ニャー』
赤騎馬ブルドンと顔を近づけて臭いを嗅ぎ合ってる
案外仲良くしてくれるかもな
俺はみんなに撤退を告げ、帰る事となる
雲行きが怪しいからな、降ったら不味い
森の中を歩き、飛び込んできたハイゴブリンをティアマトが殴って転倒させるとリュウグウが槍をついてトドメを差した
取り巻きのゴブリン2体はティアが1人で颯爽と攻撃を避け、サバイバルナイフを使って一撃で倒す
坂道を降りている最中に地震が起きると、仲間は足を止めた
ティアは地震が少し苦手なようだ、俺の腕にガッチリ捕まってる
腕の感触が心地良い
リュウグウ
『地震が多いな、2回目か』
ティアマト
『1日に2回となると不吉だぜ』
『ヒヒン!』
アカツキ
『しかも雨も降りそうだ』
気づかぬうちに空は暗い
これは戻るしかないと考えたが、ニャン太九郎はどうするのかリリディに聞くと…
リリディ
『普通に連れていきますよ』
ティアマトが微妙そうな顔を向けているが、リリディは気づかない
そうこうしているうちにニャン太九郎は赤騎馬ブルドンの背中に乗って寛ぎ始める
大丈夫なのかと少し心配したけどもブルドンは気にもしていない感じだったよ
リリディ
『ギルハルド、街では人間を襲ってはいけませんよ?』
ギルハルド
『ミャ~ン』
リリディ
『襲わないらしいです』
リュウグウ
『お前馬鹿か?』
彼女の鋭いツッコみも聞いたことろで俺たちは足早に森を出ようと歩き出す
途中、勿論魔物も現れる
それらは俺たちが戦うまでもなかった
『ゴルルル!』
魔物Dランクのキングゴブリン
それと取り巻きであるFランクのゴブリンが5頭ほど正面の道から姿を現す
『ギャギャギャ!』
ゴブリンはキングゴブリンのよりも突貫して走ってくる
迎え撃とうと刀に手を伸ばした瞬間、『ニャ』と声が聞こえ、俺の真横を白い何かが素早く通過していく
それはニャン太九郎ことギルハルドであり、一直線にゴブリンたちに襲い掛かると、間を通過して周りのゴブリンを爪を使って斬り裂いた
一気に4体のゴブリンがギルハルドの爪にやられ、その場に倒れていく
そこで追い付いたキングゴブリンがギルハルドに鉄鞭を振り下ろすが、当たることはない
キングゴブリンの攻撃を避け、そのまま残るゴブリンの首を爪で斬り裂くとキングゴブリンの周りを縦横無尽に駆け回りながら体中を切り裂いていく
『ゴルッ!?ゴルル!!?』
ゴブリン種は反応が他の魔物よりも遅い、猫は動体視力がかなり高い
その差が顕著に出た光景ともいえよう
キングゴブリンはその場で鉄鞭を振り回すことしかできず、最後には後方からギルハルドの爪が奴の首を斬り裂き、何もできずに倒れていったのだ
《魔物同士の戦いって俺も久しぶりに見たぜ》
アカツキ
『流石はCランクだ』
《それとだ、ほら?可笑しいことが起きてるぜ》
ティアマト
『おいおいおいおい!なんだよこれ!?』
その可笑しな光景に、誰もが驚愕を顔に浮かべた
倒れる魔物たちの中心でギルハルドは呑気に毛繕いをしている、それが可笑しな光景ではない
ゴブリンの魔石が1つ光っており、キングゴブリンの魔石も光っているのだ
2つ同時という初めての出来事に流石に言葉が出ない
ギルハルド
『ミャ~』
ギルハルドはキングゴブリン魔石を加えると、それをリリディに持って行ったのだ
なんのスキルなのか、それはリリディが答えた
リリディ
『打撃強化スキル、これは貰いますが…』
ティア
『あと一つ!早くしないと』
魔石の光は1分ほどで消える、それまでに光を吸収しないとスキルを回収できない
リリディをその場に置き、皆でゴブリンの魔石に近づく
気配感知スキルだ…これはどうしようかと悩んだ結果、ティアに譲ることにしたのだ
彼女の気配感知は3から4になるとかなり広範囲で魔物の位置を把握できる
高い人間に渡すのが今は良いとリュウグウとティアマトの判断だ
ティアマト
『リリディ!そっちはどうよ?』
リリディ
『完璧です、最高の気分ですよ』
彼の打撃強化スキルは3から4になる
かなり頼もしい、それはティアもだけどね
ギルハルドは役目を終えると、リリディに頭をぐいぐい押し込んで撫でてもらおうとしている
意外に可愛いところがある、俺も撫でたい…しかし噛まれるから無理だ
リュウグウ
『むっ?地震だぞ』
また地震だ、多すぎる…不吉だな
先ほどよりも大きく、下手に歩かないほうがいい感じがする
俺はよろついたティアの腕を掴んで支えると、皆に声をかける
アカツキ
『収まるまで待…』
それを言い終える前に、俺達全員の体は動かなくなる
何かにやられたわけじゃない、それはグリンピアで活動していた時に森でも感じた事のある気配に近い
底知れぬ強さを持った気配が迫ってきていたからだ
汗が噴き出しているのがわかる、一気に鳥肌が立ち、呼吸がしずらい
あの時と似てる、金欲のアヴァロンという手足の長い羊の化け物に遭遇した時とな
一点だけ違うことがある、動こうと思えば動けることだ
しかし手足を動かすだけでも一苦労だ
地震、魔物、いったいなんなんだと思いながらも自然と俺はティアを抱き寄せていく
気配は近づき、仲間たちは険しい顔つきをしている時
ニャン太九郎は毛を逆立てて地面に向かって激しく威嚇していた
リュウグウ
『地面・・・!?』
『ヒヒーン!』
ティア
『ブルドンちゃん、落ち着…』
ティアが口を開いた瞬間に地震は一気に激しくなり、俺達はバランスを崩す
メキメキ!と音が聞こえ、何事かと思いながらも足元を見てみたよ
どうなったか?
地割れが起きた
うん・・・天変地異を引き起こす魔物かな?と呑気に考えながらも崩れた地面に足を取られてしまい、ティアと共に地割れの底へと落ちていったのだ
アカツキ
『あああああああああああああ!』
ティア
『ええええええええええええ!!』
ティアマト
『アカツキィィィィィィ!またかぁぁぁぁぁ!』
リリディ
『アカツキさん!ティアさん!』
リュウグウ
『ティア!!!』
『ヒヒィィィィン!』
『ニャ?』
落下しながら、全員の声が一斉に聞こえた
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