第75話 見捨てられた仏編 7 亡霊騎士
『エレェェェェヌゥゥゥゥ!』
侍ゾンビは叫びながら俺たちに迫る
リュウグウは三連突で槍で素早く3回突き、ティアマトは連続斬りで2回の斬撃を奴の正面で発動する
しかし、侍ゾンビは2人の攻撃を加速して避け、後方の俺の目の前に迫る
《速ぇ!兄弟!避けろ!》
アカツキ
『こいつ!』
『エ・・・リタァァァ!』
わけもわからない断末魔、それを耳に入れながらも俺は刀の薙ぎ払いを刀で受け止める
だが力の差が顕著にでる
そのまま押し込まれ、俺は再び吹き飛ばされて地面を転がった
素早く上体を起こそうとすると、すでに侍ゾンビが飛び込みながら刀を振り落とそうとしている
斬られるわけにはいかないと思いながらも転がって攻撃を避け、立ちあがりつつ居合突を至近距離で撃ち放った
顔面を狙っての俺の遠距離攻撃、奴はそれを顔を横にずらして避けてから俺を蹴って転がす
アカツキ
『ぐはっ!』
ティアマト
『おらぁぁぁぁ!』
『ヌゥゥゥ!』
背後から迫るティアマトに刀で応戦する侍ゾンビ
彼の力ならば押し負けることはない筈だ、それでも互いの武器が金属音を響かせて打ち合っているのを見ると、ティアマトでも多少押されている気がする
リュウグウ
『鬼突!』
彼女の貫通特化である槍の技スキルがティアマトを飛び越え、頭上から発動する
侍ゾンビはティアマトの腹部を蹴り、その反動で後方に宙返りして距離をとりつつも彼女の攻撃を避けた
近くにいた俺は着地を狙って刀で薙ぎ払う
だがそれは半回転した侍ゾンビが刀をぶつけてきた衝撃で俺は刀を地面に落としそうになる
手がビリビリと痺れる感覚が凄い、手を離さないだけでも褒めてほしいと思うよ
《避けろ!》
アカツキ
『わかってる!』
俺は侍ゾンビの素早い攻撃を避ける
動体視力強化スキルをもってしても少し危うい感じだが、刀は攻撃速度が他の武器より早いのだ
一撃で決めれない、どうすればいい・・・
ふと俺は考えた、こいつは素早いし刀の練度は高い…でも…
刀が使えなくなったらそうなるんだろう…と
アカツキ
『ティアマト!リュウグウ!頼むぞ!』
俺は叫び、侍ゾンビの鋭い刀の突きを避けながら刀を納刀し、両手で奴の刀を握る手をがっちりと掴み、足を絡ませた
見た目はダサいだろう、だってタコみたいに絡んでるみたいに見えるからな
だがそれでいいと俺はこの時感じた
『エレ…カ…エ!』
侍ゾンビは僅かにハッとした表情を浮かべ、俺を振りほどこうとする
だがそれは仲間にとって好機だ
『槍花閃(ソウカセン)!』
リュウグウが槍を回転させ、花びらが舞う
その回転の勢いを使って侍ゾンビに向かって槍を突きだす
彼女の遠距離技スキル、それは槍の突いた先に細長い光線を放つ技だ
弾速は速く、それは見事に侍ゾンビの太腿に命中し、奴はガクンとバランスを崩す
片膝をついた侍ゾンビに俺は足で顔面を蹴って僅かに注意を逸らす
俺は奴から離れると刀を構えた
ティアマトが背後から迫っているのに気付いてほしくはなかったから蹴ったのだが、ギリギリまで気づかなかったようだな…
ティアマトは静かに忍び寄り、素早く飛び込む
ティアマト
『連続斬り!』
侍ゾンビが振り向いたと同時にそれは奴の体を切り裂いた。
一撃目は脇腹を斬り、二撃目は太腿を切断
『エレェェェヌ!』
足を失った侍ゾンビは、叫びながら倒れていく
だがまだ死んではいない
俺はティアマトとリュウグウの強い視線を感じ、ここで決めることを決意した
《呼べ兄弟!》
アカツキ
『開闢!』
刀を僅かの鞘から出し、押し戻して金属音を響かせる
すると鞘から瘴気がドッと吹き出し、そこから仮面騎士が姿を現した
熱で赤く染まる刀を右手で握り締めた仮面騎士は一直線に侍ゾンビに襲い掛かる
『オオオオ!』
『エレェェッヌ!カエ・・リ・・た・・!』
侍ゾンビはしゃがみ込んだまま、刀をその場で納刀して金属音を響かせた
誰もが不味いと感じたはずだ、刀界という面倒な技が来るからだ
それは衝撃波と共に僅かな斬撃を無数飛ばす凶悪な技スキル、俺達はこの場では避けれないと諦め、身構える
しかしだ
仮面騎士は侍ゾンビからの鞘から放たれた衝撃波を燃え盛る刀を使って斬り裂いて消し飛ばしたのだ
その斬撃は侍ゾンビまで届き、奴は胴体を深く斬られた拍子に激しく燃え始めた
『ソレ…シ!…、ツタエ!ワレ!アイ…シ…』
アカツキ
『…』
燃え盛る侍ゾンビは炎の中で叫んだ
ティアとリリディもコンペールを倒したらしく、疲労した顔を浮かべたままロビーに入ってくる
元人間、でも倒さなければ死ぬのは俺たちだ
ティア
『やったの・・・かな』
リリディ
『でしょうけど、叫び声はこっちにも余裕で聞こえましたよ』
リュウグウ
『きっとこいつは帰りを待つ誰かを心配しているのだろう。人の名前をずっと叫んでいた』
誰もが炎の中で悶え苦しむ侍ゾンビに悲しそうな顔を向けた
人間であった記憶が僅かに残り、その中でも一番強い思いが魔物となっても消えることはなかったのだろうな
激しい炎で体がボロボロと朽ちていく侍ゾンビは、動きを止めて前のめりに倒れこみながら最後の言葉を口にした
『カエリタイ、エレーヌ…』
倒れた拍子に、奴は灰となって砕け散る
ティアが自然と俺の腕をつまむように掴む
いまだに仮面騎士は朽ちていく侍ゾンビの前で消えずにいる
テラ・トーヴァなのはわかるが、奴は振り返ると口を開いてから消えていった
『兄弟、こいつ奥さんに会いたいってよ?』
俺は火が消え、侍ゾンビの残した発光した魔石と身に着けていた遺品を回収してから仲間を引き連れ、急いでロビー裏のドアに入って地下の階に戻る
早く隠れないと近くのアンデットが来るからな、結構気配あったし
本当にギリギリだ…魔物の気配がかなり近くまで来ていたからだ
下まで一気に戻ると、ブルドンが呑気に寝室の床で横になって待っていた
『ヒヒン!』
ティア
『留守番偉いブルドンちゃん』
ティアマト
『スキルはなんだ?アカツキ』
リリディが階段上を気にしているのを確認し、俺はベットに腰を下ろすと魔石を握りしめながら答えた
アカツキ
『刀界だった…兜割りじゃないけど…』
リュウグウ
『私たちの傷を見ろアカツキ、その技は尋常じゃないぞ!』
必死に戦っていて自分たちがどんな状態が俺は忘れていた
血が沢山流れており、体中ズキズキするよ
ティアマト
『全身斬り刻まれたんだ…、兜割りじゃねぇのは残念だがよ?先を見越せば手に入れた技スキルの方が全然いいぜ』
ティア
『3人凄い傷だもん、ケアするから並んで』
俺はその間、スキルを吸収した
光が消えそうだったし危なかった
しかしだ、凄い技だな…・
刀界
発動方法は開闢と同じ納刀
金属音を響かせ、鞘から衝撃波を任意的な方向に放つ
その衝撃波に触れると体中を斬り刻まれるという最悪な技
侍ゾンビの持つ刀界で何故俺たちが無事だったか、このスキルを入手してわかったことがある
あいつは全体に向かって衝撃波を放った、全体に衝撃波を飛ばせば範囲が広い分、威力が格段と落ちるのだ
もし前方のみで衝撃波を放っていたら?きっと俺たちは一撃だったはず
リリディ
『上がかなり騒がしいです…静かにお願いします』
ティア
『わかった』
彼女は俺とティアマトそしてリュウグウにケアを使って傷を治していく
深手ではないので彼女のケアで治せるのだが…ここで奇跡が起きる
ケアのリュウグウの次はティアマト、彼の時にはケアの威力が僅かに上がった気がしたのだ
ティア
『あれ?範囲も威力も上がった気が…』
ティアマト
『なんか全体的に一気に治癒されてくぞ…』
アカツキ
『ティア、多分だがレベルが上がったのか?』
ティアマトを治してから彼女はステータスを確認する
予想は的中だったよ
風・ケア 【Le2】up↑
こんな感じになってた
次は俺の番になり、彼女に治してもらおうとした瞬間、こんどは不運が訪れた
階段の上のドアが強めに開く音がし、ランタンを持つリリディがギョッとした顔を浮かべてこちらに向かって叫んだ
リリディ
『退却!退却です!戻りますよ!!』
かなりの呻き声が階段の上から近づいてきている
俺達は直ぐに武器を握り、ティアマトを先頭に穴の中に走り出した
リリディは最後尾、苦虫を嚙み潰したような顔を浮かべたまま、階段に向けてシュツルムを放ち、黒い爆発を引き起こしてからこちらに走ってくる
まだ俺は回復してない、だが呑気に回復してもらう時間はない
穴の中を走りながらもリリディは後方から追いかけてくる無数のアンデットに向けてシュツルムを放つ
黒い魔方陣から黒弾が撃ち放たれ、追いかけるアンデットの先頭であるグールに命中すると黒い爆発が起きて砂煙が舞う
それと同時にその場所が崩れて崩壊したのだ
リュウグウ
『ラッキーだな!』
ティアマト
『これで追いかけてこれねぇ!』
誰もがその場に足を止め、一息ついた
もう走れない、休まないと倒れそうだ
ティアが心配そうな顔を浮かべ、俺に近づいてくると口を開く
ティア
『回復するねアカツキ君』
アカツキ
『頼む』
彼女の伸ばした手から緑色の魔力が俺に流れ込んでくる
傷は徐々に回復し、流れる血すらも止めて傷口も閉じていく感覚を感じた
息を整えるにも十分な休息だ、リリディは崩れた道に腰を下ろすと懐から魔石を取り出す
リリディ
『流石に死ぬかと思いましたが、ティアさんのショックで一方的に攻撃できました』
アカツキ
『大丈夫か?コンペールだぞ』
リリディ
『アンデットを呼ばれる前に顎を破壊したので大丈夫です、あいつは仲間を呼ばなければシュツルムで安心して倒せます。それにちゃんと両腕を使い物にならない様にしてから倒しました』
どうやらチェーンデストラクションのスキルレベルも上がったらしい
すると彼の座る瓦礫の中がモコモコ動き出す
俺達は首を傾げ、見つめているとゾンビの腕が飛び出してきてリリディを掴んだ
リリディ
『うひゃぁぁぁぁぁぁ!』
ティア
『いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
『アアアアア!』
ゾンビナイトが腕の次に顔を出してきた
掘り進んできたのかよ…
ティアマトが片手斧を使って頭部を叩き割り、魔石を回収してから俺達は足早に洞窟の中を進む
アカツキ
『急がないと駄目だな』
ティア
『心臓に悪い登場やめてほしい』
アカツキ
『大丈夫かティア?』
ティア
『うん』
彼女は俺の背中を掴みながらついてくる
すると池の真下に辿り着き、ゲロックロが住処の穴から顔を出す
『ゲロッ?』
ティア
『バイバイだよカエルちゃん!』
『ゲロックロ~』
呑気な魔物だな
だがゲロックロは穴に隠れていれば大丈夫だろう
俺達は来た道を戻るように進み、先ほどの掘立小屋の地下にまで戻る
地下は倉庫だが、再び呼吸を整えるために足を止めた
リリディは穴の様子をランタンをかざして監視し、リュウグウは部屋の先の階段から上の音を聞き取ろうとティアを連れていく
俺はティアマトとブルドンを倉庫に残し、階段にいるリュウグウとティアの元に足を運ぶ
気配などない、上は大丈夫だろう
リリディとティアマト、そして赤騎馬ブルドンを連れて天井のドアを静かに開け、俺達は地上に戻ってきた
その場で全員が腰を下ろし、疲労を顔に浮かべる
傷が回復しても疲れは感じる、リリディは誰よりも平気そうだ
コンペール相手にドレインタッチを使って体力を奪ったのだろうな
リュウグウ
『近くに1体だ』
アカツキ
『表にいるな、窓から外に出よう』
窓から外に出ると深い霧が俺たちの視界を遮る
兜割りの入手は出来なかったが、無駄ではなかった
裏から表にまわると、ドアの前にはリッパーがいる
『キキキキ』
両腕を垂らし、ドアを見つめているようだ
ティアが角から顔を覗かせると、腕を伸ばしてショックを撃つ
不意打ちから放たれた雷弾を受けたリッパーは一撃で麻痺し、その間にティアマトが襲い掛かって首を跳ね飛ばす
俺は魔石を回収し、辺りを見回した
四方を仲間が身構えながら警戒を高めている
気配が近くに感じなくてもおぞましい呻き声は一帯に響き渡っているのが不気味だ
《兄弟、静かに歩いて戻れ…まだ遠いが最悪な野郎が散歩してる》
アカツキ
『デュラハンか』
《そうだ、あいつも音には敏感だ…忍び足で行け。近くに邪魔する魔物はいない》
アカツキ
『みんな、デュラハンがいる・・・忍び足で出よう』
リュウグウ
『面倒な…』
ティア
『音出したら駄目だからね?』
アカツキ
『先頭は俺、最後尾はリリディとティアマトで頼む』
指定された2人は無言で頷く
俺は先頭で侍ゾンビの遺品であるペンダントの中を開いてみる
そこには侍ゾンビの生前だったであろう男、そして隣には女性が映っていた
どちらも笑顔だ、きっと奥さんだったのだろうな
指輪も結婚指輪だと思われる
何かの経緯で戻れず、この墓地で息絶えてしまったのか
帰ったら詳しく聞かないとダメかもしれん
邪魔する魔物はいない、しかしハンドリッパーというウデムシのような魔物は移動しながら俺たちについてくる、数も多いから攻撃なんてしたら一斉に襲い掛かってくるだろうから無視だ
戻るように道を進んでいるとテラ・トーヴァが話しかけてくる
《一応言っとくが…兄弟が感じてないだけで魔物の気配は100はくだらねぇぜ》
アカツキ
『そんないるのか…』
俺は小声で彼に答える
そうじゃないとデュラハンにバレそうで怖いからな
《地上にいる数だ、土の中で寝てるやつ含めりゃ…数えるのも馬鹿らしいぞ?タイル床の外は土だろ?そこら中にいる、墓石も見えてると思うがそこに集まるようにして土の中で静かに獲物を待ってる》
とんでもないな
俺は仲間にそれを伝えると、誰もが一言も発さなくなる
ティアなんて怖さのあまり俺に抱き着いている、それでいい…俺が幸せになれる
『アアアア』
リュウグウ
『ゾンビナイトの声がしてもどこにいるのかわからん、周りから聞こえる』
アカツキ
『無視だリュウグウ』
リュウグウ
『わかってるわよ』
後方に視線を向ける、ティアマトが後ろからついてくる無数のハンドリッパーに意識を向けているようだ
何事も起きなければいいが、息すらもしずらい
前から黒い煙の塊が2つ姿を現す、それはFランクのゴーストだ
ティアのショックを放って2体共々パチパチと音を出して四散していく
だがその音を出すのは不味かった、俺の指示ミスだ
リリディの突風で静かに倒すべきだったと俺は今思った
パキッと足元で音が鳴る、割れたタイルを踏み、音が鳴ったらしい
《兄弟、止まれ…》
俺は腕を横に出し、仲間を静止させた
《執念場だ。悪いが今の音でバレた…》
アカツキ
『…』
《さっきまで遠くにいたんだけどな、小さくても甲高い音は聞こえるらしいな》
リリディ
『…アカツキさん、不味いです』
アカツキ
『わかってる、みんな…身構えろ』
その瞬間に大きな気配を感じ、タイル床の外に身構える
ドッと汗が流れ、耳鳴りが酷くなっていく
ティアマトが舌打ちをし、真剣な顔つきになったところでそれは現れた
ブルドンよりもひと際大きな黒い馬に乗った黒光りした鎧の騎士
フルフェイスの両側頭部からは猛牛のような角が生えており、それは赤く光っていた
大きい…身動きが取れない俺たちはただただその魔物を見つめる
ふとメットの顔の部分が開き、顔があらわとなる
その姿に俺がゾッとした、顔が全て不気味な目玉で埋め尽くされており、それは全て俺たちを凝視していたのだ
吐息に近い呻き声がその者から発せられる
魔物ランクBのデュラハン、直ぐにそうだとわかったよ
馬に騎乗した奴の体から瘴気が溢れ始めると、俺は仲間に叫んだ
アカツキ
『走れ!!!』
《逃げろ兄弟!望みはある!》
一斉に走り出す
だが一瞬にしてデュラハンは先回りし、無言のまま俺たちを見つける
速すぎる、あいつが速いのではなく、馬が速い
白目を剥いた馬の瞳は唸り声をあげながらこちらを睨みつける
リュウグウは槍花閃を繰り出し、回転させた槍の勢いを利用して突きだした槍の先から光線を飛ばした
その技は馬に乗るデュラハンに命中する前に、奴が手に持っている赤黒い片手剣で見事に弾かれた
ティアマト
『おいおい…』
リリディ
『これはどうすることも…』
2人が言葉を発した瞬間にデュラハンは素早く俺たちに迫り、剣を振り下ろす
全員が左右に飛んで避けると、地面に大きな傷跡を残し、僅かに衝撃波が発生した
デュラハンは武器を担ぎ、首をゴキゴキを鳴らしながら1か所に集まる俺たちの周りを優雅に歩いて睨みつけている
アカツキ
『…?』
デュラハンは何故か俺たちが行きたい道の向こうに顔を向けた
それが隙だとしても足が動かない
今向かってもやられるイメージしかわかないのだ
だが仲間を守るために、俺はリーダーとして立ち向かわなければならない
何としてでも時間を稼ぐために大声を出し、高速斬で俺は奴に突っ込んだ
ティア
『アカツキ君!』
《それでいい、兄弟…もう遊びで冒険者してるんじゃないんだ、死ぬか生きるか決めるのは双方》
俺は彼の声を聴きながらデュラハンに突っ込む
奴は直ぐに顔をこちらに向け、全力で刀を振った
奴の目がギョロギョロと動くと、俺の刀を容易く弾いて吹き飛ばした
地面を転がり、勢いを止まると目の前にはデュラハンが剣を掲げ、地面に転がる俺に振り落とそうとしていた
アカツキ
『刀界!』
俺は刀を納刀し、金属音を響かせる正面だけに衝撃波を飛ばす
驚いたデュラハンは両手を前に出してガードするが、馬もろとも体中を衝撃波に交じった無数の斬撃に切り刻まれる
彼の乗る馬が暴れ、デュラハンが落ち着かせている
その間に俺は立ち上がり、刀を抜いて構えた
前方のみの衝撃波、威力はそれなりにある筈なのに馬ですら驚いただけだ
デュラハンの鎧で全ての斬撃は弾かれていたようだ…しかしだ
リリディ
『チェーンデストラクション!』
リリディが黒い魔方陣2つを出現させ、その中から鎖が2つ飛び出すとデュラハンの乗る馬の巻き付いた
興奮していた馬はバランスを崩し、転倒しそうになる
だがデュラハンは騎乗したまま馬が倒れる寸前で剣で地面を刺して押し戻したのだ
あまりの力技に俺たちは驚愕を浮かべる
奴は素早く態勢を立て直すと、剣で鎖を砕き、体から衝撃波を起こす
吹き飛ばされない様に耐えながらも襲い掛かるデュラハンが乗る黒馬の体当たりを間一髪避けた
リリディ
『シュツルム!』
黒弾をデュラハンが馬を走らせながら斬り裂き、爆炎に包まれる
しかし直ぐにその中から奴が姿を現し、リリディとティアマトに襲い掛かった
ティアマトはデュラハンの剣を避け、攻撃しようとすると馬の鼻先の攻撃を体で受けてしまい、吹き飛んだ
ティア
『ラビットファイアー!』
5つの細長い熱光線が赤い魔方陣から一気に放たれ、デュラハンに命中する寸前で剣のふと振りで全てが掻き消され、瞬時にティアの目の前まで迫る
俺は叫びながらも高速斬で横から追撃しようと加速する
それと同時に、リュウグウと赤騎馬ブルドンもティアの後ろから飛び出してきたのだ
『ブルルル!』
リュウグウ
『鬼突!』
ブルドンは黒馬に体当たりし、バランスを崩そうとするが撃ち負けてしまい、逆に吹き飛んでしまった
リュウグウの攻撃はデュラハンではなく、黒馬だった
彼女の槍が黒馬の首を貫く
『!?』
デュラハンは全ての目を大きくし、驚いていた
黒馬が両前足を上げ、悲鳴を上げて暴れ始める
そのタイミングで俺は真横から刀を突きだし、デュラハンの顔を狙った
しかし、奴は左手で摘まむようにして俺の刀を止めたのだ
まるで読んでいたかのように冷静に防いだんだ
アカツキ
『なっ!?』
すると奴はガッチリと刀の刃を掴み、俺を投げティアにぶつけた
2人仲良く転がりながら吹き飛ぶと、デュラハンはリリディは放った黒弾に命中し、爆発に巻き込まれる
リリディ
『ようやくですね…』
ティアマト
『ぐ・・・頑丈なスキル持ちでもやべぇ…』
ティアマトは息を切らしながら俺の近くに歩み寄る
リュウグウやリリディ、そしてブルドンもだ
俺はティアの手を掴んで立ち上がらせ、砂煙の中にいるであろうデュラハンに警戒を高める
しかしそれよりも不味いことが起き始める
呻き声が多くなってきてる、騒ぎを聞きつけてアンデット種の魔物が近づいてきているんだ
流石にこれ以上の先頭は死を意味すると俺は理解し、逃げることを仲間に指示した
アカツキ
『振り返らずに走れ!』
ティアマト
『俺についてこい!後ろ頼むぜ!』
アカツキ
『わかった!ティアも急げ!』
ティア
『うん!』
必死に走り、俺は最後尾から後ろを気にしながら走った
するとアンデットの気配よりも素早く俺たちに近づいてくる気配がそこにはあった
『コォォォォォォ!』
黒馬に乗ったデュラハンだ、彼の顔全ての目は赤く染まり、まるで怒っているかのようだ
濃い霧の中から現れた彼の体は瘴気は溢れており、完全に逃がさない気でいる
《もう少しだ!走れ!!!》
リュウグウ
『槍花閃!』
アカツキ
『居合突!』
リリディ
『シュツルム!』
リュウグウの突きだした槍の先から飛び出す光線をデュラハンは剣を盾に軌道を変え、俺の刀の突きで発生した真空の突きは飛んでいくと左腕で払うだけで弾かれた
そんな簡単に弾かれるとちょっとショックだ
そして次のリリディの放った黒弾を剣で両断し、2つに割れた黒弾はデュラハンの後方で黒い爆発を起こす
足止めになるかと言われると、まったくだ
僅かに追いかける速度は遅くはなった、だが直ぐに馬を速く走らせて追い付こうとしてくる
ティアマト
『あと少しだ!踏ん張れ!』
アカツキ
『みんな頑張れ!もう少しで…』
俺はデュラハンの様子が変わったことに気がついた
足を止め、追いかけるのをやめたんだよ
もしや…あいつの縄張りを過ぎた?そういえば縄張りから離れるとそこまで追ってはこないとは聞いたけどさ
赤く染まった全ての目玉は白くなり、剣を担いだままこちらを見て首を傾げているのを最後に、奴は濃い霧の中に消えていった
《ひやぁぁぁ!スリル過ぎるぜ兄弟!よく生き残ったな!半分諦めてたぜ!》
アカツキ
『おいっ!』
俺は余裕ができ、彼にツッコんだ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます