第74話 見捨てられた仏編 6 

アカツキ・ライオット


☆アビリティースキル

スピード強化【Le3】

気配感知  【Le2】

動体視力強化【Le3】

斬撃強化  【Le3】up↑


☆技スキル

龍・開闢  【Le2】

居合突   【Le2】

光速斬   【Le2】up↑

地斬鉄   【Le1】


☆魔法スキル


称号

・・・・・・・・・

リリディ・ルーゼット


☆アビリティースキル

打撃強化【Le3】

気配感知【Le3】

麻痺耐性【Le3】

スピード強化【Le2】


☆技スキル

ドレインタッチ【Le3】up↑

爆打  【Le2】

骨砕き 【Le1】


☆魔法スキル

風・突風   【Le2】

風・カッター 【Le2】

黒・ペイン  【Le1】

黒・シュツルム【Le3】

黒・チェーンデストラクション【Le1】


称号

リトル・クルーガー【黒】


☆称号スキル

毒耐性【Le1】

動体視力強化【Le1】


・・・・・・・・・・・

ティアマト・ウロボリス


☆アビリティースキル

斬撃強化 【Le2】 

気配感知 【Le2】

毒耐性  【Le4】

耐久力強化【Le2】

動体視力強化【Le2】

スピード強化【Le2】up↑



☆技スキル

連続斬り【Le3】

真空斬 【Le1】

鬼無双 【Le2】


☆魔法スキル


称号

・・・・・・・・

ティア・ヴァレンタイン


☆アビリティースキル

安眠  【Le1】

気配感知【Le3】

麻痺耐性【Le1】

動体視力強化【Le1】

スピード強化【Le2】


☆技スキル


☆魔法スキル

火・ラビットファイアー【Le3】

雷・ショック【Le4】up↑

木・スリープ【Le2】

風・ケア  【Le1】


称号

パナ・プレイヤー


☆称号スキル

デバフ強化 【Le1】

自然治癒  【Le1】

スピード強化【Le1】

・・・・・・


魔物表


A闘獣 金欲のアヴァロン(妖魔羊)、睡欲のモグラント(土駆龍)



B 将軍猪、閻魔蠍、鬼ヒヨケ、女帝蜂、ミノタウロス


C ブラック・クズリ、トロール、ファングマン、侍ゾンビ

  パペット・ハンマー、リザードマン、鉄鳥、マグマント

  剣蜂、キラービー(単体D/集団のみC)、般若蠍、ベロヌェルカ

  ロゴーレム


D キングゴブリン、グランドパンサー、ゴーレム、ラフレコドラ、ケサラン

  ソード・マンティス、黒猪、グレイバット、鎧蛇、棘巻トカゲ

  リッパー、ゲロックロ、ハンドリーパー


E コロール、エアウルフ、ハイゴブリン、エレメンタル各種

  パペットナイト。ボロゴーレム、棘蜂、グール、グリーンマンティス

  ゲコ(ヤモリ)、闇蠍、格闘猿(エド国)


F ゴブリン、ディノスライム、格闘猿、ゾンビナイト、風鳥

  ゴースト、ウッドマン、ビリビリフラワー、眠花蜘蛛

角鼠、カナブーン ゾンビナイト、赤猪、棘鴉、オオダンゴ



・・・・・・・・・・

巨大なモグラが掘り進んだかのような穴を真っすぐと進む

幸いなことに迷路のようにはまだなっていない、一本道だ

ランタンの灯りを頼りに、俺は前を歩いていると水溜まりを踏んだ


地面は僅かに水が溜まっており、上からは水が滴り落ちている


リリディ

『墓地には池がありますがきっとその上です、方向は順調です』


アカツキ

『でも魔物はいるな』


俺は正面に灯りを向けると、そこにいた魔物を照らす


『ゲロッ!』


ティア

『可愛い』


ゲロックロだ

マグナ国の雨の時期に森で見かけるツノガエルによく似てる

1メートル程とカエルにしては大きい、ちなみに魔物ランクはD

攻撃方法は丸のみと体当たり、舌はそんな伸びない


しかもこいつは好戦的ではなく、臆病な性格で知られている

灯りを照らすと、ギョッとしながら横に小さな穴に体を隠す

少し進んで穴の中を覗き込んだ


『ゲロ・・』


ティア

『可愛い』


リュウグウ

『カエルだぞ、ティア』


ティア

『丸いのは基本的に可愛いのっ』


その理論は数分後、破綻した

現れた魔物が俺たちにとって初めての遭遇、それはFランクのギョロギョロ

大きな目玉の魔物だ、その浮遊する目玉からは細長い触手が伸びており、不気味に目をギョロつかせてこちらに近づいてくる


アカツキ

『丸いぞ、可愛いか?ティア』


ティア

『可愛くない!ラビットファイアー!』


彼女は間髪入れずに細長い熱光線を赤い魔法陣から撃ち放ち、ギョロギョロに命中して燃やす

こんな閉所では避けるのも苦労だ、魔物も同じくだ


ティアマト

『腹減ったぜ?飯食おうぜ』


アカツキ

『ここで食うのも面白そうだ、一度休もう』


俺達はブルドンの背中のバッグからホットドッグを人数分取り出す

ここに来る前に街の屋台で購入していたんだ、これの他におにぎりもある

水筒にはミネラルタップリの栄養水を購入して入れ替えしているので普段の水より高価だ

1リットル銅貨3枚とちょっと高いけども、別に今は気にしてない


最高の状態で挑みたいからだ、ケチるとろくなことはない

ティアマトは相当お腹が空いていたらしく、ホットドックをガツガツ食べている


アカツキ

『相当だなティアマト』


ティアマト

『予想して3つ買っといた』


リリディ

『だからカバンにまだ余ってるんですね…』


リュウグウ

『よく食うなお前』


ティアマト

『腹が減ってはなんとやら、だ』


ティア

『いくさっ!』


ティアマトが小さく笑いながらホットドック1つをたいらげる

ようやく体が休まり、俺はカバンから馬用のフードである牧草団子を取り出すと、ブルドンの食べさせる


どうやらブルドンも空腹だったようだ

掌にあった牧草団子という大きめの団子を一瞬で食べた

しかももっとよこせと俺の頭を鼻先で小突いて伝えてくる


アカツキ

『これ美味しいのかブルドン』


『ブルッ』


ティア

『食べやすいように味もいいらしいよ』


アカツキ

『牧草もってくるよりこっちが一番いいな、ブルドンもこっちがいいか?』


『ヒヒーン』


いいんだってさ

1つ銅貨2枚だが持ち運びできる点を考えれば妥当な値段だ

5つあるから全部食わせた、満足らしい…


リリディ

『うねるような道になってますが、順調に池の下を抜けました』


アカツキ

『ここまでくればどこか穴があれば出たいな』


リリディ

『そうしましょ…ん?』


アカツキ

『どうした?』


リリディ

『ティアさん感じます?』


ティア

『ん?さっきのゲロックロちゃんの気配』


俺達は歩いてきた道に顔を向ける

するとピョコピョコと可愛い音を立てて近寄ってくる魔物がいたのだ

そいつは先ほどのゲロックロ、遠くでこちらを意味ありげに見ている


『ゲロ…クロッ…』


敵意を全くなし、赤騎馬のブルドンでさえまったく興味を示さないほどにだ

ティアは立ち上がると、ゲロックロを見つめながら何かを閃いている

彼女はブルドンの背中のカバンを漁ると、中からホットドック取り出した


ティアマト

『あ・・・俺の…』


彼の切ない声と表情が俺の目に映る

ティアは『あとで奢ってあげる』と彼を説得し、その食べ物を持って静かにゲロックロに近づくと、口を開いた


ティア

『欲しい?』


『ゲロッ!クロッ!』


ティア

『上げる!』


彼女がゲロックロの頭上にホットドックを放り投げる

するとカエルは大口を開けてパクリとティアマトの夜食を食べたのだ

ティアマトの顔が切なそうだ…まぁティア相手だと言うに言えないのだろう


ティア

『おいしい?』


『ゲロッ』


超嬉しそうな顔をするゲロックロ、悪い魔物じゃないのは昔から知ってる

持ってるスキル無し!魔石価値無しの可哀そうな両生類の魔物だから冒険者に狙われることもない

だからこそ人に慣れているのかな・・・無縁墓地だと人と出会うことなどないのだが…


リュウグウ

『恩返しに入口を教えてくれるなどという面白いストーリーがあればいいんだけどね』


ティア

『流石にそれは無理じゃないかな』


『ゲロックロッ!』


するとどうだろうか、ゲロックロは飛び跳ねながら道の向こうに移動すると反転し、俺たちに体を向ける


『ゲロックロ!』


リリディ

『えぇ…』


ティアマト

『通じたのか?嘘だろお前』


リュウグウ

『…』


ティア

『やったね』


《まぁなんとなく外に出たがってるって通じたんだろうな、人間と違って魔物や動物の勘はマジで鋭い》


アカツキ

『マジか…』


俺達は飯を食べ終わり、奥で待つゲロックロに近づくと、奴は奥に進んでいく

すると4つもの穴の分かれ道、流石に引き攣った笑みを誰もが浮かばせるが

ゲロックロは一番右の穴の奥におり、俺たちに来いと言わんばかりに飛び跳ねている


ええい、ままよ!と思いながら魔物を信じて進むと緩やかに道が登坂となった


ティアマト

『運が良いぜ、俺達よ』


リリディ

『これで出れたら、ホットドックを1つ上げてもいいでしょうね』


ティアマト

『リリディの余ってるだろ』


リリディ

『まぁそうしましょうか』


数分後、見事にこの穴はどこかの建物の地下に通じており、荷物置き場に辿り着いた

10畳ほどの部屋に開いた穴を振り返って見つめると、リリディはブルドンの背中から残っているホットドックを取り出してゲロックロに放り投げた


リリディ

『感謝のしるしです』


『ゲロッ!』


ティア

『ありがとねカエルちゃん』


ゲロックロは空中でホットドックをパクリとキャッチすると、穴の中に元気よく帰っていく

皆でちゃんとした床に座り込み、俺は奥のドアに近づいて耳を傾ける

風が隙間から流れる音だ、ということは外に通じていることでもあるだろう


ティア

『魔物の気配は無し』


アカツキ

『少し様子を見てくる、リリディ』


リリディ

『お供しましょう』


彼は立ち上がり、その場で背伸びをすると木製スタッフを担いでやってくる

静かにドアを開けると、そこにはベットが沢山設置されていて、寝室だと悟った

奥に階段、俺達2人は何もないことを確認してから階段を上ると壁一面に衣装棚が設置された作業員用の部屋に辿り着いた


部屋の中央には長椅子が1つあり、壁際にはテーブルがある

小さな安易キッチンだけども、ここは夜間用に使われていた感じもしなくもない

壁につるされているいくつもの古びたランタンを見ればそう思える


窓は1つ、しかし薄汚れていて外は全く見えない


リリディ

『どうします?先のドアを開けますか?』


アカツキ

『…気配が1つ、俺がやる』


リリディ

『それが良いでしょう、僕が殴ると音が凄いので』


俺は彼と共に奥のドアに近寄り、僅かに開ける

そこは何かの受付をする小さなロビーとなっており、ドアの先はカウンターの裏側だ

目の前には背を向けてたたずむグールが手を垂らしているのが見え、俺は少しギョッとした


《一気に首を斬れ》


テラ・トーヴァのいう通り、俺はゆっくりと音が出ない様にドアを開けると背中を向けているグールの首を一気に斬り飛ばした

倒れるグールから魔石を回収しようと手を伸ばすと、リリディは周りを見渡してから俺の頭を押し込むようにしてカウンターの裏に隠れるように仕向けた


シー、と口元に人差し指を立ててサインを送っている

俺は何を見たのかわからず、彼と共にカウンターの横からロビーの先を見てみる

カウンターの前には大きな扉があるが開いたまま、先は外になっている


濃い霧が見えるが、その霧の中に僅かに黒い影が見える

徐々にそれがあらわとなり、俺はギョッとしたよ


何かの紋付袴姿をした骸が腰に刀をつけてゆらゆら歩いていたのだ

あれは侍ゾンビ、俺たちが目的としている魔物である

どうやらあたりを歩き回っているらしく、近くをウロチョロしていた


アカツキ

『ダメか』


俺は超小声でリリディに話しかけた

答えはノーだ


リリディ

『単体じゃない、他にも別の気配があります』


俺とリリディは顔を引っ込め、カウンター裏でどうするか考えた

しかしどう考えても都合よくあれだけと戦うなんて無理な話だ

ここは無縁墓地カタコンペル、アンデットだらけの場所でその盤面を作ること事態が間違った考えだ


『ガウウウウ』


アカツキ

『待て待て今の鳴き声、勘弁だぞ』


リリディ

『最悪だ…』


俺は顔を少し出してカウンターから解放された入り口の先に聞こえる声の主を見た

どう見ても魔物ランクCのコンペールです…こいつは厄介だ

アンデットの仲間を呼びからこそ一番出会いたくないとも言えるよ

大型犬の姿をした灰色の獣、部分的に肉が腐っており、両肩部には人間の様な腕がある


あれは殴ってくるから嫌いだ


《だけどもよ?今しかねぇぞ》


アカツキ

『今しかない?どういうことだテラ』


俺の小さな声にリリディが耳を傾ける


《近くにいるのはあの2体、他は雑魚が遠くにちらほらだ・・・そいつらが来ても気にはならねぇ、だが騒ぎを聞きつけて遠くのアンデットが来るのは何をしようとしても同じさ、今はその時間がある。1分以内で倒せ》


アカツキ

『そんな無茶な…』


《あ?悪い、伝え忘れてたが…侍ゾンビは数百メートル先の声も聴きとる》





















リリディ

『アカツキさん…』


テラ・トーヴァの声に驚きを浮かべながらリリディに顔を向ける

非常に切羽詰まった顔をしている、意味はわかるさ・・・

侍ゾンビの気配が、カウンターの前にいつの間にか来ていたのだからな


その瞬間、俺とリリディの顔の前に刀が振り落とされ、カウンターが両断されてしまう

轟音と共に俺たちは左右に吹き飛び、砂煙が舞う

テラ・トーヴァよ、音に凄く敏感なアンデットならば早めに言ってほしかったよ


『エ・・ヌ…』


侍ゾンビは不気味な呻き声を上げ、刀を構えながら体を揺らす

先ほどの音に気付いたコンペールは顔をこちらに向けると、ガウガウ吠えながら走ってくるのが見える


最悪な状況だ

リリディは悩まず、侍ゾンビの後ろから向かってくるコンペールに向けて手を伸ばすと、黒い魔方陣を発生させて黒弾を撃った

シュツルムだ。


それはコンペールの前の地面にあたると、奴は黒い爆発と共に吹き飛んでいく

時間稼ぎにはちょうどいい、できればぶつけてほしかったけどな


アカツキ

『!?』


突拍子もなく、侍ゾンビが一直線に俺に向かって刀を突きだして襲い掛かる

俺は舌打ちをし、抜刀しながらスレスレでそれを避けてからカウンターで斬ろうと刀を振る

しかしその攻撃は刀を素早く引き戻して振られた侍ゾンビの刀によって弾かれた

ゾンビのくせに力もあるとか聞いてない


アカツキ

『くっ!?』


『エリー…ヌ!』


奴は弱弱しい声を発し、連続で刀を突きだしてくる

それを刀で何度も弾き、耐えるが僅かに奴の方が上手だと知る


リリディが横から突風を発生させてバランスを崩そうとするが、侍ゾンビは俺の刀を弾いてから横から来る突風を刀で斬り裂いた


あり得ぬ芸当に俺とリリディは驚愕を浮かべ、隙を見逃してしまう


『エ・・リ!』


侍ゾンビはその場で剣を振り、真空の斬撃をリリディに飛ばした

俺の居合突と同じ遠距離攻撃である

流石にそれは受け止めることは出来ないと悟ったリリディは飛び退いて避けると、侍ゾンビは素早く俺に顔を向け、懐に入り込んでくる


《流石に早ぇな!》


アカツキ

『人型のCランクとなると結構・・・な!』


刀の振り上げを回転しながら横に移動して避け、回転の勢いで刀で薙ぎ払って攻撃すると、侍ゾンビはしゃがんで避けた

奴の刀が不気味に光り、俺は息を飲む


ふと気になるものを目にする、奴の首にはペンダントがついており、左手の薬指には指輪がついている

それに気を取られ、俺は侍ゾンビの体当たりを直撃してしまい、吹き飛ぶと壁に背中をぶつける


アカツキ

『がはっ!』


一瞬で息が全て口から出ていく

苦しい、僅かに目を閉じた隙に侍ゾンビは刀を前に出し、なんと居合突を放ってくる


俺がよく使う突きの真空を飛ばす技、2種類も技を保有しているとは驚きだ

横に倒れこむように間一髪で避け、俺は立ち上がろうとする


『エリィィィヌゥゥ!』


何を叫んでいる?

俺は気迫に気負され、立ちあがるのが遅れてしまった

正面には刀を振り下ろす侍ゾンビ、これは避けれない…刀でガードするしかない



『ガウガウ!』


リリディ

『くそっ!アカツキさん!』


彼は戻ってきたコンペールの対応に必死だった

あっちは結構善戦しているらしく、コンペールの自慢の腕の一つがだらりと垂れている

こっちは善戦どころか、危なすぎる状況だ


《うっし!間に合った!》


アカツキ

『何が!!』


侍ゾンビの刀が振り落とされたとき、カウンター裏のドアから飛び出してきたのはリュウグウだ

彼女は三連突で侍ゾンビの刀を弾き、続けてドアから出てきたティアマトが奴に向かって襲い掛かる


『おらぁぁぁ連続斬り!』


素早い二連撃の斬撃、しかし侍ゾンビはガードが間に合い、刀でそれを受け止めると地面を滑るようにして数メートル吹き飛んだ


ティア

『ショック!』


ティアも来た、彼女は雷弾をリリディに夢中になっているコンペールに撃ち放ち、一瞬だけ動きを止めるとリリディが笑みを浮かべて木製スタッフをフルスイングする


リリディ

『ありがとう賢者バスター!』


『ギャプランッ!』


コンペールは顔面を振りぬかれ、外に吹き飛んでいく

リリディは奴のあとを追うと、『ティアさんを借ります!』と叫ぶ

するとティアはリリディと共にコンペールを倒す為に外に走っていく


となると…侍ゾンビの相手は


ティアマト

『やりがいあるゾンビじゃねぇかよ』


リュウグウ

『これはどうみても特殊個体だ、普通の侍ゾンビはこんな強くはない』


アカツキ

『…元人間か』


侍ゾンビ、魔物として人型で生まれたわけじゃなく

この個体は人間として魔物になったのだ

だから鳴き声が呻き声とは違うのである


魔物にやられた人間は稀にこういったケースでゾンビ化することもあるのは聞いたことがある

しかし、こいつか…


『アァァァ、エ・・・ヌ』


刀を構える侍ゾンビは口を大きく開き、ギョロリと俺を睨んでくる

魔物Cランクの特殊個体、その力はBに近いというのか…


《時間をかけるな!耐久力はねぇ!一撃与えればあとは直ぐだ!》


アカツキ

『行くぞお前ら!』


ロビー内、俺は高速斬で加速して侍ゾンビに突っ込んだ

すると奴は同じく高速斬で加速したのだ、流石に驚くよ


金属音が響き渡り、俺は打ち負けて吹き飛んでしまう

追撃で侍ゾンビが俺を狙おうとするが、横から来るティアマトの片手斧を避けてからリュウグウの槍の連続の突きを避けることで俺から意識を逸らした


ティアマト

『あらぁぁぁ!』


薙ぎ払うようなティアマトの攻撃も、侍ゾンビは避けながらリュウグウに居合突で真空の突きを飛ばし、近づくのを阻止させる


リュウグウ

『こいつ!器用だな!』


アカツキ

『おまけに反応も速い!』


リュウグウ

『高速斬のドンパチ見りゃわかるわよ!』


彼女はそう口にしながらも侍ゾンビに槍を向け、鋭い突きを何度も放つ

しかしその全ての攻撃は当たる事無く、全てギリギリで避けられていた


アカツキ

『地残鉄!』


俺は刀を振り下ろして地面を斬る

すると縦の斬擊が地面をえぐって侍ゾンビに向けて進んでいく

流石に刀を使って受け止めたりしないようだ


奴はリュウグウの槍を避けてから跳躍して避けた

俺はティアマトの名を叫ぶと、彼は叫びながらも侍ゾンビに飛びかかる


『レー…ヌ』


ティアマト

『これならど…』


彼は両手で片手斧を握りしめ、フルスイングしようと口を開いたが、最後まで言葉を言うことは無かった


侍ゾンビは空中で鞘を前に出し、刀を強く納刀するとそれは起きた


衝撃波が発生し、俺達は何故か体中を浅く切り刻まれながら吹き飛んだ

ロビーに転がり、壁に背中をぶつけてリュウグウが咳こんでいる


リュウグウ

『なんだ、今のは…』


『エレー…ヌゥ』


着地した侍ゾンビは刀を抜くと、両手をブラブラさせる


《やばい技持ってるじゃねぇか!レベル1の威力でよかったな兄弟!2もありゃお前ら終わってたぜ!》


アカツキ

『今の、なんだ?』


俺はみんなと立ち上がり、口を開く

それに答えたのはテラだった


《刀界だ!こいつは特殊個体だからだろうが気をつけろ兄弟!この技あってのこの強さだ!ただては勝てないぜ!あとはそろそろ決めないと不味い!》


理想的には勝てない、か

俺は侍ゾンビが飛ばす居合突を避け、走り出すと叫んだ


アカツキ

『いちかバチかだ!行くぞ!』


ティアマト

『ケッ!やってやらぁ!』


リュウグウ

『避けれない技ならば突っ込めばいいだけよ!』


俺達は次で決める為に、一心不乱に奴に襲いかかった



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