第69話 見捨てられた仏編 1 撤退も策
俺たちはヴェルハルト男爵の情報を頼りに北の森に向かうための準備を1週間かけた
理由としてはリュウグウの怪我の具合の回復を狙ってだ
その間、俺の開闢スキルを使ったのだが、1日1回きりの技スキルだ
今はこんな感じ
アカツキ・ライオット
☆アビリティースキル
スピード強化【Le3】
気配感知 【Le2】
動体視力強化【Le3】
斬撃強化 【Le3】up↑
☆技スキル
龍・開闢 【Le2】
居合突 【Le2】
光速斬 【Le2】up↑
地斬鉄 【Le1】
☆魔法スキル
称号
・・・・・・・・・
リリディ・ルーゼット
☆アビリティースキル
打撃強化【Le3】
気配感知【Le3】
麻痺耐性【Le3】
スピード強化【Le2】
☆技スキル
ドレインタッチ【Le3】up↑
爆打 【Le2】
骨砕き 【Le1】
☆魔法スキル
風・突風 【Le2】
風・カッター 【Le2】
黒・ペイン 【Le1】
黒・シュツルム【Le3】
黒・チェーンデストラクション【Le1】
称号
リトル・クルーガー【黒】
☆称号スキル
毒耐性【Le1】
動体視力強化【Le1】
・・・・・・・・・・・
ティアマト・ウロボリス
☆アビリティースキル
斬撃強化 【Le2】
気配感知 【Le2】
毒耐性 【Le4】
耐久力強化【Le2】
動体視力強化【Le2】up↑
スピード強化【Le1】
☆技スキル
連続斬り【Le3】
真空斬 【Le1】
鬼無双 【Le2】
☆魔法スキル
称号
・・・・・・・・
ティア・ヴァレンタイン
☆アビリティースキル
安眠 【Le1】
気配感知【Le3】
麻痺耐性【Le1】
動体視力強化【Le1】
スピード強化【Le2】
☆技スキル
☆魔法スキル
火・ラビットファイアー【Le3】
雷・ショック【Le4】up↑
木・スリープ【Le2】
風・ケア 【Le1】
称号
パナ・プレイヤー
☆称号スキル
デバフ強化 【Le1】
自然治癒 【Le1】
スピード強化【Le1】
・・・・・・
ブラック・クズリに遭遇したのは驚いたよ
だけどもリリディが突風で僅かな隙を作った際、ティアのショックで一瞬体をビリビリさせているうちに俺が光速斬で前足を斬って転倒させると、リリディが頭を木製スタッフで叩いてから開闢でトドメを刺したよ
かなりスムーズにいったのが驚きだ
次はこうもいかない筈だ、だって小さかった…から
俺が初めて見た時のブラック・クズリはもっと大きかったなぁ
リュウグウにもスキルを提供したよ?グランドパンサーの動体視力スキル強化を2つ!
だからこそ今、カマクラのギルドの2階のテラスで寛いでいる時の彼女は凄い機嫌がよい!
リュウグウ
『私がちょちょいとやってやる、任せろ』
リリディ
『…』
何とも言えないリリディの顔が俺に向けられる
だがしかし、今日から動いていいとギルド内で働く医者が彼女に告げたからってのもあるから更に機嫌が増しているのだろう
丸テーブルを囲み、俺は依頼書を3枚眺める
棘巻トカゲ(D)1体の討伐
グランドパンサー(D)3頭の討伐
コロール(E)2体の討伐
これが一番適度に向かいながら依頼を達成できそうだ
リザードマンは今日はいかないよ、明日にしている
その前に欲しい魔法スキルをティアに渡す予定なんだ
棘巻トカゲが持つシールドという魔法スキルだ
魔力で作る白い盾で敵の攻撃を一度防ぐ代物だけども、レベル1だと凄い脆いらしいね
魔法使いならば自衛に持ってて損はないらしい
リリディは黒魔法で埋まるからパスって言ってた
となるとティアだ
ティア
『にへへ~』
彼女も機嫌がいい
《可愛いからって鼻の下伸ばすな兄弟》
リュウグウ
『変態が…』
なんで2人から言われるんだよ!
天候は最高に太陽がギンギラギンに姿を出し、暑すぎる
既にリリディはグール見たいに干からびた顔を浮かべているけども心配だ
ティアマト
『アンデット種のグールみたいな…いやこの会話前も…したな』
リリディ
『記憶がないです、ツッコム気力もないですよ』
アカツキ
『すぐ顔に出るなぁリリディ』
リリディ
『暑いのですから仕方ないですよ』
リュウグウ
『ゾンビメガネだったか』
リリディ
『今だけです』
そんな会話をした後、俺たちは真っすぐ森に向かった
入り口ですれ違う冒険者達に適度に会釈をする
冒険者となれば挨拶は大事と初期に習うが、基本的には会釈で十分である
仲が良い者ならは声をかけるけどね
《進みやすい道のほうがいいな》
アカツキ
『勿論さ、何か感じるか?』
《今回は魔物が多いな、虫が》
虫かよ
森の中の砂利道を歩いて進み数分、不細工な飛行音を響かせて現れたのはカナブーンが2匹
俺達に気付くと、周りを飛び回る
仲間は落ち着いた顔で『どうする?』といった感じだ
リュウグウ
『任せろ』
やる気満々な彼女は飛び回るカナブーンが近くまでくると、素早く槍を突いて2匹を一気に倒す
地面に落ちたカナブーンから魔石が出てくると、彼女は回収してから赤騎馬ブルドンの背中に乗せているバックに詰め込んだ
ティア
『絶好調だねリュウグウちゃん!』
リュウグウ
『動体視力強化スキルが上がると世界が変わるわね』
リリディ
『良く見えますか』
リュウグウ
『かなりな…ん?どうした』
会話の途中、リリディとティアが奥に目を向ける
その顔は少し真剣だ
誰もが武器を構えて警戒しながら進むと、それは現れた
『ニー!』
パペットハンマー
魔物ランクCのパペット種の魔物である。
人形みたいな姿をし、目はボタン、口はギザギザに糸が並み縫いされているのが特徴だ
その手には大きなピコピコハンマー、当たれば致命的なくらい威力がある
ティア
『Cだよ!』
アカツキ
『隙を作る!リュウグウもこい!』
リュウグウ
『わかってるじゃないか!』
彼女は微笑みながら返事をすると、俺と共に駆け抜けた
パペットハンマーは襲いかかる俺達にタイミングを見計らい、横殴りにハンマーを振ってくる
先ほどもいったが動体視力強化スキルのおかげで奴の攻撃には落ち着いて反応出来る
俺は光速斬で懐に潜り込んで刀でハンマーを持つ右腕を斬ったが皮1枚残ったか
しかし、パペットハンマーは俺を蹴って吹き飛ばすと、その反動を使って後ろに跳躍し、リュウグウの三連突を回避した
意外に痛い、咳き込んでいると俺の横からラビットファイアーが飛んでいった
『ニッ!』
ティア
『わっ!速い!』
パペットハンマーは俊敏にそれを避けながら前にくると、左手にハンマーを持ちかけてから地面に叩きつける
それによって一瞬だけ足場が揺れ、俺とリュウグウはバランスを崩しそうになった
『ニー!』
その隙に奴は一気に俺に向かって飛び込んでくると、ハンマーを振り落とす
潰されたくない一心で真横に飛んで避けると、再び地面が揺れた
あの玩具のような体からどこにそんな力があるのかわけがわからないよ
リリディ
『賢者バスター!』
彼はパペットハンマーに飛び込む
木製スタッフを顔面に当てようと、大きく振りかぶった
しかし、パペットハンマーは皮一枚でつながる右腕を強引に振ってリリディに投げた
おもわず彼は驚きながらそれを避けると、パペットハンマーは間髪入れずにリリディに体当たりを仕掛ける
武器を前に、ガードしても玩具の体からは想像できない力が発動し、リリディは体当たりをされて地面を転がって吹き飛んでしまう
ティアのラビットファイアーを軽々避け、リュウグウの三連突を余裕を持って飛び退いて俺たちから距離をとった
ティアマト
『真空斬!』
ティアマトが片手斧を振る、すると飛ぶ斬撃がパペットハンマーに襲い掛かる
『ニー!』
アカツキ
『行くぞティアマト』
ティアマト
『おお!』
ティア
『私も!』
リュウグウ
『わ…私を忘れるな!』
転がるリリディをよそに、俺たちは真空斬に追従するかのように走り出す
パペットハンマーはティアマトが放った真空斬をハンマーで弾き飛ばし、真上に跳躍した
高い、誰もが高く跳躍したパペットハンマーを見上げる
それは技を放つ時の行動なのかと思い、俺はいつでも逃げれる準備をしたのだが、リュウグウはそれを追いかけた
リュウグウ
『でやぁぁぁぁぁ!』
ティア
『リュウグウちゃん!?』
彼女は跳躍し、槍を力強く握ってパペットハンマーを貫かんとしていた
『ニー!!!』
やはり奴は技を放つ気でいる
ハンマーは僅かに発光し、嫌な予感を俺たちに感じさせていた
リュウグウは既に空中であり、あの状態から避けるなど不可能だ
せめてパペットハンマーの技を阻止しないといけないと考えた瞬間、俺たちの後方から円状の風の刃が回転しながら空中にいるパペットハンマーの脇腹を斬り裂いた
振り返ると、そこにはうつ伏せの状態のまま腕を上空にいるパペットハンマーに伸ばしていたのだ
ティアマト
『ナイスだ!』
ティア
『流石!』
リリディ
『ふっ!』
いいタイミングで撃ってくれたよお前は!
するとリュウグウはニヤリと笑みを浮かべ、槍に魔力を込めると発光し始め、叫ぶ
リュウグウ
『三連突!!』
彼女の素早く3連続の突きがパペットハンマーの胴体を貫いた
『ニーッ!!』
リュウグウは槍でパペットハンマーを貫いたまま、地面に投げて叩きつけた
案外軽かったようだ
それでもパペットハンマーはまだ生きており、俺たちが迫るとすぐに立ち上がってからハンマーで地面を叩いて軽い衝撃波を発生させて俺達の足を止める
小石や砂がたくさん飛んでくる、たまらんと思いながら薄目を開けて見るとパペットハンマーは低い姿勢から俺たちの正面まで迫っており、ハンマーを叩きつけようとしている
不思議な筋力を持ち、素早い動きをする魔物に俺は驚きながらも仲間たちと共にそれを避ける
リリディがパペットハンマーの背後から木製スタッフをフルスイングすると、それは見事に命中して空中に跳んだ
体重は軽い魔物で助かった。
空中に吹き飛ばされたパペットハンマーは抵抗などできるはずもなく、着地の準備をするために体をくるりを回転させるが、地面に顔を向けた時にはティアのラビットファイアーが飛んでいた
ティア
『当たれ~!』
避けれるはずはない
『ニィィィィ!』と甲高い鳴き声を上げて驚くと、ラビットファイアーはパペットハンマーの胴体に命中し、激しく燃え広がる
地面に落ちるときには着地ではない、ドサッと普通に落ちてきた
誰もが死んだかどうかまだわからずに武器を構えながら燃えているパペットハンマーを警戒する
まだ気配はする、だが弱い
リュウグウ
『ナイスだったぞメガネ』
リリディ
『フフン』
褒められるリリディは嬉しそうだ
正直、俺もちょっと嬉しい
パペットハンマーは魔物ランクCだからな、危なげなく?倒せたのは良い事だ
《悪いけどな兄弟…玩具はCランクでも下位だ、クズリの大きい個体なら今のお前らでもかなり苦戦すっぞ?前より強くてもな》
アカツキ
『Cで強いのってなんだ?』
《ブラック・クズリさ兄弟、とりあえず目が赤い野郎は完成されたクズリだから気をつけろよ?》
気を付けるよ…
玩具種のパペットハンマーはよく燃える、火が高くまで昇っているけどもリリディは暑そうにしながらそこから離れる、嫌らしい
火が静まっていくと気配も消え、火の中から光る魔石が現れた
リュウグウ
『光っていてわかりやすいな』
ティア
『そうだね、火が消えたら…え?』
リリディ
『はっ?』
ティアマト
『光ってるぅ?』
俺たちは驚きながら火の中で光る魔石を凝視、しかし火が消えない
スキル付き!どうするよ…
リリディ
『頼みましたよ!ティアマトさん』
ティアマト
『なんで俺なんだよ!くっそぉぉぉ秘儀!素早く伸ばして素早く抜く!』
《だっせぇ》
ティアマトは火傷をした。
軽度の火傷だったからティアがケアで完全に治せたから大丈夫そうだが、ティアマトは少し機嫌が悪そうだ
打撃系の技スキルと思いきや、それはスピード強化だ
リュウグウ
『熊の攻撃も当てなければ意味がない、熊で良いと思う』
アカツキ
『そうだな、ティアマトに渡すべきだなこれ』
ティアマト
『熊言うな熊っ!』
まぁそういいながらもスキルを吸収し終えた彼は機嫌が戻る
ティアマト・ウロボリス
☆アビリティースキル
斬撃強化 【Le2】
気配感知 【Le2】
毒耐性 【Le4】
耐久力強化【Le2】
動体視力強化【Le2】
スピード強化【Le2】up↑
☆技スキル
連続斬り【Le3】
真空斬 【Le1】
鬼無双 【Le2】
☆魔法スキル
称号
・・・・・・・・
ティアマト
『ヘッ…まぁ良い感じになってきてるだろ』
見る限りは一人前に見える、他の冒険者はどうなのかは正直わからないけどね
それでも強敵相手でも十分に戦えそうではある
ティアとリリディは称号持ちの為、俺とティアマトは早く称号を手に入れるべきだと思うけど、俺はどうなるかはわからない
小休憩をしていると、ふとテラ・トーヴァが声をかけてきた
《お前はなれるさ、慌てなくてもいい…》
アカツキ
『ソードランナー?ナイト?』
《誰も知らない称号さ、時期にわかる…俺は寝るぜ兄弟。敵が来てるから気をつけろ…背後からだ》
意地悪だなと思いながらも背後に振り返る
ここは川辺、背後は森だけどもまだ何も感じない
アカツキ
『魔物の気配は?』
リリディ
『何も感じませんが…あぁなるほど』
リリディは悟ったらしく、怠そうな顔を浮かべながら『どっこいしょ』とか口にして立ち上がる
その言葉にティアはクスクスと顔を隠して笑っているのが見えるよ
リュウグウ
『しかしだ、お前らのステータスならCは安定しそうに見えるけど』
ティアマト
『場数不足だ、Cって正直まだわからねぇ点が多い』
彼は片手斧をお手玉のように両手で器用にキャッチしながら口を開いた
まだCとそんなに戦ってはいないからな
にしてもだ…Cと戦えるようになったのは素直に嬉しいよ
リリディとティアが気配を感知すると武器を構える
何が来るのだろうと期待していると、嫌な羽音が聞こえてくる
誰もがその音に顔を見合わせ、嫌そうな顔を浮かべると、それは森の中から飛んできたのだ
棘蜂というEランクの虫種の蜂だ、しかも数が多い
リュウグウ
『剣蜂も交じってるぞ!』
パット見で10匹の棘蜂の中にランクCの剣蜂が3匹交じっているけども、こいつは単体ではDランクなんだけども集団だとCにまで上がる変わった蜂さんだ
棘蜂は体中に小さなトゲトゲがついたスズメバチみたいな感じであり、サイズは30センチ程
剣蜂は腹の先に刃がついており、サイズは棘蜂より僅かに大きい
それが問答無用で俺たちに襲い掛かってきた
アカツキ
『各個撃破だ!』
俺の掛け声で皆が休憩を止め、現れた蜂の集団に走り出す
重低音ともいえる羽音が耳障りだ
高速斬で加速し、戦闘の棘蜂を両断してから目の前に迫る剣蜂の刃を顔をずらして避ける
近くの棘蜂はティアのラビットファイアーに触れてしまい、燃えながら地面に落ちていく光景を目にする
『でやぁぁぁ!』
俺は蜂の突進攻撃を避けつつも刀で斬り倒す
リュウグウは槍の素早い突きでバタバタと蜂を地面に沈めていく、見ていて爽快だ
ティア
『おっと!』
ティアが剣蜂に刺されそうになるけども素早くしゃがんで回避すると、横から飛んでくる棘蜂をサバイバルナイフを突き刺す
俺は光速斬でティアの近くに行くと、彼女の背後の棘蜂を切り裂いた
ティア
『いけるね!』
アカツキ
『そうだが無理するなよ』
ティア
『うん!』
その間、リリディはスタッフで棘蜂を吹き飛ばし、ティアマトは片手斧と拳を使って魔物をどんどん地面に叩き落としていく
リュウグウ
『蜂程度!私がぁ!』
一番士気が高いのは彼女だろう
剣蜂に槍を突き刺すと、刺したまま近くの棘蜂に槍を当てて叩き落とす
俺は背後をティアに任せ、正面の棘蜂に刀を突き刺して倒すと、いつの間にか蜂は全滅していたよ
しかも赤騎馬ブルトンの前にも棘蜂が1匹潰れているけども、お前か?
『ブルルッ!』
ティア
『えらい!ブルドンちゃん!』
凄いな…この前はコロールを後ろ脚の蹴りだけで一撃で倒してたんだったな
周りを見渡せば魔石を体から出した蜂で沢山だ
少し汗をかいてしまい、俺は一息つくとその場に座り込む
その間にリリディが魔石を回収し、ブルドンの背中のカバンに魔石を入れる
ブルドンは近寄るティアに気が付くと、顔をすりすりし始める
羨ましいとか俺は一切思ってない、絶対だ…うむ
アカツキ
『いいなぁ』
リュウグウ
『何がだ?』
アカツキ
『ふぁっ!?』
振り向くと、近くでリュウグウが凄い剣幕で俺を見ている
汚いものを見る目…初めてじゃない
俺はあえて目を逸らし、口笛を吹いて誤魔化すことにしたよ
リュウグウ
『はぁ…まぁいい、リザードマンだが詳細はお前ら熟読したのか?』
彼女は近くの木に背中を預け、口を開いた
魔物の本では一応基本的な情報は読んだつもりだけどね
魔物Cランクの2足歩行の灰色のトカゲであり、背中から尻尾にかけて鋭い棘がびっしりついている
武器は片手剣、身長は2メートル
リリディ
『かなり頑丈な魔物と聞いてます、斬撃はあまり効かないらしいですよ』
リュウグウ
『私の突きが有効だ、任せろ』
アカツキ
『トドメは俺だからな?』
リュウグウ
『わかっている』
リザードマンの技を3回使わせるという面倒な条件を達成してから倒せば技スキルだ
ティアマト用だけども今日は倒しにはいかない、ティアのシールドを手に入れるために来たのだからな
そして今日は運が良い
話し込んでいると、ふと魔物が川辺に現れて俺たちを無視して水を飲み始める
どうみても棘巻トカゲ、しかも全長は1メートルと適度に倒しやすいサイズだ
俺がどうするか考える前に、目的の魔物だとわかったティアマトとリリディはいきなり動き出す
ティアマト
『オォォォケェェェェイ!』
リリディ
『初撃はお任せを!』
アカツキ
『お、お前ら!?』
ティア
『あはは!いこ、アカツキ君!』
はぁ…仕方がない
『ギョッ!?』
変わった鳴き声を出し、こちらに振り向く棘巻トカゲは首周りの棘を広げて威嚇し始める
だがそれだけじゃおバカ2人は止まらない
無駄だと知った棘巻トカゲはリリディが振るスタッフを見てから体の正面に魔力で作った白い盾を発生させる
するとリリディの打撃は盾によって防がれてしまう
だがしかし、シールドは直ぐに大破
棘巻トカゲの姿を捉えたティアマトは不気味な笑みを浮かべ、棘巻トカゲの顔面を強引に掴むとこちらに顔を向けた
『ボール遊びだこらぁぁぁ!』
『ギョーーー!』
熊の握力に抵抗する魔物も可哀想だが、仕方がない
俺はティアマトが此方に棘巻トカゲを投げてくるのをタイミング良く刀を納刀し、開闢を発動させる
黒い煙が鞘から溢れると、中から仮面貴紙が飛び出して棘巻トカゲを真っ二つに斬り裂いた
それと同時に発光する魔石が魔物の体から現れるとティアは目を輝かせながら素早く地面に落ちた魔石に近寄る
ティア
『シールド!シールド!』
アカツキ
『お前のだ』
ティア
『やた!』
彼女は嬉しそうに発光した魔石を掴み、光を体に吸収していく
その様子を俺はニコニコしながら見ていると、奥にいるリリディの顔色が変わる
何かいるのかと思い、俺は消えていく仮面騎士に軽く手を上げてアクションを見せる
すると仮面騎士はリリディが見ている方向を指差し、口を開いた
『逃げろ、リザードマン3体は流石の兄弟でも無理だ』
その言葉に誰もが驚愕を浮かべた
ティアはスキルを吸収し終えると真剣な顔となる
魔物Cランクが3体、無理に決まってるよ
ブルドンですらかなり興奮している
逃げるべきだ
ティアマト
『チッ!2体なら…』
リリディ
『行きましょう!黙視されるわけにはいきません!』
アカツキ
『みんな走れ!』
時には逃げる!確かに2体ならばいけそうだけども、苦戦を強いられるのは明らかだ
俺達はひたすら森を走り、距離をとることにした
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