第65話 貴族交流編 1 出会いと邪魔

魔物表


A闘獣 金欲のアヴァロン(妖魔羊)、睡欲のモグラント(土駆龍)



B 将軍猪、閻魔蠍、鬼ヒヨケ、女帝蜂


C ブラック・クズリ、トロール、ファングマン、侍ゾンビ

  パペット・ハンマー、リザードマン、鉄鳥、マグマント

  剣蜂、キラービー(単体D/集団のみC)、般若蠍、ベロヌェルカ


D キングゴブリン、グランドパンサー、ゴーレム、ラフレコドラ、ケサラン

  ソード・マンティス、黒猪、グレイバット、鎧蛇、棘巻トカゲ

  リッパー、ゲロックロ


E コロール、エアウルフ、ハイゴブリン、エレメンタル各種

  パペットナイト。ボロゴーレム、棘蜂、グール、グリーンマンティス

  ゲコ(ヤモリ)、闇蠍、格闘猿(エド国)


F ゴブリン、ディノスライム、格闘猿、ゾンビナイト、風鳥

  ゴースト、ウッドマン、ビリビリフラワー、眠花蜘蛛

角鼠、カナブーン ゾンビナイト、赤猪、棘鴉、オオダンゴ


・・・・・・・・・・・






俺達は1週間かけて森で魔物と戦ってステータスをある程度向上させることが出来た

ジェスタードさんは1週間前の豪雨の次の日には用事があると告げ、どこかに去っていった



まぁステータスはこんな感じだ

・・・・・・


アカツキ・ライオット


☆アビリティースキル

スピード強化【Le3】

気配感知  【Le2】

動体視力強化【Le3】up↑

斬撃強化  【Le2】


☆技スキル

龍・開闢  【Le2】

居合突   【Le2】

光速斬   【Le1】

地斬鉄   【Le1】


☆魔法スキル


称号

・・・・・・・・・

リリディ・ルーゼット


☆アビリティースキル

打撃強化【Le3】

気配感知【Le3】

麻痺耐性【Le3】

スピード強化【Le2】


☆技スキル

ドレインタッチ【Le2】

爆打  【Le2】up↑

骨砕き 【Le1】


☆魔法スキル

風・突風   【Le2】

風・カッター 【Le2】

黒・ペイン  【Le1】

黒・シュツルム【Le3】

黒・チェーンデストラクション【Le1】


称号

リトル・クルーガー【黒】


☆称号スキル

毒耐性【Le1】

動体視力強化【Le1】


・・・・・・・・・・・

ティアマト・ウロボリス


☆アビリティースキル

斬撃強化 【Le2】 

気配感知 【Le2】

毒耐性  【Le4】

動体視力強化【Le1】New

スピード強化【Le1】



☆技スキル

連続斬り【Le3】

鬼無双 【Le2】

真空斬 【Le1】


☆魔法スキル


称号

・・・・・・・・

ティア・ヴァレンタイン


☆アビリティースキル

安眠  【Le1】

気配感知【Le3】

麻痺耐性【Le1】

動体視力強化【Le1】New

スピード強化【Le2】


☆技スキル


☆魔法スキル

火・ラビットファイアー【Le3】

雷・ショック【Le3】up↑

木・スリープ【Le2】

風・ケア  【Le1】


称号

パナ・プレイヤー


☆称号スキル

デバフ強化 【Le1】

自然治癒  【Le1】

スピード強化【Le1】

・・・・・・




なかなかだ

カマクラの冒険者ギルド2階のテラスにて曇り空など気にせずに俺達は椅子に座り、周りを気にしながらステータスを確認した

しかし頑なにリュウグウは見せてくれないのが少し残念だけどな


一番面倒なのは羅生門という冒険者チームが俺達の座る丸テーブルの隣にいるということだ

彼らは遠征でカマクラに来たらしいが変に目をつけられたくはないな


冒険者チーム『羅生門』(Dランク)

ガーランド・ヴィルムット 片手剣士

ミシェル・ロドリー    片手剣士

ノース・カミール     鉄鞭師

キャルミラ・ハーレン   魔法使い


これが彼らの詳細だ


ガーランド

『そろそろ俺達もCランクにいけそうだな』


ノース

『確かにもう少しで資格を得れるけども、もう少しD相手に戦った方がよく無いか?たまに危なくなるし』


ガーランド

『何言ってるんだノース、万全ならばDなんて目じゃないだろ』


まぁ確かに万全で適度な魔物と戦うのは安心できるが、そこまで良い状況ができないのが冒険者だ。


まぁしかしだ、他人に何かをいうよりは俺達は俺達のするべきことをした方が良いな

今日はまだ昼前、俺達は今日を休みにしようとしていたんだけども上手く予定は進まない


俺達の元に貴族風な男が貴族騎士2名を後ろに引き連れて歩いてくると、ティアは首を傾げる

テラスにいた冒険者の誰もが貴族が何故ここに?といった顔つきでその者を見ている


ヴェルハルド男爵

『私はヴェルハルド男爵と言います、貴方達がイディオットでしょうか』


振舞いがまんま貴族だ

俺達を知っている?何故だと思いながらも失礼の内容に立ち上がろうとしたら、ヴェルハルド男爵は腕を伸ばし、そのままで良いと告げてくれた


アカツキ

『貴族の人が何故』


ヴェルハルド男爵

『指定依頼ですよ。私の知り合いが君達なら大丈夫だろうと話してくれたんです』


ティア

『知り合い…ですか?』


ヴェルハルド男爵

『詮索は無用、匿名にしたいらしいですので』


リュウグウ

『貴族が依頼とは相当困っているということか』


リリディ

『リュウグウさん、貴族にそれは不敬になるので止めた方が…』


リュウグウはアッとした顔を見せると、体を小さくする

だがヴェルハルド男爵は笑っているから大丈夫そうだ


ヴェルハルド男爵

『貴族でも難しい話は私も嫌いなので簡潔に話します、報酬は金貨30枚…トロールの鉄鞭を3つ欲しいのです。』


アカツキ

『30枚…。鉄鞭3つだけにしては多すぎると思いますが』


ヴェルハルド男爵

『原価より大事なのは遂行するという意味です。それはいいとして…トロールの鉄鞭は特殊な鉱石で出来ているのですが、それを我が貴族騎士に武装強化として鍛冶屋に依頼したのです。今その鉱石が不足していて無いと言われましてね…自力で鉱石を入手しないといけません、魔物ランクC…君達ならばできると知り合いが話してくれてね…』


ティアマト

『要するに森でトロールを3体倒して鉄鞭を納品、んで報酬を貰えるって事か』


ヴェルハルド男爵

『わかりがよくでいいですねぇ。ここから近くの森に丁度トロールの目撃情報を私は聞きましたのですが数はわかりません…3日以内で遂行してください。これを渡しておきます』


彼は懐からカードの様な物を出すと、それを俺に渡してきた

よく見てみるとそれは名刺だが普通の名刺じゃない

綺麗な達筆で書かれた特殊な素材でできた紙のように思える


ヴェルハルド男爵

『私は期待しながら館で優雅に最高級のアイスティーを飲んで吉報を待っておきますよ』


ニコニコしながら彼は連れて来ていた2名の貴族騎士と共に俺達に背を向けるとテラスを後にする

全員で渡された名刺をマジマジと見てみるが、なんで渡したのだろうか…


リリディ

『何かあった時に使えという事でしょうか』


リュウグウ

『貴族か…小説で読んだ印象よりかは悪くはないな』


ティア

『リュウグウちゃん何を言ってるの?』


リュウグウ

『ななな何でもない!こっちの話よ』


ティアマト

『こりゃ面白ぇことになったがどうするとアカツキ』


アカツキ

『ここから森までは馬車で30分ほどだがお前らはどうしたい』


質問を質問で返す

すると彼らはやる気がある顔を俺に見せ、頷いた


ティア

『今日は休めないね!』


その通りだ

俺達はさっそく森に出かけようと立ち上がる

だけどもそこで隣の丸テーブルにいたアレが声をかけてきたのだ


ガーランド

『その依頼、俺達に譲らないかい』


アカツキ

『よし、みんな真っすぐ行くぞ』


ティア

『うん!』


ティアマト

『よっしゃ!トロールと張り合えるとはな!』


ガーランド

『お…おい!?』


俺はあえて無視すると仲間も空気を読んだ

会話してもなんだか通じる気配がしない奴だと思ったからな

それが後々になって仇にならなければいいけど…





馬のブルドンを連れて俺達は近くの森に辿り着く

雲色は怪しい…今日は降らないと宿員は心配そうに言っていたが、心配そうに言ってほしくは無かったな

保険みたいな感じで『小雨は降るかも?』だってさ


勘弁してくれ…


全員のやる気はいつも以上にあり、森に入ると直ぐにゴブリン3体と鉢合わせになる


『ギャギャギャ!』


『ギャピー!』


『ギャー!』


ティアマト

『ケッ!しゃらくせぇ!』


ティアマトが先陣を切って走る

先頭のゴブリンが右腕に持つ錆びた短剣を振ろうとしたが、それよりも先にティアマトが奴の正面に辿り着き、左手でゴブリンの腕を掴むとそいつを後方に投げ、近くのゴブリンを蹴って吹き飛ばす


こちらに飛んでくるゴブリンはリュウグウが空中で素早く槍を刺して倒してくれたよ


リリディ

『賢者バスター!』


『ガッペ!!』


ティアマトが転倒させたゴブリンは立ち上がる前にリリディに頭部を殴られて地面に沈む

奥では3体目のゴブリンがティアマトに首を刎ねられて前のめりに倒れているのを俺は視界に捉えた


《良い感じだな兄弟》


『そうだな、気配はどうだ』


《トロールはいるなぁ。そのまま真っすぐ進め》


俺は魔石を3つ回収し、ブルドンの背中の荷物に入れる

次なる敵はまたもやゴブリン3体だったがティアとリュウグウが倒した


森の中を歩くと地面が濡れていて何度も滑りそうになる

ティアは何故か俺の腕を掴んで隣を歩いているけども少し恥ずかしい

それをリュウグウが目を細めて見ている…何も俺はしていない!


リリディ

『順調に進んでますが強めの気配は感じないですね』


アカツキ

『真っすぐ行こう』


リリディ

『そうしますか』


アカツキ

『みんな休憩は大丈夫か?』


ティア

『私大丈夫』


リュウグウ

『まだいける、そのまま行こう』


仲間が大丈夫ならいいか

俺も早く戦いたい、何故なら動体視力強化スキルのレベルが3そしてスピードが3もある

これが先頭でどう影響するか早く知りたいのだ


木の上に止まっているリスを眺めながら森の奥へと進み、急勾配な場所に来た

歩くと何度も滑りそうになるから気を付けて登るのが非常に疲れる


上まで行ったら一先ず小休憩で昼食をとる事にし、俺達は一心不乱に坂道を登った


『ヒヒン』


ティア

『ブルドンちゃんはいいなぁ、楽そう』


馬は普通に登れるのか…背中に乗せてほしいなぁ

そして鳥の鳴き声がうるさい、というか汚い…

ゲェゲェとかお前ら鳴く気あるのかと言いたくなるよ


《兄弟、近くに同業者の気配だ》


『なんだ急に、いつものことじゃないか』


《まぁあれだ、上に言ったら休め》


『そうするけどなんで教えた?』


《そのうちわかるさ兄弟》


なんだよもう

上まで向かうと比較的開けた場所についた

しかも岩場があり、ちょっとした湧き水が湧き出る池が出来ている


誰もがその岩を椅子代わりに腰を下ろし、ブルドンの背中の荷物から昼食のつもりで買ったオニギリをみんなで頬張る

汗をかいた後の飯は上手い、ついでに水筒には氷を買って入れているので冷たい


夏じゃなければこんなに汗は出ないんだけどな

リリディは死んだような顔をしながらオニギリを食べているけども暑さが苦手なんだよなこいつ


リリディ

『お爺さんが見える』


ティアマト

『おいおい死ぬなよおめぇ』


弱々しいリリディの声に、ティアが笑っている

だが暑いのは確かだ

しかもジメジメしていて装備の着心地が多少悪く感じる


池に視線を向けてみると、底まで綺麗に透き通っていて魚が泳いでるのが見える

深さは1メートル位…か


《兄弟、急勾配を登る同業者だぜ》


『さっきいってた冒険者か?』


《まぁそうだが…お前が苦手な野郎だぞ?話しかけられても刺激すんなよ?あぁいった野郎は面倒なプライド持ってやがる》


『なんだか予想できた』


俺は深く溜め息を漏らす

そんな様子にティアはどうしたのか声をかけてくると同時に面倒だと思える同業者が急勾配を登って俺たちに姿を見せた


ガーランド

『テラスにいた冒険者じゃないか』


羅生門の冒険者達、ガーランドが口を開いた

嘘つけ、と俺は心の中で思った

テラの話じゃまるでついてきたようなルートじゃないか


リリディは更に怠そうな顔を浮かべた


アカツキ

『やぁ…、何か用でもあるのか』


彼はニヤニヤしながら俺の隣に歩いてくる

ガーランドの仲間達は疲れた様子でその場にしゃがんで体を休め始めた


ガーランド

『さっきは急いでいて聞こえなかったようだけどさ、その依頼譲ってくれないかな?』


アカツキ

『それは無理だ、なんでやりだがる』


ガーランド

『貴族の依頼だぜ?しかも金貨20枚だ…』


リュウグウ

『金か』


ガーランド

『金を稼ぐことに悪い意味はないだろ?』


まぁ確かにそうかもな

リュウグウの顔が明らかにガーランドを嫌うような雰囲気を出しているのが凄いわかるよ

顔に出し過ぎ


ノース

『でもガーランド…、指定依頼だぞ?』


ガーランド

『大丈夫大丈夫』


アカツキ

『悪いがどんなに頼まれても譲れない、頼まれたのは俺たちだし金が魅力的だから譲ってほしいと聞くと尚更渡せない』


予想通りガーランドは苦虫を噛み潰したような顔を浮かべた

自信の思うようにいかないと直ぐ顔に出るタイプであり、格下だと知れば鬼の首を取ったかの勢いで攻め立てる男だろうよ


人とつるんでるとたまにいるさ、学校とかにもいたから大人の世界にもきっと不特定多数は存在するだろう


ガーランドは舌打ちをすると先程の笑顔とはうって変わり、汚いものを見る目て口を開く


ガーランド

『お前らも金じゃないか、変わりにやってやるっていってるんだぞ』


面倒だ

金に眩んだのは認めよう

だけどもこいつが思ってる以上にこの依頼は重い

貴族の指定依頼は信頼するからこそ冒険者に頼む


絶対に失敗は出来ない

3日以内に3本のトロールが使う鉄鞭を納品しないと駄目なのだ


ミシェル

『ねぇガーランド、彼らの依頼よ?普通に稼げばいいじゃない』


ガーランド

『チッ』


また舌打ちだ

俺は何故か自分達のランクを口にはしなかった

面倒な状況で忘れていたのだ、こいつらは格上には何も言わないと


こいつら?いや違うな

見るからにガーランドの仲間は普通だ

ガーランドが黙る筈だ


アカツキ

『すまないな』


ガーランド

『空気の読めない野郎だ』


お前が言うのかよと心の中で叫ぶ

つまらなそうな顔を浮かべたガーランドはそのまま森の奥に歩いてくるいくと、仲間は慌てて立ち上がって彼を追いかけていく


ノース

『すまねぇなあんたら!許してくれ』


アカツキ

『大変だな』


ノース

『あれでも良いとこあるんだよ、今回はいいもん食って忘れてくれ』


そう良いながらガーランドの仲間であるノースは走っていく

やっぱり仲間は普通だ


リリディ

『ガーランドさんに軽く目をつけられましたねぇ』


アカツキ

『勘弁だ』


ティア

『凄い自信家なんだねあの人』


ティアマト

『まだゼルディムの方がマシだ』


リュウグウ

『なんだか懐かしい名前だな』


アカツキ

『リュウグウ…故人じゃないぞ?』


リリディとティアマトが笑う

すると馬のブルドンはしきりに俺たちの登ってきた急勾配を気にし始める

食べ終わった俺は立ち上がってから坂を見下ろしてみると遠くからグランドパンサー2頭が匂いにつられて歩いてきたのだ


直ぐにティアとリリディの気配関知にもそれが届く


アカツキ

『グランドパンサー2頭だ、俺と誰か1人頼む』


リュウグウ

『私が行こう』


珍しいな

俺は驚いた顔を浮かべると『なんだ?』と彼女が言う


『いや、何でもない…片方頼む』


『まぁいいわ、登ってきた所を狙うのだろう?』


『それでいい。皆は休んでいてくれ』


ティア

『一応直ぐに動けるようにはしとくね』


アカツキ

『頼む』


俺は刀を抜かず、鞘に納めたまま下り坂の前でリュウグウと共に身構えた

おにぎりの匂いでついてきていたか…嗅覚は流石だな


『グルルル』


登ってきて早々と激しく威嚇してきておる


アカツキ

『悪いがもうおにぎりはないぞ』


『グルァァァ!』


一言発した瞬間に襲いかかって来やがった


リュウグウ

『食べ物はおにぎり意外にもあるだろ!』


アカツキ

『だったな!』


腰を低く身構え、いつ飛び込んでくるか俺は見定めた

するとグランドパンサーはそのまま真っ直ぐ走ってくると、目の前で飛び込んだ


見える、爪じゃなくて噛みつこうとしている

しかも首を狙ってるだろうな

俺は横に僅かに体をずらしながら素早き抜刀し、グランドパンサーの体の側面を斬り裂いた


甲高い鳴き声と共に血しぶきが飛び、そのまま地面を転がるのを見届ける

以前より見える、流石は動体視力強化スキルだ


このスキルは役に立つなぁ


リュウグウ

『はぁ!』


『キャイン!』


リュウグウも正面から飛びかかってきたグランドパンサーを転倒しながらも口に槍を突っ込んで貫通させた

どちらも一撃だ、俺達は強くなったと実感するには丁度良い相手だな


リュウグウは立ち上がると槍を抜き、一息ついた


アカツキ

『大丈夫そうだな』


リュウグウ

『問題ない…、動体視力強化とはいいものだな』


アカツキ

『だろ?そろそろ俺のチームに移籍しないか』


リュウグウ

『その話は今は関係ないだろう』


駄目か…


俺達はそのまま森の奥に進むと、水が流れる音が聞こえてくる

川だと思われるが、そこならお目当ての魔物も水を求めてくるだろうと皆で話しながら音のする方へと向かっていった


《丁度いい相手がいるな》


アカツキ

『相手?』


そこは川だ、それにしても大きな川だなぁ

遥か奥に滝があるのが見える、しかも高い…ざっと50mほどの滝が奥に見えるのだ

んで川の近くにはゴブリン6体にハイゴブリン2体そしてキングゴブリンが1体と大所帯である

流石に苦笑いを顔に浮かべたくなる数


『ギャギャ?』


『ゴル?』


ゴブリン達は水を飲んだり魚を取っている最中だった

そこに俺達が現れたのでちょっと驚いている


ティアマト

『面倒な数だな』


リュウグウ

『熊に出会った時は静かに後退りしてその場を離れればしのげると聞くぞ』


ティア

『ティアちゃんどうみても熊とゴブリン違うよ』


リュウグウ

『獣は全部同じじゃない?』


『『『ギャギャギャ!!』』』


ゴブリン達が一斉に興奮し始めると、近くに置いていた錆びた短剣や片手剣を手に持ってこちらに走ってくる

凄い顔でリュウグウを見るティアだが、リュウグウは顔を赤くしながら咳ばらいをすると口を開いた


リュウグウ

『訂正するわよ…』


アカツキ

『みんな頼むぞ!』


俺は声をかけてから刀を抜いて飛び出す

ここは砂利が多いから足を取られることは無さそうだな


《兄弟、奥のキング狙うぞ!邪魔な奴だけ斬って進め》


『わかってる!』


俺は正面のゴブリンのが突き出してくる短剣を避けながら脇腹を斬り、高速斬でハイゴブリンの右腕を吹き飛ばして先に進む


ティアマト

『あっ!あいつずりぃ!』


リリディ

『そんな事言ってないで周りの魔物倒してください!』


ティアマト

『しゃあねぇな!』


ティア

『えい!』


『ギャ!』


仲間は大丈夫だ

問題は俺だな

ゴブリンの密集地を抜け、後方のキングゴブリンまで迫る

奴は細長い鉄鞭を掲げて走ってくるが、流石に細い鉄鞭だとしても刀で受け止めれば刃こぼれはするだろうから武器で受け止めないようにしないとな


魔物ランクDのキングゴブリンは筋力はCにも匹敵すると言われる魔物

だが動きがその分遅いのだから俺にとっていい相手だよ


『ゴブブブ!!』


奴は横殴りに鉄鞭を振ってくる

だがそれは遅い


『遅い!』


跳躍し、キングゴブリンの頭上から顔面を蹴って転倒させると同時に蹴った反動で空中で宙返りをしてから着地と同時に地面を刀で斬りつけながら地斬鉄を繰り出した

地面を移動する縦の斬撃が一直線にキングゴブリンへと襲い掛かる


『ゴブ…』


頭を抑えて上体を起こし、俺の技が迫っている事に気付いても遅いぞ

間に合わないと悟ったキングゴブリンは鉄鞭でガードしようとしゃがんだまま地斬鉄を受け止めた

だがしかし、やはり錆びた武器であるため、奴の鉄鞭は砕け散り、体を深く斬り裂いた


まだ死なないのは知っている、ガードして技の威力を減少させているから致命傷なだけ

トドメを刺す為に俺は高速斬で駆け抜けると、そのままフラフラと立ち上がるキングゴブリンの首を刎ね飛ばした


《兄弟、後ろ!》


『!?』


俺は直ぐに振り向き、短剣を突き出してきたゴブリンの短剣を刀で弾き飛ばして仰け反らせると、回転しながら胴体を斬って倒した


ティア

『ラビットファイアー』


『『『ギャギャギャー!』』』


彼女の小さな熱光線が5本撃ち放たれるとそれらはゴブリンに命中し、燃え始めていた

仲間達も良い感じに敵をドンドン倒している

ティアマトなんてゴブリンの腕を掴んでからハイゴブリンに投げ飛ばしてぶつけている


リュウグウ

『三連突!』


『ギャップ!!』


素早い槍の突きが3回、ゴブリンの急所を貫く

倒し終えると近くのゴブリンを槍で叩いて転倒させ、最後に槍で急所を刺してトドメを刺す


結構な数だと思ったが、意外といけるもんだな


《ゴブリンだからこのくらいで出来てもらわないと困るぜ兄弟》


『わかっている…ん?』


『ヒヒン!』


『ギャビ!』


馬のブルドン、後ろ脚の蹴りでゴブリンを玉砕

流石赤騎馬と言われている強い馬だ

戦闘は直ぐに終わった


周りには無残にも倒れるゴブリン達が転がっており、ハイゴブリンはうつ伏せの状態で川に顔を沈めて息絶えている

彼は可哀そうだったな、リリディの撲殺で頭部を何度も殴られていたしさ


どうみてもお前は魔法使いじゃない、殺人鬼みたいに見えるぞ


ティア

『1つ魔石光ってるー!』


『『『!?』』』


皆で一斉にゴブリンの近くで発光している魔石に近付いた

手を伸ばして確認してみるとそれは気配感知だ

まぁリュウグウに差し上げるか


リュウグウ

『わかる男だなアカツキ!お前はティアに1回だけ変態できることを許可しよう』


アカツキ

『おい』


ティア

『あはは…』


俺を見て苦笑いを見せないでくれティア

俺が一番どうしていいかわからないんだからな

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