第54話 勘づかれていた

アカツキ・ライオット


☆アビリティースキル

スピード強化【Le3】

気配感知  【Le2】

動体視力強化【Le2】

斬撃強化  【Le1】


☆技スキル

龍・開闢  【Le2】

居合突   【Le2】

光速斬   【Le1】

地斬鉄   【Le1】


☆魔法スキル


称号

・・・・・・

ティア・ヴァレンタイン


☆アビリティースキル

安眠  【Le1】

気配感知【Le3】

麻痺耐性【Le1】

スピード強化【Le2】


☆技スキル


☆魔法スキル

火・ラビットファイアー【Le3】

雷・ショック【Le2】

木・スリープ【Le2】

風・ケア  【Le1】


称号

パナ・プレイヤー


☆称号スキル

デバフ強化 【Le1】

自然治癒  【Le1】

スピード強化【Le1】


・・・・・・



魔物表


A闘獣 金欲のアヴァロン、睡欲のモグラント(土駆龍)


B 将軍猪、閻魔蠍、鬼ヒヨケ、女帝蜂


C ブラック・クズリ、トロール、ファングマン、侍ゾンビ

  パペット・ハンマー、リザードマン、鉄鳥、マグマント

  剣蜂、キラービー(単体D/集団のみC)、般若蠍


D キングゴブリン、グランドパンサー、ゴーレム、ラフレコドラ、ケサラン

  ソード・マンティス、黒猪、グレイバット、鎧蛇、棘巻トカゲ


E コロール、エアウルフ、ハイゴブリン、エレメンタル各種

  パペットナイト。ボロゴーレム、棘蜂、グール、グリーンマンティス

  ゲコ(ヤモリ)、闇蠍


F ゴブリン、ディノスライム、格闘猿、ゾンビナイト、風鳥

  ゴースト、ウッドマン、ビリビリフラワー、眠花蜘蛛

角鼠、カナブーン ゾンビナイト、赤猪、棘鴉、オオダンゴ


森の中を歩いていると点々と池があり、その透明度は凄まじい

深さは腰ぐらいかな


そこまで透き通る池には魚が優雅に泳いている

よくみるとそこからブクブクと泡が噴き出している部分が多く、地下水が池を作ったのだとわかる


『凄い場所だね』


『普通に釣りしたい』


『そのうちだね』


『そうだな…』


俺は彼女と話しながら池を渡る橋を歩いて進む、そうしていると魔物の気配を感じたティアがその方向に指を指す

どうやら橋の向こう側だな


箸を超えれば生い茂った草道、膝元までの高さの雑草が生い茂っているが、奥の方に確かに何かがいる

草の中でガサガサとこちらに向かって地面を這って来ているようだ


ティアは身構えると、雑草内の魔物が姿を現した

飛び出してきたのはカナブーンが3匹だ


『漏れた敵を頼む!』


俺は刀を抜刀しながら口を開き、走り出した

羽音を響かせながら飛んでくるカナブーンに向かって走りながら刀を前に突き出し、居合突で突きの真空波を飛ばす


『ギュ!』


回避能力は低い

避ける前に1匹のカナブーンは見事に魔石を残して弾け飛んだ


《1匹はお嬢ちゃんに任せろ!》


『わかってる!』


俺は前から迫るカナブーンの体当たりをしゃがみ込んで避けてから後続の1匹を刀で斬って落とす


後ろを振り返ると、俺が見逃したカナブーンはティアに刺されて地面に落ちていたけども処理が早くて助かる

だが安心していられない


魔物の気配はまだ近くにいる、しかも近付いて来ているのだからな


『ティア、魔石回収頼む、俺は相対しとく』


『わかった!』


ティアは魔石を拾い集める

すると草原地帯を囲む木々、その正面からゴブリンが4体も現れたのだ


『ギャギャ!!』


『ギャー!』


錆びた短剣を振り回しながら威嚇している

俺は刀を構えながら敵意を向け、時間を稼ごうとするが


《あいつらに意味ねぇぞ、馬鹿だから》


テラ・トーヴァが口を開くと、ゴブリン達は意気揚々と襲い掛かって来た

敵意を向けていれば警戒するかなと思ったが、そこまで考える知能はあまり無いようだ


『ギャ!』


目の前まで迫って来たゴブリンが声を上げながら錆びた短剣を振り下ろしてくる

俺は刀で弾き飛ばしてから胴体を蹴り、吹き飛ばすと後ろのゴブリンも同時に倒れていく


『地斬鉄!』


地面に刀をぶつけると斬撃が地面を這うように一直線にゴブリン達に襲い掛かり、2体を両断したが格好いい技だなと俺は感心してしまう


『ラビットファイアー!』


後ろからティアの魔法スキルが飛んで来ると、それは残り2体のゴブリンに命中して燃やした


《問題ないな》


『まぁ魔物のレベルも低いからな』


俺はテラ・トーヴァにそう言いながらティアと共に魔石を回収する

いつにも増して彼女は機嫌が良さそうだけどもどうしてだろうか

ティアを見ていると、それに気づいた彼女はニコリと笑う


照れ臭い感じがするけども、今は集中するか


『奥に魔物っぽい気配がするよアカツキ君』


『ぽい?』


『なんか微妙な感じ、魔物だと思うけども気配が凄い小さいの』


どういうことだろう

俺は彼女と共に草原地帯を抜け、森の中に足を踏み入れるとティアはアッと声を上げて木の上を指差す


あれはソードマンティスというカマキリの魔物だ

隠密スキルでこの前は気づくのが遅れたが、ティアの気配感知がある程度レベルが高いから気づくことが出来たんだな


奴は木の上でカマキリ特有のポーズをしたままじっとこちらを見ている様だが、意味は無い

既に俺達にバレているからな


あっちも俺と視線が合うと諦めたのか、木の上から羽を広げて飛んできたのである

1mと長い刃の両腕を前に突き出したまま突っ込んでくるようだ


『援護頼むぞティア』


『はい!』


俺は刀を構え、襲い掛かるソード・マンティスを待ち構える

小さく深呼吸をし、近づいて来た瞬間に光速斬で真横を通り過ぎながら片羽を斬り裂き、地面に落とすとティアは間髪入れずにショックを唱え、小石程度の雷弾をソード・マンティスに命中させる


《やんな!兄弟》


俺は言われなくてもやるつもりだったがな

刀を強く納刀し、金属音を響かせながら開闢と叫ぶと刀から瘴気が噴出し、その中から仮面騎士が飛び出してきた


ソード・マンティスはティアのショックで麻痺しており、ビクビクしているから避ける事は出来ない

そのまま仮面騎士に真っ二つに切られ、息絶えると光る魔石を体から出す


『聖騎士の気配がする、一先ず隠れな兄弟』


仮面騎士はそう告げるとボンッと煙と化して消えていった

俺はティアに急かされ、慌ただしく光る魔石を掴むとスキルを吸収しながら近くの茂みにティアと馬のブルドンと共に隠れた


暢気に馬は座ってのんびりしているがこっちはそうしてられない

息を潜め、茂みで隠れていると池のある方角からその者が姿を現す


クワイエット

『そろそろ次に行った方よくないか』


リゲル

『そうだね、冒険者ギルドにいるかと思ったけどもそこまで馬鹿じゃないだろうし』


明らかに俺達を探しに来ていますと言わんばかりの会話だ

私服で森の中に入ってくるのは凄い光景だが、腰にはちゃんと片手剣を装着している

3人は周りを見渡しながら面倒臭そうな顔を浮かべていた


リゲル

『ルドラ小隊長、どうします?』


小隊長だと?

彼らの上官が一緒だとは少し面倒だ

ルドラ小隊長は空を見上げ、溜息を漏らす

歳は40歳後半といったところか、右目が斬られた傷跡があり、失明しているようだ


ルドラ小隊長

『聞き込みではここに居たのは確かだ、まぁ歳を見ると考える知恵はあまりあるようには思えないが…明日は隣接する街に行って聞き込みすればわかる』


クワイエット

『わかるんですか?』


するとルドラ小隊長はキッとした目つきでクワイエットの頭を叩いた


ルドラ小隊長は飽きれた顔をクワイエットに見せている


ルドラ小隊長

『馬鹿か、周りの街で奴らを見ていなければ居場所が絞れるだろうが』


クワイエット

『そうでした…すいません』


ルドラ小隊長

『頭を使わなくてもわかるだろうが…、まぁしかしだ』


彼は後方から襲い掛かるゴブリンの錆びた短剣を手刀で弾いてから膝蹴りをして倒してから再び口を知らく


ルドラ小隊長

『私達にもなぜあの冒険者を追うか話してはくれぬようだな』


リゲル

『うちの機密情報を持っているから漏らす前に穏便に捕獲せよって話ですが、難しいんじゃないですか?』


ルドラ小隊長

『そうだろうな、捕まえる迄も難しいし捕まえてからどう聖騎士会本部に連れていくかも難しい』


クワイエット

『はぁ…どんな情報なんですかね』


ルドラ小隊長

『危険な情報となれば1つしかないだろう、国の抑止である英雄5傑の不在』


リゲル

『それ本当だったんですか?特殊任務で姿を出さないだけだと聞いてますが…まぁ世間はいないんじゃないかとか噂されてますが』


ルドラ小隊長

『今はロイヤルフラッシュ聖騎士長ただ1人だ、何故いなくなったかはわからぬが10年前のガンテア攻略戦での戦争が終わってからだな』


クワイエット

『マグナ国が負けた戦争の話ですよね?』


ルドラ小隊長

『普通に戦えば勝っていた戦争だと聞く、聖騎士会の上層部しか知らない話らしいが…裏切りがあったから負けたらしい』


リゲル

『五傑が裏切りですか、まぁ噂でも聞いたことありますがね』


リゲル小隊長

『極秘だぞ?俺の予想では裏切った五傑は目星がついている』


リゲル

『わかるんです?』


ルドラ小隊長

『お前も頭を使え、裏切った人間を止めれないとなると五傑最強の者しかおらぬだろう?あの人は五傑の4人を相手にしても引けを取らぬ強さだった、世間には名前は公表してないが行くところを確実に地獄に変える程の圧倒的な強さを誇る人だ、名を知るのは王族とフルフレア公爵のみだ』


クワイエット

『あんまり詮索すると怖いっすねその話』


ルドラ小隊長

『知ろうとしたものは終獄刑か、あるいは死刑だろうな…話は終わりだ。戻るぞ』


リゲル

『あいつら見つけたら1発殴らないとなぁ、俺のボーナス奪ってるんだから』


こっちが殴りたい

彼らは俺達の隠れる茂みから背を向けて去っていく

俺達は暫くその茂みから姿を出すことができない、本当に去ったのかわからないからな

だが先ほどの話…


俺達を捕まえに来たか、それも時間の問題だ

ミヤビから出た事が無いのが駄目だったかもしれない

目撃情報を元に彼らは直ぐにミヤビに戻るだろう


ティア

『ティアマト君達が来てもあれは…』


アカツキ

『小隊長もいるんだからな、4人揃っても勝てる見込みは無い』


ティア

『時間が許す限り強くならないとね』


アカツキ

『それしかないな』


俺達は少ししてから立ち上がる

ちなみにステータスはッと…


・・・・・・・・

アカツキ・ライオット


☆アビリティースキル

スピード強化【Le3】

気配感知  【Le2】

動体視力強化【Le2】

斬撃強化  【Le2】up↑


☆技スキル

龍・開闢  【Le2】

居合突   【Le2】

光速斬   【Le1】

地斬鉄   【Le1】


☆魔法スキル


称号

・・・・・・


ティア

『そういえば英雄五傑って聖騎士会の人でもわからないんだ…』


アカツキ

『どうやらごく一部の人間しか五傑の情報を知らないようだが…』


それでも3人の名はトッカータさん達も知っていた

黒豹騎士ロイヤルフラッシュ

人間恐慌アクマ

道化傀儡グリモワルド・グレゴール

きっと情報が流れたからエド国にも英雄五傑の名が3人も漏れたのだろう

今彼らが何をしているか、誰もわからない


『ヒヒン?』


ティア

『どうしたのブルドン?』


なにやら馬のブルドンは森の奥に顔を向けて小さく鳴いた

少し警戒している様だが、魔物の気配は全くしない

ティアも感じないと口にする


アカツキ

『テラ・トーヴァ、何がいる』


《くっそ面倒な奴、まぁあいつ馬鹿だからな…美味く利用して森を一緒に出れば一石二鳥だぞ》


俺は何の事だと首を傾げていると、森の中にそいつが姿を現す

どうみてもそれは宿屋で助けたジェスタードさんであり、うな垂れながら森の中から歩いて来た

相変わらず両腕で糸操り人形を掴んでいるが、いつそれ外すのか気になる


ジェスタード

『ここは何処だ…吾輩はまた迷ったのか、深くデス』


迷って森に来るの嘘だろ?絶対嘘だ

俺とティアは苦笑いを浮かべながら彼に近付くと、ジェスタードさんは俺達を見て嬉しそうに体をくねらせながら口を開いた


ジェスタード

『恩人の2人様ジャナイデスかっ!超侍アカツキ様にその奥様であるティアちゃん!』


アカツキ

『過剰過ぎて恥ずかしいです』


ティア

『…』


やめてくれティア、照れ笑いしながら俺を見るな…

彼女から視線を逸らし、咳ばらいをすると俺は彼に話しかけて見た


アカツキ

『何してるんですか?こんなところで』


ジェスタード

『鍛冶屋に行って靴を修復してもらおうと思って…』


よくみると反り立った彼の靴のつま先が破けている、右靴だ

待て?は?鍛冶屋に行くだけで森まで来たのか?方向音痴過ぎないか?ネタか?


アカツキ

『…案内します』


ジェスタード

『更に恩を!有難き幸せデス!』


ティア

『そういえばお金の心配はどうなんですか?』


ジェスタード

『金貨30枚くらいあるので!大丈夫デッス!』


彼は胸を張って声高らかに言い放つ、かなり稼いでいる様子だな


『ヒヒン』


ティア

『一応私達も稼がないと駄目なのでゆっくり戻りながらでいいですか?』


ジェスタード

『勿論デス、逃げ足だけは負けませんのでご迷惑はかけません』


しかしあれだな、開闢を使用した後で良かったよ

彼はウキウキした様子を見せながらどこかに行こうとするのをティアを止める

勝手に動いて迷うつもりなのだろうが故意ではない…と思う


ジェスタード

『お馬さん!乗せてください!』


『ブルルゥ!』


彼が馬の隣で声をかけるがブルトンはそっぽ向いたので駄目だという事だなジェスタードさんは空くし残念がるけどもそのまま俺達と共に森の中を歩き始める

池が多い場所にまで行くと、橋の向こう側で果実を食べ歩きしながらこちらに歩いてくる格闘猿が2頭


こちらに気付くと直ぐに威嚇しながらも手に持っていた果実を頬張り、飲み込んでから襲い掛かってくる

橋は直線的であり、避けれない事を良い事にティアはラビットファイアーを撃ち放ち、格闘猿2体に小さな熱光線を5つ命中させると奴らは燃え出すことで暴れ始め、そのまま橋から池に落ちていく


水しぶきが上がり、俺は様子を伺うがどうやら死んではいない


ジェスタード

『泳いで逃げていきますね』


逃がしたか…まぁ追い打ちする事は無い

魔石報酬が逃げていくのは少々残念だがたまには諦めるのも手だ


アカツキ

『そういえばジェスタードさんは戦えないんですか?』


ジェスタード

『吾輩は戦いは嫌いです』


答えとしては難しい、どう捉えるかと言われると戦えないと悟るべきか

気になっただけなので深く聞くつもりはない

森の奥に行けば湖が点々とあるのだが今日はそこまで行かず、適度に稼ぐのみでいい筈だ


もしティアマト達が来るあらば、冒険者資金を持ってきてくれるからである

俺達がそれまでに生き繋ぐための金があればいい、3日ってとこか


彼らもゆっくり来ることを想定してである


昼を過ぎるとジェスタードさんのお腹が鳴り、俺達は少し開けた場所で小休憩を取る事にした

まぁ予想はしていたがジェスタードさんは昼ごはんも無いから俺のオニギリを1つ分けて上げた


ブルドンは背中に乗せた荷物の中の牧草をティアが口に運んで食べさせているのを見ながらオニギリを食べていると唐突にジェスタードさんが口を開いた


『夫婦揃って冒険者とは仲が良いデスね』


『夫婦じゃないですよ』


『そんな隠さなくとも吾輩にはわかりますよ』


何がだよ

ティアは牧草を地面に置き、オニギリを食べ始めるが顔が赤い


『夫婦です…か』


『ティア、気にするな』


『あはは…』


モジモジするティアは頭を掻いて誤魔化す

俺はジェスタードさんに1つオニギリをあげたからティアより先に食べ終わる

彼女はパクパクとマイペースに食べているのでそれを待つことにしようか


ジェスタードさんは相変わらず被る布袋の中にオニギリを入れてモグモグと食べている

見た目が可笑しな人にしか見えないが恥ずかしがり屋なんだろうか?顔は見せてはくれないのかな


ティアがオニギリを食べながらとある方向に顔を向ける

まぁ何を言いたいのか俺にはわかる

刀を抜いてその方向に体を向けると、少ししてから魔物の気配がこちらに近付いてくるのを感じた


『ゴゴゴゴ』


アカツキ

『こりゃ珍しい』


キングゴブリンだ

鉄鞭を担いだままこちらに堂々と歩いてくる姿はまるで俺達を敵だと思っていないかのようにも思える

舐め過ぎだろうと少し腹立たしい感情が沸くが、冷静に対処しなければ一撃で戦闘不能になるだけの力をこいつは持っているのは確かだ


ジェスタード

『おにぎりは美味しいですねぇティア様』


ティア

『そだね~』


2人共暢気過ぎないか?

俺は馬のブルトンに顔を向けると『ヒヒン』と鳴きながら耳打ちしてくる

あからさまにお前が倒せよと言わんばかりではないか、馬にそう言われた気分だ


『ゴルゴル』


『お前に全てをぶつけるか』


俺は地面を踏みしめ、一直線にキングゴブリンに走り出した

慌てて鉄鞭を肩から持ち上げるのだが、俺の方が早い


『居合突!』


走りながら刀を前に突き出し、真空の突きで鉄鞭を持つ奴の右腕を攻撃する

キングゴブリンは痛がる素振りを見せ、鉄鞭を降ろすが予想通りだ

そのまま高速斬で一気に駆け抜け、脇腹を深々と切り裂く


斬撃強化スキルが2もあればいけるもんだなと感じながら振り向き、刀を構える


『ゴルルル!!』


左手で脇腹を抑えながらも怒りを浮かべるキングゴブリンは鉄鞭を振り回し、こちらに走って来た


『かなりの出血だが…』


俺は乱暴に振るわれる鉄鞭を避けつつ口を開くと、横殴りに振って来た鉄鞭をしゃがんで避けてから懐に潜り込み、更に口を開いた


『終わりにするぞ』


俺は刀を腹部に突き刺し、そのまま横に切り裂いて両断した

下半身は後方にバタリと倒れ、上半身は宙を舞うとそのまま近くに落ちた

刀を納刀し、数歩後ろに下がるとキングゴブリンの上半身から魔石が出て来たのでそれを回収し、皆の元に戻った


ジェスタード

『良い動きですね、まだ上体が高いのが気にナリマスが』


アカツキ

『上体?』


ジェスタード

『刀ならばもう少し気持ち低く構えた方が踏ん張れます、片手剣と同じ感覚で動けば損しますよ』


アカツキ

『なんでジェスタードさんがそれを?』


ジェスタード

『昔の知り合いにいた侍剣士がそう言っていたのを思い出しただけです』


そういうことか

片手剣と同じ感じて動いては駄目…か、覚えておこう


ティアとジェスタードさんはオニギリを食べ終わると、俺達は森を出るように歩きながら魔物を倒していく

魔物を倒していればスキル魔石が出てくるかなと思いながら数をこなして倒していたんだけども


出ない


グリーンマンティスというランクEの大きめのカマキリをティアがラビットファイアーで倒し、魔石を回収すると彼女は口を開いた


ティア

『スキル付き魔石でないね…』


アカツキ

『出ないな、結構倒したんだけどな』


ジェスタード

『直ぐに倒すと1%のままですよ?時間をかけて倒せばそれなりにドロップ率も上がるのデス』


アカツキ

『マジか…』


ティア

『それ本当!?』


ジェスタード

『本当デス、まぁしかし雑魚相手に時間をかけるのは効率が悪いので適度な強さの魔物が現れれば動きを見計りつつ、じっくり倒すのが良いデスよ』


初めて聞いた

魔物の倒し方によってドロップする奴もいるのとスキルの使用回数などはわかる

しかし時間をかけることもドロップ率をあげるのか、勉強になるなぁ…


ティアは馬のブルトンの首元を撫でながらジェスタードさんに質問をしたのだ


ティア

『魔物怖くないんですか?』


ジェスタード

『全然?』


グリーンマンティスの前はエアウルフ3頭だったが、そのうちの1頭はジェスタードさんに襲い掛かろうとしていたのを覚えている

だが彼は逃げずに襲い掛かってくる狼に首を傾げるだけ


そこで不思議な事が起きたのだ

エアウルフが突然足を止め、逃げ出したのだ

おならをしたからでしょうねとか彼は言ったけども…とても臭いのか?


ジェスタード

『結構稼いだんじゃないですか?』


アカツキ

『結構頑張りましたからね、このまま進めば1時間で森から抜けれます』


ティア

『じゃあ真っすぐ向かおっか』


アカツキ

『そうしよう』


俺は皆を連れて森の中を歩いた


ここは本当に綺麗な場所だ、目に飛び込んでくる池の全てが済んだ色をしており、底まで見える

そのまま森の入り口近くまでもう少しというところでジェスタードさんは足を止めた

俺は振り返り、口を開こうとするとジェスタードさんが先に口を開く


その声は初めて聞く低い声だ


『しゃがめ』


その声が発せられたと同時に、俺とティアは無意識にしゃがみこんだ

自分からしたわけじゃない、勝手にしゃがまされたというべきか

しかしそうしないと俺とティアは駄目な事が起きたのだ


森の奥から鋭い真空斬が飛んできたからである

その2つの斬撃は俺達の後方の木々に命中し、そのうちの大きめの真空斬は木を薙ぎ倒した


威力が凄い、これは技スキルだ

魔物ならば気配を感じているからな、人間が放った技だ


ティアと驚きながら立ち上がると、俺は飛んできた方向に刀を構えて叫んだ


『誰だ!!』







『やはりいたか』


森の中から静かに歩いてくるのは俺達が出会いたくない人物




聖騎士の追ってだった


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