第41話 バイト

第41話 バイト

…………………

アカツキ・ライオット


☆アビリティースキル

スピード強化【Le3】

気配感知 【Le2】

動体視力強化【Le2】


☆技スキル

龍・開闢 【Le2】

居合突  【Le2】

光速斬  【Le1】


☆魔法スキル


称号

・・・・・・・・・

リリディ・ルーゼット


☆アビリティースキル

打撃強化【Le3】

気配感知【Le3】

麻痺耐性【Le3】

スピード強化【Le2】


☆技スキル

ドレインタッチ【Le2】

骨砕き 【Le1】


☆魔法スキル

風・突風  【Le2】

風・カッター 【Le2】

黒・シュツルム【Le1】New

黒・チェーンデストラクション【Le1】


称号

リトル・クルーガー【黒】


☆称号スキル

毒耐性【Le1】

動体視力強化【Le1】


・・・・・・・・・・・

ティアマト・ウロボリス


☆アビリティースキル

斬撃強化 【Le2】 

気配感知 【Le2】

毒耐性  【Le4】

耐久力強化 【Le1】

スピード強化【Le1】


☆技スキル

連続斬り【Le3】

鬼無双 【Le2】


☆魔法スキル


称号


・・・・・

ティア・ヴァレンタイン


☆アビリティースキル

安眠 【Le1】

気配感知【Le2】

麻痺耐性【Le1】

スピード強化【Le1】


☆技スキル


☆魔法スキル

火・ラビットファイアー【Le2】

雷・ショック【Le2】

木・スリープ【Le2】

風・ケア 【Le1】


称号

パナ・プレイヤー


☆称号スキル

デバフ強化 【Le1】

自然治癒 【Le1】

スピード強化【Le1】


・・・・・・・・


台風が過ぎてから数日経った。


俺は仲間と共に冒険者ギルドの2階のテラスの丸テーブルを囲みながら椅子に座っていた。


既にトンプソンさんのオニギリ屋台は営業しており、色んな種類のオニギリが並んでいる。

彼はいつもより張り切っている感じがするのは台風の間、暇だったからかもしれない


機嫌の良いトンプソンさんが店の商品であるオニギリを食べているのが気になる


ティアが苦笑いしながらその光景を見ていると、トンプソンさんはニコニコしながら彼女に話しかけた


『ティアちゃんなら1品タダよん!』


『やった!』


『なら?』


俺はふと口に出す

するとトンプソンさんは悪どい笑みを浮かべて言い放つ


『男は体を張って稼ぐのじゃ』


俺達は駄目だった

ティアは鮭オニギリを彼から貰うと嬉しそうに食べ始める

昼は過ぎたというのに……


『それでだ…』


俺は口を開く

みんなの視線が刺さる


俺は一先ずこれからの方針を固めようと思ったのだ

リリディはスキル上げに徹すると決め、ティアマトは斬撃系の技スキルをあと1つあれば幅が広がると言う

ティアは魔法スキル上げだとさ……



俺は斬撃強化スキル、ソード・マンティス狙いだ


『アカツキは1日1回制限の開闢なきゃ切り札ねぇな、お前…斬撃強化優勢で良いぜ?』


『いいのかティアマト?』


『トロール戦で俺もそっち少し見てて思ったのさ。斬れない刀に意味はねぇ…あれはどうみたって斬撃強化スキルなかったから どうしようもなかった感がある』


『ならその言葉に甘えるよ』


はい、終わり


ティアマトの斬撃スキルはリザードマンの真空斬狙いだ

それは今週中でなんとかなる


誰もがしないだろう話を、周りで寛ぐ冒険者に聞かれないよう、ヒソヒソと話し合っていた


今日は話し合いのみ。

しかしクローディアさんから頼まれた依頼が1つある

それを消化しないと家に帰れない


冒険者ギルドに向かう際にいつも渡っている橋の下のどぶさらいだ


しかも3人指定

ティアは別の依頼を頼まれている


彼女は冒険者の軽い怪我を治す医療係となっていた

彼女のスキル鍛練を考えてクローディアさんが提案したのだが、問題が1つある


ティアがパナ・プレイヤーと公になってしまうことだ。


まぁそこはクローディアさんが睨みを利かせてくれるから大丈夫らしい


もしも面倒な冒険者が引き抜きをしようとしても、他に手はある


シグレさんを呼ぶ・・・この手に限る


『どぶさらいも意味のある仕事じゃ。頑張るんだぞピヨピヨ達』


トンプソンさんは屋台の中からニコニコしながら手を振る


ロビーに戻ると、受付嬢のアンナさんにクローディアさんを呼んでもらい、ティアを置いてから男3人で部屋を借りると服を着替えた

黒いゴムズボンに俺は苦笑いだ


そしてスコップ片手に橋の下に向かった


ようはあれだ、水路に泥が流れ込んだまま放置すれば最悪どこかが詰まる

それを無くすために詰まりそうな場所に流れ込んだ泥を取り除くんだ


橋の下に着くと既にギルド職員が泥を入れる大きめの袋を沢山用意してくれていた


水路を見ると底に泥がかなり溜まり、水かさがかなり上がっていた


『頼みますね!皆さん』


ギルド職員は爽やかな顔で言い放つ

この人はゴムズボンじゃない!


『どっこらしょ』


いつのまにかティアマトが先に入っている

水路の幅は2メートル、今の深さは1メートル程であるが俺とリリディが入ると黒いズボンがギリギリだ…


リリディ

『足が抜けにくいですね』


アカツキ

『まぁ足回りをスコップですくうしかない』


ティアマト

『ケッ!クローディアさんも俺達を名指しとはなぁ、とんだ指定依頼だ』


アカツキ

『だが稼げるぞティアマト』


ティアマト

『まぁな』


こうして水路のドブをスコップでせっせとすくい、ギルド職員が持つ袋に入れていく



意外と力仕事だ…腰に負担がこんなにかかるんだな


ティアマトはまったく疲れを見せないが、リリディは1時間程で息を切らしていた

正直、俺もギリギリだ…もう少しでリリディと同じ状態になりそうだよ


アカツキ

『リリディ、少し休憩するか』


リリディ

『頼みます。ティアマトさんにドレインタッチすれば体力も回復するとは思いますが』


ティアマト

『せこいこと考えるのは早ぇな…』


リリディ

『体力の有効活用です。有り余っていたら分けるべき』


アカツキ

『リリディ、体力つけないとな』


リリディ

『やはりそうなりますよね』


それが一番だ

水路の横で座って休み始める。

上の橋を渡る人々を眺めながら時間を潰していると、ふとギルド職員が口を開く


『クローディアさんに高く買われているようですが、成長が早いですね』


『今まで慎重にゴブリンばっかり倒してたので、そろそろ上を目指そうと思ったんです』


『なるほど…、ここは田舎街なので全体的に冒険者ランクはD止まりが多いですね。他の街にいけばCは沢山いるんですかね』


『やっぱりここだと難しいんですか?』


『低ランクの魔物がかなり多いですから…強い魔物がいる森の奥まで行くのも一苦労なんです』


確かに強い魔物は奥に行かないといないな


もちろん森の入り口近くに強い魔物が出現する時もある・・・しかし稀だ


『俺達ぁどんくらいでCになれる?』


ティアマトが背伸びをしてから話すと、ギルド職員は答えた


『その冒険者チームの査定もありますが、基準はあります…Cランクの魔物を10体ぐらいがこの街のギルドの基準ですが、あくまで基準です…最終的に決めるのはクローディアさんですから』


ほうほう、なるほどな

俺達はブラック・クズリとコンペールの2体を倒した

あと8体倒せば昇格の話が見えるということだな


『絶対的にスキルレベルがものをいうランクです。魔物も強いですから』


各スキルのレベルは3は欲しいな

次の依頼からは斬撃強化スキル狙いで行こう。斬れなければ意味がない


『リリディ、始めるぞ』


俺は口を開く。大の字で休んでいたリリディはバッと起き上がると、首を回して答えた


『頑張りますか』


見るからにやる気が感じられない顔だが・・・まぁいいだろう


その後、せっせと頑張ったよ。3時間ぐらいだけど成果は目に見えてわかる。


始めた頃は底が黒かったのに、今じゃ綺麗な石床が顔を出している


泥を入れた袋の殆どがパンパンに膨れ上がっており、ギルド職員は次々に袋の口を紐で縛っていく


『あとはこちらが手配した馬車で泥袋を運びますからこれで終わりです。お疲れ様でした。』


どうやらギルドに戻っていいらしい

リリディの顔がヤバい、ゾンビと間違えそうになるくらい干上がっている


ティアマト

『アンデット種のグールみてぇな顔してんなお前』


リリディ

『疲れてツッコめませんよ…』


かなり力仕事だったし辛かっただろうな

水路で黒いズボンの泥を洗い流し、俺達はギルドに戻った


ギルド入り口の扉を開き、ロビーを見渡すと、森から帰って来たと思われる冒険者達が丸テーブルを囲んで椅子に座っているのだが、今日はやたら人数が多いな


黒いゴムズボンのままで歩くと、左右にいる冒険者の視線を感じて恥ずかしい気持ちになる


バーグ

『お?今日はお前らがドブさらいか』


バーグさんが冒険者仲間とニヤニヤしながら話しかけてきたよ


ドラゴン

『魔物退治より疲れるよなぁアレ。俺達頼まれなくてよかったぁ』


ドラゴンさんの髪型、変わった?

以前は確か角刈りだったけど、今はツーブロックとイメチェンしていた

この人はバーグさんがリーダーをしている夢旅団というチームでは一番頭がいい人であり、学生時代は全教科満点とありえない頭の良さを持った人だよ


アカツキ

『今度しますか?』


バーグ

『遠慮するよ…おつかいの体力がなくなる』


ドラゴン

『はっはっは!今日は何を奥さんに頼まれたんだバーグ』


フルデ・オヤシロ

『何を買うのさ、あたし知りたいなぁ~』


フルデさん…胸元開いてて、おっぱいが…でかい!


バーグさんは咳ばらいをすると、堂々と答えた

『ゆかり』


地味じゃないか?バーグさん?



ふと皆の視線が医療室の方に向く。


冒険者達がドアの奥を大勢が見て興奮しているのだ・・・なんだかちょっと不安だ


バーグさんたちから離れ、応接室で着替えた俺達は直ぐにティアのいる医務室に向かおうとする


ロビーにいる冒険者達の会話が耳に入り、俺達は察した


『マジかよ…ティアちゃんがケア持ちってやべぇな!天使だぞ』


『回復魔法持ちがこの街から誕生したなんてびっくりでござる!まだレベルは低いがそれでもレベルが上がれば国でも名が上がるだろうな』


『俺も回復してもらいてぇ!少し腕斬ろうかな』


おい・・・



医療室に到着した

ドアの横に看板があるのだが、そこには凄い抑止力のある言葉が書いてあった




引き抜き禁止、シグレが来る




わかりやすい警告に俺たちは引き攣った笑みを浮かべる

誰も死にたくないだろうよ


群がる冒険者を押しのけて中に入る。

廊下だが5メートルほどしかない


左右に1つずつのドア、奥には俺が2回も入院したベットルーム、右が診察室で左が医者の待機室になっている筈だ

廊下には長椅子が1つ設置されており、魔物にやられたであろう怪我をした者などが4名ほど座って待機していた

見ているだけで痛そうだな


右のドアから冒険者が出てくる。

彼は幸せそうな顔を浮かべたまま俺達の横を通ってロビーに歩いていった


『次の方』


クローディアさんの声だ

すると待っていた次の冒険者の顔が一気に明るくなり、ニコニコしながら中に入ったのだ


ティアマト

『…待つかアカツキ』


アカツキ

『そうしよう』


俺達は邪魔なだけだ。

しかも今待機している3名の冒険者が最後だ


リリディとティアマトと共にロビー内の椅子に座り、ティアを待つ


『イディオットのティアちゃん凄いね』


『バーグさん、僕らも凄いと思いますよ』


俺はこうみえてバーグさんとは仲が良い

2つ隣に住んでいる冒険者だしね。

彼は口元に笑みを浮かべたまま、椅子をこちらに向けて腕を組んで話してきたのだ


バーグ

『あれは貴重だよ、パナプレイヤーとか初めてさ…いるんだねこの街にも』


アカツキ

『やっぱ凄い称号ですか』


ドラゴン

『どんな称号よりもね。多少無理をできるし。まぁそれがいい判断とは言い切れないけどな』


凄いな、自分の事じゃなくてもやっぱ嬉しいな


バーグ

『称号持ちになるのは大変だけど、君らもそのうちCランクになる時は称号を考えてスキルを会得しないと駄目だよ、ノーと言えないまま称号は勝手になるからね』


確かに称号は条件が揃えば勝手になる、変更は出来ないらしい


それを聞くと俺達もスキル習得に慎重になるのだが・・・結局のところ何のスキルがどの称号に関係するのか、よくわかんない


バーグさんは今日、おつかいしてから直ぐに帰って料理を作らないといけないらしく、彼は仲間達と共にギルドを出ていっあ


俺達はのんびりとティアを待とうと隣接している軽食屋でサイダーを注文して椅子に戻る


そこで面倒な冒険者がギルドに入ってきた

ゼルディムじゃない別のチームだ

俺達の1つ年上の冒険者だが不良の集まりみたいな集団にしかみえない

4人組の冒険者で、礼儀知らず、恥知らず、面の皮が厚いのトリプルスコアだ


騒ぎながら入ってくる様子はない、普段は大人しいが絡まれると質が悪いのだと、みんなが口にしている


リーダーの名前は知らないがあだ名は知ってる

2番長という不名誉だ。

学園時代にシグレさんがいるだけで喧嘩自慢の彼は2番手扱いだったからだ

彼らもランクはD、、俺達と同じである


『ったく…今日はしけた魔物しかいなかったな』


『まぁな、つまんねぇなぁ』


道の近くのテーブルにいる俺達は会話が聞こえる、彼らは受付で依頼報酬と追加報酬を受け取ると、彼らのうちの1人が医務室の様子に顔を向けていた


『マジやめろよな…』


ティアマトが溜息を漏らし、囁いた

だが俺はそうならないと思っている


『ケア持ちの冒険者かよ、一度顔拝んでみるか』


『どんな野郎なのか興味あるぜ、なぁレオン』


そうだった、リーダーは2番長レ…あれ?

すまない、もう名前を忘れてしまった


レオン

『そうだな、女だって相場が決まってる筈だ…上手く会話でもして仲間になってもら・・・』


2番長は医務室に入るドアの横にある看板を見て、すぐに顔が真っ青になった

いいぞいいぞ、効いてる効いてる


レオン

『やめよう、帰るぞ』


『マジ?勿体無いぞ…俺行こうかな…可愛かったら遊びたいし』


レオン

『俺に殺されるかシグレに殺されるか選ぶことになるぞ?多分ティアちゃんなんだなぁきっと』


『あ・・・なるほどな、妹は可愛いのに…鬼は‥違う、兄は別次元の人間だったなぁ』


意外と1つ上の人間にも好かれていたティア

だから問題はない

その上、シグレさん付き、誰も茶化そうなんて思わないのである


『ティアは凄いな』


横から女性の声、俺達3人は顔を向けるとリュウグウだ


いつからいた?と彼女に言うと『ずっといた』と不機嫌になる

店員がサイダーを3つ持ってきたが、彼女にもサイダーを奢りで注文したところ、機嫌を直す


リリディ

『リュウグウさんは順調ですか』


リュウグウ

『順調だ。気配感知に動体視力強化だけど…特に動体視力強化スキルはカウンター攻撃が臆せず出来るようになれたから普段より稼ぎは上がったと実感しているわ』


リリディ

『それは良かったですね。貴方は称号に興味はおありで?』


リリディの問いにリュウグウは唸り声を上げる

答えは『ない』だ

槍の技スキルは2つしかないとか今聞いたけどさ、鬼突と三連突の事だねそれは

貫通特化の技と連続で突く技、バランスは俺から見ても良いと思える

すると彼女は目を細めて俺に話しかけてきた


『ティアの称号は公に出してよかったのか?』


『クローディアさんがいるから問題は起きない筈さ』


『それはそうね…あっ、戻って来たぞ』


リュウグウの視線を追い、その先にティアが肩をダラリをしながら俺達のテーブルにやってきた


ティアは座ると直ぐに俺のサイダーを飲む

関節キッチュ!キッチュ!


冷静を装う

しかし鋭い視線を感じた俺はリュウグウに顔を向けてしまう


リュウグウ

『変態が…』


くそぉ…


リリディ

『どうでしたかティアさん』


ティア

『疲れたけど稼いだよ!金貨15枚!』


誰もがティアの言葉に驚愕を浮かべた

そりゃそうさ!希少な魔法で怪我をすぐに治すんだから治療費は高くなるのだ


時間をかけて治すという正しい法則を無視した療法、それが回復魔法だ

重傷でなければ彼女のケアでも十分役に立つらしい。しかも今日は沢山の冒険者が治療を希望したようでかなり疲れているらしい


『私の…2倍以上』


リュウグウが生気が抜けた顔つきで囁いている

俺達も驚くよ、マジかよ…

それに大金だして治療を志願した冒険者がこんなにいたことにも驚くぞ


『普通に冒険するより稼いだなティア』


『すっごく重労働だったけどね・・・そういえばリュウグウちゃんは今日大丈夫だった?』


話をリュウグウに振ると、彼女らは楽しく会話をし始めた

そうした会話を聞いていると、夜食を食べに行こうという話になり、リュウグウも含めた皆で唐揚げ定食を食べに行くことになった


今日は夜食を仲間で食べる予定だったからな


明日は休みだ。のんびりとしてみるかな

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