第33話 亡霊屋敷と結婚指輪編 3 幽霊?
アカツキ・ライオット
☆アビリティースキル
スピード強化【Le3】
気配感知 【Le2】
動体視力強化【Le2】
☆技スキル
龍・開闢 【Le1】
居合突 【Le2】
光速斬 【Le1】
☆魔法スキル
称号
・・・・・・・・・
リリディ・ルーゼット
☆アビリティースキル
打撃強化【Le3】
気配感知【Le3】
麻痺耐性【Le3】
スピード強化【Le1】
☆技スキル
ドレインタッチ【Le1】
骨砕き 【Le1】
☆魔法スキル
風・突風 【Le2】
風・カッター 【Le2】
・・・・・・・・・・・
ティアマト・ウロボリス
☆アビリティースキル
斬撃強化 【Le2】
気配感知 【Le2】
毒耐性 【Le4】
スピード強化【Le1】
☆技スキル
連続斬り【Le3】
鬼無双 【Le2】
☆魔法スキル
称号
・・・・・
ティア・ヴァレンタイン
☆アビリティースキル
安眠 【Le1】
気配感知【Le2】
麻痺耐性【Le1】
スピード強化【Le1】
☆技スキル
☆魔法スキル
火・ラビットファイアー【Le2】
雷・ショック【Le2】
木・スリープ【Le2】
風・ケア 【Le1】
称号
パナ・プレイヤー
☆称号スキル
デバフ強化 【Le1】
自然治癒 【Le1】
スピード強化【Le1】
・・・・・・・・
階段を登り、踊り場から慎重に進んでいくと横には更に階段、しかし声は2階からだとわかる
俺の背中を強く掴むティアを気にしながら、聞こえる場所へ歩いていくと、とある部屋から聞こえてくる。
その部屋の前から魔物の気配を感じているが、その魔物はドンドンと頭をすすり泣く声の聞こえる部屋に弱々しく叩きつけていた
ランタンの灯りで正面を映す、それは出会った事のない魔物だ
誰もが身構えると、その魔物が素早く首だけをこちらに向けるが不気味すぎる
こいつもグールと同じで灰色の体をした人型のアンデットだ
顔の上部は包帯で巻かれており、隙間からは赤い目玉が1つ見える
爪はグールより大きくて鋭い、まるで獣の様だ…
灰色の体からは僅かに浮き出る血管、それがメキメキと蠢(ウゴ)いている
リュウグウ
『リッパーよ!ランクⅮ!』
ティアマト
『こいつがリッパーかよ』
リュウグウの声にティアマトが片手斧を構えながら口を開いた
『フー!フー!』
息が荒いリッパーは口から長い舌を出し、俺達に気付くと直ぐに走って来た。
俺はランタン係に何故かなっているけども、一先ずは灯りは必要だ
ティアマトとリリディが迎え撃つために前を固める
リッパーは飛び込んでくると思いきや、低い姿勢で素早く迫る
Ⅾの魔物という事もあってティアマトとリリディは慎重だ、しかし冷静になれば彼らは強い
『ファー!』
空気が混じる叫び声を上げ、低い姿勢からティアマトに向けて鋭い爪で挟み込むように攻撃してくる
『連続斬り!』
ティアマトは叫ぶと、素早く2回の斬撃を爪に当てて攻撃を弾いた。
リリディが横からリッパーの胴体を木製スタッフで殴って壁に叩きつける
ティアがタイミングよくショックを使うために手を伸ばして小石程度の雷弾を飛ばすと、壁に叩きつけられたリッパーに命中し、奴の体は一瞬ピリッと感電する、1発では麻痺は無理か
しかし
『ありがとよ!』
ティアマトはその隙に片手斧をリッパーの胸部に食い込ませた
『ファー!フー!』
それでも弱る様子もなく暴れるリッパーは長い爪を使ってティアマトを刺そうとする
顔を狙ったのだろう、ティアマトはビックリしながらも顔を反らして避けると、間髪入れずにリリディがリッパーの顔面をフルスイングでスタッフを叩きつけ、リュウグウが直ぐに胸部を突き刺した
アカツキ
『ティア!』
ティア
『はい!』
俺が口を開くと、彼女はラビットファイヤーを撃って5つの火弾を当て、リッパーを燃やす
部分的に燃える筈が、アンデットに対しては弱点なので全体的に燃えている
全員が一度、後ろに退いて様子を見る、両腕をブンブン振り回して暴れるリッパーは壁に体当たりするとそのまま転倒し、徐々に弱々しくなる
『結構タフね』
リュウグウはそう言いながらも槍をリッパーに向け続けた
イイ感じの連携が決まり、いつも通りを感じさせる。
リッパーはとうとう動かなくなると、体から魔石が出てくるが光ってはいない
ちょっと残念だ。
リリディ
『Ⅾ相手に結構良い感じに倒せましたね』
ティアマト
『ちっと驚きだぜ』
リュウグウ
『私もビックリだ、Ⅾがあっさりとは…』
アカツキ
『落ち着いて動けば俺達は安定出来るスキルを持ってるんだ、場数を踏むしかない』
リリディ
『そうですね、Ⅾに慣れればDランク冒険者となっても苦労はしない筈です』
俺は魔石を回収し、すすり泣く声が聞こえる部屋のドアの前に行くとランタン片手に身構えてしまう
魔物の気配はしない、しかし人間だと思うのも難しい…
『アカツキ君、本当に開けるの?』
『ティア、お化け屋敷は苦手か』
『そそそそんなことないよ?』
『そう言う事にしとくよ』
ティアマト
『でもよぉ、幽霊って本当にいんのか?』
ティア
『ティアマト君、今それの近くにいるんだよ』
ティアマト
『そうかぁ?』
ティアマトが首を傾げる
アカツキ
『みんな、開けるぞ』
返事はない、無言の頷きだった
俺はドアノブに手を伸ばして見るが、鍵が閉まっている
ここまで来てしまっているとは何事だと思いながらもガチャガチャしていたが、痺れを切らしたリリディが無駄に自信に満ち溢れているのでその場を譲って見ると
彼はドアをノックした
『お邪魔します、開けてもらって良いですか?』
『馬鹿かてめぇ…』
ティアマトがツッコむが…
女性のすすり泣きが止み、鍵が開いた音が聞こえたのだ
それには一同驚きまくる、肝心のリリディが挙動不審なのは一番不思議だ
お前がしたんだろうが
彼は気を取り直してからドアを静かに開けると、俺はランタンで部屋を照らす
そこはまだ家具などがあるが全てが空、床には様々なものが散乱しており、奥には大きめのベットが設置されているが、凄い汚れているので寝たいとは思わない
部屋の隅に何かいる、ドレスの様な服を着た髪の長い女性がうずくまっていたのだ
その姿を見たティアは声を押し殺しながら俺に抱き着いてくる、彼女の足は残像が発生するほどのビクつき、しかし俺はなんだか嬉しい気持ちとなる
ティアの、匂いぃ…
『変態が…』
僅かにリュウグウの声が聞こえた
聞かなかったことにしたい。そして顔も見たくはない
きっと俺を世界一軽蔑した目で見ている筈だ
リリディは息を飲み、部屋の中に入ると俺達も彼の後に続く
彼は部屋の中央付近で止まると、部屋の隅でうずくまる女性に話しかけたのだ
『綺麗なお姉さん、どうしたのですか?お困りでしたら出来る範囲でご助力致しますが?』
『指輪が無いの』
喋ったよ
幽霊に見えない、人間に見える
流石のティアもハッキリとした様子に首を傾げていた
リリディ
『指輪、それは何ですか?』
???
『結婚指輪、あれがないと帰れないの』
リリディ
『帰れない?貴方はここの人ではないのですか?』
???
『ここの人よ、昔はね』
どういう事だ、と疑問が浮かぶ
しかしそれは彼女が話してくれたのだ
???
『跡取りを作る前に病気で夫が死んだの、だから没落したのよここ』
リリディ
『なるほどですね』
???
『残った私が頑張って彼の遺志を継ごうとしたけども、地下室を見つけた時に魔物に襲われて死んじゃったのよ。指輪は地下室にあるの。あの魔物が怖くて近づけない…あれがないと成仏できない、彼に顔向け出来ないの…』
リリディ
『本当に幽霊なんですか?』
???
『幽霊よ』
リリディとの会話で彼女は顔を見せた
言葉の後に驚かせてくるのかと身構えていたけども、美人だ!!!
死んだときの姿を見せてくるかと思ったがそうでもなかった、生前の姿だ
しかし立ち上がった彼女をよく見てみると半透明だ、なるほどなと俺も納得するけどさ
幽霊なのか?
『幽霊って何だっけ?』
ティア、一先ずそれでいい
『わからない』
俺も解決しない言葉を彼女に送ると、リュウグウが幽霊に話しかけたのだ
『私達が地下に行くわ、指輪を持って来ればあの世に行けるのね?』
『指輪さえあればここを去るわ、あとは貴方達の自由に屋敷は使って』
『地下にはどう行けばいい』
『屋敷の奥に向かう廊下を進むと扉があるの、そこを開けて中に入ると応接室があるから黒い本が沢山並ぶ本棚の上の段を適当に押すと地下の道が開くわ…お願い若い冒険者さん達、彼との思い出である指輪がないと私は上にいけない』
ティアマト
『ハッキリした美人幽霊さんだなぁ、まぁ任せろや…地下の魔物片っ端からボコボコにして持ってきてやるよ』
ティアマトが胸を叩いて話すと、美人な幽霊さんは優しい顔を浮かべて答えた
???
『ありがとう、私はここで待ってる…ここが彼との日常を過ごした場所だから』
こうして部屋を出ると勝手にドアが閉じ、鍵が閉まる
いきなり閉まうドアにティアはビクンと驚いて俺に再びしがみ付く
お化けっていいなぁ
まぁしかしだ…
美人だったな本当に、リリディは凄い凝視しているから面食いの彼も良い物を見れたはずだ
ティアは先ほどよりも怖がる様子はまったくなく、普通そうである
『幽霊さん美人だったねリュウグウちゃん』
『そうね…、しかし地下まで暢気に魔物なんて倒してられないわ』
リュウグウの言う通りだな、魔力量が心配だ
出来るだけ温存はするべきだ
『このまま真っすぐ地下に行こう、敵がいたらなるべく技や魔法スキルは使用しないで倒したい、いけるか?』
俺はそう告げる
ティアマト
『あぁん?誰に言ってんだ?やれと言われたらやるしかねぇだろ』
リリディ
『僕の撲殺術で切り抜けれますよ』
リュウグウ
『私も抑えよう』
ティアは無言で強く頷いてくれた
俺達は真っすぐ向かう為に下り階段に向かうと降りた先にグールが1体いた
まだこちらに気付いていないのでティアマトに飛び掛かってもらい、頭を片手斧で叩き割って倒す
アカツキ
『んじゃいくか』
ティアマトが魔石を拾うと、俺達は1階に向かう
廊下を進んでみると言われた通り扉がある、他のドアよりも少し立派なドアだ
ランタンを片手に右手で開けると、室内は応接室らしい部屋になっている
中央には大きめのテーブル、左右には本棚が沢山設置されてあるが、一部だけ黒い本だけが並んだ本棚を目にする、あれだな
全員が中に入るが、奥のドアの向こうから感じる魔物の気配に警戒をしている様だ
アカツキ
『リュウグウとティアは奥の扉を警戒しててくれ』
リュウグウ
『わかった』
ティア
『うん』
2人に任せてから俺はリリディとティアマトを連れて黒い本棚がある場所に近寄る
ランタンを近づけてみると上の段だけ作り物感がある、下の黒い本はカモフラージュの様だな
リリディ
『下から魔物の気配が感じますね』
アカツキ
『大きい気配は無いかリリディ』
リリディ
『まだ無いです、ですが感じる気配も強い魔物ですので油断は出来ません、リッパーかもしれませんよ』
ティアマト
『そんときゃ叩き割る』
リリディ
『まぁそれが一番でしょうね』
アカツキ
『2人共、頼んだぞ』
リリディ
『灯り係のアカツキさんは暇でしたら変わりましょうか?』
リリディが気を使ってくれるが、俺は後半戦に残す為に今はランタンを持つと告げる
こうして一番上の段をティアマトに押してもらうとその段全ての本が奥に移動し、横の床が大きな音を立てて地下に向かう階段が姿を現す
その音は大きい、それによってリュウグウとティアが見ていたドアの向こうの気配がこちらに向かってくる
『無駄に五月蠅い仕掛けだな』
リュウグウが愚痴を漏らす
するとそのドアが強く開かれ、ゾンビナイトが2体姿を現した
『アー!』
『アァァァァ!』
口を大きく開け、右手の持つ錆びついた剣を掲げて2人の襲い掛かる
しかし魔物ランクはFだ
『骸骨風情め!』
リュウグウが近づいてきたところを槍で頭部を貫く
ティアは振り降ろされるゾンビナイトの剣を避けると、サバイバルナイフを素早く取り出し、それを顎に突き刺してから鎧を蹴ってナイフを抜いた
ティアは中々に動ける、流石称号持ちだ
敵はまだ動いているが頭部を破損するとゾンビナイトは動きが鈍くなる
転倒していたゾンビナイトは上体を起こすが、ティアに額を刺されて大の字に倒れると魔石を体から出す
ティアマト
『さすが称号持ちだな』
ティア
『ふふん!』
上機嫌なティアはニコニコしながら魔石を俺に渡してきた
直ぐにしまってから地下室へ向かう階段をランタンで照らすが、奥が見えない
アカツキ
『みんな、準備はいいか』
口を開くと全員が自信ある顔つきを見せてくる
聞くまでもなかったようだ
俺はティアマトと共に先頭を歩く、階段は意外と長かったが下まで行くとまるで炭鉱のような洞窟をなっていたんだ
そして魔物の気配も俺にも感じる、結構な数だが全てを相手していてもキリがない
そこから奥を眺めていると階段上から大きな音が聞こえる、閉じた音だと直ぐにわかる
『閉じ込められたか?』
リュウグウが口を開く
ティアは階段を登ろうと1段目を踏むとそこが僅かに沈み、再び階段の上から音が鳴り響く
ティア
『あ・・・こうやって出るんだね』
ティアマト
『てぇことはだ…こっから魔物が上に上がったんだな』
アカツキ
『そういう事だろうな、先ずは進もう』
俺は真っすぐ進む洞窟を歩き始める
意外と広い、幅は5m程くらいで天井は3mだ
奥からは呻き声が聞こえるが、ゾンビナイトの声だと直ぐにわかる
《兄弟、お化け屋敷は楽しいかい?》
『唐突に起きるよなお前』
《喋るのも疲れるからな》
『それに…いいのか?スキル使って?』
俺は当初、ティアがリュウグウを誘おうとしたのを考えたんだ。
他の人にこのスキルを見せたら不味いと思ったからだ
ティアもそれは忘れていたらしいけどね
だがしかし
《大丈夫さ、あの槍女は安全だ…むしろ兄弟には良い兆しになる》
『何故だ』
《まぁそのうちわかる、普通に俺を呼べよ?食いてぇから》
『どんな魔物だ』
《…》
『おい…』
寝たな
『何を独り言を言っている』
リュウグウが目を細目ながら口を開いた
皆は理由を知っているが知らないフリをするために俺から視線を外してくる
『……怖いから会話ごっこ』
『変わった奴だ』
やったね、誤魔化したが
なんだか悲しいよ…
歩いていると広い場所に辿り着くが、まるで地下の聖堂のような光景が広がっている
ランタンの灯りが無くとも明るい理由は周りの壁や天井から顔を出している発光した石のおかげだが
これは何だろうか、俺にはわからないが光る石なんてあるんだな…
地下にこんな場所があるなんて誰が想像していたか。
左右の長テーブルは無残に壊れており、座れそうにもない
奥にある祭壇の上の銅像は根元から折れていて、なんの銅像だったかわからないな
俺はランタンの灯りを小さく調整し、魔物の気配がかなりするこの一帯を見回した
上を見上げてみると尖った岩が天井にいくつもある、落ちてきたら怖いぞこれ
リリディ
『凄い場所ですね、祭壇の横にドアがありますがその先に大きな気配を感じます』
ティア
『だけどその前にここら一体から凄い魔物の数の気配だよ』
アカツキ
『感じているのに何もいないな』
するとリュウグウは周りの地面を見つめながら、槍を構えて話し始めた
『いるぞ、気をつけろ』
『どこだぁ?』
ティアマトが片手斧を担ぎながら問うと、彼女は答える
『地面の中だ』
それと同時に周りの地面から骸骨の腕が現れ、ゾンビナイトが這い出てきたのだ
奴らだけじゃない、グールも少数いる
ティア
『いぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁ!!』
ティア!抱き着くな!お胸が!お胸が!
多分魔物ランクCくらいの胸!いや違う!落ち着け俺!
リュウグウ
『変態が…』
ティアマト
『コントしている暇じゃねぇぞ!』
アカツキ
『くっ!一旦下がるぞ!数が多い!!!』
囲まれないように入口近くまで退いて武器を構えると、地面から出て来たアンデット系の魔物達は静かにこちらに体を向け、呻き声を上げる
『アァァァァ』
『カカカカ!カカ!』
『アァ!』
『ァァ…アァァ』
数はざっと20はいるだろう
かなり手厳しいが、正面からだけならばなんとかなるかもしれない
アカツキ
『通路で戦う!』
リュウグウ
『それが一番ね、囲まれたら速攻で全滅するわ』
ティア
『ふわぁぁぁぁぁ!お化け屋敷だぁぁぁぁ!』
ティアだけはビビッている
ここじゃ駄目だ、全員で下がるとアンデット達は大声を上げて襲い掛かってくる
俺はランタンの灯りを調整して強くすると、それを左手に持ち右手で刀を構えた
通路なら正面だけ、いける
『ティアマト!リュウグウ!ゴリ押せ!リリディとティアは援護術メインで』
全員が強く頷く、ゾンビナイトが口を開けて走り込んでくると、ティアマトが攻撃を避けてから顔面を殴って破壊し、近くのゾンビナイトの頭部に片手斧を叩きつけて地面に鎮める
『突風!!』
リリディの術によって正面に強い風が発生し、ゾンビナイトやグールはバランスを崩す
その隙を見計らったティアはラビットファイヤー、リュウグウはティアの放たれる魔法に追従しつつ槍で魔物の頭部を貫き、俺は刀で首を刎ね飛ばす
『カカカカ!』
『五月蠅いグールですね!』
リリディは飛び込んで来たグールを木製スタッフで胴体を殴り、壁に叩きつける
そして直ぐにティアマトが顔面を片手斧で叩いて倒す
『でぁぁぁぁぁ!』
リュウグウは槍を巧みに使い、目の前のゾンビナイトの頭部を狙って1体2体と倒していくと、ティアマトもそれに続く
『突風!』
再びリリディが発生させた強風によってゾンビナイト達が足元をふらつかせると、リュウグウとティアマトそして俺が徐々に前に前進しながら敵を倒して進む
ティアはラビットファイアーで複数巻き込んで敵を燃やしているが、アンデットにはかなり有効だった。
1体が燃えていると暴れるのだが、そいつがその拍子に別のゾンビナイトに触れると燃え移るからだ
『アァァァァァ!』
俺は近くのゾンビナイトの振り下ろす剣を刀で弾くと、腹部を蹴って転倒させる
『しゃぁ!!』
それをティアマトがトドメを刺すのだ
アカツキ
『助かる、ティアマト!』
ティアマト
『任せな!、あと9体だ!』
リリディ
『気を抜かないでくださいね皆さん!』
俺、ティアマト、リリディが口を開くとティアが元気よく返事をする
グールがリュウグウに飛び込んできたが、リリディは突風でそいつを空中でバランスを崩させ、リュウグウは槍で頭部を貫いて倒す
即席のメンバーだがそれでも俺のチームの援護を上手く使ってくれているのは頼もしい
リュウグウ
『助かるぞメガネ』
リリディ
『リリディです』
リュウグウ
『次来るぞメガネ!』
リリディ
『好きに呼んでください!突風!』
彼は諦めた、彼の放つ突風で敵が転倒している隙にティアマトとリュウグウは一気に前に飛び出して蹂躙していく
俺はあまり倒していないが、皆を見て思う事があったからだ
この光景をなんだか心地よいと感じたんだよ、冒険者という人生をしている気分だ
緊迫した状況なのに、武者震いがする
みんな強くなった、そう感じるには十分すぎるな
ティア
『せいっ』
最後の1体はティアだ、彼女はゾンビナイトの剣の突きを避けると懐に潜り、サバイバルナイフを頭部に突き刺し、抜いてから素早く軽く跳躍すると
なんとドロップキックで吹き飛ばしたのだ。
リリディはそれにはヒュ~、と口笛を鳴らす
当然ティアは背中から地面に落下すると、痛そうにしながら立ち上がる
俺が背中の土をほろうと、彼女は苦笑いしながら口を開く
『あはは・・ありがと』
『ファンキーだなティア、どこで覚えたそれ』
『お兄ちゃん』
ティアマトとリリディは変に納得している
リュウグウはその間、周りを警戒していたが、全ての気配は消え、ゾンビナイトやグールの体から魔石が出ていた
リュウグウは微笑みながら槍を地面に立てて口を開く
リュウグウ
『こういうのも悪くはない』
アカツキ
『どういう事だリュウグウ?』
リュウグウ
『気にするな、それよりも魔石を回収し…あっ!』
リュウグウは目を光らせた、それもそのはず
奥で倒れるグールの魔石が発光しているからだ。
全員でその場に向かい、手を伸ばすとスキルはドレインタッチだとわかるが、これはリリディに持つ技の強化に使った方が良いと俺は考えた
しかし肝心のリリディはそれを選ばなかった
『リュウグウさん、欲しいのでしたら差し上げますよ?』
『なんだと?メガネのスキルレベル上げに普通使うべきの筈よ』
『貴方は欲しくないのですか?これは技が当たった際に相手の体力を僅かに奪う技スキル、継続戦闘が可能となる…、ソロの貴方に丁度良いスキルです、ソロだからこそチームで戦うよりもより疲労が感じるでしょう?』
『だが…』
『そのかわり今回は全力で働いてもらいますよ、この先にいる魔物は強敵ですから』
『…変わった奴ね』
『早くしないとスキルが消えますよ?』
『わっ…あわわ!』
リュウグウは慌てて発光する魔石を掴むと光を吸収した
それは直ぐに終わり、立ち上がる彼女はとても良い顔をしていたよ
貴重なスキルをそう使ったか、リリディ
『それがあれば今後のソロも先が見える筈、お金では買えない報酬ですが…永いスパンを考えれば今回は良い依頼だと思いませんかリュウグウさん』
『メガネめ、今回はお礼を言う…ありがとう』
リリディは口元に笑みを浮かべ、スタッフを担ぐ
一先ずは一段落だ。
先ほどの聖堂に向かうと1体のゾンビナイトだけが突っ立っている、きっと地面から出てくるのが遅かったのだろう
『アァァァァ』
『うるせぇ』
ティアマトが逆に襲い掛かり、ゾンビナイトが動き出す前に片手斧を振り下ろして頭部を破壊した
これでオッケーだな
リュウグウの顔を見ると、凄いほくほくした様子だ…よほど嬉しかったのか?
『ティア、大丈夫か?』
『私は大丈夫だよ、アンデットだし…アカツキ君はランタン係楽しい?』
『楽しいと思う?』
『あはは』
彼女の笑い声は聖堂に響き渡った
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