第21話 動き出す歴史

・・・・・

アカツキ・ライオット


☆アビリティースキル

スピード強化【Le2】

気配感知【Le1】


☆技スキル

龍・開闢【Le1】

居合突【Le2】


☆魔法スキル


称号


・・・・・・・・・・

リリディ・ルーゼット


☆アビリティースキル

打撃強化【Le2】

気配感知【Le2】

麻痺耐性【Le2】



☆技スキル

ドレインタッチ【Le1】

骨砕き【Le1】


☆魔法スキル

風・突風【Le2】

風・カッター【Le1】


・・・・・・・・・・・

ティアマト・ウロボリス


☆アビリティースキル

斬撃強化【Le2】up↑

気配感知【Le1】

毒耐性【Le2】


☆技スキル

連続斬り【Le3】

鬼無双【Le2】


☆魔法スキル


称号


・・・・・

ティア・ヴァレンタイン


☆アビリティースキル

安眠  【Le1】

気配感知【Le1】


☆技スキル


☆魔法スキル

火・ラビットファイアー【Le2】

雷・ショック【Le2】

木・スリープ【Le2】

風・ケア  【Le1】


称号

パナ・プレイヤー


☆称号スキル

デバフ強化【Le1】

自然治癒【Le1】

スピード強化【Le1】


・・・・・・・・





俺達は顔を真っ青にする、いつからそこにいたと

クローディアさんは俺の首根っこを掴むとそのまま近くの部屋に連れて行く

初めて入った部屋だが応接室に近い感じがする、大きなテーブルが中央にあり、それを椅子が前後に設置されているのだ


近くの椅子に座らせられるとクローディアさんは真剣な顔を浮かべ、両手を俺の肩に置いて話してきたのだ


『いつから?』


『忘れました』


『正直に答えないとその時が来れば死ぬわよ』


『約一か月前…かな』


『全て話しなさい、この事は私以外には話さないわ』


俺の両肩を握るクローディアさんの力が強い、これは絶対逃げられないと悟った俺はこの人に全てを話したのだ、テラ・トーヴァの名だけは伏せてだ

話している時の彼女は頬杖をついてただただ俺の言葉を耳に入れるだけ、黒龍の事を話した時は驚いていたがその表情も直ぐに真剣に戻る


『…という経由ですが』


『やっぱり聖騎士がいっていた黒い龍の目撃は本当だったのね、しかも瀕死の奪宝ゼペットだけどもササヴィーにやられて逃げて来た様な言い草ね、魔石はちゃんと隠してる?誰も教えてない?』


『チーム内しか知りません』


『それで良し!絶対誰にも教えちゃ駄目、特に騎士職にはね…』


クローディアさんは椅子に座ると額を抑え、溜息を漏らす

何か知っているのかと聞いても『それは知らない方が良い、バレなければゼペットが奪い返しに来るまで平和に過ごせるわ』と答えるが、人間もこのスキルに関しては知っている者は騎士職には多く、王族も知っているからバレればどういう運命になるかわからないと言うのだ


怖いから黙るしかない


『最近イケイケなのは貴方のそれのせいね、でも…』


『はい?』


『開闢はゼペット専用のスキルじゃないのね…一体だれが親なの』


『わかりません』


『そう、…でも龍が見つからなかった理由がわかったわ、貴方が関与してたなんて』


『俺はどうすればいいんですか』


『強くなりなさい、あれが転生術で復活して襲ってきたらこちらで仲間を作って対抗する…誰にも教えずに冒険者稼業してなさい、これからのランクに上がる時はステータス確認の査定があるけども、それは職員じゃなくて私がするから安心しなさい』


クローディアさんはそう告げるが、俺はこの時スキルが生きている事を話していない

テラ・トーヴァとの約束事だからだ

もしスキルがバレたとしても、存在をバラすな、である


『貴方達のスキルは見たけど、…ティアちゃん凄いわね、あれ貴重だから他のチームに引き抜き去れないようにしなさいよ?』


『クローディアさんでも凄いって思います?』


『ケサランのスキルであるケア、あれは魔物そのものの出現が幻なのよ…回復術持ちなんて金貨100枚出してまで引き抜きしたいって思う冒険者は都会に行けばいるわ』


この人がそういうのだから凄いスキルなんだ、俺でも回復術は持っている魔法使いがごく僅かしかいないのは知っている。


でも少し俺は安心した、この人は悪い様に俺をしないからである

俺だけ緊迫した様子を見せていたがクローディアさんは困った顔を見せてくる


ふとドアが僅かに開いたのを俺とクローディアさんは聞こえ、視線を向けるとそこには俺よりも緊迫した面持ちで顔を覗かせる仲間達だ


『大丈夫よボコボココンビ達、でも絶対誰にも言っちゃ駄目…これは人間を兵器に変えることが出来る、いわば最強のスキルなんだから』


クローディアさんは仲間を招き入れ、椅子に座らせる

この部屋の奥にもドアがあるがあそこはきっと職員部の事務室に繋がっている筈だ、受付の後ろのね


周りを観察していると再びクローディアさんの溜息を漏れる


『あんた何者なんだ?』


ティアマトが質問をするとクローディアさんは笑顔で答える


『乙女のプライベートを聞くの?彼氏以外教えないわよ?』


『…』


『それで良し、それでだけどね…貴方達のステータスを見る限り、もう少しDランクの魔物相手に頑張りなさい、E以下からドロップしたスキルはレベルを上げないと駄目、D以上になると誰でも必要なスキルが揃う筈だしそれまでは今あるスキルのレベルを上げときなさい、そのうち今の保持スキルのうち、レベルが高くても手放すスキルが出てくるでしょうけど』


『やっぱ魔物のランクが高いとその分保有してるスキルも高いのですか』


『その通りよアカツキ君、術も技も強力だしアビリティースキルだって強化系を持つ魔物が多いの、それを貴方達は皆が苦労して沢山倒す作業を1回で終わらせる馬鹿げたスキルなの、んで今後の予定は?』


『…明日はグランドパンサーです』


『なんのスキル持ってるかわかる?アカツキ君に丁度良いわよ?刀だし』


『わ…わかりません』


『刀は珍しい武器、攻撃速度が速いのを活かせる動体視力強化よ?そのスキルを手に入れなさい、んで倒してそのスキルレベルは3に絶対しなさい、そうすればDの魔物も貴方のスピード強化のレベルで全て避けれるわ』


こうして俺達はクローディアさんから解放され、冒険者ギルドを後にする

夕方までまだあるが、飽く迄今日は休日、今のうちに家でゆっくりしようという事になったんだ


平和なグリンピアの商店街、両脇では露店で果物や衣類そして武器を売ろうと活気ある声で客引きする人たちの声でこの場は溢れかえっている


それを眺めながら、俺達は歩いている


『よかったぜ、アカツキが食われるかと思ってたんだが』


『おやおやティアマトさん、それは凄いとんでもない意味に聞こえますよ?僕らはまだ19歳』


『このエロディめが』


『言いましたね?』


『も~』


ティアが2人の会話に呆れた声を上げる

知り合いの冒険者などとすれ違い、挨拶しながらも住宅街まで行くと水路の上の橋で近所のおばさん達が下を見下ろして困り顔をしていたのだが俺達は近づいてみると聞く前に橋の下の下水道からグールに似た鳴き声が僅かに聞こえてくるが…まだ何か下水道の下にいるのか?


『あらアカツキ君、それにリスタルトさんとこのリリディ君も』


『どうしたのですか?』


『下からいつもの呻き声が聞こえたかと思ったら普通に魔物の声がしてねぇ、今気づいたばかりだしシグレ君を呼んでる途中なのよ』


『そうですか、それなら…』


俺はシグレさんに任せようとする言葉を口にしようとした瞬間、橋の下の下水道から魔物の咆哮が聞こえたのだ、Eランクのグールにしては図太い声だ…違う

もっと別の、魔物の声だ


俺は皆を見ると無言のまま、口元に笑みを浮かべてくるので俺の指示を期待して待っていると感じられる


『行こうか』


おばさん達には先に調査しますと告げ近くの小屋から松明を持ち出す、以前リリディと中を探検した下水道の中に足を踏み入れる事にしたのだが今回俺は松明役で前を歩く


比較的に広い下水道の中心には1mほどの水路が流れている、いつもいる角鼠がいないのが不思議だ


すぐ後ろにティアマトを置いて静かに前を歩いていくと、とうとう外の光りも届かない場所まで進んだ



壁は薄汚れていて触るのも勇気がいる、そこまで狭くないから息苦しさはあまり感じさせない

しかし奥から魔物の気配をリリディが先に感じた


『いますね、気を付けましょう』


手強い、か…

ティアマトは顔を見るだけで不気味な笑みを浮かべているので何をしたいかわかりやすい

魔物と対峙したら俺は彼を前に出すだけでいい、あとはリリディとティアの援護があるからな


『うわ…』


ティアが声を漏らす、床は赤い血が何かに引きずられたかのように跡が残っている

人間じゃないとしても雰囲気が怖い、今でも奥の方から不気味な鳴き声が聞こえるのだ、喉を鳴らすかのような鳴き声、俺達にもその気配が感じ取れる距離まで来ると松明を前に出して奥を照らす


すると壁を見つめたまま、ブラブラと腕を振って鳴いているアンデット系の魔物がいたのだ

ゾンビナイト、騎士の様な鎧をしているが頭部は丸裸、鎧も、片手剣も朽ち果てた様子が伺える


体を揺らし、空気の混じった声で鳴いている魔物にティアマトは俺を横にどかし、片手斧を構えると口を開いた


『よう騎士公、お家探しか?』


彼の声で首だけをこちらに向けるゾンビナイトは不気味だ、だがFランクだし問題ない

大きな叫び声をあげるそれは、口を開けながらこちらに走って来たのだ

俺は身構え、同時に後ろからリリディとティアが前に出てくると先に彼らが仕掛ける


『ラビットファイアー!』


ティアの火属性の術が5つの火の弾となり、襲い掛かるゾンビナイトに撃ち放たれた


『アァァァァァァ!』


ゾンビナイトは左腕の手甲を前に出し、ガードしながら突っ込んでくるが意外と利口だ

アンデット系は火に滅法弱い事は有名過ぎる、そして今回の相手は俺達にとって状況が良い、避けるスペースは狭いからな


ゾンビナイトはティアの火術を腕の手甲で受け止めるがそのせいで腕が燃え始める


断末魔に近い声を上げながらティアマトの前まで迫ったゾンビナイトは剣を突き出すがティアマトが連続斬りで突き出して剣に片手斧を2回ぶつけ、弾く


『カッター!』


リリディは円盤状の風の刃を回転させながら、右腕の付け根に向かって飛ばすとゾンビナイトの腕は吹き飛び、奴はバランスを崩す


『防音対策されてねぇ場所で住もうとしてんじゃねぇぇぇ!』


ティアマトがその隙に叫びながら拳で鎧をぶん殴り、鎧を破壊するがそれで良い

ゾンビナイトはティアマトの攻撃により、尻もちをついたのだからな



『開闢(カイビャク)!』


俺は開いている手で少し引いた刀を勢いよく納刀し、甲高い金属音を響かせると鞘から瘴気がドッと噴き出し、中から黒い騎士が現れると立ち上がろうとしたゾンビナイトに向かって刀を素早く振って縦に両断したのである


ゾンビナイトの体から発光した魔石が出てくると同時に、黒い騎士はこちらに振り向くと、左手を腰付近で親指を立てて見せた、テラ・トーヴァよ、何してんだよ

俺達は驚くが直ぐに黒騎士は黒い煙になって消えると直ぐに発光する魔石に全員が近寄って手を差し伸べてみる


『ゾンビナイトも斬撃強化持ってたか』


『これは驚きです、まぁ剣を持っているし納得はし易いかと』


ティアマトとリリディが話すと俺は続けて口を開く


『ティアマトの強化に使えばいい』


『いいのかよアカツキ?お前さんも刀だし必要だろうが』


『そのうち手に入れるけども、そのかわり皆を守ってくれよ?』


ティアマトは呆気にとられた顔を見せると直ぐに苦笑いを浮かべ、俺の肩を軽く叩いてから魔石に触れて光を体に吸収し始める

終わった後の彼のステータスは…


・・・・・・・・

ティアマト・ウロボリス


☆アビリティースキル

斬撃強化【Le2】up↑

気配感知【Le1】

毒耐性【Le2】


☆技スキル

連続斬り【Le3】

鬼無双【Le2】


☆魔法スキル


称号


・・・・・・・・


『俺に任せろや』


ティアマトは嬉しそうにしたまま、自身の胸を強く叩く


『しかし予想が外れました』


『どうしてリリディ君』


『僕はティアマトさんが称号を取れるかなと思ったのですが、違ったらしいです』


『あぁん?そんな簡単じゃねぇだろ?』


『ナイトは確か斬撃技スキル…ああそうでしたか、鬼無双は体術でしたね』


『条件知ってんのか?』


『うろ覚えです、斬撃強化レベル2の人がナイトの条件に入っているのは覚えてたので。まぁ後は斬撃系の技スキルの保有数で決まる筈ですがまだ1つだけですね』


『そのうちさ、まぁ焦る必要はねぇ』


俺達は彼の言葉を聞いた後、立ち上がったのだがそこで背後からあの人の声がかかる



『あれ?俺必要なかったみたいだな』


俺達は振り向くとそこにはパンツ一丁のシグレさん、右手には鉄の棒が握りしめられているが、あれで人様に迷惑かける人間を殴り倒すのか…痛そう

ティアは兄の姿に呆れた様子だがシグレさんの肉体は凄い引き締まっている、スリムな体なのに服の中にはそんな凶器が隠されていたのか


『すみませんシグレさん、勝手な事をしてしまいましたね』


『なぁに、気にしてないよリリディ君、怪我無くて良かったさ、そういえば母さん特製カレー完成したよティア、父さんもさっき帰って来たし俺達も帰るぞ』


『あ!うん!』



その場を出るとシグレさんは野次馬のおばさん軍団に軽い説明をし、ティアを連れて帰る


『俺も帰るぜ、サンキューなアカツキ』


『その分頑張れよ』


『それ以上に頑張るぜ』


『でも僕も帰ります、明日会いましょう』


『リリディもまたな』


こうしてみんなと別れるが魔石は俺が一先ず預かる事にしたよ、俺は歩いて帰ると道の向こうからとんでもない人物が歩いて来た

妹のシャルロットである。外にあまり出ない俺の妹の足取りは震えている、キョドリまくりで不審者の少女でしかない


『!?』


俺の姿を見つけると素早く俺にくっついてくるのだが、どうやら外はまだ慣れないみたいだ


『なんで外出た?』


『アカ兄ぃ、心配で』


『いるから帰ろう』


『うん』



妹を連れて帰ると空が赤くなっていく、夕方だ

家に入るとまだ父さんは帰ってきておらず、台所から母さんがリビングに来た俺達に顔を覗かせるとクスクス笑いながら台所に戻り、声だけが聞こえて来た


『シャルロットが迎えに行くって言うから止めたんだけども聞かなかったのよ?』


『止めてよ母さん、凄い不審者がいると思ったら自分の妹だったよ』


台所から母さんの笑い声が聞こえる

シャルロットは頬を膨らませて不満を見せつけているが頭を撫でると直ぐにおさまる


『母さんの手伝いしてきな』


『うん』


シャルロットから解放された俺はそのまま部屋に戻ると着替えを持って風呂に入り、汗を流してから部屋に戻る

ベットで横になると少し眠くなるがまだ飯を食べてないからまだ寝れない


《ビビッたぜ兄弟、あの女にバレたら不味いと思ったが予想よりわかる女だったなぁ…》


『俺だって脳が機能停止しそうだったよ』


《はっはっは!昔よりあいつ丸くなってくれて助かったぜ》


『ん?今なんて』


《あっ!…兄弟っ!俺はねね寝るぜっ!》


『ちょ、待て…』


テラ・トーヴァの声がそこから聞こえなくなる

あいつ…まぁいいか

気づけば外が暗い、俺はベットから飛び起きると窓から外を眺める

警備兵が2人、楽しく会話をしながら道を歩いていく


平和な場所だと思いながらも外を見ていると父さんが警備兵姿で帰っているのを見て、俺はリビングに降りる事にしたよ





・・・・・・・・・・

※3人称





同時刻、グリンピア冒険者ギルトの応接室にてクローディアはしかめっ面でテーブルの向こうにいる者を見ていた

彼はマグナ国聖騎士長ロイヤルフラッシュ、現時点での国内最強と言われる男である

そんな彼は大きな斧を担いだまま椅子に座っているが、多少武器の重さで椅子が軋む音が静かなこの部屋に響き渡っていた

どちらも口を開く様子はない、ロイヤルフラッシュ聖騎士長の背後には聖騎士2名

リゲルにクワイエット、アカツキ達に泥を塗った聖騎士が1人混ざっていたのだが、情報では聖騎士は全て撤退したと言っていたが彼らだけは一度戻って来た



『俺はもう一つの仮説を立ててみた』


ロイヤルフラッシュ聖騎士長はそう告げるとクローディアは睨んだまま、彼の話を聞く


『何が言いたいの黒男』


『貴様、ロイヤルフラッシュ聖騎士長になん『やめろクワイエット』…わかりました』


彼は部下を止めると溜息を漏らし、話し出す


『奪宝ゼペットなのは間違いない、行方を追ってきたが違うところに逃げた可能性が高く、俺達は別の森に足を運ぶために撤退しようとしたが、俺の仮説はこうだ・・・もし奴が死んでいたら?魔石がどこにある?』


『凄い仮設ね、何一つ痕跡ないのよ?私でも諦めるけど』


『痕跡を残す馬鹿はおらぬまい、龍の魔石だぞ?売れば金貨500枚はくだらない品物を足がつきやすい売るといった行為をすることも無いだろう?可能性はかなり低いがゼペットは転生術スキルの恩恵のせいで肉体は残らぬ…魔石だって誰かが隠し持てば痕跡など残らんだろ?なぁ流星のクローディア』


『昔の呼び名でもう一度言ったら今度は頭吹き飛ばすわよ?私は龍の魔石なんて見つけたら破壊するわね、そんなのがあるから人は平気で人を殺すのよ、そんなのいらないわ、』


リゲルとクワイエットは彼女の言葉にギョッとするがロイヤルフラッシュ聖騎士長だけはそれに対し、大きく笑って見せた

過去にどのような関係だったかは誰も知らない、しかし関係があった事だけは付き添いの騎士2人は気づく


『…時がたてば戻れない、悲しいことだなクローディア副ギルド長…』


『私は嫌ね、今の方が楽しいわ』


『くふふ、お前はそうだろうな…しかし歴史は繰り返してはならぬのだ』


するとロイヤルフラッシュ聖騎士長は立ち上がりクローディアに背を向けるとそのまま彼女に口を開いたのだ


『丸くなり過ぎだぞ』


『振り向いた瞬間吹き飛ばすわね』


『御免蒙る(ゴメンコウム)、しかしお前にとって朗報もある…来月からお前がギルド長だ』


『やっとなのね』


『またな、旧友よ』


『さよなら泣き虫、貴方も変わったわ…残念な方にね』


『…フッ』


ロイヤルフラッシュ聖騎士長は鼻で笑うと部下2名を連れて部屋を出ていく

クローディアは暫くドアを見つめるとそのまま勢い良く椅子に座り、溜息を漏らす

天井を見上げ、テーブルに立てかけた鉄鞭に触れると彼女は口を開いた


『龍の魔石を使って何をする気なのロイヤルフラッシュ、それを手にしても戻ってこないのよ…』


クローディアは、切ない面持ちで昔の彼を思う

それと同時にグリンピア冒険者ギルドを外から部下と共に見上げるロイヤルフラッシュ聖騎士長は小さな声で口を開いた


『黒騎士か、まさか貴方様ではあるまい…そうだとしたら俺は貴方を殺さねばならん』

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