第16話 今の俺達では勝てない
アカツキ・ライオット
☆アビリティースキル
スピード強化【Le2】
気配感知【Le1】
☆技スキル
龍・開闢【Le1】
居合突【Le2】up↑
☆魔法スキル
称号
・・・・・・・・・・
リリディ・ルーゼット
☆アビリティースキル
打撃強化【Le2】
気配感知【Le1】
麻痺耐性【Le1】
☆技スキル
ドレインタッチ【Le1】
☆魔法スキル
風・突風【Le2】
風・カッター【Le1】
称号
・・・・・・・・・・・
ティアマト・ウロボリス
☆アビリティースキル
気配感知【Le1】
毒耐性【Le1】
☆技スキル
連続斬り【Le3】
鬼無双【Le1】
☆魔法スキル
称号
・・・・・
ティア・ヴァレンタイン
☆アビリティースキル
安眠【Le1】
気配感知【Le1】
☆技スキル
☆魔法スキル
火・ラビットファイアー【Le1】
雷・ショック【Le2】
木・スリープ【Le1】
称号
・・・・・
次の日、俺はみんなと共に森の中に向かったが冒険者稼業だ
『ゴブッ!』
周りは木々で覆われている場所で俺達が相対しているのはハイゴブリン1体とゴブリン1体
ゴブリンはティアに任せているが彼女でも十分対抗できるぐらいには強いから大丈夫だ
奴は右手に持つ木製の棍棒を振りかざし、襲い掛かってくると俺とリリディが突っ込む
『賢者バスター!』
振り下ろしてきた棍棒に彼は頑丈なスタッフをフルスイングし、弾いて仰け反らせると俺は刀でハイゴブリンの太腿を切り裂いて通過する
それによって奴は痛みで片膝をつくがその隙にすぐ後ろからついてきていたティアマトが片手斧を振り上げると不気味な笑みを浮かべ、顔を上げるハイゴブリンに話しかけた
『あばよ、連続斬り!』
素早くバツの字でハイゴブリンの胸部を斬ると赤い血を流し、ハイゴブリンは倒れていく
『ゴブブブブブ!』
ゴブリンもティアのラビットファイアーによって体が燃えている、暴れながら周りの木々に体をぶつけているが消す事が出来ず、力尽きると前のめりに倒れていったのだ
『スキル付き出ないね』
ティアが残念そうに言うがちょっと俺も残念
『まぁ仕方ねぇ、1%だしよ』
『そうですよ、焦らず行きましょう』
『そだね、あ…』
ティアが右側に顔を向けると俺も魔石2つを回収し、同じ方向を見る
ウッキー!とか元気な鳴き声を上げて格闘猿が2体姿を現したのだ
『僕達は人気者ですね』
リリディはそう告げるとスタッフを担ぎ、溜息を漏らす
今日は一度も開闢の声を聞いていない、寝ているのか?まぁ必要な時に話しかけてくるはずだし今は彼の存在は考えるのをやめておこう
『俺とティア、んでリリディとティアマトで1体ずつ対応』
『熊さんとですか、止む負えません』
『先にお前を討伐するかぁリリディ?』
『2人共、変に仲いいんだから…』
ティアが笑いながら2人に言い放つ
直ぐに格闘猿を倒し終えると遠くで聞き覚えのある鳴き声が聞こえてくる
『フワッ!フワーー!』
それは森全体に響き渡る、誰もがその声に驚愕を浮かべ、顔を見合わせる
『ケサランちゃん!』
『おいティア!』
ティアは慌てた様子を見せると一目散に声の聞こえたケサランの住む花畑に向かったのだ
俺達も直ぐに彼女を追いかけ始めるが場所はそう遠くない、甲高い鳴き声だから聞こえたんだけども数分あればそこに辿り着ける
ティアの背中に追いつくが彼女は必死に走っている
俺達は速度を落とし、息を整えながら彼女と共に花畑に向かうのだがそこに辿り着く前に進行方向からフワフワとケサランが俺達に向かって飛んできたのだ
明らかに弱っている、ティアが両手を伸ばすとケサランは彼女に手に止まり、弱々しさを見せている。
見ただけで怪我をしているのがわかるがモフモフの綿の様な姿が多少削られている、まるで何か鋭利な刃物で斬られた様な感じにだ
『ケサラちゃん…』
『ひでぇ、誰だ一体』
『魔物の気配はまだないですが…はて、』
花畑迄もう少しの場所、しかし魔物の気配などしない
何故だろうと考えているとその答えが向こうからやって来たのだ
『おいどこに逃げた』
『あんま奥行くなよ、怒られるから』
『大丈夫だって、バレなきゃいいんだ』
会話しながら現れたのはなんと聖騎士だ
鎧の縁が赤でラインがかり、腰マントには国のマークである龍の刺繍が施されている
ケサランがいると知って金になると思ったのだろう、魔石となるとかなり高価だからだ
『あっ、助かるぜ~、追いかけてたら見失ってよ』
何かが可笑しい、俺はそう思いながら笑ってティアに近寄る聖騎士に不満を募らせたまま彼女の前に立った
ティアもケサランを胸元に抱きかかえるようにして隠すと聖騎士は立ち止まり、首を傾げる
『うん?どうした、早く渡さんか』
『どうしてだ』
『先に見つけたのは俺達だぜ?まぁそっちに正当な理由があってもこっちは聖騎士だ、逆らうとどうなるか・・・わかってるな?』
その言葉に俺は落胆した、これが俺の国を守る騎士だと言うのかと
確かにケサランは魔物だ、倒す理由にもなるが…
俺は感情論なのかもしれないが何故か先ほどの言葉が酷く許せなかった、ケサランに対しての言葉ではなく、聖騎士として発する言葉なのかと
『いや』
ティアが小さな声で囁く
聖騎士は2人、奥の奴は周りを見渡して挙動不審だが目の前にいる奴はあからさまに堂々としている
彼は俺達を見回すと少し小馬鹿にしたような笑いを浮かべ、話しかけて来たのだ
『こっちは暇じゃないんだ、早く渡してほしいなぁ』
『悪いが無理だ』
俺は即答してしまう、彼は面倒臭そうな顔を浮かべると頭を掻きながら溜息を漏らす
『いいの?任務中の妨害で報告されたら君らどうなるかわかる?』
なにが任務だ、さっきの会話聞いてたぞ
俺だけじゃない、仲間も聞いていたんだ
どうすべきか正直俺は悩んだ、渡さないのは正当なのかどうか、しかしその答えはティアマトが選んでくれたんだ
彼は後ろから目を細めて歩いてくると、俺の隣で片手斧を担いだまま首をゴキゴキと鳴らして目の前の聖騎士に口を開いた
『奪ってみろよ外道騎士』
彼は本能に素直な友達だ、嫌な事は嫌と子供の様に口に出せる男だ
きっと先ほどの会話から色々考え、彼にも許せない何かの理由を見つけたのだろうな
俺は少し安心した、俺だけじゃないんだって
『あっそ』
『!?』
聖騎士は軽くそう告げると腰につけた剣を素早く引き抜く
それは俺達にとって反応することが極めて難しく、完全に出遅れる形となる
相手は国内でも聖騎士という上位騎士、エリート中のエリート集団なのだから俺達が叶う筈もないことを今の一瞬で思い知った
しかしティアマトは間一髪片手斧を体の前に出し、ガードを間に合わせるが容易く片手斧を弾かれ、その隙に懐に潜り込まれると腹部を殴られ、彼はその場に蹲(ウズクマ)った
俺も勝手に体が動き、刀を抜こうとするが刀を握った瞬間に聖騎士の左手がこちらに伸びてきて俺の右手首を強く掴んで阻止してきたんだ、早過ぎる
『賢者バスター!』
リリディも飛び込みながらスタッフを振り上げると叫びながら両手で握りしめているスタッフを聖騎士に振り下ろす
『駄目、単純』
聖騎士は俺の右手首を無理やり動かして刀を強引に抜かせると左手に持つ片手剣とバツの字を作り、彼の攻撃をガードしたのだ
俺は手首を掴まれたままでバランスを崩してしまうが、なんて力だよ…これが聖騎士か
『!?』
『聖騎士舐めないで?』
驚きを浮かべるリリディに聖騎士が口元に笑みを浮かべて言い放つとリリディのスタッフを弾き返してからそのまま回転し、彼を蹴り飛ばしてから直ぐに俺を一本背負いして地面に叩きつける
呼吸が出来ない、酷く苦しい
しかしそれでも藻掻く者が俺の視界にいる、ティアマトだ
彼は聖騎士に飛び込むと腹部に体当たりするが押し倒す事は出来ない、受け止められたのである
そのままローキックで再び腹部を蹴られたティアマトは苦痛を浮かべるが離そうとしなかった
吹き飛んでいたリリディもスタッフを持って聖騎士に襲い掛かり、俺も刀をミネウチにして脇腹を狙うが奴は体重が重いティアマトを片手だけで引きはがすとこちらに投げ、俺はティアマトと共に吹き飛んでいく
『遅いよ雑魚』
リリディはスタッフの攻撃を避けられ、裏拳で顔面を叩かれると前屈みになる、そのまま聖騎士は足で蹴って彼を吹き飛ばしたんだ
ティアは後ろでケサランを守りながら見守っているが、彼女の願い通りに守れそうにない
ティアマトはもう動けない、だから下敷きの俺は抜けることも不可能、リリディなんて大の字で気絶しているがそれでもスタッフは離さない
『これが聖騎士、わかる?努力だけじゃなくて才能も持ち合わせないとなれない騎士職なんだ、冒険者チーム1つぐらいに手こずるわけないだろうに』
倒れる俺達に向けて言われた言葉、確かに努力だけじゃなれないのが聖騎士さ
努力をして才能をより上に伸ばしてようやく聖騎士に道が僅かに見える、そういう事を父さんから聞いたことがある
流石だよ、悔しいけども納得できる
『さぁお嬢さん渡してもらいたいな、可愛いのはわかるけども魔物なんだよ』
『いや!魔物は全部悪くないもん』
『元カノみたいに面倒臭い女だ』
『おいリゲル、早くしないと…!』
『わかってる、魔石手に入れたらお前にも分けてやるよ…』
奥の聖騎士はその言葉で大人しくなる
こいつ、リゲルっていうのか・・・覚えたぞ
奴は地面に倒れた俺達など見向きもせずに歩いていくと片手剣を引きずりながらティアに近付いていく
彼女はケサランを隠し、しゃがみ込むが逃げない、何故だ?
俺は逃げろと言っても彼女は逃げなかった
『君の仲間、あんなだけど?それでも渡さないの?』
『いや!花畑で普通に暮らしているだけの魔物なのになんで殺そうとするの…?絶対渡さない』
『あっそ』
その瞬間、奴は剣を持っていない逆の手を握るとティアを殴ろうと拳を突き出した
ここまで聖騎士は強いと言うのか、ティアマトをどける力は無いから彼女を助けに行けないのは酷く悔しい
いつか必ずと違う目的を心の片隅に生まれそうになった瞬間、それは別の形で終わりを告げる
『リゲル!クワイエット!どこだ!』
リゲルの拳がティアの目の前で止まると彼らは不味いといった顔つきを浮かべ、リゲルは舌打ちをする
『くそ!行くぞクワイエット』
『トイレしか言い訳思いつかない』
『それでいい!生理現象は仕方ないからな』
彼等は慌てて小隊の元に走っていくが俺の前を通過する際、俺は頭を踏まれた
これはわざとだろう、ふと彼と目が合うと走りながら彼は口を開く
『覚えてろ…俺の金だったのに』
金の為、か…
直ぐにティアが俺達に歩み入ってくると先にリリディを起こしてもらう事にしたが彼女は彼の頬を軽く叩くと直ぐに起きる
『ぐっ…どうなりましたか』
『リリディ、悪いが手伝ってくれ』
『アカツキ君、とうとう男に走ったのですか?』
『冗談はいい、重いんだ』
『わかりました』
こうしてティアマトをどかしてから彼を起こす
起きた途端からかなりの不機嫌だがそれよりも俺はティアが心配そうに見ているケサランの様子が心配だった
『みんな大丈夫?』
『ケッ、元気だ』
『僕もなんとか大丈夫ですが、腹が痛いですね』
『俺も大丈夫だがティアは怪我は無いか?』
『私は大丈夫、でも…』
彼女は懐に隠したケサランを俺達に見せてくる、すると先ほどより遥かに弱々しく
虫の息に近い、殆ど動かないケサランは震えながらこちらに顔を向けると小さな声で鳴いたのだ
『フワ…』
それがこいつの最後の声、その途端にケサランはぐったりと動かなくなった
誰もが言葉が出ない。
ティアなんて何度も何度も揺らしながら声をかけるがリリディが彼女の肩を叩き、首を横に振る
『なんで…悪い事してないのになんでこんなことするの』
答える者が誰もいなかった、俺は都合の良い解釈をしているのかもしれないが聖騎士がこんなことしていいとは思えない
確かに魔物だが、あのリゲルという男…金目的で害のない魔物を殺そうとした
泣き出すティアにかける言葉が浮かばない、俺はただ動かないケサランを見つめるだけしか出来ない
無力だ、何もできなかった
それよりも聖騎士は遊んでいた、体術だけで俺達を相手に圧倒したのだ
何故か凄いと、誇らしいと思えない
『あ・・・』
ティアは泣きながらケサランの異変に気付く
こんなタイミングでそれが現れるのかと俺は神を恨みたくなってしまう
小さい魔石が光り輝き、ケサランの体から出て来たのだ。
普通ならスキル付きの魔石を手に入れれば喜ぶだろ?そんな気分じゃない
しかし…
『…ティア、頼む』
俺はそう告げた
ティアマトもリリディーもそれに頷くとティアは光の粒子となって消えていくケサランを見届けた後、小さな光る魔石を泣きながらギュッと握りしめた
彼女の手から光が流れ込むのを俺達はただただジッと見届ける
ティアに魔石を頼むと彼女は頷き、懐にしまう
彼女は両手で目をこすると火のついた泣き声を出しながらも俯く顔を持ち上げる
『私、強くなる』
彼女は強い意志を見せた
それと同時に彼女の体が僅かに発光を始めたのだ、白く優しい光がティアを包み込むと彼女は驚いて泣くのを止め、自身の体を見回す
『おいおい…何が起きたんだ』
ティアマトが驚愕を浮かべる
対してティアは目を赤くしたまま、突然焦りを止めて静かになる
この現象の意味は分からない、だから俺もティアの肩を掴んで声をかけるが反応してこない
『ティア!ティア!』
《はっはっは!よかったな兄弟…幸先良いぜ?》
『開闢か』
《面白い気に起きちまったよ、まぁ場違いな言葉かもしれないが…おめでとうと言っておくぜ?》
『何故だ?』
《おっと、お嬢ちゃんを離しときな?称号会得の邪魔しちゃガールフレンドに迷惑だぜ?》
『まだ彼女じゃ…違うそうじゃなくて今なんて!?』
開闢は高笑いすると、静かに囁くように言った
《魔法使いの超レア職だ、パナ・プレイヤー誕生さ兄弟…大事に育てろ?》
ティアの体を包む光は、彼女の胸元に集まると入っていくかのように消えていった
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