第14話 変わった槍女

アカツキ・ライオット


☆アビリティースキル

スピード強化【Le2】

気配感知【Le1】


☆技スキル

龍・開闢【Le1】

居合突【Le1】


☆魔法スキル


称号



・・・・・・・・・・

リリディ・ルーゼット


☆アビリティースキル

打撃強化【Le1】

気配感知【Le1】

麻痺耐性【Le1】


☆技スキル

ドレインタッチ【Le1】


☆魔法スキル

風・突風【Le1】

風・カッター【Le1】


称号


・・・・・・・・・・・

ティアマト・ウロボリス


☆アビリティースキル

気配感知【Le1】

毒耐性【Le1】


☆技スキル

連続斬り【Le3】

鬼無双【Le1】


☆魔法スキル


称号


・・・・・

ティア・ヴァレンタイン


☆アビリティースキル

安眠【Le1】

気配感知【Le1】


☆技スキル


☆魔法スキル

火・ラビットファイアー【Le1】

雷・ショック【Le2】

木・スリープ【Le1】


称号

・・・・・・・・・・


『よし!』


俺は朝の9時に家を出るが今日はティアと共にお出かけをすることになっている!

買いたい服があるって金曜日に話していたのだ、そこでリリディが『アカツキさんと行けばいいじゃないですか』とかいうから俺が行く羽目になったんだよ


ありがとうリリディ


俺はさっそくティアの家に行って玄関をノックすると出てきたのはシグレさん

どうやら今日は休みの様だ


『今日はデートらしいね』


『違います』


『デートらしいね?』


『違います』


『違うのかい?』


『デートにしたい理由が知りたいですね』


するとシグレさんは笑いながら奥に顔を向けてティアを呼んだ

今日は何やら頭に青い花の飾りをつけているけども意外と似合うんだな、久しぶりに私服みたな


『早速出発!』


楽しみにしていたようだ、口調が楽しそうだし

こうして商店街に向かって買いたい服とやらを探しに行くのだが今日も大通りには騎士が多い

この前の黒龍の目撃情報からこの街にはマグナ国の騎士が駐在しているのだが見ていると少し俺はドキドキしてしまう


『なんだか悪い事してないのにドキドキするよね』


『そうだよな、黒龍の消息を探して何をする気なのだろうか』


『もしかしたら、保有しているスキルを知っているとか?』


『でも俺が出会ったのはリュグナって黒龍だ、関連付けるとなればリュグナは彼の名前であり、人が呼ぶ名が奪宝(バイホウ)ゼペットって意味でいうならば辻褄が合うけど・・・』


『それが正解だとちょっと怖いね』


そうなんだよな、もし国の上層部がスキル目当てだとしたら俺は隠し通さないと駄目だ

でも疑問だ、国の上の人間がスキルに固執?飽く迄予想だけどもそれを使って何かをしたいと考えているとか?


歩きながらティアと考えても答えは出ない


『あった!ここ!』


可愛らしい服屋さん、店内がガラスで見える作りとなっており

表の大通りに見えるように店内からマネキンに服を着せて飾っている

ティアが欲しいのはマネキンが来ている服ではなく、Tシャツだというのだがいざ彼女と共に中に入ると匂いがもう女子だし俺が場違いな気がしてならないのだ

周りの客層は俺達と変わらない若い女性が沢山服を見て買うかどうかを迷っている


俺が出ようかどうか迷っているが楽しそうに服を見定めている彼女を置いて先に外で待つわけにもいかんだろう


『これこれ、まだ残ってた』


ティアが広げて見せたTシャツはカエルが沢山写っている服

俺は予想の斜め上ではなく、背後を取られた気がしてならない


『・・・』


『どうしたの?』


『良いと思う』


『うん!』


嬉しそうだ

銀貨2枚で会計を済ませて紙袋に購入した変わったTシャツを入れ、俺達は軽くウインドウショッピングでもすることになったが店を出るとそこで見覚えのあり過ぎる女性を目にした。


マネキンが来ている黒い服、白い肉球が沢山スタンプの様についているTシャツを物欲しそうに眺める冒険者の槍女リュウグウだ


『ぐ~』


なんて器用な奴だ、欲しそうな顔をしながら腹がなっている

彼女はお腹を抑えながら顔を赤くし周りを見渡した時に俺達と目が合うとハッと驚き

顔を逸らすがティアが満面の笑みで彼女に近付いてしまう


『リュウグウちゃんもお買い物?』


『違う、暇つぶしだ』


『でも服見てたよね、肉球Tシャツ可愛いよね、リュウグウちゃんにピッタリだよ』


『そそ・・そう?なら買おうかな』


ちょっと嬉しそう、意外とティアには普通に話せている

少し楽しそうにしている2人の会話を横から見ているとリュウグウは俺に顔を向け、いつも通り目を細めて口を開いた


『何を見てるんだ』


『いや・・・』


『ぐ~』


また彼女のお腹が鳴る、再び顔を赤くするが何故か俺に殺意を向けてくる

何故だ!?


『3人でご飯にしよ?』


ティアの言葉で殺意が薄れるリュウグウ、しかし彼女は少し困惑している様だ


『私は大丈夫よ、1人で食べれる』


『でも丁度私達もご飯なんだし一緒に食べた方が美味しいよきっと!』


『う~』


呻くリュウグウ、彼女はティアの誘いを断り切れずに俺達と共に近くの飲食店へと足を運ぶことになる。

店内は丸テーブルが沢山設置され、壁や床は使われた木を塗装せずにそのまま使用した内装となっていて心地よい木の匂いが周りのお客さんが食べる料理とマッチして程よい


窓側の席に座ると俺達はメニューを開くが正面の席に座る2人の女子は仲良く何を食べるかで悩んでいる

まんま女子の会話を目の前で聞いている俺は話しかけ難い


『アカツキ君は何を食べるの?』


『俺はカツカレー』


『デートでカツカレーとはなってないなアカツキ』


『ぐぬぬぬ・・・』


リュウグウに突っ込まれたが否定できん

確かにカレーの匂いは独特、ここは避けるべきか


『アカツキ君はカツカレーなの?』


『実はエビチリ炒飯を食べようと思ってたんだ』


ティアに告げるとリュウグウの視線が痛いほど俺に突き刺さる

やめてくれ、カツカレーは忘れてよ…


『私は生姜焼き定食にするけどリュウグウちゃんは?』


『私は…その…』


悩むリュウグウは何やらヒソヒソとティアの耳元で何かを話す

ティアはニコッと笑うとせっかく内緒にしようとしていた事を口にしてしまうのだ


『大丈夫だよリュウグウちゃん!今私お金あるから食べたいの食べて!今日は奢る!』


『ばばばばばばっ!?』


焦るリュウグウだがそう言う事か

店員さんを呼んでから注文をしたのちにティアがリュウグウから色々聞いたのだがどうやら1人で冒険をしていると稼ぐのも限界があり、あまり贅沢は出来ないというのだ


ソロだと体力の消耗も速いし一度に相手できる敵の数も決まっているからなぁ

それでもリュウグウという槍女はコツコツ稼ぎながら生計を立てているのだという


『家無しだと稼ぐにも時間がかかるのよ』


『リュウグウちゃんはアパート暮らしだもんね』


『そうよ、家賃をまけてくれれば楽になるんだけど』


溜息を漏らすリュウグウだが両親は事故で死んで彼女だけが残ったという事情はティアから以前聞いていた。

俺達と同い年で既に独り立ちとは凄いなと思いながらも彼女らと会話をする


『リュウグウはEから上に上がる予定は無いのか?』


自然に話しかけてみるが以外にも彼女は普通に答えてくれた


『決め手になるスキルがあればいけそうだけどね、まだ揃ってもいないでCになんて1人じゃ難しいのよ』


1人でEをこなしていること事態、凄い事だ

個々の力は勿論あるのだろう、俺は店員が持ってきてくれた水を少量飲んでからテーブルに置いた


『リュウグウちゃんは強くなったらどうしたいの?』


『私か、私は…』


リュウグウは頬杖をついて考えると溜息を漏らし、答える


『一生かかっても多分無理ね、このままここで過ごすしかないかもしれない』


どこか住みたい場所があるのかな、そこは深く掘り下げて聞く事はやめよう

店員さんが注文した料理を持ってきたが俺はエビチリ炒飯、ティアは生姜焼き定食だがリュウグウは豚カツ定食であり、出来立てが目の前に置かれると口元を微笑み、ティアに口を開いた


『ありがとう』


『エッヘン!』


食べながら会話が進むがリュウグウのステータスを見る事は出来なかった

彼女も誰にも見せたくないと強い意思を見せてたのだ

興味が出るけどもそのうち見せてくれるだろうと思いながら会話を世間話に変えて話しているとそこで聞き覚えがある話をティアから聞いた


『そういえば前にまた橋の下から呻き声が聞こえたらしいの』


『橋のしたの地下水路から?先週の日曜日にリリディと奥に探検に行った時は角鼠にグールしかいなかったぞ?』


『それは聞いたんだけど、まだ声がするって近所のお母さん達が話してたってお母さんが言ってたの』


いったい何なんだ、謎過ぎる

食べ終わると俺とティアは会計を済ませ、3人で軽く大通りを歩き始める

騎士達を横目に俺達は鍛冶屋の前を通るがここも外から見えるようにガラスから武器の展示がされている。


立派な武器や防具があって羨ましい気分となるが刀は少ないだろう、意外と作れる人は少ないからな


『そういえばアカツキ君の刀の名前何なの?』


『天狗だよ』


『変わった名前だね』


『お爺さんのものらしいけど詳しくはわからないんだ』


その流れで俺はリュウグウの持つ槍を見るがかなり高そうな武器に見える

何の槍なのか聞いても彼女は物心ついたときから持っていた、と告げる

この槍の名前もわからないらしい


すると店内からクローディアさんが出てきて俺達と目があったんだけども、担いでいる袋に沢山武器が詰まっている、何故わかるかと言うと袋が沢山避けてそこから片手剣やら双剣など至る武器が顔を出しているのだ。


普通それ持てないよね?なんで持てるの?重くないの?


『あら?変わったコンビね』


『クローディアさん、何をしているんですか?』


『軽鉄で出来た適度な武器の調達よ、冒険保険に加入している冒険者に安く購入させるためにギルドが購入してるのよ?武器が壊れたりとか普通にあるからその時に格安で売ってあげるのよ』


そうだったな、まさかクローディアさん自ら買いに行っていたか

リュウグウは少し彼女に視線を逸らすが苦手らしい雰囲気がある、それに気づいたクローディアさんは口元に笑みを浮かべ、彼女に近付くと顔の前で口を開いた


『大変でしょ?そろそろ先を見るのもいいかもしれないわよ、貴方強いし勿体ないわ』


『私は大丈夫よ』


『今はそうね』


クローディアさんは笑みを浮かべながら俺達に背を向けて去っていく

それを合図にリュウグウもそろそろ帰る事にしたらしく、ティアに別れを告げる


『今日は助かったわ、その…ありがとうね』


『うん!また一緒にご飯食べに行こうね』


『アカツキ無しでな』


俺はコケそうになるが…まぁいいだろう

去るリュウグウの背中を見送ると俺達も帰ることになり、住宅街に向かうがここにも騎士達が巡回していて警備兵の数は少ない


『なんか物騒にみえるよね』


『そうだよな、まぁ騎士が入れば変な気を起こす人もいないだろうし』


『だね』


俺はティアを家に送り、実家に帰ると夕方から父さんが家のリビングにあるソファーに座ってビールを飲んでいたがいつもより飲む時間が早いな、そういう時は少し機嫌が悪い時だ。


台所では母さんがシャルロットと夜食の準備をしている、俺は父さんの隣に座って話しかけてみた


『どうしたの父さん、何かあった?』


『聞いてくれアカツキ、騎士って勝手な奴らだよ』


『なんで?』


『警備兵が街を巡回し、警備する仕事だが最近中央都市にあるクローバー城から騎士が来てるんだがお前も街を歩いている時に見てるだろ』


『沢山いたね、あれクローバー城の騎士なの?』


『ああ』


驚いた、ただの騎士じゃなく、城内にいる騎士だったのだ

兵士の上は騎士だが城内騎士はとびきり精鋭だ、今グリンピアの街にいる騎士はそいつらだ


『あいつら人の仕事奪いやがって、俺達来週から引きこもりだよ、ヒッキー!』


『お父さん、仲間』


台所から顔を出すシャルロット、父さんは苦笑いが精一杯

するとビールを飲んでから再び話し始めたよ


『まぁ給料減額にならないのが救いだ、暇だし明日からは勝手に近所のお母さん連合達の為にシグレ君と下水道の調査をしてみるさ、アカツキがリリディと言った時はグールと角鼠だけだったのか?』


『そうだよ、しかも俺達が引き返そうとしたらいたんだけどもどっから沸いたのかわからなかった』


『良い情報だ、左右の鉄柵からか…うむ、次はくまなく周りを調べながら見てみるよ、しかしお前も強くなったな』


『そう?』


『リリディと2人でグールを倒したんだからな、父さんお前のステータス見てみたいぞ?』


『駄目』


『まだ駄目かぁ…』


父さんは笑いながら酒を浴びる


『そういえば海抜の低い森で黒い不気味な騎士を見たよ』


『話は他の知り合いの冒険者からも良く聞くがあまり近付くな、先ほど聞いた話が本当かどうかわからないが聖騎士たちが森の中を巡回している時にその黒騎士に襲われたらしいぞ』


『え!?聖騎士もきてるの!?』


驚いたな、城内騎士だけじゃない

聖騎士も来ていたとはね

聖騎士は騎士の最高階級、選ばれた者しかなれないが1人だけでもかなりの強者の集まりだと聞いている。

それを束ねる聖騎士長が化け物だからね、以前はそこまで強くはなかったと言うが今の聖騎士長が就任してから質は上がったと、以前クローディアさんが嫌そうに話してくれたな

だが聖騎士もくるとなるとかなり大事な事だ


まぁあれだ、その聖騎士がやられたんだ



『どういう経緯でそうなったかはわからん、俺でも1人倒せるかわからない聖騎士20人が見事に全滅だ、死者はいなかったことが奇跡だがかなりの重傷だと聞く』


『そんな…』


『明日から早急に一部の森が立ち入り禁止区域になるだろうが海抜の低いあの場所もそうだろうな』


それは勘弁してほしい、魔物退治が捗らなくなるんだよ…

溜息を漏らすと父さんは苦笑いし、シャルロットが皿で持ってきた唐揚げをおかずにビールを美味しそうに食べ始める

俺も1つ貰うが美味しい、シャルロットも作っているんだし当たり前だ、妹は料理は得意だ


『冒険者ランクEになったんだ、Dとなるとお前等ならば今年中に行けるだろうがCとなると少し難しいぞ?なんせこの街グリンピアはエーデル・ハイドしかCランクはいない。中心都市に近ければ近いほどCはゴロゴロいる、魔物の壁もあるがなるには講習だけじゃなく、ステータス査定もあるんだがみんなC以上は査定で落ちるらしいからお前らもスキルは今のうちに育てとけよ』


俺はその事実に息を飲んだ、これじゃ内緒に出来ないじゃないか、と

ちょっと汗を流すと父さんは『どうした?腹痛か?』と話しかける。

首を高速で横に振って否定する

困ったぞ、ステータス査定となると見られるという事になる


『まぁ査定はここでも出来るからお前がCになるとなればあのクローディアさんだろうな、ギルド長いないしそのうち彼女がギルド長になるのも時間の問題、お前が昇格する頃にはそうなる』


『そうなんだ』


『鉄女クローディア、ぶっちゃけこの街であの美人で綺麗な太腿の彼女に勝てる冒険者はいないな、鉄鞭を振り回されたら近づけないからなぁ!はっはっは!』


父さんのお酒が加速するので俺は夜食が出来る迄風呂に入り、上がると丁度よく夜食の時間となる

飯の後に部屋に戻り、机に刀を置いてから直ぐにベットにダイブして枕に顔を埋める


『なんでCになる時に無駄に厳しいんだよ~』


都合の良い独り言を口にするがそれは仕方がない事だ

危険が高まる魔物を相手にする階級であり、間違った者をランクアップさせれば直ぐに命を無駄にするからだろう

先の悩みが増えたな、さて…どうしたもんか


その時に考えよう

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