第5話お昼の時間

中村は、朝の事を物凄く後悔していた。

罪罪の話を聞いていた時はその集中しており、周りにが居ることを忘れていた。

罪罪が走りさった後、ここが2人だけの世界じゃない事をようやく思いだし周りを見たがチラチラとこっちを見ている生徒が何人かいるだけで、それほどではなかった。

やっぱりさっき見られていたのは、罪罪だったみたいだ。

彼女は入学してから、1度も学校に来てないらしいが大丈夫なんだろうか?

何故か自分のストーカーの心配をしながら中村は学校に向かった。

大分罪罪と話していたせいか、結構ギリギリな時間になっており、もしかすると罪罪のように走った方が良かったのかも知れない。

歩いている生徒が少なくなった通学路を中村は、走り学校に向かった。


ギリギリで教室に着いた。

ギリギリと言ってもまだ5分以上余裕があるがいつもはもった早く来ている為ギリギリに感じてしまう。

中村は、一番窓側の席である。

今の季節は太陽の陽気が感じられるいい席だ。

席に座るとさっそく


「おい、お前今日罪罪と一緒にいなかったか?」


と隣の席の山崎直也やまざきなおやに声をかけられた。

相変わらずの無表情であり、話かけられるとちょっと身構えてしまう。

体格もよく伸長も180センチ超えていることから中々に威圧感がある。

山崎から話すのは珍しいなと思いつつ


「あー、うん。ちょっと成り行きで」


と言うと山崎は不安そうに腕を組んで考え始めた。


「お前流されやすいし、しかもわりと面倒見いいし」


と誉めらているのか心配させているのかわからない評価が言われた。


「え?いきなり何? 」


「気をつけた方がいいぞ。あいつに関わっていい事あったやついないから」


と言ってきた。

山崎も同じクラスになって1年たつが無表情な顔とは別に中々に友達思いだったりする。

だから、山崎は本気で俺を心配してるだろう。

その事がわかっているため


「大丈夫だって」


と返した。

罪罪は、色んな人をストーキングしていると言っていたし深く関わらない方がいいとは中村もそう感じていた。

しかし、同時に罪罪の違う一面を見ていた中村は、もう少し関わってみてもいいかも知れないと考えていた。

そんな中村に気づいたのかは知らないが


「お前みたいタイプが一番危ないと思うがな」


と中村に聞こえないように静に呟いた。


退屈な午前の授業が終わり昼休みになった。

弁当を食べたり、購買のパンを買ったりなどおのおの好きな方法で昼食を済ましている。

中村は、購買派だった為教室から購買の教室に向かう為に教室から出ると


「先輩! 」


声がした後にまた腕に懐かしい重さが追加された。

罪罪が腕を絡ませてこっちを向いて笑っていた。

その表情は朝のような儚い感じはなくしっかり実体のある笑顔だった。

そして、朝のように中村を引っ張っていく。


「一緒に昼食食べましょ! 」


と言って購買の場所まで引っ張られていく。

罪罪の違う一面を見たからだろうか。

朝とまるで変わらずむしろ罪罪との関係が深くなっていく状況を中村は、悪いようには感じなかった。

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