第13話 君が死んだら、私はどうすればいいの?

 治癒魔法系と攻撃系魔法も使えて、剣技もそこそこ。

 要するに私は器用貧乏。

 そんな、どっちつかずの私は、今日も剣の練習をしていた。

 レベルは最近15になり、一度に3人の人間の体力を半分回復させることが出来る魔法を覚えた。

 だけど私はユキイチロウと同じ、剣の使い手になって彼をサポートしたい。

 だから、毎日剣の練習を欠かさない。


「カラムよ、精が出るな」

「国王」

 

 城の庭で、私と王様は向かい合った。

 王様は、捨て子だったユキイチロウと、同じく捨て子だった私を城門で見つけ、引き取り育てた。

 そして、王様は、魔王に囚われたシュキイ姫の父でもあった。


「ユキイチロウは、無事、姫を助けることが出来たのでしょうか?」


 私は王様に訊いてみた。


「実は、あいつは今日戻って来た」

「え!」


 私は喜びの声を上げた。

 私は今年16歳。

 シュキイ姫、勇者ユキイチロウと同じ年。


 ユキイチロウと幼いころから過ごした私は、ユキイチロウに恋していた。


 旅立ちの朝、私はユキイチロウの手を放すことが出来なかった。


◇◇

 「ユキイチロウ、本当に行くの?」

 「ああ、姫を助けるのが僕の使命だ」

 「もしも、ユキイチロウが死んだら、私はどうすればいいの?」

 「大丈夫、死ぬことは無い、生きて姫とともに帰ってくる」

◇◇


 あんな、わがままな姫なんて、どうだっていいのよ!


 そんな言葉が喉から何度も出掛かったが、ユキイチロウに嫌われるのを恐れて我慢した。


「カラム!」


 ああ!

 あの声は。


「ユキイチロウ……」


 嬉しい。

 でも、姫は?

 何で今、ここに?


つづく

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