1.2

 ――八雲やくも立ち 出雲いずも八重垣やえがき くもめ 雨ぞ降らまし ただうらむ身に


 愛しい人を奪い己を奪った男を怨み、

 恋仲を引き裂き男をあてがった親を怨み。

 そして何より、

 ただ言いなりに奪われ、涙を流すことすらも出来ない己を怨み、呪い。

 

 そうして女は、鬼へ変じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る