27話 想いを綴る
私は帰る途中で文房具屋で便箋を買った。
いつ誰が見ても、誰が読んでも恥ずかしくない便箋。
内容は笑われてもいい。
アイツさえ、理解してくれればそれでいいから……。
「書こう」
私はペンを持ち。嘘偽りない言葉を書いた。
アイツに伝わるように。
私が想っていたことがきちんと伝わるように。
ただそれだけを想い、言葉を綴った。
坂上律様へ。
突然の手紙を書いたりしてごめんなさい。
貴方と直接話すと想っていたことが全て消えそうなので手紙にすることにしました。
私と貴方が出会った時のことを覚えていますか?
二年前、当時中学二年生の時。貴方は私に満面の笑みで笑いかけてくれました。
当時の私は貴方と関わりたくなかったので冷たく返事をしていましたが、結構嬉しかったです。
私が陰口叩かれていた時、影で助けてくれていることは知っていました。
でも素直じゃない私はお礼を言えませんでした。
だから今、言います。
あの時はありがとう。助けてくれて、友達になって支えてくれてありがとう。
今の私が存在しているのは貴方のおかげです。
私が貴方の家を訪ねて時のことを覚えていますか?
何も言わず、勝手に訪ねてごめんなさい。
それと沢山怒ったこと。色々含め、反省しています。
でも、後悔はしていないつもりです。
貴方に気持ちをぶつけたから。今まで溜め込んでた想いを吐き出せたから。
その分の代償はきましたが。
坂上。
貴方のことはずっと、ずっと忘れない。貴方が忘れても、私が忘れない。
友達として楽しかったこと。友達として、悲しかったこと。
色々な思い出、全部。
忘れません。
貴方と私の関係が一歩進めた時。その時、忘れるとここで約束します。
最後に一つ。
友達になってくれて、ありがとう。
アメリカで幸せになってください。
「名前は書かないでおこうかな」
きっと、私の名前が坂上を傷つける。
想いだけ書いて、名前は書かない。
名前を書かないってことは誰からの気持ちか、本当に理解してくれるか分からないってこと。
でも……。
「きっと大丈夫。一度読むだけでいい。それだけでいいから……」
私の気持ちが、貴方に伝わるといいな……。
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