ボードと文字の読み書きと幼なじみ

 現在、渚は約12歳である識字率が低いのか文字の読み書きは大雑把な単語と数字、名前のみがなんとなく分かる位であるだから謎のボードも自分の名前である“ナギサ”と数字しか分からない、その数字が何を示しているのかは不明だが…因みにボードは殴れなかった、スカスカしていたが腕を横に振ったら消えた、意識すると出てくるが…今は村長に頼んで読み書きと社会一般を教えて貰っている、農作業と害獣駆除の合間で割とハードな生活であるが…前世でかなり苦労していた筈なので頑張っている、村長の生徒は自分と村長の孫である幼なじみだけ、他の子供たちはよくある勉強嫌いを発症しているので居ない、今世の両親も苦笑いするからよくある事なのだろう、将来的に苦労するがよい。

 幼なじみはまあ将来的に村長の後継を押し付けられる為にビシバシ鍛え上げられている、泣き虫のビビりなのに妙な根性がある奴でもある。

 この世界は前世と違いおかしな部分が多い、謎の“ピロン♪”音は自分にしか聴こえないのもそうだし鳴ったあと謎ボードに記載事項や数字が増えるのも不明だが其はさておき、今世は“科学”がさほど発展していない、代わりに“魔具”が存在する、金品・鍛造品も少ない、貨幣で使う分と矢先、農耕具、釘、包丁、ナイフ位である。

 武器がさほど必要では無いかと言えばそうでは無い、前世の様に《企業戦闘員》や《怪人》が存在する訳では無いが一般的野生動物や田畑を荒らす害獣、敵性知的生物や怪物、怪獣など戦いに事欠かない、うっかりしていると直ぐ死ぬ。

 そんな中では“武器”が発展していないのは齢10歳に成ると“武装化”と言う“ギフト”を誰もが得られるからである。

 この“ギフト”何故10歳に成ると与えられるかというと、子供の死亡リスクが高いからである、得た後に無謀に敵性生物などに突っ込んで餌になるケースが高いので恐怖に恐怖を重ね完全に心をへし折ってから与えるのだとか。

 それでも餌に成りに行くのも居るので困った事ではある、まあ“武装化”は訓練で鍛え上げる他に生物が内蔵する《魔石》と言う“黒石”を取り込み続けると飛躍的な強化がされる為に短気な者はよく欲しがる傾向にあるが技術が無いので武装を扱えない者も居るらしい、幼なじみは“鍋蓋”と“すり鉢”と言う珍しい“ダブルギフト”だったりするのだが村の子供たちには不評で同世代の“木剣”だった者が英雄扱いだったのは最近の話である、木剣直ぐ折られたのに鍋蓋で大人の攻撃を捌ききったのは称賛に値するが割と残念なのは幼なじみの幼なじみたる所以である。

 因みに自分は“ハチマキ”“手袋”“草履”の“トリプルギフト”だったがその時は寒く着こんでいたので“ハチマキ”しか判らず皆から微妙な雰囲気を感じたのは良い思いである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る