第9話 告白
シドの言いたい事は何となく分かった、でもまだ決心がつかない。そんな私の心情を察してか彼の方から提案をされる。
シド「しかし全くバトルの勝算が無い訳では無いからな、検索を始めるぞ」
アルルカンはSNSだ、情報の海を利用して勝算を高める作戦らしい…
シド「キーワードはハゼルと…」
カモメ「スケープゴートだっけ」
シド「それだ、ちなみに説明しておくとチートは運営から能力が高いと認められたクリエイターに贈られるコードを読み取り使用できる能力の事、文字通りチート級の能力を堪能できる。
なるほど、エゴサーチで見た限りハゼルの評判はまばらだ、ファンも多いが女性関係に多少の問題ありという噂…事実確認が必要か。
本人の投稿からも確認できるが性格は典型的なミーハーで他人の意見に振り回されがち、流行りの服を好み人気の店に並ぶ事も好き、音楽ももちろん売れている物が好き。
あと挑発に乗りやすくアンチとレスバトルになった事もあるとか。
チートの名称は《贖罪主義=スケープゴート》クリックで選択した相手の位置を入れ替える能力、攻撃を仕掛けた相手を遠くの仲間と入れ替えかわしたり突発的に近くの仲間と入れ替えて攻撃する、一度に入れ替え出来るのは一組までか」
次々と情報をあぶりだしていく、流石だ、しかし検索している最中私はある事に気づく。
「シドの事も調べたけど嫌われてるんだね、私以上かも」
思わず吹き出してしまう。
シド「余計な事すんじゃねぇ!」
私は率直に疑問をぶつける
「怖くないの?」
シド「ヒーローが匿名で妬みや嫉みで誰かを攻撃すると思うか?言ってる奴は漫画で言う所詮モブ、主人公の俺を引き立ててくれてるのさ」
「それに」
慣れてるからなぁ」
それからしばらくして、ゲームの時間が始まった。
ハゼル「カモメ、昨日の投票見たか?あれは傑作だったなぁ
これは民意なんだよ、国民がお前の追放を望んでる、呪うならクズに生まれた自分の運命を呪うんだな。
ていうかもう一人の奴はどうした」
突如崖の上から声が響き渡る、そこに立っていたのは正義の味方には似つかわしくない風貌の、私のヒーロー。
シド「少年よ、恥を知れ
知って尚恥をかけ、雨に打たれ向かい風に吹かれ険しい道が続くだろう、されど歩んだ轍には堂々と根を張った強靭な花が咲き誇るってな」
シドが崖から飛び降り攻撃を仕掛けた、手に取ったのは消火器?こんなのもソルジャーサイドにあるのか。
シド「本日ご紹介するのはこちらの消火器、自然に優しいクリーンなガスを使用しており破裂事故の心配も極力ございません、また従来の製品と比べましても抜群の消化力を誇り…」
ハゼル「戦闘中に企業案件するな!」
シドがぶちまけた消火器のガスはハゼルとその近くの立ち位置で待つ取り巻き一人を除いて辺りを包み込む。ここまでは作戦通り、立ち込めるガスの外に向かって私が走り出す。
ハゼル「馬鹿か、画面の外に逃げたつもりか知らないが、上空の視点に切り替えて余裕でお前をクリック出来る!」
そう、これを待っていたのだ、挑発に乗りやすいハゼルはまんまとかかった、人は予想だにしない動きに冷静な判断を欠く。スケープゴートで引き寄せられた瞬間、自らハゼルに向かっていく。
シドのコンパスのインクは私に書いた、私が彼のチートの媒体になったんだ、喰らえ!
もう少しで一矢報いてやるという所で、流石は熟練の技と言った所か見事に交わされてしまう。シドも大勢には敵わず囚われている様子だ。
ハゼル「何をしようとしたのか分からんが、愚かな事を。嫌われの物は大人しく負けてりゃいいんだよ」
シド「まだ終わっちゃいねぇぞ」
カモメ「やっぱり私なんかが足掻いちゃ駄目なんだ、そいつの言う通りなのかな」
シド「カモメ!お前は良い奴だ、俺を助けてくれた。
お前を嫌う事がこの世の道理なら俺がそんな世界壊してやる。
お前を否定する事が国家権力の定めなら進んで反逆者になろう。
例え最後の一人になってもお前を肯定してやんよ!」
そうだ、私にはシドがいる。
ハゼルが私達の脳天を打ち抜く、でも勝負はまだ終わってなんかいない、動画を回し大きく息を吸う。
「あの動画の真実を話します
まず私、才賀カモメは昔、当時の教師から性的暴行を受けていた」
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