第1633話 博士(はかせ)
「なんだい。
朝、水輝館の食堂に下りてきたらセーサランを解剖した蒼魔族とセイワ族のハーフっぽい博士とインテリっぽい魔族が十人くらいいた。
ちなみに、人外の
「はい。なにやら宇宙からの生物と聞いたので」
「じゃあ、説明は不要だな」
「いや、最初から最後まで説明してください。我々はべー様ほど非常識ではないので」
うん。はっきり言うね、あなた。科学者のような人種はもっと言葉と優しさも学びなさい。
「じゃあ、レイコさん。説明頼むわ」
オレはこれから朝風呂入って、朝食をいただかなくてはならぬ。貴重な時間を説明に使ってられないのよ。
レイコに纏わせている結界を解いて
「ちょ、べー様!」
スタタと風呂場に入り、ぱっぱと脱いで湯船にドボン。あービバノンノン。
ホカホカになって湯船から上がったらフルーツ牛乳で喉を潤した。あーウメー。
「べー。わたしもフルーツ牛乳をちょうだい」
「いたんかい!」
頭の上からみっちょんの声が。オレ、頭から湯船に飛び込んだよ!?
「いたわよ」
雲を纏わせて頭から降りてきた。なんか羊みてー。
「……お前はもっと存在感を出せよ……」
「見えてないのはべーだけよ」
本当か? 本当にオレだけが見えてないのか?
「フルーツ牛乳」
あ、はい、フルーツ牛乳です。
自分が入りそうな瓶をつかんでフルーツ牛乳を飲むみっちょん。ほんと、メルヘンって胃にブラックホールでも飼ってんのか?
「ぷっはー! 美味しい」
それはよかったですね。
もうなんでもよくなり、残りのフルーツ牛乳を飲み干し、服を着て食堂に向かった。今日の朝食なーにー?
「豆のスープと豆と野菜の煮物です。付け合わせに湯豆腐です」
なぜに豆縛り? あ、人魚は豆食うんだったね。その煽りですか。ハイ、いただきまーす。あー旨い。
「で、説明、終わった?」
なぜか委員長さんまで参加している説明会。オレを見る皆さんの目が冷たいです。
「当たり前です! 一番理解してるのがべー様なんですから!」
ユウコさんの体に入ってオレを殴ってくるレイコさん。ユウコさんの手を痛めるから止めなさいよ。
「カイナーズの連中はカイナからあるていどの知識は受けてんだろうが、知識と感覚は違う。受け取り方のイメージも違う。オレがいきなり教えるよりレイコさんみたいに一本横にいるヤツから説明されたほうが頭に入ってくんだよ」
オレは前世の記憶があり、映画やアニメで概念や妄想が鍛えられている。ただ、知識を入れられたヤツにわかるようにとか無理だわ。
「まあ、いい。朝食をいただいたらオレからも説明、いや、オレの想像を語る。その想像から自分の頭で考えて答えを導け」
オレだって宇宙のこと、なんでも知っているわけじゃねー。それこそ映画やアニメからの知識からの想像だ。これが正解だなんて語れねーよ。
「今回解剖するのは小型生物だ。大袈裟な施設も道具もいらねー。テント一つ張ってくれたらイイよ」
まあ、なにか変な病気を持ってられたら困るから結界も張るがな。
「わかりました。すぐに用意します」
ハイハイ。お任せするよ。好きにやってちょうだい。
「お待たせしました」
メイドさんが豆尽くしな料理を持ってきてくれたのでいただきます!
うん。豆、美味しいです。
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