第1623話 絶滅危惧種
私利私欲のままに捕まえてしまったが、こいつ、なに食うんだろう?
「魚じゃないですか?」
まあ、普通に考えたらそうだわな。だが、魚、いねーな。つーか、他の生命体が見当たらねーぞ。
「滅んじゃったんですかね?」
「かもしんねーな。こんな狭い世界じゃ、一旦変な病気が流行ったらマッハで絶滅だもんな」
人工物としてはデカいんだろうが、生命体が生きるには狭いところだ。何千年と持ったほうが奇跡だわ。
「グラーニはいねーな。てか、グラーニも宇宙から来た生命体なんか?」
「魔石が出ればこの世界の生き物だと思いますよ」
「なるほど。前に出たグラーニから魔石出たっけ?」
食えるかどうかしか頭になかったから魔石のことなんか記憶にねーわ。
「魔石は出るぞ」
とは、公爵どの。そういや、バイブラストじゃ災害指定されてたっけな。
「じゃあ、グラーニはあの湖にいたってことになるのか?」
「グラーニは肉食だ。魚しかいない湖では生きられないし、地上に出てもそう長いこといられないぞ」
となれば外に出れる場所があるか、昔に捕まえた、とかか?
「領都ブレオラスの地下にもたくさんいたし、グラーニがどこにいても不思議じゃねーな」
思い出したくもねーな、骸骨嬢のプライベート空間なんか。
「恐ろしいこと言うな。グラーニ一匹いただけで絶滅の危機になるんだぞ」
「あんなもん雑魚だろう?」
まあ、オレが倒したわけじゃねーが、殲滅技が一つ、結界斬で倒せる相手ではあったな。
「そりゃ、兄妹で飛竜を倒したヤツにしたらグラーニなんか雑魚だろうよ」
ハイ、ごもっとも。強敵だと思ったのはX5のセーサランだな。
「この辺にはオットセイモドキしかいねーか」
つーか、オットセイモドキもこれだけのようだ。まさに絶滅寸前のを捕まえちゃった感じ?
約三十匹。環境さえよければ増やすのも難しくねーだろう。ここの水もちょっと持って帰るか。
「ここの水に病気が混ざっているんじゃないですか?」
「なら、余計に持って帰って成分を調べる必要があるな」
やるのは先生だけど。オレにはよーわからんし。
「ご主人様を使うとか平気で言えるのべー様だけですよ」
「あっちも平気で血を要求してくるけどな」
オレが使えるとわかるといろんな生き物の血を求めてきたっけな。
「ベー! たくさんの人魚がくるよ!」
木の上にいたレディ・カレットが指を差している。君も未知なところでまったく恐れないよね。
オレらも木の上まで泳ぎ、レディ・カレットが指差す方向を見る。
「かなり切羽詰まった状況っぽいな。ドレミ。追ってくるヤツらを捕縛しろ」
人魚バージョンのドレミのほうが機動力がある。結界で一網打尽にするより手っ取り早い。
「イエス、マイロード! ドレミ隊、続け!」
あえて無視していたが、ドレミ隊、さらに増えてね? どこから湧いて出た?
「マイロード」
と、人魚バージョン(大人)のいろはが出てきた。
くどいようだが、オレの近くにはいろはもいるんだぜ。危険なときには出てくるけどな。
「なにか危険なのがいるのか?」
「はい。黒いグラーニが来ます」
オレ、なんかフラグ立てましたでしょうか?
「一匹だけか?」
「はい。以前のより二回りくらい大きいです」
あのときのも結構デカかったが、アレより二回りとなると……どのくらいだ? まあ、食い応えはあるか。
「まず食べることなんですね。少食なのに」
「オレは旨いものをちょっと食えれば満足なんだよ。いろは、生け捕りにできるか?」
「多少、傷つけても構いませんか?」
「脚の一本か二本、なくなっても構わねーぞ」
二回りデカいなら残りの脚だけで食い応えあるだろうさ。
「イエス、マイロード」
いつぞやのレールガンを構えて泳いでいった。よろしこ~。
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