第1574話 ネタ祭り

「マイロード。手持ちでは足りないのでカイナーズホームに買い出しにいきたいのですが、よろしいでしょうか?」


 五分くらいしてドレミがやって来てそんなことを言った。


「そうか。なら、カイナーズホームにいくか。鉄拳の服も揃えなくちゃいかんしな」


 鉄拳、袖無しの黒い空手着みたいなのを着ている。空手バカ一代か? いや、観たことないけどさ。


 シスターに買い物をしてくることを告げ、外に出てすぐカイナーズホームへ転移した。


「ところで、その体の持ち主の名前、なんて言うんだ?」


「知ってどうするんです?」


 いや、そう素で返されても……。


「ベー様が名前をつけてください。どうもこの方、名前がないみたいなので」


「名前がない? よく名前なして生きて来れたな」


「名前を覚えないで生きて来た自分自身に問うといいですよ」


 うぐっ。肉体を持ったレイコさんは容赦がありません。


「じゃ、じゃあ、ユウコさんで」


「わたしにつけようとしていたもう一つの候補でしたよね?」


 よく覚えてんな。ユウコのほうがよかったのか?


「いえ、レイコのほうが響きがいいので気に入ってます」


 あ、気に入ってんだ。そんなにいい響きに聞こえるの?


「──いらっしゃいませ~! 今日は天空島がお安いですよ~。二百億円ぽっきりです~」


「買えねーよ! 二百億円はぽっきりじゃねーわ!」


 カイナーズホームに入るなりなにはっちゃけたこと言ってんだか、このはっちゃけ店長は? 


「つーか、天空島まで売ってんのかよ!」


「このカイナーズホームはお金さえいただければクレムリン宮殿でも仕入れてきますよ」


「マッコイ爺さんか!」


 なに地域88のネタぶち込んできてんだよ!


「あ、ベー様も好きですか? わたしも全巻揃えてますよ」


 知らねーよ! いや、オレも好きだけど!


「今日は服を買いに来たんだよ! 天空島なんていらんわ!」


「天空島でスローライフもいいもんですよ? 流行りですよ」


「そんな流行り知らんわ。オレは地上の田舎でのスローライフをやってんだから空も海もノーサンキューだよ!」


 空も海もたまにいくからイイんであって、普通にスローなライフを送るなら適度な環境なところが一番最適だわ。


「スローライフ批判ですか?」


「好きなところで好きなスローライフをしたらイイって言ってんだよ!」


 定義なんてねーもんなんだからやったもん勝ちだわ。


「サプル様、タイガーシャク買ってくれないかしら?」


「人の妹に変なもん売ったらタダじゃおかねーぞ」


 いや、もう何機も買っているけどな!


「わかってますよ。最近、サプル様は戦車に嵌まってますから」


「戦車? なぜに?」


「ガールズ&パ──」


「──よし、黙れ。それ以上はなにも言うな」


 なんかよくわからんが、言ってはならないことだけはオレの直感が言っている。


「とっとと服んところに案内しやがれ」


 こいつに付き合っても時間の無駄ってことは知ってんだろうが、オレ! 軽く流しておけや!


「はいはい、わかりました。服はこちらで~す」


 うん。客に対する態度じゃないよね。まあ、丁寧な接客など期待したこともねーがな!


「……三階なんてあったんだ?」


 確か二階までだったよね? 世界の兵器展しか記憶がねーがよ。 


「はい。仕入れ品が多くなったので増設しました」


 そんなに仕入れて誰に売るんだよ? どっか別世界から買いに来てんのか?


 三階に上がるとそこは服ばかりが揃っている階だった。


「レイコさんと鉄拳にコンシェルジュをつけてくれ。オレは別のもんを買ってくるからよ」


 服なんてなんでもイイと思ってるオレにアドバイスしてやることはナッシング。違うものを買い揃えてくるよ。


「わかりました。すぐに呼びますね」


「二人とも。好きなだけ買ってイイからな」


「うむ。戦いやすい服はあるかのぉ?」


「楽しみです」


 コンシェルジュが来て、二人が服の中に消えていったら一階の食料品売り場へ向かった。

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