第1558話 竜宮島

「アーカム隊は竜宮島で訓練をしております」


 竜宮島とはミュータント亀(※568話)さんや轟牙を開発した島だよ。皆は覚えているかな? オレは思い出すのにちょっと時間がかかっちゃったよ。去年のことなのにね。アハハ。


「訓練?」


「はい。アーカム隊の母艦が完成したそうなのでその訓練をしてると聞いております」


「プロキオンを改造したのか?」


 一応、オレの御座船となってます。出番はそうないんだけど!


「いえ、プロキオンは南の大陸におります。アーカム隊専用の飛空船を建造したそうです」


 飛空船、建造しすぎじゃね? 


 いや、造れと唆したのオレだけど、その資金と資材、どこから出てんのよ?


「カイナーズより資金援助を受けているそうです」


 首を傾げていたら執事さんが察して教えてくれた。ありがとうございます。


「そ、そうか。まあ、カイナは趣味にならいくらでも注ぎ込みそうだしな」


 趣味のために生きて趣味のために金を使うタイプだからな、あの男は。


「わかった。竜宮島にいってみるよ」


 ってことでレッツらゴー! 


 やってきたら危うく小人たちを踏み潰しそうになりました。


「いっぱいいんな!?」


 一周二キロもない島に小人の町ができており、オレが創った秘密でもない基地兼作業場が消えていた。


「べー様! 小さくなってください!」


 なにやら拡声器で注意されたので、伸縮能力でスモ~ル。小人サイズになりました。


「みっちょんデカ!?」


 ってこと、プリッつあんにもやったな。懐かしぃ~。


「ってことはどうでもイイ。随分と発展してんな。ここに移住したのか?」


 拡声器で注意した男に尋ねた。


「はい。陸地に住みたい者が騒ぎ出しまして、この竜宮島に移動させました」


 殿様んとこも一枚岩ってことじゃねーのか。大変だこと。


「まあ、それは殿様に任せるとして、アーカム隊を探してんたが、どこにいる?」


「飛行訓練に出ております。お急ぎですか?」


「緊急ではねーが、呼べるなら呼んでもらえると助かる」


「わかりました。伝令を飛ばします。兵長! べー様を案内せよ!」


 兵長とやらの若い男がやって来て、なんかの総合庁舎っぽいところに案内してくれ、立派な部屋に通してくれた。


「総督を呼んで参ります」


 兵長さんが下がり、しばらくして四十歳くらいの男がやって来た。


「竜宮島総督のロイド・ドウ・ゲンです」


「ドウ・ゲン? 殿様の関係者か?」


「はい。弟にあたります」


 弟にあたる? 腹違いってことか? 


「ちゃんと上手くやってんのか?」


 他人の家庭事情に興味なんぞねーが、家庭不和でオレやヤオヨロズ国に迷惑が及ぶのはノーサンキュー。こっちに放り投げてくんなよな。


「ドウ・ゲンを名乗っていますが、わたしは兄ほど政治は得意ではありません。竜宮島が精々ですよ」


 弟だからやらされてる、って感じか?


「まあ、嫌ならさっさと次を見つけて放り投げることだな」


「そうしたいのは山々なのですが、なかなかどうして、と言った感じです」


 どうやらいろいろ問題があるようだ。


「そうか。まあ、愚痴なら聞くぜ」


 黒髪の乙女さんが来るまでの間なら聞いてやるよ。どうこうしてはやれんからな。


 いろいろ溜まっていたのだろう。愚痴が止まらない。


 ただ、聞いてる分には、ロイドさんがそれほど無能って感じではなかった。いや、どちらかと言うと上手く纏めているような感じがする。


 一時間ほど愚痴を聞いてたら黒髪の乙女さんと三十歳くらいの女と二人がやって来た。


「ありがとうございます。愚痴を言える立場ではないので聞いてもらえてすっきりしました」


「それはよかった。また溜まったら聞いてやるよ。なかなかおもしろかったしな」


 愚痴の中に竜宮島の状況が語られていておもしろかった。そんな愚痴なら喜んで聞いてやるさ。


「黒髪の乙女さん。訓練してるところ悪かったな。親父殿がハイニフィニー王国に向かっててな、ちょっと心配だから内緒で追いかけたい。竜機と母艦を出してもらえるかい?」


「はい。問題ありません」


 と答えたのは三十歳くらいの女。竜機の母艦の艦長か?


「じゃあ、頼むわ」


 万事お任せ致します。


「申し遅れました。ラズリズの艦長、ミシルです。ベー様の乗艦、心より歓迎致します」


 迷惑でなけりゃ大いに結構。じゃあ、案内よろしこ。


 艦長さんの先導で、ラズリズとやらへ向かった。

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