第1556話 オレのやりたいように
うん。久しぶりにマン○ムタイム。あーコーヒーの味がしねー。
なんなの? なんでこんなに問題が起こるの? 人生に多少なりともスパイスは必要だよ。変わらぬ毎日などつまんねーだけだからな。だが、スパイスだらけの毎日はノーサンキュー。たまにでイイんだよ! たまにで! スローなライフ七。スパイス三でイイんだよ! 畜生が!
「スパイス三を七にしてるのはべー様の自業自得だと思いますが」
オレはただ、降りかかる火の粉を払ってるだけなのに。
「まあ、いいじゃない。いろんなことがあって。暇なとき、思い出すことがいっぱいあるってステキじゃない」
とはみっちょん。
あっちにこっちに移動してるのに、頭から落ちることもない。メルヘンのドッキング機能、どうなってんだろうな?
「みっちょんは前向きだな」
「もう変わらぬ風景ばかり見てるのは飽きたからね」
やけに達観したメルヘンだが、その言葉には賛成だ。後ろばかりみてもイイことはねー。二十年以上見てきてイイことなんてなかったしな。
「べーはべーの思うままにやればいいのよ。べーの行動で不幸になった人はいないんだから」
「酷い目に合ってる人は多いと思いますが?」
「嫌なら逃げたらいいのよ。別に閉じ込められてるわけじゃないんだから」
閉じ込められていたヤツのセリフは至言だな。
「そうだな。嫌なら逃げてイイ。がむしゃらに前に進むだけが正解じゃねーんだからな」
逃げることを正当化するつもりはねーが、ときには逃げることも大事だって知っていれば人生そう辛いものにはならねーものだ。
「まあ、丸投げするのもほどほどにしたほうがいいけどね」
ハイ。以後、気をつけたいと思うであります。
「まるで信用ならない返事ですね」
信用されないのは悲しいなー。まあ、メンドクセーことは丸投げするけどな!
「オレはオレのやりたいようにやる」
スパイスばかりの毎日に舌がバカになってたが、そんときは一旦立ち止まれ。深呼吸をしろ。コーヒーを飲め。人生は素晴らしいと再認識しろ。今生はイイ人生にすると誓ったんだからよ。
「ルダール! ここに村を築け! ここをシープリット族で治めろ。オレが後ろ盾になってやるから」
土地の所有権を主張するヤツがいねーのなら住み着いたって文句は言われねー。住んだもんが勝ちだ。
「ハッ! べー様に恥じぬ村を築いてみせます」
「おう。ガンバれ」
「……言ってる側から丸投げですか……」
これは自主性を重んじただけですぅ~。丸投げじゃないですぅ~。
「見習いたちは叡知の魔女さんに一旦報告してこい。長い探索が始まるんだからな」
「わたしたち、留学にきたんだよね?」
ツンツインテールが今さらなことを訊いてきた。
「留学だよ。大図書館の館長が終わり、ってまでな」
おそらくだが、叡知の魔女さんは十年はオレに預ける気でいるはずだ。一年や二年でオレのすべてを理解できるとは思ってねーだろうからな。
「学ぶことに貪欲になれ。世界はおもしろいことで溢れてんだからよ」
オレが預かったからには閉じ込めておくなんてことはしねー。この広い世界を見せてやるから覚悟しとけよ。
「ねーちゃんたちもしばらくここで過ごせる準備をしてきな。ララちゃん。ねーちゃんらをカイナーズホームに連れてってくれや」
叡知の魔女さんへの報告はツンツインテールとモブ子だけで充分だろう。あ、チビッ子さんもいたっけ。いや、食獣樹の世話をするヤツがいなくなると困るからそのままでいっか。
「どうせなら南の大陸にいきたいよ」
あー南の大陸もあったっけ。でもまあ、ラーシュが動いたみてーだし、なんとかなっか。カイナーズもいるしな。
「タケル様のこと、完全に忘れてますよ」
帰って来ねーのは元気な証拠。あいつはそのうちでイイよ。まずは館に帰って……ロ、ロンダルクと……ミロ、じゃなくてミラーニャを抱いてやらんと忘れられてしまう。
「そうですね。双子がべー様に慣れる前にべー様が名前を忘れては大変ですからね」
大丈夫。オレは忘れてから本気を出して名前を覚える男だ。
「そして、三歩進んだら忘れるんでしょう」
「…………」
さ、さあ、館に帰るぜ! 双子がオレを待ってるぜい!
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