第1527話 与作と命名(サソリ)
よし。ここは正攻法でいくか。
土魔法で砲弾を創り出し、結界砲に装填。
「殲滅技が一つ、結界拳!」
で砲弾を打ち出した。
久しぶりに披露したが、ちょっと体が鈍ってんな。ちょっとつっちまったよ。
「柔軟体操してからにするんだったわ」
回復薬を飲んで体のつりを治し、柔軟体操をしっかりとやる。うん。体が温まった。
「よし。殲滅技が一つ、結界拳!」
今度は会心の一撃。砲弾が食獣樹の枝を吹き飛ばした。
何度かやると勘が戻ってきて、食獣樹をすこし削っていった。
四十発も打ち込むと枝のほとんどは吹き飛び、幹だけが残っている状態だ。んじゃ、ラストスパートだ!
で、魔王種たる食獣樹は倒されましたとさ。めでたしめでたしっと。
「魔王でも苦戦する存在をあっさりと……」
「動きもしねー樹を倒すくらいで苦戦する魔王がアホなだけだろう」
動き出すならまだしも不動の状態でいるとか、遠距離から狙ってくださいと言ってるもんじゃねーか。負ける要素0だろう。
まあ、幹となっただけでも生きてるだろうから油断なく近づき、ドン! と右足で地面を叩いた。
硬化させた土に食獣樹の根が激突。反動で地上にこんにちは。結界刀で斬り落としてやった。
「生命力に満ち溢れてんな」
次々と地下からこんにちはしてくる根を斬り落としていき、無限鞄に放り込んでいった。
さすがの魔王種でも半分近く奪われたら生命活動も困難になってくる。徐々に根もこんにちはしてこなくなり、やがて動かなくなった。
「終りか?」
死亡フラグっぽいこと言ってしまったが、自爆するわけでもねーんだから恐れる必要はナッシング。
「殲滅技が一つ、結界斬!」
で、斬り倒してやった。うん。今度こそ終了だな。
「なんの物語もなかったですね」
「樹を斬り倒したくらいでなんの物語を求めてんだよ? 与作もびっくりだわ」
「ヨサク? なんです?」
ヘイユー──いや、ヘイホー? あれ? なんだっけ? 与作が木を切るしか覚えてねーや。
「木を切る男の名前だよ」
「ほんと、思考まで説明下手なんですから」
思考で説明できるほど器用じゃねーよ。説明して欲しいなら口でしてやるよ。
「口で説明されてわかったこと一度もありませんが?」
ヤダー。それはあなたの理解力がないからデスヨー。オレのせいじゃないデスヨー。アッハッハー。
「さあ、食獣樹を片付けマッシーン!」
あらよ、ほらよ、どっこいしょー! で片付け終了。お疲れ様でした~!
「って、魔王種なんていたら獣いなくね?」
「わたしは魔王種を見たときに気がつきましたよ」
「わ、わたしもです」
──わたしもです。
幽霊、チビッ子、モブ子さんが責め立てます。いや、教えてよ! 無駄な労力使ったじゃん!
「まあ、ゴブリンでも捕まえたらいいじゃない。それより探索しましょうよ」
頭の上からメルヘンがテイクオフ。君が動くと碌なことが起きないんだから大人しくしててよ。
なんて願いも虚しくなんかサソリがわらわらといらっしゃ~い。こーゆー生き物は望んでないんですけど。
「初めて見るサソリですね」
「じゃあ、与作と命名しよう」
「また適当な」
イイんだよ。テキトーで。誰もカッコイイ名前なんぞ求めちゃいねーんだからよ。
「前に見たサソリよりデカいな。食獣樹のエサにならなかったのか?」※805話。
なんとかレースのときに見たサソリは四、五十センチで、わらわらいらっしゃ~いしてきたサソリは軽く一メートルはある。毒とか持ってんのかな?
「サソリを食う生き物っているかな?」
いや、サソリが食うものがいるのか? これだけの数の胃を満たすとなればデカいのが一匹いるか、それとも小さいのかがうじゃうじゃいるかのどちらかだろうよ。
「食獣樹が食べた残りカスをサソリが食べる、ではないでしょうか?」
あーなるほど。それが正解っぽいな。いつの間にか共生関係ができたんだろうよ。
「どうするんです? 食べるんですか?」
「食えるサソリなのか?」
「うーん。竜が食べてるところは見たことありますね」
「なら、火竜も食うかな?」※1213話くらい。
南の大陸に置いて火竜さんたち。誰に丸投げしてきたか忘れたけど、亀を食ってたんだからサソリも食うんじゃねーかな?
「おそらく食べると思いますよ。火竜って苦いものが好きみたいなんで」
ってことはサソリも苦いのか? 確かめる気にはならんけどよ。
「じゃあ、捕獲決定だな」
殲滅技が一つ、一網打尽! で、根こそぎいただきました~! ごっつあんです。
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