第1328話 ガンバレ商人たち
はい、ごちそうさまでした。
「旨かったよ。ありがとな」
なんか久しぶりにサプルの料理を食ったわ。
「ちょっと寝るわ」
満腹になったからか、なんか眠くなった。魔力回復薬も神聖魔法、いや、神聖魔力か? を回復させるには及ばないようだ。
横になったとたん意識がなくなり、次に目覚めたら夜になっていた。
……ここ一年、規則正しい生活してねーな……。
「村人として失格だな」
「村人らしいことしてるの見たことありませんけど?」
「うおっ!? びっくりした!っ!」
暗闇でうっすらと光ってんなや! 心臓止まるわ!
「……わざとやってんだろう……?」
「いや、幽霊なんだから夜は光りますよ」
そんな常識知らねーよ! つーか、いつも光ってねーだろうが。
「消えているときまで光りませんよ」
だからそんな常識知らねーよ! 幽霊の生態(?)に興味ねーわ!
「ドレミ。明かりを点けてくれ」
幽霊の発光で世界を照らしたくねーわ。
部屋に明かりが灯ると、部屋の扉がノックされた。誰や?
幼女メイド型のドレミが扉を開き、ミタさんと三人のメイドさんが入って来た。
……ミタさんってちゃんと寝てるんだろうか……?
この謎は未だに解けてないんだよな。
「べー様、体は大丈夫ですか?」
「ああ、楽になったよ。オレ、何日寝てた?」
そんなに眠ってた感じはしねーが。
「一日です」
「そうか。トータル五日か。魔大陸での訓練が活きたな」
能力に胡座をかいててはダメって言うイイ証しだ。
「風呂沸いてる?」
「はい。沸いております」
さすがヴィアンサプレシア号。二十四時間風呂だ。いや、サプルがいるところ二十四時間風呂あり、だけどよ。
台に乗ったものを持って風呂へと向かいビバノンノン。すっきりさっぱりして湯から上がり、備えつけの冷蔵庫から牛乳を出していっき飲み。
「ぷっはー! 旨い!」
もう一本! とはならず、いつもの村人ルックになって男湯から出た。
「食事になさいますか?」
「そうだな。軽く食っておくか。あ、昨日の料理はどうしたい?」
「他に回しました。ヴィアンサプレシア号には数百人が働いてますから」
ヴィアンサプレシア号造りを乗っ取られたとは言え、基本構造は知っている。百三十メートルの飛空船に数百人もよく乗せたもんだ。あ、いや、数千人も乗れる豪華客船も縮小させて乗せてたっけ。すっかり忘れてたわ。
「ってか、よく数百人もいたな。どこで見つけてきたんだ?」
「基本、魔大陸出身者を雇っております。仕事につけてない者がまだ数万といますから」
「よく生きてられるな?」
カイナが施しでもしてんのか?
「ゼルフィング家やカイナーズで働いている者が養っております。どちらもお給料がとんでもないですから」
「そうなの?」
うち、どんだけ出してんだよ?
「いや、なんでべー様が知らないんだよって話ですよね?」
は、はい。まったくもってその通りでございます。ごめんなさい。
「見習いでも一家を養えますから」
「ま、まあ、給金に文句がないならよかったよ」
「ちなみに見習いの給金っていくらなんだ?」
「一日五百円です。一人前になれは千円になります」
前世の感覚が残っているからか、うちがスゲーブラックに聞こえんな。つーか、給金円払いなんだ。その辺の貨幣比率はどうなってんだ?
「それだとカイナーズ丸儲けじゃね?」
オレは金塊を親父殿に渡してある。あとはよろしく~、だけど。
「食料はゼルフィング商会とアバール商会が引き受けております。カイナーズはそれを買取りと言うことで円で買っております」
「カイナーズホームで売ってる食料はカイナが出したもんだろう」
なにもうちやあんちゃんから買うこともねーだろう。
「その辺の調整はフィアラ様やアバール様、世界貿易ギルドで行っております」
さすが真の商人。前世の知識があろうとなんちゃって商人にはできんことだな。
「ヤオヨロズ国を中心に経済圏ができつつあるか」
円って言うのは複雑な感情があるが、できてしまえば他国と渡り合える。商人たちよガンバレ、だ。
「食事は部屋でお摂りになりますか?」
「こっからなら食堂が近いから、そこで食うよ」
久しぶりにヴィアンサプレシア号の食堂で食うとしよう。その一角は一家団らんの場としてある。久しぶりに我が家を感じるとしよう。
「畏まりました」
「あ、けんちん汁があったら頼むよ。付け合わせは任せる」
なんかけんちん汁が食べたくてしょうがなかったんだよな。なんでだ?
「はい。すぐに用意します」
メイドさんたちに包囲されながら食堂へと向かった。いや、護送か!
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