第1314話 いずれ来る厄災
目が覚めたら暗かった。
「……夜か……」
と言うか、オレ、いつの間にテントの中で寝たっけ? テキトーな場所で寝たような気がするんだが……?
とりあえず、結界灯を創り出す。
「ベー様、お目覚めですか?」
外から女の声。メイドさんかな?
「ああ。起きたよ」
「なにかお持ち致しましょうか?」
「そうだな。コーヒーとなにかあっさりした食いもんを頼むよ」
腹はまだ減ってねーが、いつから食ってねーのかも忘れた。なにか胃に入れておかねーと体にワリーだろう。
「畏まりました。お風呂が沸いてますので、入るときはお声ください」
「あ、んじゃ入るよ。頭痒くなってきたし」
風呂もいつ入ったか忘れた。さっぱりしておかないとサプルに文句言われそうだ。
「畏まりました」
大きく伸びをしてから結界クッションから起き上がり、テントから出た。
「眩しっ!」
出たら光の強いライトがあちらこちらを照らしており、目の奥が痛くなりちょっと眩んでしまった。
「……なんなんだよ、いったい……?」
「ベー様がお眠りについて小型のセーサランが襲って来ましたので、夜間も光をつけているそうです」
水蒸気爆発で根絶やしにはできないとは思ってたが、これだけの数がいて襲って来るとか状況判断ができてねーのか?
「被害は?」
「ありません」
だよね。カイナーズは被害を与えるほうだし。
「お風呂はこちらです」
と、案内されたのはテントで、メイドの湯って看板が掲げられていた。はぁ?
「中にメイドでもいるのか?」
それとも冥土の湯だったら回れ右して安らかな眠りへと旅立つぞ。
「いえ、メイドが設営したのでメイドの湯と命名しました」
命名する必要あるん?
「カイナーズの方も設営したので区別するために名前をつけました」
言われてみれば似たようなテントが設営されてんな。ってか、カイナーズは風呂に入る習慣とかあったんだな。
「誰も入っておりませんのでごゆっくりお入りくださいませ」
脱衣場的な場所で服を脱ぎ、体を洗って湯船に入った。
「と言うか、誰もヴィアンサプレシア号にいけば問題なかったのでは?」
と思ったけど、気持ちイイからなんでもどうでもイイか。あービバノンノン。
ホカホカな気分で風呂から上がり、冷蔵庫(どっから電気を取ってんだ?)から牛乳を取り出し、いっき飲み。ぷはー! 旨い! もう一本!
「ゲフ。二本は飲みすぎたな」
空ビンを箱に入れて外に出た。
「あれ、叡知の魔女さん、来てたんだ」
叡知の魔女さんと年配の魔女さんズ。なぜか委員長さんは離れたところで小さくなっていた。
……上の方々かな……?
「アレの報告ではさっぱり要領を得ないのでな」
アレとは委員長さんのことだろう。叡知の魔女さんに睨まれてさらに小さくなってしまってるよ。上下関係が厳しいところは大変だ。
「もちろん、お主はわかりやすく説明してくれるのだろうな?」
「それは、叡知の魔女さんたちの理解力にかかってるな。これは、星の世界の話だからな」
今さらだが宇宙と言ってるが、魔女さんたちに宇宙と言う概念はあるんだろうか?
「あのバカ、また変なこと言ってるよ、って思われてるんじゃないですか?」
最近の幽霊は突っ込みに容赦がありません。もっと愛のある突っ込みをしていただけると嬉しいです。
「どこか場所を移そうか」
メイドさん。ありますか?
「カイナーズのテントをお借りしております」
うちのメイドは優秀でなによりです。
その借りているテントへと向かい、お茶とお菓子を出してもらう。オレは失礼してサンドイッチをいただきます。あーウメー。
「……それで、いったいなんだと言うのだ?」
「この世界が丸いってことは知っているかい?」
「村人が知る理ではないんだがな」
「ってことは知っているのか。どこのどいつが教えたのやら」
オレたちの前にも転生者がいて、さらに数千年前にもいた。それは、フュワール・レワロでわかる。浅草っぽいの創っておいて違ったら詐欺もイイところだわ!
「星の世界、宇宙も教えられてるのかい?」
「知っている」
それはよかった。宇宙ってなに? とか問われてわかりやすく答えられる自信はオレにはねーよ。
結界でX1~X4を創り出す。細かいところはご容赦を。
「これらが宇宙から来た」
「攻めて来た、と言うのか?」
「おそらくとしか言えねーな。こいつらと意思疎通してねーからよ」
どうやら知能はないが、やることはDNAに刻まれているようで、種を増やすことを優先させている。
「この世界に、宇宙から来た種族がいることは知ってるかい?」
「……そう言う説は出ておる。が、証明はできておらん」
「少なくとも人魚は宇宙から来た種族だな。星を渡る船があったから」
そうなると魚人も怪しいところだよな。この星で進化したとは思えねーし。
「それらの情報を繋ぎ合わせると、こいつら──セーサランに追いやられてこの星に逃げて来たんじゃねーかと思うわけだ」
そう考えたらこの世界にたくさんの種族がいるのも納得できんだよな。
「つまり、この星は狙われていると?」
「確実に、とは、まだなってないとは思う。星を渡る船を造るヤツらが逃げるしかないのなら、もっと強いヤツがいるってこと。そいつらが来てないのだから位置はわかってないはずだ」
それも時間の問題だろうな~。
「帝国も覚悟しておけ。未曾有の厄災にな」
オレもスローなライフを守るために、タケルを鍛えておかんとな。なんたってアニメな潜水艦を持っているんだからよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます