第1311話 マイフレンド

「お前の妹、死神かなにかなの?」


 うちの妹、化け物とか死神とか酷い言われようである。まあ、違うと否定できない戦いがすぐそこで起こっているけど……。


「ってか、X4がなんか飛ばしてんな?」


 リューコのときはメルヘン機で倒したのに、X4にはF−4で相手している。どんだけ気にいってんだよ。メルヘン機より性能は落ちるだろうに。


「しかし、X4は硬いな。ミサイルを何発も食らってんのに」


 少なくとも二十発は直撃している。なのにX4の動きに衰えは感じなかった。


「べー様」


 と呼ばれて結界双眼鏡を外して振り返ると、二代目のメイド長と武装メイド隊がいた。え、どう言うこと?


「サプル様のお供で参りました」


 あ、ああ、うん、そうだよな。サプル一人でよこすわけねーか。なにするかわかんねーし。


「べー様の妹なだけありますね」


 否定はできませぬ。あんな性格になった一端はオレにあるだろうからな。


 ……あんな妹に育ててごめんなさい……。


「あ、うん、ご苦労さまです」


 気苦労の多いメイドの皆さま方に兄として感謝申し上げそうろう。


「いえ、わたしたちの勤めなので」


 サプルのお守りが勤め。オレならノーサンキューだがな。あのゴーイングなマイウェーイにはついていけんよ。


「どの口が言ってるんだか」


 この口ですがなにか?


「べー様。サプル様よりこちらを着れるようにお願いされました」


 メイドさんが白い毛皮──って、もしかしてアリザの脱け殻(毛)か? あいつ、まだ暴飲暴食してんのかよ?


「ま、まあ、やれと言うならやるが、なんでまた?」


 サプルにこんなもん必要ねーだろう。単独でも強いのによ。


 ……確か、勇者ちゃんより強くなかったか……?


「身長が欲しいそうです」


 ん? 身長? ホワイ?


「体がコックピットに合わなくて操縦し難いそうです」


 いや、今そこで人にはできない操縦を見せてますが!? あれで本気出してないとでも言うのかよ?


「魔力をコントロールして操縦しているそうです。わたしどもにはよくわかりませんが」


 うん。オレにもわからないから大丈夫だよ。安心して。


「ま、まあ、要するに、パイロットスーツ的なものが欲しいと言うことだな」


 テキトーな解釈で納得させていただきます。


 アリザの脱け殻(毛)を受け取り、伸縮能力と堅柔能力で獣型から人型に、いや、女性型にする。同じだと区別がつかんからな。


「こんなもんか?」


 サプルの好みとして可愛いより格好イイだからな。


「なにか小物をつけたいときは言え。付け足すからよ」


「はい。そうお伝えします」


 と、武装メイドさんが照明弾を打ち上げた。なに?


「用意が整いましたので、サプル様にご報告です」


 どう言うこっちゃ? と首を傾げていたらF−4が不時着して来た。おいおいおいおいっ!!


「シフさん!」


「こちらです」


 メイドさんズがモコモコスーツの腕をつかみ、開いた背中を見せていた。


「あんちゃん、ありがとね!」


 モコモコスーツの背中へと飛び込み、背中が閉じる。今さらながら謎機構だよな。


「──メロディ、装着!」 


 はぁ? メロディ? ホワイ?


 モコモコスーツを纏ったサプルがどこかへと駆けていった。


「……いったいなにが起こってるんだ……?」


「サプル様専用機が参ります」


 はぁ? 専用機? ホワイ?


 もうなにがなんだかわからない。そんなときはスルー拳八倍! で気にもならん。


 椅子に座り直してコーヒーうめ~。もう流れに身を任せますかね。


「……現実逃避だな……」


 ハイ、現実逃避です。もうオレの理解を超えてますんで。


「なんか飛んで来たぞ」


 そう言う実況止めてください。もうオレはマン○ムタイムに突入してんだからさ。


「この世界、著作権とか大丈夫なのか?」


「カットすればなにも問題ない」


 イイかい、皆。戦いは君たちの心の中でイメージするんだ。そうすれば世界は平和だ。著作権とかない。ないんだよ。イイね!


「戦いは結果だ。過程はどうでもイイんだ」


「誰に言ってんだよ?」


「事情を察せれる大きなお友達にだよ」


 すべては君たちにかかっている。頼むよ、マイフレンド!

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