第1225話 世界防衛軍
レニスのことはサプルやいろはの分離体に任せるとして、オレは探索させていただきます。
宇宙船があるピラミッド内は、完全に淡水人魚のコロニーとなっている。
上を見ればドーム状となっており、なんか光る点がドーム全体についている
ライト、ではねーよな? 宇宙船自体が微かに光っているから必要ねーし。なんかのイルミネーションか?
気になると確かめたくなるのオレ。上へと浮上する。
「ベー様。減圧障害に注意してください」
と、ミタさんが横に来て注意勧告してくれた。
「オレは大丈夫だからミタさんらは急がず浮上しろ」
五トンを持っても平気な体は減圧障害も跳ね返す。その辺に抜かりはありません。
減圧障害なにものぞと浮上し、光る点を確かめる。
光る点はテキトーに配置され、なんの規則性はねー。思いのままにつけた感じだ。
「なにか気になることでもあるんですか?」
「まーな。人魚たちに芸術を楽しむ文化があると思うかい?」
海の人魚は多少なりとも芸術文化はあるが、淡水人魚にあるとは思えねー。いや、昔の淡水人魚ならあったのか? だとしてもドーム状に光る点をつける芸術センスが理解できねーよ。象徴芸術か?
「ん~。ないですね。暮しが原始的ですし」
レイコさんの見立てならそうなんだろう。
「なら、これは芸術作品ではねーよな。いたずらでつけた感じもしねーし」
光る点が真円で、蛍光塗料っぽい感じがする。これはかなりの技術がなければつけられない。
「と、なると、だ。光る点は意図的につけたと言うこと。……星図、か?」
そう考えるとドーム状の光る点も納得できる。
「故郷まで星図か? それとも宇宙から来た証か? なんなんだ?」
オレの頭では答えは出せませんわ~。
「レイコさん。この中に入れるか?」
未知の金属だが、幽霊に関係はないはず。壁を通り抜けられるんだからこれもいけるはずだ。
「どうでしょうね?」
と、背後から前に出て宇宙船へと向かった。
……この幽霊、絶対着脱可能な幽霊だ……。
宇宙船の外壁に触るような仕草をして、腕を押し込んだ。
「入れそうです」
「体は大丈夫かい?」
そのまま昇天とかしないでね。するなら遺言書いてからにしてください。先生に顔向けできねーからさ。
「縁起の悪いこと言わないでくださいよ。怖くなるじゃないですか」
幽霊が縁起とか言うのもどうかと思う。いや、喜怒哀楽ある時点で幽霊として間違ってますから、あなた。
「大丈夫なら中を見て来てよ」
「どこにもいかないでくださいよ。絶対ですからね」
夜中のトイレみたいなこと言わないの。幽霊と一緒にトイレとか途中で漏らすわ。
「ちゃんといるよ。ミタさんの名にかけて」
「……なぜ、あたしの名にかけるんですか……?」
ノリと勢いと雰囲気からです。
「わ、わかりました。じゃあ、見て来ますね……」
宇宙船へと消えるレイコさん。君の無事を祈る。いや、幽霊って時点で無事じゃないけどな。
「ベー様。これはいったいなんなんですか?」
「まあ、飛空船の発展版だな」
宇宙船と言っても理解はできまい。いや、ミタさんなら理解できるか? 理解力が飛び抜けた人だからな。
「おそらく、人魚は遠い星からこれに乗って来たと思う」
「宇宙船と言うことですか?」
ミタさんの成長がハンパないです。去年まで魔大陸で原始的な生活してたのに宇宙船を知るまでに至ってます。いや、カイナーズから仕入れたのかな? 現代兵器やらメルヘン機まで操っているところだしな……。
「そう、だな。宇宙船と言ってもなにによるかで変わって来るな」
「どう言うことですか?」
「移住か侵略か事故か、理由いかんでは対応が変わって来る」
岩さんで宇宙人(仮)がいることは証明された。なら、他にいても不思議ではない。ましてやこんな多種多様な種族がいる世界。宇宙人が混ざっていても不思議じゃねーよ。
「……危険、なんですか……?」
「まあ、危険だとしてもなんとかなるだろう。カイナがいるし」
それに、転生者がいる。タケルはアニメな世界の潜水艦を持ってるし、エリナはメルヘン機を創り出せる。あと、タケルの潜水艦を潰した謎の転生者。あれは確実にヤバい能力を願ってる。インディペンスなディが起こっても勝てる未来しかねーよ。
「不安ならカイナに世界防衛軍を創ってくださいって進言してみろ。喜んで設立すんじゃね?」
あいつなら喜び勇んで設立する。金貨一億賭けてもイイぜ。
「わかりました!」
と、カイナーズの連中がヤル気満々。何人かが戻っていった。
ちなみにカイナは謹慎させられてます。どこで、誰に、かは知りませんけど!
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