第1203話 オレツレェェェェッ!!

「あらよっ、そらよっ、どっこいしょー」


 は魔法の言葉。館と繋ぐ転移結界門の横に、トカゲさんとこに通じる転移結界門を設置した。


「南の大陸トカゲさんちっと」


 間違えると不味いので札をつけておく。うん、ぱーぺき!


「……また碌でもないことを……」


 メルヘンの呟きなど右から左に流してあっちへポイ。オレの優秀な耳をナメるでない。


「レニスねーちゃん楽しみだね!」


「そうだね」


「……こっちはこっちで楽しんでるし……」


 オレはその後ろにいる武器集団が楽しんでるのが気になってしょうがねーよ。ピクニックじゃねーぞ。


「八岐大蛇か。楽しみだな」


「勇者かよって話だよな」


「一人一匹だぞ。破ったら奢りだかな」


 なんなのほんと。カイナーズって頭のネジが緩んだのしかいねーのかよ。いや、トップからして頭のネジがぶっ壊れてるけど!


「ベーもでしょ」


 心の声に突っ込まないで!


 転移結界門を開け、トカゲさんところへとお邪魔します。なんか大勢の方々に迎えられました。な、なんやの!?


「待っていた。物々交換してくれ」


 なにかとおもたら、近隣からも物々交換して欲しくて集まったとのことだった。トカゲさんたち、意外といるんやね。


 人影? で見えないが、相当な数が集まってることがわかった。こりゃ千人とか軽く突破してそうだ。


「ミタさん、できる?」


 オレはできないのであしからず。


「はい。大丈夫ですよ。こうなるだろうと思って用意しておきました」


 ヤベー。ミタさんが女神に見える。ちょっと拝んでご利益をいただこう。オレが幸せになりますように。


 エプロンのポケットに金貨を一枚入れて二礼二拍一礼しておいた。あ、参拝の仕方は許してね。女神への賛美は本物なんだからさ。


「……な、なんでしょうか……?」


「気にしなくていいわよ。どうぜベーにしかわからないベーだけの脳内お花畑ワールドだから」


 ヤダ。メルヘンがワールドとか使い出してます。教えたヤツちょっとこっちに来て殴られろや。ワールドの彼方にぶっ飛ばしてやるからよ。


「こちらはお任せください。フィアラ様にも話を通していますので」


「え? ちょっ、婦人に? 婦人、なんか言ってましたでしょうか?」


 メッチャ怒ってたらメッチャ逃げますけど。


「呆れてました」


 それをニコニコ言われると股間がキュッとするんですけど。ちょっと止めてよ! 婦人にシメられるじゃないのよ!


「大丈夫ですよ。フィアラ様は笑ってましたから」


 笑いにも種類があるじゃない。どんな笑いだったか教えてよ。冷たい笑いなら全力ダッシュで頭下げにいくからさ!


「ワリー。婦人にはオレが旅に出たと伝えてくれや。あと探さないでくださいとも」


「ふふ。大丈夫ですよ。ここにいますからわたしの目を見て言ってください」


 股間がキュッとどころが胃がギュッとなる。


「違うんだ! 誤解だから! 話し合おう!」


「浮気したヤツがよく言うセリフね」


 あなたの人生でどれだけ浮気者に会ったんだよ! メルヘン界では浮気が流行してんの?! 幻滅……はとっくにしてるからなんでもイイや。じゃなくて! 助けてくださいませプリッシュ様!!


「怒ったりしてませんよ。呆れてはいますがね」


「なーんだ。それならよかった」


 怒ってたら全力ダッシュしてたぜ。


「……あなたは……」


「フィアラ。一度シメたほうがいいわよ。まあ、それで直るとも思わないけど……」


 ケッ! オレの性格がそんなことで直ると思うなよ! 何人たりともオレの性格を直すことはできんのじゃー!


「もう諦めてるわよ。この性格は死んでも直らないってね」


 いやいや、死んだら性格結構変わるもんだぜ。ってまあ、変わらないヤツがほとんどだけど! 悪化させてるヤツもいるけど!


「つーことであとはよろしく~」


 オレにはなにもできないけど、上手くやってちょうだいな。


「プリッシュ。ミタレッティー。よく見張っててね」


「任せなさいとは言えないけど、やるだけはやってみるわ」


「なるべく被害が小さくなるよう努力します」


 ヤダ。オレの信頼ゼロなんですけど! 


 と言っても聞き届けられないだろうから黙ってます。オレツレェェェェッ!!

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